上川陽子の発言 (本会議)

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○国務大臣(上川陽子君) 真山勇一議員にお答え申し上げます。
 まず、少年犯罪の動向についてお尋ねがありました。
 少年による刑法犯の検挙人員については減少傾向にあり、平成二十七年には四万八千六百八十人でしたが、令和元年には二万六千七十六人となっています。
 次に、何をもって凶悪犯罪というかにつきましては、様々な考え方があり得ますが、一例として、現行少年法における原則逆送の対象となる罪の事件の終局処分人員について申し上げると、これについても減少傾向にあり、平成二十七年には三十二人でしたが、令和元年には十人となっています。
 次に、保護司についてお尋ねがありました。
 近年、公職選挙法や民法の改正など、十八歳及び十九歳の者を取り巻く社会情勢が大きく変化してきていることに鑑みると、これらの者については、少年法の適用においてもその立場に応じた取扱いをすることが適当であると考えられることから、今般、少年法等を改正することとしたものです。
 一方、保護司の方々には、犯罪や非行をした人に寄り添い、懇切な指導、助言を行うなどして少年の再非行の防止や立ち直りに重要な役割を果たしていただいており、保護観察官と協働して行う更生保護の取組は相応の効果を上げているものと認識しています。
 法務省としては、今後も、保護司の方々に対し、その活動支援の充実強化や環境整備による負担軽減に取り組むなどして、更生保護活動の充実強化に全力を尽くしてまいります。
 次に、十八歳以上の少年に係る原則逆送対象事件の拡大についてお尋ねがありました。
 本法律案においては、十八歳以上の少年について、一定の重大犯罪に及んだ場合に刑事処分が適切になされることを制度的に担保するため、原則逆送対象事件を拡大することとしています。
 そして、このような観点からすると、拡大する範囲については、犯罪の類型的な重大性を示す法定刑を基準とするのが合理的かつ明確であると考えられることから、死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役、禁錮に当たる罪の事件を対象に加えることとしています。
 原則逆送対象事件について、逆送決定をするか否かは、家庭裁判所において、個別の事件ごとに、犯行の動機、態様及び結果、犯行後の情況、特定少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮して判断されるべきものであることから、実際に逆送される人員、人員数の見込みや家庭裁判所における詳細な判断基準について確たるお答えをすることは困難です。
 他方で、本法律案においては、十八歳以上の少年に係る事件についても、現行法と同様、全件を家庭裁判所に送致することとしており、家庭裁判所の調査件数、少年鑑別所の鑑別件数や、これらの機関の業務体制に直ちに影響が生じるとは考えていません。
 次に、十八歳以上の少年に対する保護処分についてお尋ねがありました。
 現在の少年事件における実務の運用上も、一般に、犯罪事実の軽重と処分との間の均衡を考慮して処分選択が行われているとされていることなどからすると、犯情の軽重を考慮して相当な限度を超えない範囲内で保護処分を行うものとしても、実務上、家庭裁判所における要保護性に応じた適切な処分選択や処遇機関における処遇に直ちに支障が生じるものではないと考えています。
 六月の保護観察処分については、比較的軽微な罪を犯し、その問題性が比較的小さく、遵守事項違反の場合の収容の仕組みがなくても改善更生を図ることができると認められた者に課すことを想定しており、少年院への収容の仕組みがなくても保護処分としての実効性に欠けるものではないと考えています。
 二年の保護観察処分については、要保護性に照らし、社会内処遇が適切、適当であるものの、六月の保護観察処分では不十分であると認められた者に課すことを想定しており、二年という期間については、現行法上、十八歳以上の少年に対する保護観察の期間は二年とされ、処遇期間として十分と考えられることなどを踏まえたものです。
 次に、十八歳以上の少年に係る推知報道に関してお尋ねがありました。
 推知報道の禁止の解除については、少年の更生と報道の自由等との調整の観点から、家裁裁判所への、家庭裁判所への移送や無罪判決の可能性も含めて検討した結果、十八歳以上の少年についても推知報道を一般的に禁止した上で、逆送されて公判請求された場合には、公開の法廷で刑事責任を追及される立場となることに鑑み、その時点から禁止を解除して、十八歳以上の者、二十歳以上の者と同様に取り扱うこととしたものです。これは犯罪の抑止を目的とするものではなく、また、少年法の理念と矛盾するとは考えていません。
 他方で、刑事事件の被害者や関係者の名誉、プライバシーが適切に保護されることは少年事件であるか否かにかかわらず重要なことですが、そのために報道に対する事前規制を設けることについては、一般に、憲法で保障された報道の自由との関係で慎重な検討を要するものと考えています。
 次に、十八歳以上の少年を虞犯による保護処分の対象としない理由についてお尋ねがありました。
 保護処分は、対象者の権利、自由の制約という不利益を伴うものであり、民法上の成年となり監護権の対象から外れるのに、罪を犯すおそれを理由として国が介入する保護処分を行うことについては、民法改正との整合性や責任主義の要請との関係などの問題点があるため、本法、法律案では、十八歳以上の少年に対して虞犯による保護処分はしないこととしています。
 もっとも、十八歳以上の少年の健全育成のためには、対象者の任意に基づく支援、措置が重要であると認識しており、法務省としても、引き続き関係機関等と連携しつつ、法務少年支援センターや更生保護サポートセンターにおける各種取組など、少年の非行防止のための取組を強化するなどしてまいりたいと考えています。
 次に、十八歳以上の少年に対する不定期刑の適用についてお尋ねがありました。
 本法律案で十八歳以上の少年に不定期刑を適用しないこととしているのは、不定期刑の機能を否定する趣旨ではなく、重大な罪を犯した場合であっても、年齢のみを理由に刑期を短縮した短期を含め、定め、一例に、一律に寛大な取扱いをすることは、責任ある主体としての立場等に照らし、適当でないと考えられるためです。
 現行の不定期刑の長期の上限が十五年であるのに対し有期刑の上限は三十年となりますが、十五年を超える刑期となる事案は極めて重大、悪質なものであることからすると、十八歳以上の少年の立場に応じた適切な取扱いであると考えています。
 そして、定期刑を科すとしても、仮釈放の仕組みにより、改善更生の度合いに応じた弾力的な処遇を行うことは十分可能であり、社会復帰が著しく困難になるものではないと考えています。
 最後に、十八歳以上の少年に資格制限の特則を適用しないことについてお尋ねがありました。
 個々の資格制限規定は、それぞれの法律における行政目的を実現するために設けられたものであり、十八歳以上の少年について、業務の性質や実情等を問わず、年齢のみを理由として資格制限規定の適用を一律に緩和する少年法第六十条の特則を適用することは、責任ある主体としての立場等に照らし、適当でないと考えられます。
 もっとも、とりわけ若年者の再犯防止、社会復帰を図る上で、就労の促進は重要であると認識しています。前科による資格制限の在り方については、本改正を機に、関係府省と連携し、政府としてしかるべき検討の場を設けた上で、若年者の社会復帰に際してのニーズ調査、有識者を交えた検討など、必要な取組を責任を持って進めてまいりたいと考えています。(拍手)
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発言情報

speech_id: 120415254X01820210423_011

発言者: 上川陽子

speaker_id: 1920

日付: 2021-04-23

院: 参議院

会議名: 本会議