上川陽子の発言 (本会議)
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○国務大臣(上川陽子君) 川合孝典議員にお答え申し上げます。
まず、少年法における健全育成の理念などについてお尋ねがありました。
少年の健全育成について規定する少年法第一条は、一般に、少年法が将来再犯、再非行に及ばないように改善教育することを目的とすることを示したものとされています。このような目的の下、少年法に基づく現行制度は、十八歳及び十九歳の者を含め、少年の再非行の防止と立ち直りに一定の機能を果たしてきたものと認識しています。
また、本法律案では、家庭裁判所での審判の方式について規定する少年法第二十二条第一項は、十八歳以上の少年にも適用することとしています。
次に、家庭裁判所への全件送致の仕組みに関する法制審議会での議論についてお尋ねがありました。
法制審議会の部会では、検察官から家庭裁判所に送致する事件の範囲について、いわゆる全件送致とする案のほか、一定の事件に限る案についても検討が行われました。
その中で、一般に、全件送致の仕組みは少年の再犯防止等に有効に機能してきたと評価されており、被害者を含む国民の理解、納得の観点から、原則逆送対象事件を拡大することを前提としつつ、全件送致の仕組みを採用することには合理性があるなどの御意見が示され、最終的に、全件送致とする案が採用されたものと承知しています。
次に、十八歳以上の少年に係る原則逆送対象事件についてお尋ねがありました。
改正により、十八歳以上の少年について、新たに原則逆送の対象となる罪名としては、例えば強制性交等罪、強盗罪などがあります。
令和元年十二月から令和二年二月までの三か月間に処分罪名の内訳を調査した最高裁判所事務総局の資料によれば、終局時十八歳又は十九歳の少年による死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役又は禁錮に当たる罪の事件の人員数は五十二人であり、そのうち強制性交等が十六人、強盗が十四人、強盗致傷が十人でした。
次に、十八歳以上の少年に対する虞犯による保護処分についてお尋ねがありました。
保護処分は、対象者の権利、自由の制約という不利益を伴うものであり、民法上の成年となり監護権の対象から外れるのに、罪を犯すおそれを理由として国が介入する保護処分を行うことは、民法改正との整合性や責任主義の要請との関係などの問題点があるため、本法律案では、十八歳以上の少年に対して虞犯による保護処分はしないこととしています。
最高裁判所事務総局の資料によると、令和元年に家庭裁判所で終局した十八歳及び十九歳の少年に係る一般保護事件について、終局人員の総数に占める虞犯の人員の割合は約〇・四%であり、虞犯の態様として多かったのは不良交友や不純異性交遊などでした。
次に、十八歳以上の少年に資格制限の特則を適用しないことについてお尋ねがありました。
個々の資格制限規定は、それぞれの法律における行政目的を実現するために設けられたものであり、十八歳以上の少年について、業務の性質や実情等を問わず、年齢のみを理由として資格制限規定の適用を一律に緩和する少年法第六十条の特則を適用することは、責任ある主体としての立場等に照らし、適当でないと考えられます。
刑による資格制限の例として、例えば国家公務員については、国家公務員法により、禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者が欠格事由とされています。
次に、資格制限の在り方の検討についてお尋ねがありました。
十八歳及び十九歳を含む若年者の再犯防止、社会復帰を図る上で、就労の促進は重要と認識しています。
そこで、本法律案による改正も踏まえ、若年者に焦点を当てた前科による資格制限の在り方について、政府としてしかるべき検討の場を設けることとしています。その上で、関係府省と連携し、若年者の社会復帰に際してのニーズ調査や有識者を交えた検討など必要な取組をしっかりと進めてまいります。
次に、いわゆる推知報道の禁止の一部解除についてお尋ねがありました。
推知報道の禁止を定める少年法第六十一条の趣旨は、少年の特定に関する情報が広く社会に伝わり社会生活に影響を与えるのを防ぎ、その更生に資することにあります。
一方で、推知報道の禁止は、憲法で保障された表現の自由や報道の自由を直接制約する例外規定であることや、被害者等については推知報道を禁止する規定がないことからすると、十八歳以上の少年について一律に推知報道を禁止することは、責任ある主体としての立場や刑事司法に対する被害者を含む国民の理解、信頼の確保の観点から適当でないと考えられます。
その上で、十八歳以上の少年についても、逆送されて公判請求された場合には公開の法廷で刑事責任を追及される立場となることに鑑み、本法律案ではその時点から推知報道の禁止を解除することとしています。
次に、第五種少年院を設ける理由とその収容手続についてお尋ねがありました。
第五種少年院は、特定少年に対し、保護観察中の遵守事項違反があった場合に少年院に収容する制度、少年法第六十六条第一項が新たに創設されることに伴い、設置されるものです。
この収容制度は、少年院において処遇を行わなければ改善更生を図ることができないと認められる者について、一定期間少年院に収容し、再び効果的に保護観察を継続し得る状態に至らせるためのものであり、その特性に配慮した処遇を行うため、第五種少年院を設置することとしました。
保護観察中の特定少年が、遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるとき、保護観察所の長が家庭裁判所に対して申請をし、家庭裁判所の審判を経て収容されることとなります。第五種少年院の具体的な処遇内容については、少年院入院の早期から保護観察所と必要的に連携した処遇を行うこととするなど、今後適切に検討してまいります。
次に、法改正の内容の職員への周知についてお尋ねがありました。
御指摘のとおり、本法律案が成立した場合、来年四月一日の施行に向けて、本改正の趣旨や変更点等について、保護処分を受けた少年の処遇に関わる職員に対し、周知を図る必要があると認識しています。
そのため、少年院や保護観察所等の職員に対して、今般の改正の趣旨等について、研修その他の機会を捉えて十分に周知を図り、特定少年にふさわしい処遇の充実に努めてまいります。
最後に、罪を犯した若年者の処遇の在り方についてお尋ねがありました。
罪を犯した若年者の改善更生及び再犯防止を図るためには、施設内及び社会内において、その特性に応じた処遇を適切に行うことが重要であると考えています。
法制審議会の答申においては、例えば、おおむね二十六歳未満の若年受刑者について、少年院の知見等を活用して、その特性に応じた処遇の充実を図ることなどが求められています。
法務省では、現在、このような答申も踏まえ、施設内及び社会内での処遇の具体的内容について検討を行っているところです。(拍手)
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