山添拓の発言 (本会議)

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○山添拓君 日本共産党を代表し、少年法等改正案について質問します。
 法案に先立ち、新型コロナ対策に関し、総理に質問します。
 総理は今月一日、まん延防止等重点措置を初めて適用することとした際、集中的に対策を講じることで緊急事態宣言に至ることを防ぐと述べました。ところが、蔓延を防止できず、三度目の緊急事態宣言が避けられない状況です。その原因をどう認識していますか。第四波は、やむを得ない事態ではなく、やるべきことをやらなかった結果だという認識はありますか。
 大阪府や東京都は、休業要請など強い対策を検討しているといいます。前回より厳しい措置をとるなら、前回を上回る事業者への十分な補償が不可欠です。雇用調整助成金の特例措置を五月以降縮減する方針は撤回し、五月以降引き下げる予定の休業支援金の上限額も維持すべきです。これらを含め、直ちに補正予算を編成すべきではありませんか。
 総理は、東京五輪への影響はないと思っていると述べました。その根拠は何ですか。都知事が東京に来ないでと言う中、五輪開催は無理です。政府として、中止を決断すべきではありませんか。
 検査と医療を抜本的に強化し、感染収束へあらゆる力を尽くすよう求め、以下、法案について質問します。
 本法案は、選挙権年齢が十八歳以上に引き下げられ、民法の成年年齢が十八歳とされたことを理由に、十八歳、十九歳にも成人と同様の刑事罰を科すべきだという議論が契機となったものです。しかし、法律の年齢区分はそれぞれの趣旨や目的により決められるべきです。十八歳選挙権は、若い世代の政治参加と国民主権を実現する重要なものですが、だからといって少年法の適用年齢を改める必然性はないのではありませんか。
 成年年齢引下げの一連の動きは、二〇〇七年、第一次安倍政権が憲法改悪のための国民投票法を強行したことがきっかけです。改憲を狙う政治的思惑の延長線上に、少年法をもゆがめることは許されません。
 内閣府の二〇一五年の世論調査では、少年非行は増加していると答えた人が八割近くに上り、増えたのは、自分の感情をコントロールできず行うもの、凶悪化したもの、集団によるものだと思うとの答えが上位を占めました。
 しかし、少年事件は、ピークだった一九八〇年代以降、事件数でも人口比でも減少し続け、戦後最少を更新しています。殺人、強盗、強制性交など凶悪事件は一%程度であり、凶悪化しているわけでもありません。少年事件が急減していることをどのように認識していますか。現行少年法とこれに基づく保護処分は有効に機能しているのではありませんか。
 にもかかわらず、世論の受け止めとの乖離があるのはなぜだと考えますか。政府は、本来、少年事件の現状と少年法が果たしている役割を正確に情報発信し、少年事件が増加し、凶悪化しているとの誤解を解くことこそ求められているのではありませんか。
 以上、総理に答弁を求めます。
 本法案は、検討段階から異例の経過をたどっています。法制審では、少年法の適用年齢を十八歳未満に引き下げるべきか否か、仮に引き下げた場合にどのような措置が考えられるかが論点でした。ところが、昨年十月の答申は、三年半にわたる議論を経たにもかかわらず、適用年齢引下げは今後の立法プロセスでの検討に委ねるとし、判断を先送りしたのです。同時に、答申は、十八歳、十九歳について特別の規定を設けることとしましたが、これは昨年七月の与党PT合意の内容を反映したものです。
 答申を受け、どのような検討を経て成案を得るに至ったのですか。法制審も、法務省内での検討も、成年年齢引下げの改正民法との同時施行にこだわる官邸、与党の強い意向の下に、法改正ありきで進められたのではありませんか。
 未成年者の事件は、成人の事件と異なり、全て家庭裁判所に送致され、家裁調査官が、少年の資質や背景にある家庭環境、学習環境をきめ細かく調査し、教育的な視点から少年に対する処遇を決定します。現行法がこのような全件送致主義を取っているのはなぜですか。少年の成長発達権を保障し、立ち直りや育ち直しを図るためではありませんか。
 本法案は、十八歳、十九歳について、家庭裁判所から検察官に事件を送り返す逆送の対象事件を大幅に拡大するものです。二〇〇〇年に改正された現行法は、殺人や傷害致死など故意に人を死亡させた場合に限って逆送の対象としていますが、これを法定刑が短期一年以上の懲役などの罪に広げようとしています。強盗や事後強盗など、罪名が凶悪であっても、実際には万引きをして店員に捕まりそうになったので突き飛ばした場合など、行為の態様や結果の大きさはまちまちです。
 短期一年以上の罪に拡大する理由は何ですか。逆送となる事件数はどの程度増える見込みですか。罪名のみで判断して原則逆送の事件を増やすことは、家裁調査官による丁寧な調査や教育的処遇を困難にします。少年の健全な育成という少年法の目的に反するのではありませんか。
 現行法は、少年事件について、実名や住所、顔写真など、本人であることが推知される報道を禁止しています。SNSを含め、インターネットで公開された情報は半永久的に残ります。本人が立ち直りを果たしたとしても、好奇や偏見の目にさらされ、退学や退職を余儀なくされることが容易に想像されます。少年の家族が誹謗中傷を受ける可能性もあります。
 被害者遺族で犯罪被害者を支援する団体の片山徒有氏は、非行少年でも、問題行動を克服して、社会に有用な人材となった例はたくさんある、実名報道にさらされ、疎外される人をつくり出してはいけないと述べています。この声にどう応えますか。
 成人の事件でも、起訴された時点では無罪推定が原則です。被害者報道を含め、刑事事件における推知報道の在り方そのものについて検討が求められているのではありませんか。
 学校に行かずにゲームセンターに入り浸る、家出して帰ってこない、夜間に繁華街をうろつき、出会った仲間と交際する、犯罪に至らなくても将来罪を犯すおそれのある少年は虞犯といい、保護処分の対象とされます。
 本法案は、十八歳、十九歳を虞犯の対象から外しています。十八歳、十九歳で虞犯が減少し、保護の必要性がなくなったという事実があるのですか。公選法や民法との整合性を図るという説明は、少年の立ち直りの機会を奪う理由にはならないのではありませんか。
 私は、先日、群馬県の女子少年院、榛名女子学園を訪れました。虐待やネグレクトなど厳しい生育環境で育った少年が多く、少年院に入り、初めて一日三食の規則正しい生活を経験した、落ち着いて本を読む時間を得た、人に話を聞いてもらえたなど、育ち直しの機会を得る少年もいます。「ケーキの切れない非行少年たち」で知られたように、認知力が弱く、知的障害や発達障害を抱えた少年も少なくありません。虞犯は男子に比べ女子で高い割合を占めています。その理由や背景をどう認識していますか。
 児童福祉法の対象でない十八歳、十九歳が虞犯による保護処分の対象からも外れることになれば、性風俗業への関わりや反社会的勢力に取り込まれるのを防ぐセーフティーネットが失われることになるのではありませんか。
 以上、法務大臣に答弁を求めます。
 コロナ禍で、十八歳、十九歳を含む若い世代は深刻な困難に直面しています。政治に求められているのは、少年法の厳罰化ではなく、若者に手を差し伸べ、少年事件に携わる人や現場への支援を強めることだと指摘し、質問を終わります。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 山添拓

speaker_id: 1521

日付: 2021-04-23

院: 参議院

会議名: 本会議