塩村あやかの発言 (本会議)

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○塩村あやか君 立憲民主・社民の塩村あやかです。
 私は、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案について、会派を代表して質問をいたします。
 今年の出生数は八十万人を割ることが先般の経済財政諮問会議で示されました。これは従来の政府予測よりも十年も早く、事態は深刻です。そんな中、日本の少子化に歯止めを掛けるために、この本会議場にいる私たちがまずは個人でもできることがあります。EBPMではっきりと示されました。
 それは、男性の家事、育児の参加です。
 この議場にいる多くの皆さんは、予算を付けることだと思ったのではないでしょうか。確かにそれも重要です。しかし、それと同様に相関関係があると示されたのが家庭内でのジェンダー平等です。実に興味深い結果です。
 東京大学大学院の山口慎太郎教授の調査、論考によれば、家庭内で男性の家事、育児負担割合が高い国ほど出生率が高くなっているとのことで、男性の家事割合を女性側が評価した統計によれば、日本は調査対象国の中で最低であり、当然、出生率も最低レベルでした。与野党を問わず、男性議員の皆さんは耳が痛いのではないでしょうか。
 さらに、欧州約二十か国の大人を対象とし、家族関係に注目をした追跡結果があります。今、子供を持ちたいと思っているかという問いに対する回答です。それによると、主な発見は三つあり、一つ目は、夫婦間で意見の一致が見られないことが少なくないということ、二つ目は、妻が子供を持ちたくないと思っているケースが男性よりも多いということ、そして三つ目は、夫が子供を持ちたいと思っていても、妻が同意しないことが多い国ほど出生率が低いということです。その原因は何か。ずばり、夫の子育て負担割合が低いということです。
 逆に、子育てにおける男女平等が進んでいる国ほど出生率としての結果が出ています。妻の負担割合に焦点を当てた政策が出生率の引上げに特に効果的とのことです。
 今日からでも遅くありません。是非、議場の男性の皆さん、日本の未来のために家事、育児に参画をしていただきたいと思います。この調査結果を聞いての受け止め、そして、更なる男性の家事、育児の参画の推進について、少子化担当大臣の決意を伺います。
 もちろん、少子化に有効な対策は、男性の家事、育児の参画だけではありません。衆議院でも議論に多くの時間を割いていましたが、子育て支援のために行われた公的な金銭的支出である家族関係支出も大事です。
 家族関係支出と出生率は正の相関関係があるということはよく知られています。日本はOECD諸国の中でほぼ最下位です。ここまで子育てに冷たい国だと気付いた今、なぜ、今回の改正では待機児童対策のために、国費の新たな投入ではなく、年収一千二百万円以上の高所得者を児童手当の特例給付の対象外とすることとしたのでしょうか。
 これでは、ただの子育て世代の中での予算の付け替えであり、予算は増えていません。国費の新たな投入の方が国難である少子化対策になると考えなかったのか、また、どのような調査、比較をして今回の政策決定を最終的にしたのか、科学的根拠、EBPMで坂本大臣、お答えください。
 民主党政権時に導入をされた子ども手当から今まで、辛うじて全世帯への給付を政府はしてきました。今回の改正では児童手当を受け取れない家庭が初めて発生し、六十一万人の子供に影響が出ることになります。大臣は児童手当は少子化対策と答弁をしていることからも、これは明らかに子育て支援の拡充とは逆行するもので、誤ったメッセージを送ったことになりますが、坂本大臣はこのような懸念をお持ちにならなかったのでしょうか。問いに明確にお答えください。
 四月九日の衆議院の内閣委員会にて、今回の児童手当の所得制限一部廃止を設けたことによって出生に抑制が掛かるのではないかと答弁もしています。民間の調査では、特例給付の一部廃止で第二子以降の希望は三二%から一二%へと激減をしました。これでは少子化対策ではなく、少子化を加速する政策に見えますが、限定的であったとしても、御自身で出生に抑制が掛かる政策を進める意義と効果を御説明願います。
 年収一千二百万円以上の方は年収四百万円の方の四倍の税金や社会保険料を払っています。所得制限で高校無償化の恩恵もなく、貸与型の奨学金も対象となりません。つまり、負担が受益を上回ってしまっている。子育て罰を受けているとの悲鳴が上がっています。そう言うと、坂本大臣は、三歳から五歳までの幼児教育の無償化や義務教育は無料、そして不妊治療の助成に所得制限をなくしたと毎回お答えになっていますが、幼児教育の無償化は現在の小学三年生以上の家庭は一切恩恵を受けられておりませんし、不妊治療の助成の所得制限撤廃は今年からということで、今お子さんがいる一千二百万円以上の御家庭の全員が恩恵を受けていません。
 幼児教育、保育の無償化の恩恵も受けられず、待機児童問題の当事者ではない世帯に対し、どのような支援を行うのか。また、社会政策において、所得制限を設けない普遍主義を取る政策と所得制限を設ける選別主義を取る政策について、政府は何を基準に政策を決定しているのでしょうか。坂本大臣に明確な説明を求めます。
 このほか、この法案には気になる点が幾つもあります。
 まず、児童手当法の附則第二条の改正です。
 所得制限の額は政令で定めることになっていますが、これでは国会を通す必要がなく、所得制限額が引き下げられて、児童手当や特例給付の対象外となる子供がどんどんと増える懸念が拭えません。今後、所得制限の引下げが行われる可能性はあるのか、お伺いいたします。
 児童手当法によれば、この法律による父には、母が懐胎した当時婚姻の届出をしていないが、その母と事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含むものとするとあります。
 現在は家族の在り方も多様化しています。父母が選択的夫婦別姓を支持しており、法律婚をしておらず、仕事の都合で別居をしており、財布も住民票も別の場合はどうなるのでしょうか。母の年収が一千二百万円を超えており、父の年収は六百万円、生まれた子供は父に認知され、父の戸籍に入り、住民票も父方にある、一つ一つの事象は結構あるケースです。この場合は児童手当が満額受け取れるということでよいか、実質的には何を基準に支給の判断をするのか、厚労大臣にお伺いをいたします。
 また、今回、多子世帯を勘案しなかったこと、世帯合算としなかった理由、そして今後の見直しはあるのか、坂本大臣、お答えください。
 次に、子ども・子育て支援法の第六十六条の三です。
 保育所等の運営費に充てるための事業主拠出金ですが、経済界と協議の上、拠出金の割合を六分の一を超えない範囲内から五分の一を超えない範囲内へと引き上げましたが、こちらは法律に明確に数字が記してあり、国会を通さないとこれ以上の引上げも引下げもできません。今後、出生率の低下により待機児童は確実に減少しますが、その場合、この事業主拠出金の引下げや廃止はあり得るのか、坂本大臣にお伺いをいたします。
 また、保育所不足の一番の原因は保育士不足で、その原因は給与水準が低いことです。また、その原因は委託費の八割を占めていた人件費の流用を認める弾力運用です。
 人件費の使途制限が大幅に規制緩和された結果、都内では株式会社の人件費の比率は約五割に低下しました。事業拡大に使われたり、経営者の数千万円もの私的流用を許してきました。結果として、補助金が多い都市部に進出し、保育士の賃金を抑えることで利益を出すことになり、国が公費を入れることで通知をする公定人件費と実際の年収に、東京では保育士一人に年間二百万円近い差も出ています。坂本大臣の受け止めと是正の必要性、お答えをください。
 大臣は、この通知改定によって自治体が各保育園の賃金水準を見る上での参考にでき、通知の金額と実際の金額の差について説明を求めることができるようになったと言いますが、自治体が保育士の賃金が適正かどうかを判断する監査基準にはしないと強調しています。坂本大臣に理由をお伺いいたします。
 本当に少子化対策をするのであれば、保育の質を担保する上での保育士の確保に直結をするこの問題こそ、少子化担当大臣がリーダーシップを取り、解決すべきではないでしょうか。自治体の監査項目に加えること、そして委託費の弾力運用に一定の縛りを掛けることが重要と考えますが、坂本大臣の考え、そしてリーダーシップの発揮は今後あるのかをお伺いいたします。
 附則十四条の二、子育て支援に積極的に取り組む事業主に対する助成制度の創設についてお伺いいたします。
 これまでもあったくるみん制度とより高い水準のプラチナくるみん制度を活用し、対象企業に助成金が支払われます。助成額は五十万円ですが、その使途は育児休業を取得する職員の代替となる職員を確保するための費用や短時間勤務やフレックス制度の導入、周知の費用などとのことですが、これは代替職員の人件費だけでも到底五十万円ではカバーできません。この五十万円の根拠を坂本大臣、お示しください。
 また、女性視点からすれば、もっと強力に取り組んでいただきたい少子化対策に寄与する政策があります。それは、無痛分娩の一般化を始めとした痛くない処置や婦人科検診の推進、不妊治療に関連をする流産手術の見直し、フリーランスの夫婦やカップルに対する育休支援等です。順を追って伺います。
 まず、無痛分娩を始めとした痛くない処置と婦人科検診についてです。
 日本でも無痛分娩は少しずつ増加をしていますが、出生数に占める割合は六%程度であり、フランスの八二%、フィンランド八九%、アメリカの七一%と比較をしても随分と少ないのが現実です。無痛分娩といっても完全に痛みを感じないというわけではなく、硬膜外麻酔で痛みを和らげ、母体の負担を軽減するものです。陣痛のトラウマがある女性は多く、出産に恐怖心があるという調査もあります。
 近年、関係者の尽力で安全性も上がり、無痛分娩は多くの女性たちが希望していますが、近くに対応病院がない、あったとしても費用がプラス十万円から二十万円も掛かるとのことで諦めています。この費用負担の軽減と安全な無痛分娩に必要な産科麻酔学の拡充は必須です。出産一時金の引上げも含めた支援が必要ではないでしょうか。
 日本の現状、そして無痛分娩に対する政府と厚労大臣の考えをお伺いいたします。
 婦人科検診は痛いということをどれだけの男性が御存じでしょうか。
 特に、乳がんのマンモグラフィー検査です。乳腺エコーだけでは発見できない乳がんもあり、マンモグラフィーは必要だと言われていますが、とにかく痛いため、翌年から検査を受けないという人もいます。二枚の圧迫板で胸を挟み、胸が板状に伸び切ったところでレントゲン撮影をします。痛いに決まっています。近年は、痛くないMRI検査、ドゥイブス法なども多く報道されています。MRIで行えば、胸をレントゲン技師に見られたり触られたりすることもなく乳がん検査ができ、しかも痛くありません。
 乳がんは女性がかかる最多のがんです。痛みで検査を受けないということがないよう、痛みのない検査の推進は重要と考えますが、取組と見解を厚労大臣にお伺いいたします。
 マザーキラー、母親殺しと呼ばれているのが子宮頸がんです。
 年間一万人が罹患し、約三千人が亡くなっています。私も感染当事者です。二〇一三年にショッキングな報道が出て以降、積極勧奨が控えられ、助かる命が奪われ続けています。近年は副反応の調査結果の発表や、地方議員の尽力もあって、少しずつお知らせを出す自治体も増えています。私は当事者だから申し上げますが、副反応を含めた正しい現状を認識し、子宮頸がんワクチンの接種と検診の両方で女性の命を守っていくことが重要と考えます。
 副反応に関する調査結果の政府の把握状況、地方自治体の動き、そしてこれらを踏まえた政府の分析と見解を厚労大臣にお伺いいたします。
 今回の法改正で坂本大臣は事あるごとに不妊治療の補助の所得制限を保険適用まではなくしたと答弁されています。その数十二回です。私は不妊治療の当事者でもあります。多くの方の声を基に、これまで国会で治療の実態を伝えてきました。中でも反響が大きかったのは、不妊治療では多くの女性が流産を経験し、その流産の処置は中絶と全く同じであり、いまだに多くが掻爬法で行われていることでした。
 今の時代に飲み薬での中絶、流産が認められていない先進国はほとんどありません。先進国どころか、OECD含めて七十七か国が承認しており、世界のスタンダードです。ここでも日本は何十年と遅れて女性たちの心身を傷つけてきました。坂本大臣はこの事実、御存じだったかをお伺いいたします。
 これまでの国会質疑の中で、流産・中絶薬である飲み薬は間もなく薬事申請が行われ、承認後、中医協で了解されれば、流産については保険適用と答弁をいただいています。女性の心身の負担軽減のため、不妊治療の保険適用と同時に、流産・中絶薬も保険適用すべきだと要望させていただいておりますが、坂本大臣の見解、そして今後の見通しを厚労大臣にお伺いをいたします。
 最後に、本気で少子化対策をするのであれば、非正規という不安定雇用者が四割に近い今、何をするのかが重要です。子育てにお金が掛かれば、当然のことながら不安定雇用の方は子供を持つということに積極的にはなれません。中絶の一因であり、少子化にもつながります。フリーランスは育休を取れば収入がゼロとなります。
 こうした実態を政府は調査、把握をしているのか、また、彼らに対し特別な施策が必要と考えているのか、今後の見解と取組を両大臣に伺い、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120415254X02120210512_007

発言者: 塩村あやか

speaker_id: 30295

日付: 2021-05-12

院: 参議院

会議名: 本会議