矢田わか子の発言 (本会議)

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○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
 会派を代表し、子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 今回提出された法案は、子育て支援のための環境整備という趣旨ではありますが、既に昨年春より、コロナ禍にあって出生数並びに妊娠届出数は減少しています。また、妊娠したとしても、妊婦が休業した際の賃金保障の脆弱性や、産婦人科が本当にコロナ禍によって受け入れられるのかという問題、あるいは母親・父親学級の中止、さらには産後のフォロー体制の問題など、妊娠、出産、子育てに関する環境はますます厳しくなっています。単に保育所整備という待機児童問題への対応のみならず、必要な財源を確保して国を挙げてトータルで子育てを支援していく体制こそが今求められているのだと思います。
 このような状況の下で、子育てに関する二つの法案が束ねて国会審議にかかることになりましたが、幾つかの点で見過ごすことができないものがあり、以下、七点について坂本少子化担当大臣に質問いたします。
 まず、少子化問題を考える際に、日本は一体、いつから、なぜ子供を産み育てることを諦めなければならない国になってしまったのか、このことを明らかにしておかなければならないと思います。
 平成の時代に入り、女性の社会参加が飛躍的に進む中で、子育て期に女性が労働市場から離れ、子育てが終われば仕事に復帰するといういわゆるM字型カーブが緩やかになり、子供を育てながら仕事を継続していく女性が増えました。
 しかし、社会における性別役割分担意識は根強く残り、家事や育児といった家庭責任は大半が女性の肩に大きくのしかかるという状態が続いています。日本の育児期に働く女性は世界で一番睡眠時間が短いというデータもあるほど、仕事を持ちながら子供を育てることは過酷な生活を強いられるということでもあります。
 さらに、非正規労働が増加し、安定した雇用、安定した収入が得られない労働者が増えていく中で、結婚や出産、子供を諦めてきた人も少なくありません。
 このような子育て環境の問題、特に家事や育児の負担、女性に大きく依然として過度になっている現状が少子化の一因でもあると考えますが、少子化担当大臣、女性の雇用と生活についてどのような認識を持っておられるのか、御見解を求めます。
 次に、今回、児童手当制度が改正されますが、児童手当の本来の目的について伺います。
 政府の少子化社会対策大綱においては、児童手当は子育てに関する支援の一環とされており、ひいては少子化対策としても位置付けられています。待機児童対策としての財源捻出を児童手当の支給制限によるという今回のやり方、本当に少子化対策につながるんでしょうか。逆行するんじゃありませんか。実際、当事者である子育て世帯の多くがこの政策に反対し、私の手元には四万八千名を超える当事者の反対署名が届いております。
 この措置によって少子化がどのように改善されるのか、少子化担当大臣より明確に立法事実と政策効果の見通しを説明いただきたいと思います。
 次に、待機児童対策の財源捻出について伺います。
 我が国の子育て関連予算は令和二年度で五・九兆円しかなく、GDPに占める割合はたった一%にすぎず、OECD加盟国の中でも最下位のランクです。そもそも、子育て予算については主として一般会計より拠出すべきと考えますが、今回のように児童手当の財源を削ってこれを回すというやり方では、子育て予算の全体額が増える方向には進みません。
 政府は、新子育て安心プランにおいて、保育の受皿確保で令和七年度までに必要な追加予算として千四百四十億円を確保するとされています。このうち、ゼロから二歳児相当分の一千億については事業主の拠出金を充てますが、それでも四百四十億円の不足分が生じるとし、児童手当特例給付の見直しによってその財源を捻出しようとしています。しかし、これにより捻出される財源は三百七十億円にしかならず、しかも、システム改修費に二百八十九億円も掛かることになっております。残りの不足分どのように捻出されるのか、大臣より明確な説明をお願いします。
 次に、幼児教育無償化などに関する所得制限の問題について質問します。
 近年導入されたゼロから二歳児の保育料無償化や高等教育における入学金や授業料の減免措置は、子供二人の世帯で夫婦合算二百七十万円以下の低所得者層を対象とした政策であり、中間所得者層の多くは対象外となっています。本当にこれでいいのでしょうか。
 本年三月十五日の予算委員会でも、私は、この中間層に配慮されない冷たい所得制限の問題を指摘させていただき、菅総理からは、制度のはざまにある部分についてもしっかりと検討していきたいとの答弁がありました。どんな検討をしていただいたんでしょうか。少子化対策のためにも、本来子供を産み育てる潜在力を持っている中間層への支援について、所得制限の見直しと保育・教育費の軽減化につながるトータルパッケージ政策を打ち出す必要があると考えますが、総理大臣の答弁も踏まえ、坂本大臣の御見解をお願いします。
 次に、具体的に児童手当の所得制限の在り方について質問します。
 二〇一〇年、民主党政権下において、少子化の解消に向けて、社会全体で子育てを支援するという理念の下に、児童手当の所得制限を全て外した子ども手当制度が施行されました。また、このときに財源対策として年少扶養控除が廃止されましたが、トータルとして家計収入は増えることになりました。
 しかし、この後、所得制限を伴う児童手当制度が復活しましたが、年少扶養控除の撤廃は継続されたままとなりました。これによる家計への影響は所得階級ごとに違ってきますが、所得制限を強めるのであれば、当然、年少扶養控除は復活すべきです。
 政府としては、今回の法改正を含め、負担と給付の関係を試算され、国民に公表して理解を求めるべきであると考えますが、大臣の見解を伺います。
 関連して、特例給付の改正について伺います。
 二〇一二年の児童手当制度の改正において、所得制限により、標準世帯においては、どちらかの親の年収が九百六十万円以上の世帯には児童手当の給付が停止されました。それに代わって、特例給付として一律五千円の支給が決められました。この特例給付の支給の目的、何だったのでしょうか。その際の一律五千円という給付額、決められた根拠と併せ、大臣より説明をお願いします。
 少子化社会対策大綱において、児童手当は、多子世帯や子供の年齢に応じた給付の充実、重点化が必要と指摘しており、当然の意見だと思いますが、政府は、児童手当の目的を児童の養育に伴う家計の経済的負担を社会的に分担することとしています。
 私どもは、児童手当の政策目的は、低所得者世帯だけではなく、高所得者世帯を含む全ての家庭に及ぶものと考えます。現在、税制や社会保険制度で一定の所得再分配が既に機能していますが、児童手当を始め子育て制度において所得制限を厳しく適用すれば、更なる可処分所得の低下を招き、労働意欲にも影響することになります。今回の改正は、少子化対策の目的と整合性が取れているものとは思えません。大臣の見解を伺います。
 二〇一五年、安倍政権は、危機的な少子化の打開に向けて、希望出生率一・八を掲げました。しかし、子供は欲しい、でもお金が掛かる、育てるにはお金が掛かるんです、こういった言葉を何度聞いたことでしょう。一日も早く、子供を持ちたいと願う人がちゅうちょすることなく子供を産み、かつ育むことができる当たり前の社会、実現しなければなりません。
 一人親も二人親も、また、親の所得には関係なく子育て世帯を社会全体で支える、この思いを皆さんと共有したいと思います。
 最後に、今回の法改正に対する審議を、この国最大の課題とされる少子化問題を解決するための充実した議論とせねばならないとの強い決意を込め、私からの代表質問といたします。(拍手)
   〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120415254X02120210512_019

発言者: 矢田わか子

speaker_id: 21767

日付: 2021-05-12

院: 参議院

会議名: 本会議