田村智子の発言 (本会議)

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○田村智子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました子ども・子育て支援法及び児童手当法の一部を改正する法律案について質問いたします。
 本法案は、待機児童解消のため、今後四年間で十四万人分の保育の受皿を整備する、その財源確保のための改定だとされています。
 これまで私は待機児童問題を何度も国会で質問してきましたが、政府の説明にはいつも違和感を持ってきました。なぜ待機児童対策として受皿という言葉を使い続けるのでしょうか。
 東京都の保育ニーズ調査では、保護者が希望したサービスは、複数回答で、公立認可保育所が五割を超え、次いで私立認可保育所が約四割、幼稚園三割、その他施設やサービスは一割台以下です。多くの保護者が望んでいるのは、子供を安心して預けることのできる保育所であることは明らかです。安倍政権の下で七万人の受皿として企業主導型保育が急速に増えましたが、不正に補助金を受けた上、保育の責任を放棄した事業者が大問題にもなりました。
 もう受皿という言い方をやめて、保育所等整備と言うべきではないでしょうか。なぜ受皿と言い続けるのか、その理由と併せて厚労大臣の答弁を求めます。
 受皿という言葉は、保育の質を脇に置いた待機児童対策を象徴しています。初めて待機児童ゼロを掲げた小泉政権以来、定員超過、園庭のない保育所、株式会社参入を促すための基準緩和など、規制緩和が次々と行われてきました。こうした詰め込み保育は、新型コロナ感染症の下で深刻な矛盾を保育現場にもたらしています。
 これまでも、お昼寝では頭がくっつき合うほど狭い、そういう保育室でいいのかが問われてきましたが、新型コロナの下では子供の命と安全を守る基準と言えるのか、真剣な見直しが求められています。保育現場では、お昼寝のたびに保育室のテーブルや椅子を別の場所に移動させるなどの努力が続いていますが、密を避けられる状況にない、感染症対策でますます保育にゆとりが失われていくと苦悩する声が多々寄せられています。
 二歳児以降の活発に動き回る子供に対して、一人当たり一・九八平米、つまりは畳一畳分、これが保育室面積の最低基準です。一九四八年に定められてから一度も改善されていません。感染症対策を考慮した最低基準の見直し、とりわけ面積基準の改善は早急に行うべきではありませんか。厚労大臣、お答えください。
 また、待機児童対策は、保育の量とともに保育の質の向上を目指すことを政府としても明らかにすべきと考えますが、厚労大臣の認識をお聞きします。
 菅政権の下で作成された新子育て安心プランでは、保育士の確保策として短時間保育士の活用が打ち出されました。
 まず、確認します。従来、最低基準上必要とされる保育士について、常勤を充てるとしてきたのはなぜですか。保育の質を担保するためではありませんか。
 今回の規制緩和を図る通知でも、保育の基本は乳幼児が健康、安全で情緒の安定した生活ができる環境の中で健全な心身の発達を図ること、保育所等の利用児童数が年々増加する中で従来にも増して保育士の関わりは重要、保護者との連携を十分に図るためにも、子供を長時間にわたって保育できる常勤の保育士をもって確保することが原則であり望ましいと述べています。子供の成長発達、保護者との信頼関係築く上で、保育士が入れ替わり立ち替わり働くことは本来望ましくないということではありませんか。
 ところが、この規制緩和によって、例えば、ある保育所で常勤保育士を確保することができず、やむを得ないと自治体が認めれば、全て短時間保育士とすることができるのではありませんか。政府は、臨時的、特例的な取扱いとしていますが、事業者に期限を区切って解消を求めることになっていますか。また、この特例には期限があるのでしょうか。待機児童がいる間は、延々と規制緩和が容認されるのではありませんか。
 常勤保育士を短時間保育士に置き換えても、公定価格は減額されません。これまでも、人件費割合が異様に低い保育所があることは国会で問題にされてきました。月給で働く常勤から時給の保育士に置き換えた方が人件費が安くなることは明らかで、事業者に短時間保育士の活用を促すインセンティブになることも懸念されます。そうならないという歯止めはどこにあるのでしょうか。
 そもそも、保育士不足は、その責任の重さに比べて保育士の処遇が低過ぎることが大きな要因ではありませんか。三月の予算委員会でも指摘しましたが、保育は女性が多く働く職種であり、家庭での子守の延長のように扱ってきた、そうした歴史的、構造的な問題にも切り込んで処遇改善が求められているのです。専門職にふさわしい処遇、経験が評価される処遇とすることこそ必要です。短時間勤務を基本的な保育士配置の中に持ち込むことは、こうした処遇改善に逆行し、逆に保育士不足を加速することにもなるのではありませんか。
 以上、厚労大臣の答弁を求めます。
 次に、児童手当法の一部改正法案について、坂本少子化対策担当大臣に質問します。
 本法案では、待機児童対策の財源確保を理由に、児童手当の特例給付に所得制限を設けることとしています。政府の試算では六十一万人の子供に対して児童手当がゼロになるのです。子供のための予算を削って待機児童対策に充てるというのは、子育て支援策として矛盾しているのではありませんか。子供に対する予算の財源は、社会全体の応能負担によって確保すべきではありませんか。
 また、そもそも日本は、子供に対する現金給付も現物給付も、子育て支援策の予算規模も、欧州などと比べて水準が低過ぎる、経済的負担への支援の弱さが、日本の少子化が改善されない大きな要因の一つだという認識はありますか。
 児童手当は、全ての子供を対象とした現金給付として唯一の制度であり、求められるのはその拡充です。現行制度は、三歳児までが月一万五千円、それ以降は一万円、そして中学卒業で打切りです。子供の年齢に伴う費用負担を見れば、子育ての経済的負担の実態にかみ合っていないとの指摘もあります。なぜ三歳を超えると減額なのか、なぜ中学生までで打ち切られるのか、少子化対策として抜本的な拡充の検討は行わないのか、坂本大臣の答弁を求めます。
 民主党政権で、子ども手当、高校授業料無償化を所得制限なく実施したことは、子供に関する施策の在り方を前進させるものだったと私は受け止めています。安倍政権によってこれらの制度が目の敵にされたことはとても残念です。また、幼児教育無償化、高等教育の低所得世帯への無償化が逆進性の強い消費税増税を財源とされたことも、子供支援策に分断を持ち込むものであったと思います。
 高校授業料無償化に所得制限が持ち込まれようとしていた二〇一三年五月、子供の貧困対策を求める集会で、定時制に働きながら通う高校生が次のような意見を表明しました。
 ほかの高校生の負担で、僕たちの授業料が無料になるというのはおかしい、学ぶことを権利としてほしい、高校に授業料という言葉も教科書代という言葉もなくなることを希望します。
 子供の基本的な権利を保障する施策は、平等に全ての子供を対象として行われるべきだと高校生が私たちに呼びかけたのです。この声に応える政治への決意を述べ、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣坂本哲志君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 田村智子

speaker_id: 6902

日付: 2021-05-12

院: 参議院

会議名: 本会議