石橋通宏の発言 (本会議)

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○石橋通宏君 立憲民主党の石橋通宏です。
 私は、ただいま議題となりました全世代対応型の社会保障制度を構築するための健康保険法等の一部を改正する法律案に対し、立憲民主・社民を代表して質問をいたします。
 冒頭、先週十三日の参議院厚生労働委員会において、三原じゅん子厚生労働副大臣が離席して一時行方不明になり、参議院での審議に重大な影響を与えた問題について、菅総理大臣に、任命権者としての責任をどう感じておられるのか、発言を求めます。
 また、昨日、政府は、衆議院で審議が行われていた出入国管理法改正案について、今国会での成立を事実上断念いたしました。私たちは、本法案は国際法令に明確に違反する歴史的な大改悪であり、廃案にすべきことを強く訴えてきました。
 三月に名古屋入管で収容中に病死したスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんは最後まで適切な医療を受けられず、救えるはずの尊い命が失われています。それにもかかわらず、政府は、収容中の様子を撮影した監視カメラの映像開示を拒み続け、入管法審議の大前提であるはずの真相究明に全く後ろ向きの態度を取り続けてきました。
 菅総理、なぜ政府は明確な国際法違反である入管法改正案を国会に出してきたのか、なぜ何度も繰り返されてきた収容施設内での死亡事件の真相究明にこうまで後ろ向きなのか、そして、なぜ今、法案の成立を断念する決断をしたのか、明確にその理由を御説明ください。
 私たちは、野党六党が共同で参議院に提出している難民等保護法案及び入管法改正案こそ国際基準に合致した本来実現すべき難民認定、保護制度のあるべき姿であると確信しており、今回も多くの国民が野党案への支持を表明してくれています。今後、政府・与党が改正案の再提出を検討する際には野党案をこそ採用すべきであるということを強く要請しておきます。
 その上で、まず、新型コロナウイルス感染症対策について、三問に絞り、菅総理に質問します。
 総理は、昨年十月の就任時から、爆発的な感染拡大は絶対に防ぐ、新型コロナを一日も早く収束させる、緊急事態宣言は期間内に終える、短期決戦だと何度も大見えを切って約束し、国民に繰り返し我慢と協力をお願いしてきました。
 しかし、結果はどうでしょう。多くの地域で過去最悪の第四波の襲来を招き、三度目の緊急事態宣言の発令とその対象地域の拡大や期間の延長を余儀なくされ、医療従事者の皆さんの懸命の努力にもかかわらず、多くの尊い命が失われています。
 総理、遅過ぎた緊急事態宣言の発令、早過ぎた解除、緩過ぎた措置内容、全く不十分な事業主や失業者等への協力金や給付金、完全に遅きに失した変異株対策や流行地域からの渡航禁止、昨年から繰り返されてきた失政が招いたこの人災ともいうべき責任をどう取るおつもりなのか、そして今、具体的にどのような策をもってこの事態に対処されるのか、明確にお答えください。
 問題は、新型コロナ危機が長期化する中で国民生活が危機に瀕していることです。
 参議院厚生労働委員会では、五月六日に新型コロナ対策に関する参考人質疑を行いました。その場に参考人として御出席をいただいたつくろい東京ファンドの稲葉剛代表理事の魂の訴えを、菅総理に、そして是非、議場の議員各位にもお聞きいただきたく、以下、引用します。
 自助も共助も限界だ、今こそ公助の出番だと私たちは一年間叫び続けてきました。しかし、生活困窮者支援の現場では、依然として公助の姿は見えません。政府は一体どこにあるのでしょうか。この国に政府が存在しているということが、貧困の現場からは見えないのです。
 今この瞬間、家を追い出されて路上生活へと追いやられていく若者たちがいます。今この瞬間、おなかをすかせている子供たちがいます。その子供たちのために炊き出しに並ぶ親御さんたちがいます。そして、今、命を絶つことを考えている大勢の人たちがいます。その人たちに向けて、日本には政府がある、人々の命と暮らしを守る政府があるということを行動で示してください。
 菅総理、コロナ禍で一年以上にわたり困窮者に一番近いところで日夜支援に奔走されてきた方からの政府の存在が見えないという叫びをどう受け止めますか。一年以上もたった今なお、政治が見えない理由は何だと、そしてその責任は誰にあるとお考えでしょうか。
 稲葉参考人は、各地の炊き出しに集まる人の数は増え続け、日々最悪の事態を更新し続けています、私はこれまで二十七年間、生活困窮者支援の活動を続けてきましたが、これほどまでに多く多様な方々が困窮している状況は、バブル崩壊後、リーマン・ショックを含め、過去に見たことがありませんとまでおっしゃっています。そして、必要なのは貸付けではなく給付だと断言されています。
 菅総理、人々の命と暮らしを守る政府があることを行動で示してくださいという訴えに、どのような行動と支援策で応えるのでしょうか。今、生活苦にあえぎ、明日への不安を抱える全ての国民に政治があることを示す決意で、困窮者、失業者、休業者、そして子育て家庭や困窮学生たちへの支援について、追加的な支援策や拡充策を具体的にここで明確にお示しください。
 それでは、以下、法案についての質問に入ります。
 第一に、医療費負担を含む社会保障制度の在り方について、菅総理の基本的な考えを伺います。
 政府は、本法案において、一定以上の所得がある七十五歳以上後期高齢者の医療費窓口負担を、これまでの一割から倍増となる二割への引上げを提案しています。菅総理、これは菅政治の基本姿勢である自助の強化の一環なのでしょうか、まずお答えください。
 私たち立憲民主党は、今は自助を強化する政治ではなく、公助を立て直し、支え合いを強化して、年金頼みの高齢者世帯も、医療、介護、福祉が必要な方々も、誰もが安心して生活できる社会保障制度の再構築を目指すべきだと考えています。
 しかし、菅総理は、今回のコロナ禍の教訓を得てもなお、医療や介護の費用負担について、それを必要とされる方々の自己負担増を求め、自助を更に強化していく方向で社会保障制度改革を行うおつもりなのか、方針を明確にお示しください。
 例えば、報道によると、今回の後期高齢者の医療費窓口負担について、政府・自民党は当初、年収百七十万円以上で線を引こうとしていたとされています。つまり、菅総理、将来は更に二割負担の対象を拡大する方針なのでしょうか。
 また、既に検討が始められている介護保険の利用者負担についても、今後、二割負担、三割負担の対象拡大や原則二割化を進めていくのか、菅総理の方針を明確にお示しください。
 また、年金についても、政府・与党はこれまでの制度改革において、現役世代の将来給付の確保のためという名目で、年金受給額の実質切下げシステムの強化を図ってきました。
 私たちは、今のままの年金制度では、今後更に増大することが懸念されている低年金、無年金の高齢者世帯の安心は守れず、老後資金二千万円不足問題で多くの国民が老後への心配を抱える中、将来不安と実際の生活苦が一層拡大することを強く懸念しています。私たちは、今こそ抜本的な年金制度改革を断行して、年金の最低保障機能の強化を進めるべきだと考えていますが、菅総理は、これからは老後も自助で頑張ってくれと国民に要請するのでしょうか。明確な答弁をお願いします。
 第二に、今回の政府案における後期高齢者の医療費窓口負担二割化の根拠と妥当性について伺います。
 総理も重々御承知のとおり、人は誰しも、高齢になればなるほど医療を必要とする確率は高まり、労働による収入への期待は減少します。七十五歳以上の後期高齢者では、その傾向が一層強まるのは論をまちません。にもかかわらず、菅総理は、窓口負担二倍化の対象となる三百七十万人の後期高齢者の方々について、医療費負担が倍増してもなお日々の生活や老後の安心には全く影響を与えないと断言されるのか、その根拠とともに御説明ください。
 私たちが特に心配しているのは、前安倍政権時代から顕著に、いわゆる貯蓄ゼロ世帯が増加傾向にあることです。二〇一七年の調査では、六十歳代以上の世帯でも約三割が貯蓄ゼロになっています。菅総理は、この貯蓄ゼロの高齢者世帯の増加傾向とその理由について、どのような問題認識をお持ちでしょうか。
 その上で、これまでは貯蓄の切り崩しで何とか対応していた高齢者世帯が、今後、切り崩す貯蓄もなく、医療費倍増に苦しむケースが増大する懸念は絶対にないと断言できるのか、御説明ください。
 第三に、窓口負担が二倍となる高齢者の方々についてのいわゆる長瀬効果の影響について質問します。
 私たちには、多くの高齢者の方々からの悲痛な叫びが届いています。年金は減っていく、消費税は上がる、医療と介護の負担は増える、年寄りはもう長生きするなと言われているようだ、これ以上窓口負担が増えれば病院に行けなくなると。菅総理にはこのような当事者の皆さんの悲痛な叫びが届いていないのでしょうか。お答えください。
 政府は、今回の引上げによって、二〇二二年度で千八百八十億円の給付費減を見込んでいますが、このうち九百億円はいわゆる長瀬効果によるものであることを認めています。田村厚労大臣、つまり、政府は引上げによって九百億円分もの受診抑制が生じることを認めているのですね。
 では、なぜ、そこに本来必要な医療は含まれていない、症状の重篤化を招くことはないと断言ができるのか、その根拠も含めて、納得できる説明をお願いします。
 政府は、これまでにも高齢者の医療費窓口負担の自己負担増を進め、七十五歳以上高齢者でも現役並み所得では三割負担になり、六十五歳以上高齢者は皆が三割負担、七十歳以上高齢者も二割負担化が進められています。
 では、これまでの引上げによって、高齢者の受診抑制や症状の重篤化、生活の困窮化が生じなかったのか、厚労省はどのような科学的調査、分析を行い、どのような結果を得て、そしてその結果がどのように今回の法案の検討に生かされたのか、厚労大臣、説明を願います。
 第四に、現役世代の保険料負担の軽減とその財源の在り方についてお聞きします。
 我が国は、本格的な超高齢化社会に突入しています。二〇二二年以降には、いわゆる団塊の世代が後期高齢者となり始め、医療費は更なる増加が見込まれており、今回、政府は、窓口負担二割化の理由として現役世代の負担軽減を挙げています。
 では、今回の案で実現する現役世代の負担軽減は年間で総額幾らなのか、それは現役労働者一人当たりの負担で月額幾らの減額になるのか、そして、その減額で十分だとお考えなのかどうかも含め、田村厚労大臣、御説明ください。
 現役世代にこれ以上負担増を求め続けることはできないというのは、私たちも共通の認識です。ただ、問題はその財源を誰にどう求めるかで、そこが、自助を強調する政府・与党と公助を訴える私たち立憲民主党との大きな違いです。
 私たちは、衆議院で、保険料の賦課限度額を引き上げ、後期高齢者の中でも一部の特に高所得の方々に絞り保険料の負担増をお願いして、応能負担の強化と公費の追加投入によって、社会全体で医療費負担を分かち合うべきだと対案を出しました。衆議院では、与党の一部からも私たちの対案の方がいいと評価する声が聞こえていたそうですが、菅総理の率直な御意見をお聞かせください。
 そもそも、本来は、医療費のみに閉じた議論をするのではなく、社会保障と税の在り方を一体的かつ抜本的に見直すことで負担の分かち合いの在り方を再検討すべきなのではないでしょうか。
 しかし、菅政権は、今年の税制改正においても、高所得層への課税強化、特に金融所得課税の強化を先送りしました。今、このコロナ禍にあっても、一部の超富裕層は、資産を何と数千億、数兆円単位で増加させています。
 菅総理、なぜ超富裕層への課税強化を見送り、その一方で、収入の限られた高齢者の医療費負担を倍増させるのでしょうか。その合理性、妥当性がどこにあるのかも含め、是非国民への御説明をお願いします。
 以上、法案に関連して質問をいたしました。
 最後に、いま一度申し上げます。
 私は、今こそ、今回のコロナ禍で顕在化した我が国の社会保障制度の問題点や課題を洗い出し、十年後、三十年後の社会をも見据えて、将来また我が国を襲うとも知れない自然災害や感染症や気候変動の影響の中にあっても、全ての国民の安心と安全を守っていくことのできる社会を構築していくべきであり、そのために国会が与野党挙げて責任を果たしていくべきだと考えます。
 私たち立憲民主党は、自助に基づく弱肉強食型社会ではなく、公助に基づく誰もがつながって支え合う未来を構想し、実現に向けて全力を尽くしていく決意であることを申し上げ、私の代表質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣菅義偉君登壇、拍手〕

発言情報

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発言者: 石橋通宏

speaker_id: 20059

日付: 2021-05-19

院: 参議院

会議名: 本会議