岸真紀子の発言 (本会議)
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○岸真紀子君 立憲民主・社民の岸真紀子です。
ただいま議題となりました消費者被害の防止及びその回復の促進を図るための特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律案について、会派を代表して、井上担当大臣に質問させていただきます。
冒頭、極めて残念なことを申し上げなければなりません。昨日の外交防衛委員会で、我が会派の白議員から答弁を求められていた中山防衛副大臣が委員会に遅刻しました。三原厚労副大臣に続いて、連日のような政務三役の遅刻です。あきれて物が言えません。
一昨日のこの場での本会議で、菅総理大臣が、今後このようなことが起こらないよう、政府全体で気を引き締めて国会対応に当たることで、内閣総理大臣としての責任を果たしてまいりますと答弁されたすぐ翌日の遅刻です。気を引き締めてもいなければ、何の責任も果たしていないではないですか。
もはや菅総理の任命責任にも及ぶ言語道断の事態であり、菅政権のおごり、緩み、たるみは目に余るものがあります。参議院の権威を汚す誠に恥ずべき行為であり、菅政権全体として猛省すべきです。万が一にも三度目があれば、猛省程度では済まないことになると申し上げ、質問に入ります。
さて、COVID―19の拡大が続く中、受入れ病床の逼迫や医療従事者の不足などから、感染しても入院することができず、自宅待機を余儀なくされている方々が大勢おられます。その方々が待機中に亡くなられたというニュースを聞くたびに心苦しくてなりません。今現在も療養されている皆様にお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられた方々に対し心よりお悔やみ申し上げます。
感染したら適切な医療が受けられないのではないかという人々の不安は大きいのではないでしょうか。感染拡大を止めるためには、急速に感染が拡大している地域に早め早めにまん延防止重点措置や緊急事態宣言を出すことこそが必要な対策であるにもかかわらず、菅政権は、解除すべきではない時期に解除し、出すべき時期にちゅうちょし、結果として感染拡大を招いた責任は看過できません。
そういった政策の失敗をごまかすかのようにワクチン接種を前面に押し出し、実務を担う自治体に対し、高齢者のワクチン接種を七月末までに完了せよというミッションを圧力によって課しているのではないでしょうか。希望する方が一日でも早く接種できる体制を整えることは必要ですが、一方で、こういった政府の発信が国民の意識に強く影響を及ぼし、ワクチン接種の予約が取れないことへの焦りを増長させているのではないでしょうか。
そして、人々の不安感に付け込むかのようにワクチンの優先接種詐欺が発生しています。具体的には、五千円を支払えば必ず接種ができるように予約を代行するなどといった詐欺を疑う相談内容が増えています。ワクチンに関連する詐欺について、消費者庁の対応、対策をお伺いします。
それでは、法案の質疑に入ります。
本改正案は、消費者の保護の観点から改正するもので、安愚楽牧場事件やジャパンライフ事件等で問題となった悪質な販売預託商法による消費者被害の発生、拡大防止を行うための一定の前進であると認識しています。
一方で、契約書面等の電磁的交付、いわゆる契約書面の電子化を可能とする内容が盛り込まれ、消費者被害を拡大させてしまうといった強い懸念があります。契約書面の電子化は、二〇二〇年十一月、内閣府の規制改革推進会議の下に設置された成長戦略ワーキング・グループにおいて、オンラインによる英会話指導契約など、特定継続的役務提供の契約書面の交付が書面でしか認められていないところを電磁的交付も認めるよう、事業者からの要望があったと承知しています。
ところが、法律案では、事業者から要望のあった特定継続的役務提供だけでなく、特定商取引法の通信販売を除く各取引類型及び預託法においても、紙媒体による契約書面を交付しないことを可能とする結論に至った理由は何だったんでしょうか。法案に追加してまで盛り込む必要性、政策決定過程の妥当性をお伺いします。
二〇一一年一月二十日に開催された高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部情報通信技術活用のための規制・制度改革に関する専門調査会において、特定商取引法の書面交付の電子化について、消費者庁は、消費者保護を後退させるにすぎず、事業者にとっても取引の安定性が害されることから、実施は困難であると回答しています。
二〇一一年当時は、実施は困難としていました。消費者を守るという観点に違いができたのでしょうか。それとも、菅政権が掲げるデジタル化といった聞こえのいい言葉に踊らされたのでしょうか。そのために、消費者を守るという大事な観点が抜け落ちてしまったのではないでしょうか。お答えください。
二〇二〇年に全国の消費生活センター等に寄せられた消費生活相談の件数は九十三・四万件となっており、その内訳は、高齢者の相談件数が約三〇%、二十九歳以下の若者の相談件数が約一〇%となっています。高齢者と若者を狙う消費者トラブルは深刻です。
こういった消費者被害に対応するためには、第三者による発見が重要です。例えば、独り暮らしの高齢者を対象とした悪質な訪問販売や電話勧誘販売による消費者被害は、これまでは家族やヘルパー等が契約書を発見することによって状況を把握し、被害の回復につなぐことができましたが、電子化が認められた場合、第三者が被害を発見することが困難になるおそれがあります。井上大臣は、このような懸念を払拭できるとお考えなのでしょうか。見解をお聞かせください。
民法改正を受け、成年年齢が来年四月から十八歳に引き下げられます。これにより、未成年者が法定代理人の同意を得ないで行った契約は無効とする、いわゆる未成年者取消し権が十八歳、十九歳の方々には適用されなくなります。
この間、立憲民主党は、消費者庁、法務省に対し、成年年齢引下げに係る未成年者取消し権の喪失への対応の要請を行ってきました。未成年者取消し権の存在は、悪質業者に対して未成年を契約の対象にしないという大きな抑止力になっていることを勘案すると、今後、十八歳、十九歳の若者が悪質業者のターゲットにされ、消費者被害が拡大する危険があります。
成年年齢の引下げによる若者の被害防止対策について大臣はどのようにお考えか、お聞かせください。
また、オンラインの利便性に慣れ親しんでいる若者であっても、スマホやパソコン等の画面で契約内容を十分に把握することができるかどうかは未知数です。むしろ、安易に電磁的交付を承諾してしまい、結果として、若者の消費者被害が増大するおそれがあるのではないでしょうか。大臣の見解を伺います。
契約書面等の電子化は、購入者等の承諾を得た場合に限るとしているものの、具体的にどのような場合に承諾したとなるのかは法文化されておらず、政省令委任事項となっているため不明瞭です。
私も経験がありますが、インターネット上のデフォルト設定で、企業からのメール配信を希望したいわけでもないのに、事業者が配信を希望する欄に事前にチェックを入れていて、大量のメールが送られてきた経験があります。同じように、契約書面等の紙媒体での交付から電子化するに当たっての承諾についても、あらかじめ承諾する欄にチェックを入れておかれるおそれがあります。
また、訪問販売の際に、タブレット等の小さな文字で消費者が意図していないのに承諾するという欄に同意を求められてしまうなど、消費者に対し、承諾の効果等を理解し得る情報の提供がされるのかどうかの危惧もあります。衆議院の審査では、ウエブページ上やタブレットでチェックを入れる承諾を取ることは認めないことを検討したい旨の答弁がありましたが、検討するというだけでは不安が残ります。
消費者が十分な理解をするための措置はどのように講ずるのか、実効性をどのように担保するのか、具体的にお答えください。是非、検討過程において消費者団体の意見を踏まえることをお約束ください。お願いします。
契約書面等の電子化への不安はまだまだあります。一般的に、メールなどは、スマホやパソコン等の機器の不具合やサーバー等のトラブルから受信できなくなったり、迷子になったりすることもあり得ます。また、正常に受け取ったとしても、保存が適正にできなかったり、誤って削除してしまうことも考えられます。
そうしたトラブルが発生した場合、契約の存否を争う際の立証責任は、消費者が負うのか、事業者なのか、どちらになるのでしょうか。また、再交付の場合、改ざんのおそれがありますが、どのように防ぐのか、お伺いします。
私たち立憲民主党は、衆議院における審査で、契約書面等の電子化に関する規定の削除を求めてまいりました。協議の結果はまとまらなかったものの、当該規定の施行期日の一年延期と施行二年後見直し規定の新設等を内容とする修正案が提出され、全会一致で可決されました。この施行期日を一年から二年へと延長させたことにより、事業者への適切な指導、消費者への周知など、様々な準備をするための期間が確保されました。
消費者庁として、施行期日までの間における、消費者の承諾の実質化や、電磁的方法による提供に関する政省令や通達等の具体的な取組をお示しください。
また、施行期日までの間に政省令や通達等の内容についての合意形成が得られなかった場合、更なる施行期日の延期や電子化に関する規定そのものの削除を含め検討すべきであると考えます。消費者保護の原点に立ち返って是非検討していただきたいのですが、大臣の見解をお伺いします。
特定商取引法の改正事項について伺います。
購入の申込みをしていないにもかかわらず、一方的に商品を送り付け、相手方から商品の返送又は購入しない旨の通知がない場合は勝手に購入の意思ありとみなして代金を請求するいわゆる送り付け商法は、全国の消費生活センターに毎年度約三千件の相談があり、二〇二〇年度はCOVID―19に便乗したマスクや消毒液などの送り付け商法に関する相談が急増し、例年の二倍を超えています。本改正案により改善につながると評価できるものの、なぜ送り付け商法自体を禁止しなかったのでしょうか。その理由と、代金を支払ってしまった場合の救済方法を伺います。
次に、預託法改正関連でお尋ねします。
ジャパンライフなどの販売預託商法は、原則禁止ではなく全面禁止にするべきだったのではないでしょうか。本改正案では、内閣総理大臣の確認を受けた場合には例外的に販売を伴う預託等取引を認めるとなっていますが、事業者が政府のお墨付きを得たと宣伝することにより、消費者に誤った印象を与えてしまう可能性を否定できません。
前総理主催の桜を見る会に出席したことを宣伝として利用したジャパンライフとは言いませんが、悪質な事業者により消費者被害を増大させる危険性があるのではないでしょうか。こういった懸念を払拭するためにも、内閣総理大臣の確認を厳格に行うことが必要となっていますが、消費者庁としてどのように対応するのでしょうか。
最後に、特定商取引や預託等取引に関する契約の複雑化、巧妙な特殊詐欺、ネットによる通信販売など、消費者行政には複雑な問題が山積しています。消費者行政における執行力の充実を図るためには、地方消費者行政との連携は欠かせません。また、そのための地方消費者行政の体制強化と相談業務の実務を担う非正規で働く消費生活相談員の処遇改善と雇用の継続による専門性の向上が必須ではないでしょうか。政府としてどのような具体的取組を図っていくおつもりかお尋ねし、質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
〔国務大臣井上信治君登壇、拍手〕