大門実紀史の発言 (本会議)

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○大門実紀史君 日本共産党の大門実紀史です。会派を代表して質問します。
 本改正案は、全体としては消費者保護のために必要な改正ですが、昨年末、急遽盛り込まれた書面交付の電子化は大問題です。今まで、訪問販売やマルチ商法など消費者被害の多い取引に関しては、契約書は紙の書面で交付することが義務付けられてきました。ところが、今回の改正案では、業者がメールなどで送り付けた電子書面に承諾のボタンを押せば契約が成立したことになります。
 井上大臣は、先ほどから、本人の承諾、同意を得た場合に限り、電子契約を認めると繰り返していますが、今までの詐欺事件は全て本人同意の上に契約した上でだまされてきたのです。
 今回の法改正のきっかけとなったジャパンライフ事件では、全国のお年寄りを中心に、約一万人の被害者から二千百億円ものお金がだまし取られました。手口は、磁気治療器などの預託販売とマルチ商法でした。
 しかし、ほとんどのお年寄りはだまされていることに気付かず、家族がお金が減っていることを不審に思い、たんすの中を調べたらジャパンライフの契約書が見付かり被害が発覚したという事例が数多くありました。また、契約書が紙で残っていたからこそ、弁護士さんたちがジャパンライフを訴えることもできました。紙の契約書が様々な場面で実際に消費者被害を食い止めてきたのです。
 スマホの小さな画面で膨大な契約書を確認することは、高齢者にとって容易ではありません。スマホやタブレットに保存された契約書を周囲の人が発見することも難しい。消去してしまう可能性もあります。また、一定期間内に契約書をダウンロードしないと消えてしまう方式も現在広く行われています。そんな中で悪徳業者に電子書面での契約を許すなど、やくざに凶器を与えるようなものです。
 現在、百六十を超える全国の消費者団体、弁護士会などから、書面交付の電子化に反対する意見書が上がっています。消費者庁提出の法案に対し、現場からこれだけの反対の声が上がるのは前代未聞、消費者庁始まって以来のことです。
 井上大臣、日夜、消費者相談の現場で御苦労されている方々から猛反対されるような法案を提出したこと自体、消費者担当大臣として既に失格ではありませんか。答弁を求めます。
 消費者庁では、たくさんの有能な職員が真面目に働いています。にもかかわらず、この間の消費者庁は、今回の法改正を含め、消費者団体の皆さんからの信頼を失ってきています。消費者庁をつくるために運動した弁護士や各団体の方々からは、こんなはずじゃなかったという声が多く聞かれます。その原因は、ひとえに歴代の消費者担当大臣と消費者庁の幹部が消費者保護の立場に徹し切れなかったことにあります。
 この消費者庁のていたらくは、ジャパンライフ事件の頃から始まり、そして今回の書面交付の電子化にまで引き継がれています。
 私が二〇一七年に入手した消費者庁の内部文書によれば、消費者庁は早くからジャパンライフの悪質商法を把握していたにもかかわらず、二〇一四年に軽い行政処分を行っただけで放置していました。国会やマスコミが取り上げ始めると慌てて行政処分を連発しましたが、既に被害は大きく拡大しており、腰の引けた消費者庁にジャパンライフの営業を止めることはできませんでした。結局、ジャパンライフが営業を停止したのは、二〇一八年二月に被害者弁護団が破産手続の申立てを行ったからでした。
 ジャパンライフの悪質商法を早くから知っていながら、被害の拡大を防止できなかった消費者庁の責任について、井上大臣はどうお考えか、答弁を求めます。
 消費者庁がジャパンライフに及び腰だった背景には、ジャパンライフと政治家との関係がありました。私が入手した内部文書には、国会議員などへのお中元リストとともに、ジャパンライフへの立入検査は、政治的背景による余波が懸念される、与党と相談の必要ありなどと記された文書がありました。消費者庁の幹部が政治家とジャパンライフとの関係をそんたくしていたことが分かります。
 そのジャパンライフが、お年寄りをだますために最大限活用したのが、二〇一五年二月に安倍前首相がジャパンライフの山口隆祥会長へ出した桜を見る会への招待状でした。被害者弁護団には、あの招待状を見て信用した、安倍さんの名前にだまされたなど、被害者のお年寄りの声がたくさん寄せられています。
 井上大臣は、安倍前首相の招待状が被害の拡大に活用されたことをどうお考えか、消費者担当大臣としての見解を示してください。
 ジャパンライフが破綻した後、私は、その時々の消費者担当大臣に対し、事件を総括するとともに、反省するとともに、今後の被害防止のために特商法、預託法などを改正するよう求めてまいりましたが、どの大臣も、消費者庁の対応は問題なかった、法改正は必要ないの一点張りでした。
 しかし、二〇一九年九月に就任された衛藤晟一大臣は、同年十一月の委員会での私の質問に対し、結果的に言えば消費者庁はジャパンライフの被害を防ぐことができなかったと率直に反省の言葉を述べられた上で、預託法などの改正についても、その方向で走っていきたいと明確に答弁をされました。そして出てきたのが消費者保護を前進させるいい内容の改正案の骨子でありました。ところが、衛藤大臣の後の井上大臣がその改正案に書面の電子化を入れ込んで、せっかくのいい改正案に泥を塗ってしまったのです。
 そもそも、井上大臣はなぜ書面の電子化を入れたのか。複数の関係者からヒアリングをして分かりました。当初、事務方は規制改革推進会議から要望のあったオンラインの英会話教室など一部の事業者だけに契約の電子化を認めることを考え、井上大臣に報告したところ、大臣から、言われたことだけやるのではなく、自ら進んで全部やれと指示をされ、特商法における全ての契約を電子化することになったということです。委員会でこのことを大臣にただしましたが、言葉を濁してまともに答えようとされませんでした。
 改めて聞きます。菅総理がデジタル化、すなわち紙をなくすことを看板に掲げる下で、あなたは、消費者よりも総理の方向を向いて、紙をなくした成果を示したかったのではありませんか。だから、特商法にまで書面の電子化を入れ込んだのではありませんか。明確な答弁を求めます。
 しかし、その菅総理は、三月二十六日の財政金融委員会で私の質問に対し、特商法の書面の電子化については承知していなかった、指摘があったので検討させてもらいたいと答弁されました。つまり、菅総理でさえ望んでいないことをあなたが勝手にやってしまったのです。三十日の同委員会では、麻生財務大臣も私に、御指摘のとおりだ、井上大臣に大門先生に相談したらどうかと言っておいたと答えました。いずれにせよ、菅総理や麻生さんからの指示は、政省令でしっかり歯止めを掛けなさいということだったと聞いています。
 しかし、政省令では被害の拡大を確実に防げる保証はありません。先ほど大臣が、政省令であれこれをやる、これをやったらどうかと言われたのは、全て私が消費者庁に提案した内容であります。しかし、それでも政省令で確実に防げる保証はないんです。ですから、本気で被害防止を考えるなら、そんな小細工を弄するより、書面電子化の部分をきっぱり法案から削除すべきではありませんか。
 井上大臣の猛反省と書面電子化の削除を求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣井上信治君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120415254X02420210521_014

発言者: 大門実紀史

speaker_id: 16551

日付: 2021-05-21

院: 参議院

会議名: 本会議