田島麻衣子の発言 (本会議)
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○田島麻衣子君 立憲民主・社民の田島麻衣子です。
私は、会派を代表し、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を推進するための医療法等の一部を改正する法律案に関し、反対の立場から討論を行います。
我々が政府提出案に反対する理由は、地域医療構想に関して、政府の対応や法案の規定に大きな問題があるからです。
本法律案では、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組の支援として、消費税財源百九十五億円を活用し、国が病床機能再編支援事業の運営全額を負担することとするほか、再編を行う医療機関に対する税制優遇措置を講ずるために必要な認定制度を置いています。
ここで言う地域医療構想は、新型コロナウイルス感染症拡大前の状況に基づくものです。現在も国がコロナ禍で深刻な状況にあり、今後も医療需要の増大が見込まれるにもかかわらず、こうした視点を欠いたまま公立・公的病院の病床機能の重点化見直しや再編統合が先行して進むことは問題です。
二〇一九年九月には、各自治体の地域医療構想調整会議の議論の活性化を図るためとして、公立・公的病院を名指しする四百二十四リストを国は公表しました。病院のリストはその後修正されて、現在は四百三十六となっております。
公立・公的病院は、地域医療の確保のために、過疎地などにおける医療や、感染症、救急、災害などの不採算医療の提供など、重要な役割を担ってきました。新型コロナウイルス感染症の対応においても、令和三年一月三十一日現在、四百三十六リストで示された病院のうち、二百五十病院が新型コロナウイルス患者を受入れ可能と表明し、百九十一病院が実際に新型コロナウイルス患者を受け入れています。
こうした点を受けて、我々は、以下の点を強く述べてまいりました。
すなわち、新型コロナウイルス感染症の拡大、最重要課題は医療提供体制の強化にあるのではないか。また、今の日本に必要なのは、ここで一度立ち止まって、これまでとは違う視点を加え、今後の地域医療体制をどのように構築していくのかを考えることではないか。そして、そのためにも地域医療構想の再検討が必要であるのではないかと。
こうした問題意識に基づいて、我々は、地域医療構想の実現に向けた医療機関の取組の支援に係る改定規定の削除などを盛り込んだ法律の修正案を衆議院で提出してまいりました。
地域医療構想そのものを否定するわけではありません。しかし、まずは四百三十六リストを撤回するとともに、地域医療構想をゼロベースから再検討し、地域医療構想全体の方針を示すことが先ではないでしょうか。
今行うべきは病床削減ではありません。医療人材の確保や病床の確保など、新型コロナウイルス感染症の影響により経営が苦しい医療機関に対して支援を行うことであると強く申し上げます。
また、この法案は、女性医師の働き方に着目をした対応が十分に取られていない点で問題です。
全医師に占める女性医師の割合が増加傾向にあることはとても喜ばしいことです。特に近年は若年層における女性医師が増加しており、三十歳から三十九歳の勤務医の三一%、二十九歳以下では三六%が女性医師と言われています。しかし、彼女たちのワーク・ライフ・バランスを支える職場環境の整備は非常に遅れていると言わざるを得ません。
参議院の厚生労働委員会での質疑では、全国における病院の院内保育の実施状況は、二〇一七年の時点でも半数以上の五六%が未実施であることが明らかになりました。
さらに、法律上、育児休業が当然取得できるにもかかわらず、育児休業制度の規定のない医療・福祉分野の事業所が一六%もあることが分かりました。育児休業制度の規定がなければ、幾ら法律上取得が可能であっても、実際問題として育児休業を取得するのは容易ではありません。
厚生労働省に対し、女性医師を始め子育て世代の医療従事者が仕事と子育てを両立できる環境を整備するように強く求めます。
また、この法案は、過労死基準をはるかに上回る時間外の上限規制を、医療機関に勤務する医師に対して国が事実上認めてしまっていることも今後の重要な検討課題です。
本法律案で厚生労働省が定める医師の時間外労働の上限は、通常の過労死基準をはるかに上回る年千八百六十時間となっています。参議院の厚生労働委員会における参考人の意見陳述では、過労によるうつ病で自ら命を絶ち、労災と認められた小児科医の御遺族の方からお話を伺いました。
医療機関に勤務する医師も働く人間の一人です。地域の医療提供体制に影響を及ぼすことがないように、国が必要な支援を行いながら勤務医の働き方改革を更に進めていく必要があることを強く指摘したいと思います。
最後に、皆さんに一つ問題提起をしたいことがあります。それは、どのような人材が明日の日本を担っていくべきかという問いかけです。
医学部入試で女性差別があったとして大きな社会問題になったのは二〇一八年のことです。女子学生は志願票などの採点を意図的に減らされていたと聞いて驚かれた方は決して少なくないと思います。
しかし、医学部入試で差別をされていたのは女子学生だけではありませんでした。その後の第三者委員会の調査報告書で明らかになったのは、大学卒、大学院卒、そして社会人の男性も、浪人を三回続けていた女子学生と同じくゼロ点の配点を受けていたという事実です。
個人的な話になって恐縮ですが、私が国連職員として歩み始めたのは三十歳も目前のときでした。決して早いときではありません。大学を卒業後、民間企業に就職をしたときには、なぜ初めから自分の目標に向かって努力をしなかったのかと随分悩んだことを覚えています。
また、その後、NPOに転職をするために仕事先を辞めると決めたとき、周りからは信じられないと言われました。なぜ信じられなかったのか。それは、日本は、一度決められたレールから外れてしまうと、もう元には簡単には戻れないからではないでしょうか。
こうした人生の道のりは私を随分強くしてくれましたし、同じように人生の岐路に立って足がすくむ人々の気持ちが分かるようになりました。
医業は仁術と言われます。病気で苦しむ人々を救うのが医者ですから、そのとおりです。さきの医大入試の不正で明らかになったように、こうした仁術に当たる人々が、高校で優秀な成績を収め、ストレートで医大に合格した人のみでよいのでしょうか。むしろ、社会人を一度経験した後に悩みながらも医学を志すと決めた人、こうした様々な人生経験を経て、人の苦しみや悩みを理解する多様な人々がいることの方が患者の皆さんのためになるのではないでしょうか。
失敗しない最善の方法は挑戦をしないことです。活力ある社会をつくるには、失敗を忌み嫌い、避けるのではなく、失敗からの学びこそ大事にする価値観、たとえ少しくらい人生の寄り道をしても、再び活躍のチャンスが開かれる社会が必要であると思います。
コロナで社会の在り方が大きく変わり、令和の時代にふさわしい生き方や働き方を誰もが模索する今こそ、何歳でも失敗を恐れずに果敢に挑戦できる社会の大事さを申し上げ、また、コロナ禍で社会が疲弊する今こそ地域医療構想の再検討の必要性を強く申し上げ、私の反対討論を終わります。
ありがとうございました。(拍手)