田村智子の発言 (本会議)
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○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、ただいま議題となりました重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案について質問いたします。
本法案は、政府が安全保障上重要とする全国の米軍基地、自衛隊基地、海上保安庁の施設、原発などの周囲約一キロメートル、また国境離島を注視区域、特別注視区域に指定し、区域内の土地、建物の所有や利用に関する調査、利用の制限、特別注視区域内の不動産取引の事前届出の義務付けなどを行うものです。
日本国憲法は、自由に居住地を選択し、土地や建物を所有する権利を保障しています。この基本的な権利を、国家が安全保障の名の下に直接制限する違憲立法であることを冒頭、指摘しなければなりません。拙速な議論は断じて許されないことを強調するものです。
まず、立法事実についてお聞きします。
衆議院の審議で、政府は、自治体からの不安の声があるとして十六件の意見書を根拠としましたが、それらは、森林や水源地などが外国資本に買収され乱開発されるのではないかという危惧、また過疎地域での人口減少の下での不安であり、本法案の根拠となり得ないことは明らかです。
そもそも、外国資本による土地所有は、観光立国、インバウンドなどの経済政策の結果です。この法案は、外国からの投資の呼び込みという政府の経済政策の転換を目的としているのでしょうか。
また、地方自治体の意見書に、基地周辺や国境離島の住民を対象に、土地、建物の利用状況を監視してほしいという要望があるのでしょうか。漠とした不安に乗じて、国家が国民監視のフリーハンドを得るための立法ではありませんか。小此木大臣の答弁を求めます。
法案では、内閣総理大臣は、特別注視区域を含む注視区域の土地、建物の利用状況について調査を行うとし、所有権、賃借権を持つ者に加え、その他関係者も情報収集の対象としています。一体、誰を対象とした調査なのでしょうか。
例えば、防衛省の周辺一キロメートルには、住宅、商業施設、大学、教会などもあります。所有者だけでなく、居住者、商業施設の従業員、大学の教員、学生、教会に礼拝に訪れる方などは含まれますか。私が例示したうち、調査の対象とならないことが法文上明らかとなる者はいるのでしょうか。
調査のために内閣総理大臣が自治体や国の行政機関に情報提供を要請した場合、自治体等は、氏名、住所などを提供するものとするとしていますが、これは義務規定でしょうか。また、その他政令で定めるものとはどのような情報が想定されるのでしょうか。
衆議院の審議で、小此木大臣は戸籍簿が含まれると答弁していますが、戸籍簿は身分関係を公証する書類です。土地所有者や賃借権者の親類縁者まで情報収集の対象とするのですか。
調査の目的は、重要施設等の機能を阻害する行為、そのおそれのある行為を目的とした土地等の利用をやめさせることだとしています。
行為の調査は、日常的な行動監視が必須ではありませんか。内閣府には地方組織は存在しません。実際には、警察や公安調査庁、自衛隊が収集する情報を活用するのですか。その際、重要施設等に設置された監視カメラでの顔認証による行動監視もできるのでしょうか。小此木大臣及び岸防衛大臣の明確な答弁を求めます。
このように収集された情報は、内閣府で管理され、個人ごとのデータベース、個人情報ファイルとして分析の対象とするのではありませんか。本人から個人情報の開示、訂正、削除要求があった場合、応じますか。
調査に基づき、土地等の利用目的が重要施設の機能を阻害する行為、そのおそれのある行為であると内閣総理大臣が認める場合、利用をやめるよう勧告及び命令することができるとしています。これは特定の行為への措置に限定されるのか、それとも土地、建物の利用そのものをやめるよう求めることも含まれるのでしょうか。
阻害する行為、そのおそれのある行為とは何か。例えば、米軍基地に飛来する戦闘機やヘリコプターの撮影は、騒音や低空飛行など基地被害の把握のために市民団体や報道機関が現に行っています。部屋の窓にカメラを設置していることをもって阻害あるいはそのおそれと判断されることはありませんか。
勧告に従わなかった利用者は懲役二年以下又は二百万円以下の罰金という刑事罰が科せられますが、不服申立ての規定がないのはなぜでしょうか。阻害行為ではないと主張する場合、どのような救済の仕組みがあるのでしょうか。
勧告等による措置で損失が発生した場合、補償するとしていますが、その損失補償は当事者と内閣総理大臣との協議とされ、協議が調わない場合、双方が収用委員会に損失補償の裁決を申請できるとしています。不服申立ても第三者機関によるあっせんさえも条文上規定せず、一方的に国が損失の額まで決められることになれば、国家権力による一方的な私有財産の利用制限も可能となります。憲法が規定する財産権の保障との関係はどのように検討されたのか、以上、小此木大臣、お答えください。
特別注視区域内の土地、建物の売買等契約について、契約当事者は内閣総理大臣に氏名、住所、売買物件の所在地、面積、利用目的などの情報をあらかじめ届け出ることを義務付けています。届出を怠っただけで、懲役六か月以下又は百万円以下の罰金という刑事罰まで科しています。
我が国の土地、建物の売買は自由取引が原則であり、土地、建物を取得した場合の登記も、法的には義務付けられていません。
では、特別注視区域に指定されると、なぜ売買契約の事前届出が義務付けられるのでしょうか。また、土地の所在地であり都市計画などの主体である自治体への届出ではなく、内閣総理大臣への届出とするのはなぜか、区域指定の要件、指定の期間はどのように定めるのか、事前届出を要する土地、建物の規模をどのように想定しているのか、そして、事前届出を怠っただけで懲役刑まで科さなければならないほどの問題とは何か、以上、小此木大臣の具体的かつ明確な答弁を求めます。
私有財産の売買及び利用について、これほど厳しい規制を行おうというのに、その対象区域がどこになるのか、いまだ明確な答弁がありません。
防衛省は、候補リストを作成しているが、安全保障上の懸念があるとして提示せず、公表する場合にも、一覧性のある公表にならないように配慮すると衆議院で答弁しました。法案では、注視区域、特別注視区域は官報によって公示するとしています。この規定と矛盾するのではありませんか。
米軍基地や自衛隊基地周辺に居住する国民にとって、私有財産や日常生活にも重大な影響を与えることになります。速やかに候補リストを提示すべきではありませんか。防衛大臣の答弁を求めます。
また、機能が阻害された場合、国民の生命、身体又は財産に重大な被害が生ずるおそれがあると認められる生活関連施設について、原子力発電所を挙げていますが、鉄道、ダムなどの水源地、電気、通信、水道、ガスなどの施設へと拡大することはないのか、小此木大臣、お答えください。
戦前戦中、要塞地帯法や軍機保護法などにより、軍事施設や軍需工場などの周辺で写真撮影やスケッチをしただけで、国民はスパイ扱いされ罰せられました。また、国民の不安をあおり利用することで民主主義が壊される歴史は国内外で繰り返されています。この法案はまさに不安に乗じた国民監視法であり、廃案にするために全力を尽くす決意を述べ、質問を終わります。(拍手)
〔国務大臣小此木八郎君登壇、拍手〕