斎藤嘉隆の発言 (本会議)
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○斎藤嘉隆君 立憲民主・社民の斎藤嘉隆です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました内閣委員長森屋宏君解任決議案に賛成の立場から討論をいたします。
森屋委員長、山梨選出の森屋委員長、あなたの人格や識見に、私自身、特段の異議はありません。内閣委員会の運営そのものを見ても、新型インフルエンザ特措法、デジタル関連法を始め十数本の閣法を、与野党会派の意見に耳を傾けながら審議を進めてこられたと聞いています。法案の中身の是非や、審議時間、審議内容が十分であったかどうかはさておき、委員会の円滑な運営に汗をかいてこられたことは事実だと思います。
私たち野党も、政府提出法案の問題点や課題の解消を図りつつ、コロナ禍の中、国民の生活と健康、安心を守るため、審議に協力してきたことは御承知のとおりです。そんな森屋委員長に対する解任決議案をよもや提出することになろうとは、私たちも想定外でありました。
この常会最終盤になって、与党主導でいわゆる重要土地利用規制法案が衆議院から一方的に送付され、参議院では僅かな期日の中での審議を余儀なくされる事態となりました。憲法との整合の是非や国民の権利に関わる極めて重要な法案であるにもかかわらず、衆議院では野党が求めた連合審査や参考人質疑すら行われず、法案の様々な課題については明確な答弁もなく、審議不十分、生煮えどころか火にも掛けない状況のまま強行採決されたものであります。
そもそも、本法案は、解任決議提出の趣旨説明にもありましたように、国会への提出期限も守られず、参議院への送付期日についての合意事項も無視をされました。参議院軽視にほかならず、強い憤りを感じます。与党の皆さんは情けないと思われないのでしょうか。
重要議案の参議院での審議期間は最低二十日間を確保するという取決めは、参議院改革協で合意をされたものです。参議院が自ら合意し定めたことを自ら遵守しないのならば、そもそも改革協など必要ないじゃないですか。今後、改革協での議論そのものが無駄、無意味だと言われても仕方がありません。猛省を促したいと思います。
森屋委員長、本来であれば、あなたが自ら体を張って、内閣委員会における本法案審議がこうした状況に陥ることを阻止すべきだったのではないでしょうか。あなたは参議院の一員であり、常任委員長の要職にあります。参議院での充実した審議を保障することこそ、あなたの委員長たる職責なのではないでしょうか。
本法案について、参議院内閣委員会では、衆議院で実施されなかった外交防衛委員会との連合審査や参考人質疑が実施されました。昨日の参考人質疑では、野党側の要求した参考人ばかりでなく、政府の有識者会議の委員も務めた与党側の参考人からも、条文案を読むだけでは様々な臆測が広がるおそれがあるということはこの審議のプロセスを伺っていて痛感したという意見や、国会への報告や国民への十分な説明と情報開示が必須であるというような意見も出されるなど、法案の持つ問題点が明確になりつつありました。
しかし、参考人質疑終了後に再開された内閣委員会理事会において、与党側から、事前に合意されていなかった同日中の質疑、討論、採決の提案がなされました。昨日は、そもそも内閣委員会の定例日ではありません。衆議院で実施されなかった参考人質疑を行うために、定例日外ではありましたが、与野党合意の下で行われた委員会でした。
参考人質疑で参考人の皆さんから貴重な意見をいただき、明らかになった課題について更に政府にその見解をただす、当然のことです。それを、事もあろうに、参考人質疑が終了した途端、同日の質疑から採決までを提案するとは何事ですか。何のための参考人質疑であったのか、改めて問わなければなりません。
これらは、昨日十七時四十五分に開会した内閣委員会理事会での与党理事からの提案です。提案は、十九時に委員会を再開、質疑を開始するというものでした。十八時近くになって十九時からの質疑を提案する、一体いつ質疑通告をすればよいのでしょうか。通告もなく形ばかりの質疑を行い、委員会の役割が果たせるのでしょうか。今後、全ての委員会において通告なしのガチンコ質疑でよいとでも言うのでしょうか。
このような常軌を逸した提案に対し、反対する野党を無視し、森屋委員長、あろうことか、提案どおりの委員会再開を宣言をしました。このような暴挙を許すわけにはいかず、誠に遺憾ながら、やむなく委員長解任決議案を提出するに至りました。与党側から売られたけんかを買わざるを得なかったというのが私たちの偽らざる本音であります。
こうした一連の流れを主導したであろう与党幹部の皆さんにも申し上げます。
なぜ、昨日のうちに本法案を無理に採決する必要があったのですか。そのような提案がなされ、委員長がそれを認めたならば、私たちがやむなく委員長解任決議案を提出することは火を見るより明らかです。どのみち昨日のうちの採決はできませんでした。にもかかわらず、あえて森屋委員長の経歴を傷つけるような振る舞いをする必要がなぜあったのですか。意味不明であります。
昨日、並行して行われた議院運営委員会理事会でも、信じられない提案が与党理事からありました。それは、衆議院に内閣不信任案が提出されることが想定をされる中、不信任案が提出された場合にも、その処理を待たず、この参議院本会議を開会するというものでした。
内閣全体への信任の是非が問われている中、参議院での審議を行うことなど言語道断です。終戦間もない時期に同様の扱いがあったようですが、現行の国会ルールがある程度定着して以降、少なくとも五十年以上にわたり、参議院の良識に基づき、そのようなことが行われることはありませんでした。まさに前代未聞です。野党会派理事の猛烈な反対を受けて理事会は休憩、数十分後に再開された理事会では、一転して与党から提案が取り下げられました。
なぜこのような国会の歴史に汚点を残しかねない提案をする必要があったのか。この時点で、衆議院を解散する方針でも持たれていたのでしょうか。混乱に拍車を掛けたこうした所作振る舞いにも大いに抗議したいと思います。
法案の内容にも言及します。
政府・与党の言いなりとなり、森屋内閣委員長が強行採決を目指す重要土地利用規制法案が日本の安全保障に真に寄与する内容のものであれば、否定などするはずもありません。安全保障上重要な施設の周辺や国境離島における土地利用等の在り方についても、安全保障上の懸念を払拭する法律を得ることは重要なことです。しかし、本法案には、看過し難い問題点が多くあります。
最も大きな問題点は、法案の核心部分が明文化されておらず、判断が政府に白紙委任をされている点です。大幅な私権制限を伴う法律でありながら、政令等に依拠する部分が余りにも多過ぎます。
本法案では、規制の対象となる行為を重要施設又は国境離島等の機能を阻害する行為としているにすぎません。機能阻害行為とは何かをただしても、一概には言えないとの政府見解です。また、注視区域、特別注視区域を指定する場合にも、距離範囲を一キロメートル以内で政府の裁量で判断することになっており、判断基準は、理由も含めて法案の中では何も明らかにされていません。
政府が安全保障上重要な土地や建物の所有や利用状況を把握するための土地等の利用状況の調査についても同様であります。そもそも、どんな手段、方策で行う調査なのかは、手のうちは明かせないとの理由で明らかにされていません。個人情報の取扱いについても、法律に何の規定もされていません。規定次第では全国各地が監視対象となり、情報収集の範囲もよく分かりません。利用者、関係者が調査対象となっており、ここでいう関係者の定義を問うても、定義がないとの返答であります。
注視区域では政府が土地や建物の所有者の個人情報を調査できるようになり、特別注視区域に指定されれば、土地の購入前に、内閣総理大臣に対し、個人情報と土地の利用目的を届け出ることが義務付けられることになります。指定によって不動産の価値に大きな影響が出るでしょう。まさに財産権の侵害になりかねません。
また、機能を阻害する行為とみなされれば刑事罰が科される可能性があり、調査が個人の思想信条、家族関係、友人関係にまで及ぶことさえ否定されていません。ある種、気持ち悪い法案であることは多くの方の思いでしょう。
国民の日常を規制の対象とする以上、丁寧かつ具体的な説明が求められるのは当然です。また、明確な立法事実に基づくものであることも必要不可欠です。こうした国民の懸念を払拭するには、これまでの審議では余りにも不十分です。
森屋委員長、あなたは、国民の思いに応えるために、公正中立な立場を貫きつつ、十分な審議時間の確保と、丁寧かつ誠実な答弁を政府に対して要求する義務があります。そうした姿勢を見せず、委員会審議を強引に打ち切ろうとしたことは、熟議の府である参議院に属する議会人としてあるまじき行為であります。参議院は、衆議院が採決した法案を自動的に通すだけの院ではありません。
最後に、菅内閣総体に一言申し上げます。
今、最も重要で迅速な対応が必要なのは、この法案ではなく、コロナ対策、ワクチンの早期接種、コロナで影響を被った事業者や個人への支援ではないですか。にもかかわらず、この重要土地利用規制法案やいわゆるデジタル監視庁法案など、自国民への管理統制を強める法案ばかりに執心する、これは一体どうしたことでしょうか。政治が行うべき施策の優先順位を間違えていると言わざるを得ません。
昨年九月の菅総理大臣就任以降、コロナ感染者数は七十万人近く増加しました。亡くなった方は昨日までで一万二千六百七十人、お一人お一人に人生があり、愛すべき家族がありました。公表されることもなく、入院すらできないまま命を落とした方もあったことでしょう。国民の命をこれほどまでに危険な状況にさらしておきながら、緊急性のない法案成立のために国会を事実上空転させ、多くの都道府県が緊急事態宣言中であるにもかかわらず、その最中に国会を閉じようとするなど正気の沙汰ではありません。
開会まで四十日を切った東京オリンピック・パラリンピック大会についても同様です。刻一刻と開会が迫っている中、いまだに観客の有無すら明らかにできずにいます。開会中の四十九日間のテレワークを国民に求めながら、子供たちだけでも百二十八万人を動員する観戦プログラムを実施し、三百万人規模とも言われる国内での人の動きを看過するのであれば、国民の理解が得られるはずありません。その先の未来、起こり得る最悪の事態が想像できているのか。その瞳に国民の姿は見えているんでしょうか。疑わざるを得ません。与党の皆さんの見識が今まさに問われています。このことも付言しておきたいと思います。
以上、与党による強引かつ国民不在の国会運営と、それにあらがうことのない森屋内閣委員長の姿勢こそ、解任決議案に賛成する理由であります。議員各位には、本決議案に賛成いただきますことを切にお願い申し上げ、討論といたします。
御清聴ありがとうございました。(拍手)