矢田わか子の発言 (本会議)
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○矢田わか子君 国民民主党・新緑風会の矢田わか子です。
私は、会派を代表し、重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律案に対し、賛成の立場から意見を述べます。
本法律案は、自衛隊施設などの防衛関係施設や原子力発電所などの生活関連施設を重要施設とし、あわせて、国境離島について、それぞれの機能が阻害されないよう、土地の利用状況の調査や土地取引の届出、さらには機能阻害行為の是正を勧告、命令できることを規定するものであります。
以下、賛成する理由を三点述べます。
まず第一に、社会の変化に応じた土地制度の改善に資するものとなっていることであります。
今日、少子高齢化や地方の過疎化が進む中で、各地で空き地や空き家が急増し、所有者不明の土地も増加しつつあり、今日の土地制度が社会の変化に対応できていない実情があります。今国会においては所有者不明土地の対策として民法と不動産登記法が改正され、相続登記や所有者の住所変更登記の義務化が図られるなど一定の前進が見られました。しかし一方で、国土保全のための対策は今後ともより強力に推進されなければなりません。
一方、近年、外国人や外国法人による土地購入が増加しており、近隣住民の不安を募らせているという土地制度における新たな課題も生じています。特に、防衛施設の周辺や国境離島において外国人による不透明な土地取引も行われ、安全保障上の懸念も示されています。
この問題については、二〇一一年、民主党政権時代に、民主党内に外国人による土地取得に関するPTが設置され、東日本大震災の直後に、森林、国境離島、防衛施設周辺、エネルギー施設周辺などについて、土地の所有情報収集の整備や、外国人の土地取得を規制する立法化の検討などが提言されました。この提言から十年が経過しましたが、ようやくその提言の理念の一部が法案化されたものと理解いたします。
我が国の土地制度と土地法制が時代の変化に対応できなくなり、特に、土地所有情報の的確な把握と森林など国土の保全、そして土地の有効活用と安全保障の確保という様々な観点から土地法制の整備は早期に行われる必要があり、本法案はこの法整備の一翼を担うものとして位置付けられていると考えます。
賛成する第二の理由は、我が国の安全保障の機能を高め、国益を守ることにつながるからです。
今日、安全保障をめぐって科学技術の進展とともに各国間の情報戦は一段と活発化しており、サイバーセキュリティー対策の推進とともに、最先端技術情報や防衛関係情報をいかに守っていくかが大きな課題となっています。これらの対策とともに、我が国の土地所有や土地利用の実態についても安全保障対策の対象とし、取引情報の一元化や情報管理をより徹底していく必要があります。
防衛については、軍備の面のみに目が向きますが、こういった外国人による土地取得への対応は国益をめぐるサイレントな攻防であり、今こそこれまでの対応の遅れを取り戻し、将来にわたり国土から得られるべき果実を確保していく必要があると考えます。
賛成する三つ目の理由は、我が国の経済発展と安全保障の両立に資するものとなっているからです。
海外からの対日投資の促進は、我が国経済の安定的成長に必要なものであり、今後とも外国人や外国資本の自由な経済活動を保障しながら、一方で、国益を損ね、安全保障の確保に逆行するような行動に関しては厳しく規制していく必要があります。
土地はそもそも公共財であり、日本人、外国人にかかわらず、土地を所有する権利とともに、次世代につないでいくための土地活用と保全の義務を負っています。本法案が、外国為替及び外国貿易法や森林法などとの連携を図りながら、経済活動と安全保障の確保に資する機能を発揮することを強く求めます。
以上、賛成する理由を述べましたが、一方で、この法案については、内閣委員会での審議において二つの課題が明らかになりました。一つ目は法の立法事実と実効性確保の課題、二つ目は人権侵害への懸念という課題です。
特に、人権確保に関しては、法執行上の要となる注視区域の指定基準や機能阻害行為の類型が法案に明記されず、具体的には総理大臣が決定する基本方針や政省令に委ねられ、注視区域における調査対象や調査方法あるいは個人情報の扱いが不透明なまま残されています。このことで、自衛隊施設の周辺住民や県内の多くの地域が注視区域となる沖縄では、基地との関わりを持つ住民への監視体制が築かれ、人権とプライバシーの侵害が起こるのではないかとの不安が高まっています。
これらの懸念を払拭するために、国民民主党が衆議院に提出した修正案のように、政府は基本方針に基準等を明示すべきでありましたが、残念ながら、いまだ明確にはなっていません。
次善の策として、せめて政省令の制定過程を見える化し、土地等利用状況審議会の議事録を公開するとともに、随時国会報告を行うべきであり、これらのことを必ず実行していただくようお願いいたします。あわせて、土地利用調査に当たっては、対象となる住民の皆さんに丁寧な事前説明を行い、必要な協力を得られるよう責任を持って取り組んでいただきたいと思います。
本法案については、既に述べてきたように、多くの事項が政省令に委ねられ、法の実効性についても不透明であることの指摘がなされていますが、一方で、安全保障政策に一〇〇%はありません。だからこそ、現世代は未来の世代に何ができるのかを考え、まずはアンテナを高く立て、調査し、今までできていなかった国土の現況を正確に把握することも大切な一歩となります。あらゆる方面から少しずつ法規制を求め、未来に生きる子供たちの世代に安心、安全な日本を残していけるよう、私たち立法府がたとえ僅かな一歩でも責任を果たしていかなければならないと思います。
本法案に基づく政策の遂行に当たり、懸念に対する丁寧な説明など、政府の真摯で的確な対応を求め、私の賛成討論といたします。(拍手)