岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 玉木雄一郎議員の御質問にお答えいたします。
まず、令和版所得倍増についてお尋ねがありました。
総裁選挙で掲げた令和版所得倍増は、一部ではなく、広く多くの皆さんの所得を全体として引き上げるという、私の経済政策の基本的な方向性を申し上げたものです。こうした政権の旗、これは一切降ろしておりません。
岸田政権では、広く国民の所得を増やすべく、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を目指します。
このため、所信表明演説でも述べたとおり、働く人への分配機能の強化や、看護、介護、保育などの現場で働いている人々の収入の増加などに取り組んでまいります。
成長の果実をしっかり分配し、初めて次の成長が実現します。成長と分配の好循環を実現し、国民が豊かに生活できる経済をつくり上げてまいります。
安倍内閣と岸田内閣の経済政策についてお尋ねがありました。
安倍内閣においても、成長と分配の好循環を掲げ、賃金などの成果を上げてきました。
GDP六百兆円については、コロナ前の二〇一九年には、名目GDPは五百六十兆円と過去最大になりましたが、その後、新型コロナの影響により、名目GDP六百兆円の実現は道半ばです。まずは、我が国経済をコロナ前の水準に戻していけるよう、しっかり立て直してまいります。
希望出生率一・八や介護離職ゼロについても、実現には至っておりませんが、長年の課題である少子高齢化問題に真正面から取り組むため、引き続き、保育や介護人材の処遇改善を含む人材確保や受皿整備などにより、その実現を目指してまいります。
岸田政権の経済政策は、新しい資本主義の実現に向け、成長も分配も目指し、市場に任せるのではなくして、官民共同であらゆる政策を総動員して成長戦略と分配戦略を実行していく、こうしたものであります。
成長戦略では、十兆円規模の大学ファンド等により、世界最高水準の研究大学を形成するほか、強靱なサプライチェーンの構築に政府が支援いたします。また、分配戦略でも、政府が下請取引に対する監督体制を強化し、大企業と中小企業の共存共栄の関係をつくるほか、看護、介護、保育などの現場で働いている方々の収入を増やしていくため、公的価格の在り方を抜本的に見直してまいります。
こうした官民共同の取組によって、成長と分配の好循環とコロナ後の新しい社会の開拓を図り、国民が豊かに生活できる経済をつくり上げてまいります。
所得向上の戦略や税制についてお尋ねがありました。
岸田政権では、広く国民の所得を増やすべく、成長と分配の好循環による新しい資本主義の実現を目指します。
このため、看護、介護、保育などの現場で働いている人々への収入の増加に取り組むほか、下請対策等の働く人への分配機能の強化や、子育て世帯への教育費そして住居費支援の強化等にも取り組んでおります。
そして、御指摘のように、現在も、法人税について、労働分配率の向上に向けて優遇税制というものは存在いたしますが、現在の税制においては、対象も新規雇用に目を向けたものであり、また控除率も一五%という状況にあります。これでは、全国合わせても一千億規模の効果しか表れない、こういった税制の状況にあります。この対象につきましても、是非一人一人の給与にしっかり目を向けたものにしなければいけない。控除の率も引き上げていくことによって、より多くの企業において優遇税制を享受していただけるような体制をつくっていきたいと考えております。
成長の果実をしっかりと分配し、初めて次の成長が実現します。成長と分配の好循環を実現し、国民が豊かに生活できる経済をつくり上げてまいります。
労働市場の在り方についてお尋ねがありました。
雇用情勢の変化や産業構造の変化を踏まえた労働移動が円滑に行われるためには、就職支援、能力開発支援などに総合的に取り組んでいくことが重要です。
具体的には、ハローワークにおける丁寧な就職支援を行うとともに、技術革新と産業界のニーズに合ったスキルを身につけるため、リカレント教育などの学び直しや教育訓練への支援、収入が一定額以下の方を対象に職業訓練と月十万円の給付金を支給する求職者支援制度を実施しており、引き続き、円滑な労働移動が行われるための取組を進めてまいります。
消費税の減税についてお尋ねがありました。
消費税については、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられており、当面、消費税について触れることは考えておりません。
なお、新型コロナの影響については、それにより苦しんでおられる非正規、子育て世帯など、お困りの方々を守るための給付金などの支援を実行してまいります。
財政政策及び国債の債務不履行についてお尋ねがありました。
財政については、危機に対する必要な財政支出はちゅうちょなく行い、万全を期すこと、また、経済あっての財政であり、経済をしっかり立て直す、そして財政健全化に向けて取り組んでいくこと、これが基本的な方針です。
その一方で、債務残高がどれだけ増えても問題がないというわけではありません。引き続き、市場からの信認が損なわれ国債の債務不履行のリスクが顕在化するといった事態を招くことがないようにする必要があると考えております。
コロナ対策の現金給付についてお尋ねがありました。
新型コロナの影響により苦しんでおられる非正規雇用、子育て世帯など、お困りの方々を守るための給付金などの支援を実行してまいります。
コロナ禍で厳しい環境にある中、昨年の反省も踏まえ、可能な限り、プッシュ型で迅速に給付を行わなければならないと考えております。昨年の支給後の様々な取組の成果も活用しながら、できるだけ速やかに経済対策に盛り込んで実行してまいりたいと考えています。
国民の切実な声を踏まえ、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、総合的かつ大胆な経済対策を策定いたします。
総合支援資金の延長についてお尋ねがありました。
総合支援資金の更なる貸付けについては、債務が過大となることが自立を阻害するおそれもあることも踏まえて検討してまいります。
生活の再建に向けて、収入が一定額以下の方を対象に職業訓練と月十万円の給付金を支給する求職者支援制度の実施、住居確保給付金の支給等のきめ細かな取組を実施しています。
さらに、今般、新型コロナで大きな影響を受ける方々を支援するため、総合的かつ大胆な経済対策を策定いたします。
事業規模に応じた固定費支援についてお尋ねがありました。
新型コロナに対応する中で、影響を受けた事業者に対する支援に万全を期すことは喫緊の課題であると認識をしております。
このため、大きな影響を受ける事業者に対し、地域、業種を限定しない形で、事業規模に応じた給付金を支給いたします。
先日の閣議において新たな経済対策の策定を指示したところであり、総選挙後速やかに決定できるよう、政府としてしっかりと検討を進めてまいります。
ガソリン税等のトリガー条項についてお尋ねがありました。
現在凍結中のトリガー条項については、発動された場合、ガソリンの買い控えや、その反動による流通の混乱、国、地方の財政への多大な影響等の問題があることから、その凍結解除は適当ではないと考えます。
科学技術の研究開発投資についてお尋ねがありました。
科学技術立国の実現は我が国の成長戦略の第一の柱であり、我が国として、諸外国との熾烈な国家間競争を勝ち抜くため、デジタル、グリーン、人工知能、量子、バイオ、宇宙など、先端科学技術の研究開発への大胆な投資を行っていくことは極めて重要です。
政府としては、今後五年間の研究開発投資の目標を、政府全体で約三十兆円、官民合わせた総額は約百二十兆円と定めています。
今後とも必要な予算を着実に確保するとともに、十兆円規模の大学ファンドの設置などにより、基礎研究への十分な投資を確保し、官民が連携協力して、国家的重要課題に対応してまいります。また、研究開発税制などにより、民間投資を誘発してまいります。
脱炭素化に向けた産業支援策についてお尋ねがありました。
岸田政権においても、二〇五〇年カーボンニュートラルという目標を掲げた上で、その実現のためのエネルギー政策や成長戦略を推進してまいります。
欧米の支援策と比べても遜色のない二兆円のグリーンイノベーション基金により、水素を始めとした革新的技術の開発を支援してまいります。また、自動車産業では、電動車の導入支援と充電インフラの整備や蓄電池の大規模製造拠点の国内立地を推進してまいります。
地球温暖化対策を進めることは、経済成長と国民生活が恩恵を受けることにつながります。その実現のため、クリーンエネルギー戦略を策定し、強力に推進してまいります。
急激な円安を迎えた場合の対応についてお尋ねがありました。
パウエルFRB議長が十一月にも量的緩和を縮小するテーパリングを開始する可能性について言及したこと、承知をしております。
為替レートの動向にコメントすることは控えますが、円安が進めば、輸出促進等の好影響がある反面、御指摘のとおり、輸入価格の上昇を通じて、企業のコスト上昇につながります。
引き続き、中小企業がコスト上昇にも対応できるよう、生産性向上や金融面での支援、取引適正化などに取り組んでまいります。その上で、今後とも、為替の変動が企業に及ぼす影響について注視してまいります。
子供目線での行政の在り方についてお尋ねがありました。
子供をめぐる様々な課題に適切に対応するため、子供目線に立って、縦割りを排した行政を進めていかなければなりません。この私の思いに何ら変わりはありません。
そうした行政の在り方について、年末までに基本方針を決定し、可能であれば来年の通常国会に法案を提出するというスケジュールを念頭に、検討を進めてまいります。
健康危機管理の司令塔強化についてお尋ねがありました。
私は、コロナとの戦いの中で、司令塔機能の強化が必要だと申し上げてきました。将来の危機管理のためにも、取り組まなければならない課題です。
足下のコロナ対応に万全を期しつつ、同時に、各大臣の役割分担も含め、これまでの対応を徹底的に分析して、何がボトルネックだったかを検証し、危機管理における行政の在り方を含めて検討して、我が国の危機管理を抜本的に強化してまいります。
米価下落対策についてお尋ねがありました。
政府備蓄米は、不測の事態に備えて一定量の国産米を保有することを目的としており、これを需給操作のために運用することは制度の趣旨に沿わないものであると考えております。
新型コロナによる米価の下落は深刻な課題であると認識をしており、当面の需給の安定に向けては、新型コロナによる需要減に対応する十五万トンの特別枠を新たに設け、飲食店、子供食堂等への米の販売、提供を支援してまいります。
また、米政策については、平成三十年産から行政による生産数量目標の配分を廃止したところであり、引き続き、需要に応じた生産、販売を推進し、野菜などの需要のある作物への転換に取り組む産地を支援することが基本であります。
あわせて、地域政策として、家族農業や中山間地域農業を含め、農業、農村の持つ多面的な機能を維持し、多様で豊かな農林水産業を構築してまいります。
人権侵害に対処するための法整備についてお尋ねがありました。
私の内閣では、人権を始めとした普遍的価値を守り抜くことを重視しています。深刻な人権侵害については、省庁横断的に取り組むとともに、米国などの同盟国、同志国と緊密に連携して、しっかりと声を上げてまいります。
その上で、法整備については、幅広い理解が重要との観点から超党派での議論が進んでいると承知をしております。その議論をよく見守るとともに、これまでの日本の人権外交を踏まえ、全体を見ながら、引き続き検討してまいります。(拍手)