岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 馬場伸幸議員の御質問にお答えいたします。
 未来を信じる力を実際に国民に届けることについてお尋ねがありました。
 私は、苦しい状況にあっても必死で未来を切り開こうとする多くの方々と一緒に新しい時代をつくり上げていくことが、岸田内閣の使命だと考えております。
 我が国の未来は、現在を生きる我々の決断と行動によって決まります。私は、明治維新、戦後高度成長、幾多の奇跡を実現した我が国の底力を信じております。
 内閣総理大臣として、具体的に政策を実行することで、我が国の潜在力を引き出し、国民お一人お一人が未来を信じ、果断に挑戦していけるよう、後押しをしてまいります。
 新しい資本主義の実現は、こうした私の思いを込めたコンセプトです。このコンセプトの下で、新たな日本の経済社会システムをつくり上げてまいります。そのための大きな一歩を踏み出すための政策を、この度のコロナ克服・新時代開拓のための経済対策に盛り込みました。
 今、世界が新たな資本主義のモデルを模索する中にあって、我々の国も、新型コロナを克服し、格差や貧困、気候変動といった社会課題を解決しながら、力強く成長を実現させる。そのための政策をしっかりと具体化することで、この国の未来を切り開くという大いなる挑戦の先頭に立つ覚悟で、行動によって国民の皆さんにお示ししていきたいと考えております。
 水際対策についてお尋ねがありました。
 現下の外国人の入国については、入管法の上陸拒否の規定に基づき、上陸拒否の対象地域を指定し、対象地域からの入国は、特段の事情がない限り拒否する対応を行っているところです。
 この特段の事情による外国人の新規入国については、今回のオミクロン株の発生を受け、このタイミングでの入国が真に必要であると認められる者に限るなど、厳格に運用していくこととしております。
 具体的にどうなのかという御質問ですが、具体的には、外国政府関係者やワクチン開発の技術者など極めて公益性が高い者のほか、日本人の配偶者や、病気である本邦居住者の看護をする者など人道上の配慮が必要である者などが考えられます。
 このように、政府としては、現行の入管法の規定に基づき、刻々と変化する状況等に応じて、上陸拒否の範囲を明確に限定しつつ、機動的かつ適切な水際対策を講じてまいりたいと考えています。
 また、入国者の隔離については、強い私権制限を伴うことに留意しつつ、オミクロン株対応に限られた資源を集中させるという観点から、医療の専門家の意見も踏まえ、リスクに応じた対応が適切と考えています。
 引き続き、水際対策において、強い危機感を持って状況把握に努めるとともに、各国の感染状況を踏まえ、機動的かつ迅速な判断が重要だと考えておりますが、こうした判断を重視しながら行っていく考えであります。
 そして、ワクチンの三回目接種と中和抗体薬の投与対象についてお尋ねがありました。
 新型コロナワクチンの三回目接種の前倒しについては、感染防止に万全を期す観点から、できるだけ早期に、既存のワクチンのオミクロン株への効果等を見極めた上で、優先度に応じ、前倒しの範囲や方法をお示ししたいと考えています。
 また、中和抗体薬については、重症化等の防止に効果があり、全世界向けの総供給量が限られている中で、来年初頭までに約五十万回分を確保しています。
 ロナプリーブの発症抑制に係る投与については、現時点では、投与する意義が大きいとされている免疫抑制状態にある患者を投与対象としています。
 この投与対象者の範囲については、本剤の供給量や、学会の議論など専門家の意見も踏まえて、引き続き、治療薬を必要とする方々が適切に使用できるよう、治療薬の開発、確保と投与体制の整備を進めていきたいと考えています。
 新型コロナに関する医療提供体制の確保等についてお尋ねがありました。
 公立・公的病院の専用病床化を進める、都道府県と医療機関が書面で緊急時に確実に入院を受け入れることを明確化する、こうした取組によって、既に、この夏に比べて三割、一万人増の約三万七千人が入院できる体制を確保いたしました。
 医療人材については、こうした病床確保と併せて、応援派遣を調整し、結果、全国で約二千の医療機関から医師約三千人、看護師約三千人の派遣に協力をいただけることになっています。
 また、自宅、宿泊療養者への対応については、従来の保健所のみの対応を転換し、保健所の体制強化のみならず、全国で延べ約三万四千の医療機関と連携し、全ての自宅、宿泊療養者について、陽性判明当日ないし翌日に連絡を取って、健康観察や診療を実施することができる体制を構築しております。
 さらに、これまでの対応を徹底的に検証した上で、来年の六月までに、感染症危機などの健康危機に迅速的確に対応するため、司令塔機能の強化を含めた抜本的体制強化策を取りまとめ、必要な法改正を行ってまいります。
 子育て世帯への給付についてお尋ねがありました。
 政府としては、できるだけ早期にプッシュ型で支援をお届けする観点から、コロナ予備費の使用により五万円の現金給付を措置するとともに、来年春の卒業、入学、新学期に向けて、現金よりも子育て目的への支出が促進される五万円相当のクーポンによる給付を本補正予算で措置することで、迅速性と政策効果双方に目配りした仕組みとしたところです。
 クーポンの給付は、子育てに係る商品やサービスを直接お届けできるという意味で、より直接的、効果的に子供たちを支援することが可能であり、これに加え、地域の創意工夫を促し、民間事業者の振興や新たな子育てサービスの創出、また消費の下支え等につながることも期待されます。
 地方自治体の皆様には、こうした政策的意義について理解をいただく中で、まずは、クーポン給付を原則としながらも、地方自治体の実情に応じて、現金での対応も可能とする運用といたします。この一連の執行過程において、地方自治体の御意見を伺いながら、柔軟な制度設計を進めてまいりたいと考えます。
 消費税率の引下げについてお尋ねがありました。
 消費税については、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられており、当面、消費税について触れることは考えておりません。
 成長と分配、規制改革についてお尋ねがありました。
 私は、まずは経済を成長させ、その成長の果実を国民お一人お一人に広く分配する、成長と分配の好循環を目指すと言ってきており、成長や改革を軽視してはおりません。
 こうした好循環を実現する中で、私は、デジタルの活用を成長戦略の最も重要な柱と位置づけています。そして、デジタルによる成長を実現するために、デジタル改革、規制・制度改革、行政改革、これを三位一体で進めてまいります。
 その際に、規制する側、規制される側、そして国民の皆さん、それぞれから納得される、三方よしの制度見直しが新しい資本主義を実現する観点から重要だと考えています。単に規制を緩和すればよい、市場に任せればうまくいく、こういったことではないと考えています。
 そうした観点から、四点の考えを示せという御質問でありました。
 一点目、預貯金口座へのマイナンバーの付番については、今年五月に成立した預貯金口座個人番号利用申出法では、新規口座開設時に金融機関がマイナンバーの告知を求めることを義務づけるとともに、本人の同意を前提に、一度に複数の金融機関の預貯金口座への付番が行える仕組み等を設けることとしています。
 二つ目の、解雇無効時の金銭救済制度については、金銭を支払えば自由に解雇できるといった制度の導入には課題がありますが、同一労働同一賃金を原則としつつ、労使双方が望ましいと考えている多様な働き方ができる、こうした制度整備は推進していきたいと考えています。
 三点目、法人農地取得については、成長戦略フォローアップに基づいて、特区区域外におけるニーズと問題点の調査などを進めてまいります。
 電波オークションについては、電波の保有者も、利用する事業者も、また一般の利用者も、全てにメリットがある形での周波数の割当ての在り方を検討しており、来年夏をめどに取りまとめを行ってまいります。
 次に、新たな社会モデルについて御質問がありました。
 新型コロナを克服し、格差や貧困、気候変動問題といった社会課題を解決しながら、力強く成長を実現させる、そのための経済社会変革こそ、私が掲げる新しい資本主義の実現です。今回の経済対策には、これを起動させるための様々な政策を盛り込みました。
 起動した好循環の流れを更に大きく、加速していくための鍵は、日本の未来を担う若者世代、子育て家庭です。今後は、特にここにターゲットを置いて、賃上げも含めた大きな意味での人への投資を集中させ、その所得を大幅に引き上げることを目指していきたいと考えています。
 政府としては、来春に、新しい資本主義会議の場で、全体のグランドデザインとその実行計画を取りまとめることとしているところです。御党の御提案も含めて、国会の場を通じてしっかりと議論を行っていきたいと考えています。
 トリガー条項についてお尋ねがありました。
 現在凍結中のトリガー条項については、発動された場合、ガソリンの買い控えや、その反動による流通の混乱や、国、地方の財政への多大な影響等の問題があることから、その凍結解除は適当ではないと考えています。
 政府としては、国民の皆さんが年末から春先までを見通せるように、農業や漁業等に対する業種別の対策を強化いたします。加えて、ガソリン、灯油の急激な値上がりに対する備えとして、年内から執行可能な激変緩和措置も講じてまいります。これによって、国民の皆様に、よりスピーディーに、かつ混乱なく効果が行き渡ると考えております。
 子供政策についてお尋ねがありました。
 子供をめぐる様々な課題に適切に対応するため、子供目線に立って、縦割りを排した行政を進めていかなければなりません。
 子供政策の基本理念や目指すべき方向性を実現していくための新しい行政組織の設立に向け、年末までに基本方針を決定し、来年の通常国会に法案を提出する方向で検討を進めているところです。
 新しい行政組織の設立に当たっては、各府省から法律や事務を移管することに伴い、所要の予算と人員を移管するとともに、新規の政策課題への対応、司令塔機能や政策立案機能の強化に必要な体制を整備していきたいと考えます。
 また、身を切る改革についてお尋ねがありました。
 我々政治家は、政策を実現するため真摯に努力を続け、国民の負託に応えていかなければなりません。また、常に自らを省みる必要がある、これも当然のことです。
 政治に要する費用や議員定数の問題、議会政治や議員活動の在り方、すなわち民主主義の根幹に関わる重要な課題であります。それゆえ、御指摘の文書通信交通滞在費の見直し等については、国会において、国民の代表たる国会議員が、真摯な議論を通じて、合意を得る努力を重ねていくべきであると考えます。私自身も、国会議員の一人として、合意に従い対応していきたいと考えています。
 台湾海峡に関する事態への備えに関するお尋ねがありました。
 我が国の領土、領海、領空を保持し、地域の平和と安定、そして国民の生命と財産を断固として守り抜くことは政府の最も重要な責務であり、いかなる事態にも対応できるよう万全を期していくことは当然であり、これまでも平和安全法制の整備等を行ってまいりました。こうした法制面を含め、必要に応じた検討を不断に行ってまいります。
 また、政府としては、様々な事態を想定し、各種訓練の実施を含む体制の整備に努めております。
 加えて、南西地域の防衛体制の強化は、我が国の防衛にとって喫緊の課題です。こうした観点から、先島諸島への陸上自衛隊の配備を進めるとともに、在沖縄米軍を始め、米軍とのこの地域における連携を一層強化してまいりたいと思います。
 領海警備体制の強化についてお尋ねがありました。
 武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには、警察機関と自衛隊との連携は極めて重要であり、現行の法制の下、海上警備行動等の発令手続の迅速化を図ったほか、海上保安庁等関係機関の対応能力の向上、情報共有・連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組を推進しています。
 今後の取組については、法整備が必要という声もあります。その中で、各機関の連携を充実させ、円滑にさせるために必要なものがないか、訓練等を通じて、なお一層検討を進めてまいります。
 政府としては、今後とも、あらゆる事態を想定し、我が国の領土、領海、領空、そして国民の生命財産を断固として守り抜くという強い覚悟を持って、冷静かつ毅然と対応してまいります。
 教科書における記述についてお尋ねがありました。
 教科書の検定は、民間の図書の具体的な記述について、教科書検定基準に基づき、教科用図書検定調査審議会の学術的、専門的な審議に基づいて、用語の正確性など記述の欠陥を指摘するものであり、政治的、行政的意図が介入する余地はないものとされています。
 御指摘の答弁書が閣議決定されたことを受け、教科書発行者から政府の統一見解を踏まえた訂正申請が行われ、文部科学省において、審議会の学術的、専門的な審議を経て、訂正が承認されたと聞いております。
 御指摘の教科書の記述についても、こうした手続にのっとって適切に訂正が承認されたものと認識をしております。
 なお、政府の基本的立場は、平成五年八月四日の内閣官房長官談話を継承しているというものであります。この談話について見直すことは考えておりません。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 憲法改正について、与野党の枠を超え、積極的な議論が行われることを心から期待いたしますが、憲法改正の議論の進め方については、国会でお決めいただくことであり、内閣総理大臣としてお答えすることは控えたいと存じます。
 我々国会議員には、大きく時代が変化する中にあって、現行憲法が今の時代にふさわしいものであり続けているかどうか、その在り方に真剣に向き合っていく責務があります。私自身も、真剣に向き合っていく強い覚悟を持っている次第であります。
 以上です。(拍手)
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発言情報

speech_id: 120705254X00320211209_004

発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2021-12-09

院: 衆議院

会議名: 本会議