岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 志位和夫議員の質問にお答えいたします。
地域医療構想についてお尋ねがありました。
先般お示しした全体像に基づき、病床の徹底的な確保を進めるとともに、公立・公的病院に対して法律に基づく要請を行い、新型コロナの専用病床化を進めています。これらの取組により、既に、この夏に比べて三割、一万人増の約三万七千人が入院できる体制を確保いたしました。
一方で、人口構造の変化を踏まえ、地域の医療ニーズに合わせ、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指して取り組むことが重要です。
こうした観点から、地域医療構想を進める必要があり、その推進に当たっては、地域での合意を踏まえ、自主的に行われる病床の減少に対して支援を行っています。
公立・公的病院の在り方については、病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の事情を十分に踏まえつつ、地方自治体等と連携して検討を進めてまいります。
三回目のワクチン接種の前倒しとワクチン格差解消についてお尋ねがありました。
新型コロナワクチンの三回目接種の前倒しについては、感染防止に万全を期す観点から、できるだけ早期に、既存のワクチンのオミクロン株への効果等を見極めた上で、優先度に応じ、前倒しの範囲や方法をお示ししたいと考えています。
ワクチン格差の解消については、ワクチンの公平な供給に係る唯一の国際的枠組みであるCOVAXファシリティーとも連携しつつ、六千万回をめどとして、ワクチンの現物供与の支援を行っています。
あわせて、ワクチンを接種現場まで届けるためのラストワンマイル支援につき、五十九か国・地域に対し、合計百三十七億円の支援を実施しています。
知的財産権の保護義務を一時的に免除するという提案に関しましては、どのような対応や措置が実際にワクチンの国際的な生産拡大あるいは公平なアクセス確保につながるか、よく検討することが重要であると考えています。
住民税非課税世帯に対する給付金についてお尋ねがありました。
新型コロナウイルスの影響が長期化する中、様々な困難に直面した方々が速やかに生活、暮らしの支援を受けられることが重要であり、そのための施策の一つとして、住民税非課税世帯に対して十万円の給付をすることとしております。
非正規雇用や生活にお困りの方への支援については、今回の経済対策において、住民税非課税世帯に対する給付金のほか、新型コロナウイルス生活困窮自立支援金の拡充や緊急小口資金等の特例貸付け、再就職や正社員化に向けた学び直しや職業訓練の支援など、様々な施策を講じることとしております。新型コロナの影響を受けた方々に、こうした様々な政策を通じて、広く重層的な支援を行ってまいります。
事業復活支援金についてお尋ねがありました。
事業復活支援金は、新型コロナの影響で売上げが減少した事業者に対して、家賃を含めた固定費負担分の支援として、十一月から来年三月までの五か月分を一括して支給する事業であり、地域、業種を限定しない、そして事業規模に応じた給付金として、まさに私が国民の皆様にお約束したものであります。
また、事業復活支援金の一月当たりの支援上限額は昨年の持続化給付金を超える額としているなど手厚い支援となっていることに加えて、新たに売上高の減少が三〇%以上の事業者も対象としております。
なお、一月から十月までは、一時支援金や月次支援金などによる事業者支援を既に行ってきているところです。
看護、介護、保育などの現場で働く方々への賃上げについてお尋ねがありました。
今般、新しい資本主義を起動するための分配戦略の柱の一つとして、まずは、国が率先して、介護、保育、幼児教育の現場で働く方や、地域で新型コロナ医療対応などを行う医療機関で勤務する看護職の方々の給与の引上げを行います。
その後の更なる引上げについては、安定財源の確保と併せた道筋も含めて、公的価格評価検討委員会において議論をいただいております。年末までに取りまとめていただく中間整理を踏まえて、取組を進めてまいりたいと考えます。
また、令和四年度診療報酬改定については、物価、賃金の動向や、医療機関の経営状況、保険料などの国民負担、新型コロナを踏まえた政策課題等の観点も含め、予算編成過程でしっかりと検討してまいります。
半導体の安定確保のための政策に対する国民の理解についてお尋ねがありました。
カーボンニュートラルの実現には、社会、経済のあらゆる側面を電化していくことが不可欠であり、その際、これを制御する半導体は不可欠です。また、デジタル社会の構築に当たっても、データセンターや5G、通信端末など、あらゆるものに半導体は使用されます。さらに、半導体を通じて機微技術や重要情報のやり取りが行われるため、経済安全保障を考える際にも半導体は重要な要素です。
こうした公益性の高い目的から、我が国として半導体を自律的に確保できることは大変重要であり、国内に一定の製造、開発基盤を確保する必要があると考えております。
防衛費についてお尋ねがありました。
補正予算は、財政法において、当初予算作成後に生じた事由につき特に緊要となった経費の支出等を行う場合などに作成できるとされています。
今回の補正予算案では、周辺国の軍事力強化を含め、我が国周辺の安全保障環境がこれまでにない速度で厳しさを増す中、変化する国際情勢に迅速に対応し、国家の安全保障をしっかりと確保するため、令和三年度中に実施すべき特に緊要な事業に要する経費を計上しております。
したがって、財政法を始めとする我が国の予算制度の趣旨に反するものではないと考えます。
経済対策の在り方についてお尋ねがありました。
新型コロナでお困りの方々に対しては、今般の経済対策において、十七兆円規模の手厚い支援を講じ、断固たる決意で、その生活を支え、事業の継続と雇用を守り抜いてまいります。同時に、新しい資本主義を起動するため、成長戦略と分配戦略を車の両輪として実行し、成長と分配の好循環を実現していきます。
税制については、再分配機能の回復を図る観点から、所得税や相続税について、これまでも最高税率の引上げ等に取り組んでまいりました。今般の税制改正では、成長と分配の好循環を実現するための分配戦略の一つとして、民間における賃上げを支援するため、賃上げ税制について抜本的に強化することとしております。
消費税については、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられており、当面、消費税について触れることは考えてはおりません。
COP26を踏まえた我が国の気候変動対策についてお尋ねがありました。
COP26の成果文書では、一・五度努力目標への決意や、排出削減対策が講じられていない石炭火力発電の逓減に向けた努力を加速すること等が盛り込まれており、我が国としても合意をしたところです。
我が国は、COP26の成果文書と整合的な形で、既にコミットした非効率な石炭火力のフェードアウトを始め、石炭火力発電比率を着実に減らしていきます。あわせて、二〇五〇年に向け、水素、アンモニアやCCUS等を活用することで、脱炭素型の火力に置き換える取組を引き続き推進いたします。
我が国は、引き続き、二〇五〇年カーボンニュートラルと整合的で、野心的な二〇三〇年度温室効果ガス削減目標の確実な達成に向け、徹底した省エネと再エネの最大限の導入に向けた取組、地域の脱炭素化や国民のライフスタイルの変革の推進など、あらゆる施策を総動員し、持続可能な、強靱な脱炭素社会を構築してまいります。
選択的夫婦別氏制度についてお尋ねがありました。
選択的夫婦別氏制度の導入については、国民の間に様々な意見があると承知をしています。
私は、政治家として、選択的夫婦別氏制度に賛成の方の声にも反対の方の声にも真摯に耳を傾けてまいりましたが、それらの声を踏まえた上で、本件は、引き続き、しっかり議論し、より幅広い国民の理解を得る必要があると感じております。
政府としても、選択的夫婦別氏制度について、国民各層の意見や国会における議論の動向を注視しながら、更なる検討を進めてまいります。
普天間飛行場の辺野古移設についてお尋ねがありました。
御指摘の変更承認申請の不承認については、現在、沖縄防衛局が国土交通大臣へ審査請求を行っているところであり、不承認理由の内容に関しては、私から申し上げることは差し控えます。
今後、公有水面埋立法の所管大臣である国土交通大臣において、法律に従って手続がなされるものと承知しており、その手続を見守りたいと考えます。
世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは、絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思っています。
日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策です。米国とは、閣僚間も含め様々なレベルにおいて、この方針について累次にわたり確認をしてきているところです。
この方針に基づき着実に工事を進めていくことこそ、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。
核兵器禁止条約についてお尋ねがありました。
我が国が、唯一の戦争被爆国として、核兵器のない世界の実現に向けて、しっかり取り組んでまいります。
核兵器禁止条約は、核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約であると考えています。しかし、現実を変えるためには核兵器国の協力が必要ですが、同条約には核兵器国は一か国も参加しておりません。
御指摘のような対応よりも、我が国は、唯一の戦争被爆国として、核兵器国を関与させるよう努力していかなければなりません。そのためにも、まず、核兵器のない世界の実現に向けて、唯一の同盟国である米国との信頼関係構築に努めていかなければならないと考えております。
敵基地攻撃能力についてお尋ねがありました。
政府としては、性能上専ら相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは、自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、憲法上許されないと考えており、この一貫した見解を変更することは考えておりません。ただ、敵基地攻撃能力については、従来から申し上げておりますように、昭和三十一年の鳩山内閣における政府見解、この見解を踏襲しているところです。
そして、その上で、何よりも重大なことは、国民の命や暮らしを守るために必要なものは何なのか、こうした現実的な議論をしっかり突き詰めていくことであると考えます。
ミサイル防衛については、最近では、極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、そして進化しています。
国民の命や暮らしを守るために何が求められるのか、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討していき、その中で国民の皆様にもしっかりと御理解いただきたいと考えております。もとより、この検討は憲法の範囲内で進めているということ、これは変わりはありません。
以上です。(拍手)