小西洋之の発言 (本会議)

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○小西洋之君 立憲民主・社民の小西洋之です。会派を代表して質問を行います。
 まず、コロナ対策。オミクロン変異株の出現、韓国、欧州での感染爆発など、コロナの脅威が続いています。この間の政府には、何が何でも救えるはずの命、暮らしと経済を守り抜くという使命感、執念が決定的に欠けていました。
 総理が所信演説で、スピード感を持って進めてきたと豪語したワクチン接種も、百六十名の治験を創意工夫もなく通常のプロセスで実施し、結果、欧米よりも約二か月遅れで接種が始まりました。この二か月がなければ今年の夏のデルタ株の猛威による悲劇も避けられたのではないか、総理の見解を伺います。
 日本は感染症の流行期である本格的な冬を迎え、それは高齢者のワクチン接種の効果が減少する時期と重なります。これは何か月も前から分かり切っていたことですが、厚労省によれば、全高齢者への三回目の接種を二回目接種の八か月後から六か月に前倒ししたくとも、ワクチンの継続的な供給のめどが立たないとしています。
 政府がファイザー社と三回目のワクチン接種のための、来年中の一億二千万回分の供給契約を結んだのは十月七日でした。このとき、世界の各国は既に六か月などに前倒しを実行していました。
 岸田総理に伺います。
 ファイザー社との交渉は、官僚が主張していた三回目は八か月後との方針をファイザー社に伝え、それを前提にしてしまったものではないのでしょうか。さらには、再交渉などによって、他のワクチンメーカーを含め、高齢者の三回目接種を前倒しにすることはできないのか、答弁を願います。
 日本は島国であるのに、政府の水際対策は失政の連続であり、政府分科会のメンバーでさえ、デルタ株の水際対策は最大の失敗と公言しています。
 現在、オミクロン株はあらゆる国から流入するおそれがあります。にもかかわらず、政府は、施設待機を入国地域に応じて三日から十日などに差を設け、しかも、あろうことか施設不足を理由に一部を自宅待機に切り替えています。さらには、PCR検査よりも大きく精度に劣る抗原定量検査を空港検疫に用いています。
 政府は、この度、総額五十五・七兆円の膨大な経済対策を準備しました。これを台なしにし、国民に大きな惨禍をもたらすオミクロン株などの流入、蔓延を阻止するために、なぜ待機施設の増強、PCR検査の実施等の水際対策を、このうちのほんの僅かの予算を使って実行できないのか。これが命と経済を何が何でも守り抜くという信念と執念に基づく対策なのか、総理の責任ある答弁を求めます。
 この間、度重なる医療崩壊によって多くの尊い命が失われました。
 なぜ、諸外国のようなコロナの医療体制がつくれないのか。国民の皆さんは唖然とされると思いますが、実は、日本にはコロナにだけ、その医療体制の構築のための法律がありません。他の全ての重大な病気には医療法、がん対策の特別法など体制構築の法律があります。
 では、どうやっているのか。厚労省が都道府県に事務連絡、すなわち行政通知を出して、頑張ってください、何とかつくってくださいと要請しているのです。そこには、国民の命、経済を守り抜くために、国も自治体も何の法的責任も負っていません。体制構築のルールやそれを検証する仕組みもありません。
 本来ならば、新型コロナ医療体制確保法という法律が必要なはずです。これを議員立法でと与党に働きかけましたが、実現できていません。やむを得ず、二月の特措法改正の際に附帯決議で、国が体制構築の基本方針を定め、都道府県が計画的な取組を行い、体制の実効性を検証し公表すること等を定めました。
 岸田総理に伺います。
 与党がやらないのであれば、内閣が法案を出すべきだと思いますが、いかがでしょうか。もし出さないのであれば、私が起草したこの参院決議に基づく第六波に備える医療構築について、第五波における自宅療養者約十三万人、治療・入院等の必要者約二十三万人などの実態を踏まえ、現在どのような十分なる医療体制を構築しているのか、答弁を願います。
 また、日本が大規模な臨時病院の設置ができない最大のボトルネックである医療従事者の確保について、国民の保険料と税金に基づく健康保険法令上の医療従事者の責務を活用する、大規模接種の任務を終えた自衛隊の医官、看護官合計四百名余りにコロナ医療の訓練をお願いするなどが必要と考えますが、総理の見解を伺います。
 立憲民主党は批判ばかりしているという不当な誤った主張があります。私たちが政府の憲法違反や法律違反を追及するのは、その事案のためのみならず、真っ当な政治の下でなければ国民の命や暮らしを守る政策が行われないことが分かっているからです。
 コロナ対策でその重大な例をお示しします。
 特措法三十一条には、コロナ医療の構築のために都道府県知事が医療従事者に協力要請ができると書かれています。医療崩壊を阻止するための切り札の制度です。ところが、菅政権は昨年に各知事の問合せに対し、この条文はコロナでは使えないと回答をしました。その理由は、法律のガイドラインに「地域のほとんど全ての医療機関が診療を休止する」という要件があるからと西村大臣は答弁をしています。
 現に、大阪の吉村府知事は、特措法三十一条は使えないです、国とも協議しましたが、ガイドラインでかなり限定的な場面を想定しています、解釈論としては確かにそうかなとも思いますとの旨を本年一月十五日にツイートしています。
 パンデミックのために作られた特措法がコロナ医療に使えない、そんなおかしな話がと私が確認すると、厚労省の官僚は、確かに、「地域のほとんど全ての医療機関が診療を休止する」とはコロナよりもっと恐ろしいウイルスによって大阪府の医療機関が全滅するような場合などと説明をしました。
 こんな場合はどうすればいいのでしょうか。制度をつくったときの会議録などを調べる必要があります。ガイドラインを作った審議会の資料は今でも厚労省のホームページで見られます。
 その結果、「地域のほとんど全ての医療機関が診療を休止する」とは、空から大阪を見下ろしたものではなく、コロナに罹患した一人の大阪府民の目線で、その近隣の地域においてコロナ医療を提供する医療機関が一つもない場合に知事が医療従事者に協力要請ができるという、ごく当たり前のことを意味することが分かりました。それに初めて気付いたとき、担当の官僚の人は電話の向こうで、あっ、使えるという驚きの声を上げていました。そして、数日後には厚労省幹部が立憲民主党の部会で特措法三十一条はコロナに使えると明言しました。
 この当時、大阪が第三波に襲われていたときでした。吉村府知事は、三十一条が使えないと言われたので、二十四条という効力のない条文を無理やり使って必死に民間病院などへの協力を呼びかけていました。私は、直ちに三十一条が使えるという事実を吉村府知事に伝えるべく、知り合いの維新の議員にお願いをしました。伝達が容易でないと分かると、維新の馬場幹事長のお部屋に資料をお届けし、事務所を通じて丁重なお礼をいただきました。
 しかし、政府は最後まで自分たちの誤りを都道府県に伝えることなく、医療関係者の協力要請の条文を感染症法の法改正で新たに設けるというとんでもない対応に及びました。政府は、感染症法の法改正まで三十一条はコロナに使えないという見解を、吉村府知事を始めどの県のどの知事に伝えていたのですか。総理の答弁を求めます。
 岸田総理は所信演説で、アメリカやEUの新しい経済政策に触れながら、分配による成長、分厚い中間層、人への投資など、立憲民主党がずっと唱えてきた経済方針を大胆に使用しながら新しい資本主義なるものを唱えています。しかし、アメリカでは、企業増税を財源としたインフラ投資、富裕層の課税強化を財源とする子育て、教育支援などの財政出動が企図されています。
 一方で、新しい資本主義における唯一の具体的な分配政策というべき賃上げ税制の拡充は、第二次安倍政権が導入し、ほとんど効果が得られなかった制度の焼き直しにすぎません。岸田政権は、大企業や富裕層を対象とした増税などの真の分配政策に踏み込む決意があるのか、総理の見解を伺います。
 子供の命と尊厳を守る政策について質問します。
 本年の七月二十九日、福岡県中間市の私立保育園に通っていた五歳の男の子が送迎バスに取り残され、熱中症で死亡するという痛ましい事件が起きました。この事件は、園長による単独送迎、出席確認のカードの未回収、降車確認も出欠確認もなされないなど、幾つもの安全管理違反が重なったものでした。
 当日の朝、行ってきますと笑顔で手を振って乗り込んだバスの中で一人で閉じ込められ、どんなに苦しかったか、どんなに暑かったか、どんなに寂しかったか、どんなに怖かったかと思うと胸が張り裂けそうになりますとの母親の言葉に、多くの国民の皆さんが胸が潰れる思いにとらわれたものと思います。
 私も、せめてかけがえのない命に何か報いたいとの思いで関係省庁の皆さんにヒアリングをお願いしました。その結果、保育園には、実はこうした事故を防止するための法律による保育園安全計画がないことが分かりました。
 文科省が所管する全ての幼稚園には学校安全法に基づく幼稚園安全計画があります。しかし、厚労省が所管する保育園の児童福祉法にはこうした安全計画の策定義務がないのです。霞が関で最もレベルの低い行政通知の中で事故防止マニュアルの作成が触れられているだけです。両者とも同じ年頃のいたいけな子供たちを預かる施設なのに、こうした違いはあってはならないはずです。
 その結果、八月末の政府の再発防止の事務連絡は、保育園のためのものなのに、その参考に幼稚園安全計画の資料が添付されているという絵に描いたような縦割り行政がなされています。
 さらには、去る十二月二日に発表されたこども庁創設に関する政府の基本方針案においては、子供の事故防止はこども庁が担当することになっていますが、具体的な対策は消費者庁や内閣府の既存施策の充実のことしか書かれていません。
 野田聖子こども政策担当大臣にお伺いをいたします。
 私は、事件直後から二度にわたって、厚労省と内閣府の官僚の皆さんに、幼稚園と同様の保育園安全計画の策定を義務付ける法改正をお願いしました。もし着手してくれていれば、この臨時国会に法案が提出でき、制度の施行が来年の春の入園の時期に間に合ったと思います。
 しかも、園児を性犯罪から守る児童福祉法の改正案が次期通常国会に提出されるのに、その中では保育園安全計画は手付かずとなっています。どうか大臣のお力で厚労省を調整し、後藤厚労大臣とも協議をいただき、こども庁設置を待つまでもなく、来年の通常国会に保育園安全計画の法改正を実現していただけないでしょうか。亡くなった男の子とお母さん、全国の三万八千六百六十六か所の保育園に通う園児たちとその保護者のために、心よりのお願いを申し上げます。
 二〇一三年に立法されたいじめ防止法は、いじめ自死などの重大事態の事後対応の法律のように報じられていますが、それは大きな間違いです。
 いじめ防止法は、いじめ自死ゼロとするために、いじめの予防、早期発見、事案対処の三つの対策をめぐる学校現場の長年にわたる構造問題を解決すべく、複数の教職員が参加する学校いじめ対策委員会がチームの力で子供をいじめから救い出すこと、いじめが起きにくい・いじめを許さないクラスや学校づくりを計画的に行うための学校いじめ防止プログラムの実行などを定めた法律です。
 しかし、これらの要の対策が学校現場に浸透せず、自死事件の調査報告書には、法律と文科大臣の基本方針が求める対策さえなされていればとの趣旨の指摘が繰り返され、昨年からも、東京町田市の小学校六年生の女児の自死事件、北海道旭川市の中学二年生の女子生徒の凍死事件などが続いています。
 この度、旭川市の女子生徒の母親の、娘をどうすれば助けてあげられたか、今も分かりませんとのインタビューの言葉に胸が塞がる思いがいたしました。
 文科大臣の基本方針には、学校は、学校いじめ対策委員会の組織や役割などの対策について、学校のホームページで公開し、その内容を、必ず入学時、各年度の開始時に児童生徒、保護者に説明するとの旨が明記されています。この必ず説明するを含む記述は、立法者の私が文科省にお願いして入れてもらったものです。
 末松信介文科大臣に伺います。
 今日この瞬間も全国の多くの教育委員会や学校の職員がいじめ防止法を正しく理解せず、場合によっては関知すらせず、その下で、今この瞬間も多くの子供たちがいじめによって自死に追い込まれようとしています。
 校長の下の縦型社会であり、担任クラス制という縦割り社会でもある学校現場を変えるためには、全国の教職員と教育委員会の職員が文科大臣の基本方針を一度は通読していじめ対策の認識を根本から改善する、全国の学校いじめ対策委員会が過去の悲惨な重大事態のケーススタディーを行い、自らの責任と役割を具体的に認識する、子供たちに子供たちから見た学校いじめ対策委員会の存在やその役割の認知に関するアンケートを行うなどの、いじめ防止法の実効性確保に必要不可欠な対策を直ちに実施していただきますようお願いを申し上げます。
 災害対策を伺います。
 屋根を修理するなら、日が照っているうちに限る。総理の所信表明演説でのケネディ大統領の言葉の引用に思わず息をのみました。
 今から二年前、二〇一九年九月九日の台風十五号災害の際、安倍政権の失政、過ちにより、私の地元千葉で多数の家屋がブルーシートの設置がなされず、大きな被害が生じたからです。
 当時、外交防衛委員会所属であった私は政治的調整を行い、防衛省に二千名の自衛隊のブルーシート設置部隊を創設していただきました。しかし、それには政府の内閣府防災などによる大きな抵抗がありました。ブルーシート設置の災害派遣要請の発動から一週間後の九月二十二日の日曜日の夜、南房総の鋸南町にお願いして出していただいた増派要請をてこに、千葉県全県にわたっての増派を実現することができました。増派された自衛隊部隊は、たくましくブルーシートの設置を進めてくれました。防衛省はその任務を調整する事務官を二名、千葉県に派遣してくれました。
 しかし、千葉県内でブルーシートの設置が必要な災害弱者以外の一般家屋が約千七百軒あるのに、晴れ渡った青空の十月一日における自衛隊部隊の稼働はゼロ人という驚くような事態が生じました。これは、当時の森田県政が、自衛隊は高齢者などの災害弱者の家のみにブルーシートを設置し、一般家屋は設置しなくてよいという災害対策基本法、災害救助法にも違反する要請を行い、安倍政権もそれを追認していたからです。
 私はやむなく災害対策特別委員会で質疑を行いましたが、防災担当大臣が動いてくれることはありませんでした。私が防衛省にお願いし、現地の自衛隊は一般家屋もブルーシートを設置をしますと千葉県、内閣府に内々に意思表示してくれましたが、拒否されています。また、張ったブルーシートは剥がれます。屋根の本格修理まで張り直しも自衛隊はやりますと防衛省は国会答弁をしてくれましたが、内閣府が調整に動くことはありませんでした。南房総には今でも剥がれたブルーシートの朽ちた家屋があり、多くの救われた暮らしの一方で、救えたはずの多くの暮らしが失われました。
 岸田総理に伺います。
 コロナと同様に、災害対策にも救えるはずの暮らしと財産を何が何でも救い切る、そうした信念と執念に基づく実行が求められます。災害大国の日本にあって、寄せ集めの組織となっている内閣府防災の体制を、各省の優秀な官僚の併任を掛けて、いざというときに最大限の効力が発揮できるようにする、当時は派遣人数ゼロだった地方自治のスペシャリストである総務省の旧自治部局の官僚の皆さんを被災自治体への派遣要員として登録しておく、何よりも防災担当の政務三役は実務の能力に優れた人材を任命するなどの必要について、見解を伺います。
 また、将来に備えて、自衛隊の災害派遣任務の一環としてブルーシートの設置訓練を行っていただきたいと思いますが、総理の見解をお伺いします。
 次に、尖閣諸島問題について質問します。
 中国海警局による領海侵犯が増加しています。これに対し、海上保安庁は、地政的な利点も生かし、常に巡視船の数、火砲の数などで優位を保つ努力を続けているとしています。すなわち、尖閣諸島を守り抜く方策の要諦は、海上警察力の常時優勢の確保と現場の緊張緩和を導く外交努力です。
 ところが、海上保安庁には、その巡視船、航空機などの整備計画がありません。平成二十八年の関係閣僚会議申合せ、ページ数で僅か四ページ、尖閣警備に関する記述は僅か八行のぺらぺらの文書を毎年財務省に提出して、涙ぐましい予算要求をしています。その結果、尖閣警備の最新鋭の大型巡視船を停泊させる岸壁が足りない、多数の老朽船を抱えるなどの問題が生じています。
 こうした問題意識から、立憲民主党は、本年六月に、海上警察力の計画的整備による海上保安体制の強化と自衛隊との必要な連携を措置した領域警備・海上保安体制強化法案を提出いたしました。
 岸田総理にお伺いします。
 この間、報道によれば、自民党は、海上保安庁に軍事的役割を求める国防部会と海上警察力による対処を主張する国交部会が論争して、法案はおろか、政党としてのまとまった政策方針すら出せていないとのことです。政府として、法律により、あるいはせめて自衛隊の中期防衛力整備計画のように閣議決定により、尖閣を守り抜く海上保安体制の強化を貫くその強化計画を定める必要があるのではないでしょうか。総理の見解をお伺いいたします。
 昨日、十二月の八日は真珠湾攻撃から八十年となります。百年兵を養うはただ国家の平和を守るためである。百年兵を養うはただ国家の平和を守るためである。真珠湾攻撃を立案、指揮しながら、最後まで圧倒的な国力差のアメリカとの開戦に反対し、外交交渉に望みを託しつつ、開戦あり得べしと主張する部下を叱責した山本五十六長官の言葉です。
 そして、この日米開戦の果ての最大の惨禍である広島の原爆の慰霊碑には、「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」と刻まれています。広島市は、この碑文の「過ち」とは、核兵器の使用だけでなく、その原因となる戦争そのものを指すと説明しています。
 岸田総理は所信演説で、敵基地攻撃能力の保有の検討について初めて言明しました。一般に、敵基地攻撃能力には爆撃機、ミサイル兵器によるものなどが指摘されていますが、そうした敵基地攻撃能力のための実力は安保法制の下の集団的自衛権行使にも使用できることになるとお考えでしょうか。
 岸田総理は所信演説で、国民に丁寧に説明を行い、理解を得るための努力を尽くし、国民とともにある外交・安全保障を進めると述べました。
 これは、外交防衛委員会において、昭和四十七年政府見解の中の外国の武力攻撃という文言の曲解による九条解釈の基本的な論理の捏造という、法解釈ですらない不正行為による絶対の憲法違反である集団的自衛権行使の容認の追及などに対し、苦渋の答弁拒否を繰り返す外相時代の岸田総理と向き合ってきた私からすると驚きを禁じ得ないお言葉ですが、本来、他国領域への打撃力である敵基地攻撃能力は個別的自衛権の議論のはずが、それを保有しさえすれば集団的自衛権に使えるのであれば、完全に専守防衛の範囲を逸脱し、国の形を大きく変えることになります。
 テレビの向こうの国民の皆さんに分かるように、また、戦争の過ちは繰り返しませぬからとの慰霊の誓いがささげられた広島の原爆犠牲者に届くように、岸田総理の明確な答弁を求めます。
 文書通信交通滞在費の改革について質問します。
 立憲民主党は、十一月十七日の政治改革部会で、文通費の日割り、十月分の百万円などの国庫返納、領収書付き使途報告・公開を機関決定し、十二月七日に歳費法改正案を国会提出しました。
 このうち、総額三億円にも至る文通費の国庫返納は立憲が最初に提案させていただいたものであり、さらには、立憲案には、歳費の日割り支給の例外となっているこの度の衆院解散時の総額八千万円の衆院歳費の国庫返納、使途報告の透明性確保の条文も措置しています。
 一時期、立憲民主党が使途報告に後ろ向きなどという完全な誤解に基づく批判がありましたが、私は、法案担当の政治改革副部会長として、立憲民主党こそが真の改革政党であるとの思いで立案をさせていただきました。
 岸田総理には、自民党総裁として、この文通費の使途報告などの改革のリーダーシップを発揮していただきたいと願いますが、総理の決意をお願いいたします。
 なお、残念なことに、国会では、こうした行うべき国庫返納は容易に進まず、国民の皆様の良識からして疑問を持たれるような国庫返納が行われています。
 国民の皆さんは余り御存じないことかも思いますが、参議院議員にだけ適用される歳費の自主返納法というものがあります。これは、参院選挙区の合区で議席を失ってしまう自民党議員の救済という、当時、全てのマスコミが批判した究極の党利党略である二〇一八年の参院定数六増法の強行採決によって、参院議員の定数が六人増えた分のコストを現職の参議院議員がその歳費を自主返納して賄うという制度です。立憲会派は、そんな世界で唯一の恥ずかしい制度をつくるならと、衆参の議員の歳費の一律の引下げ法案を提出しましたが、否決されました。
 実は、当時、立憲会派の功績で、衆議院もできていない年間約二億円のペーパーレス化などのコスト削減の改革を実行、実現しています。実は、参院歳費の自主返納法はこの二億円の削減を前提に再提出されたものであり、毎年の返納の基準額はこの二億円分のげたを履かせることが前提になっています。このことは、当時、議院運営委員会などの審議に提出した私のコスト削減案の配付資料、あるいは当時の会議録などで明らかです。
 しかし、こうした事実を御存じないのか、日本維新の会の一部の議員の方々は、あくまでも完全な自主返納であり、自主返納を行わない議員や会派を批判してはならないという法案審議における自民党の発議者答弁に反し、自主返納を行っていない会派などに対して、違法ともいうべき批判を繰り広げています。
 なお、現在の自主返納の総額は年間約一・四億円ですが、この立憲会派の改革の力による、それをはるかに上回る二億円の削減、これは我が会派の五倍の二百十六名分の自主返納額に相当しますが、これがなければ、日本維新の会の先生方の自主返納額は途方もない金額になっているところです。身を切る改革を主張する前に、国会議員であるならば、まずは真の改革力によって国会経費、行政経費の正しい無駄の削減を堂々と実現をしていただきたいと、心より切に願います。
 本来は、貴重な代表質問でこのような問題を取り上げたくはありませんでした。しかし、日本政治がポピュリズムに陥るのを阻止しなければならない、戦前の教訓を筆頭に、ポピュリズムほど国民の皆さんに最大の不幸をもたらすものはない、私たちは堂々たる民主主義を守らなければならない、そうした信念で皆様に申し上げさせていただきました。
 私は、この度、参議院憲法審査会の会長代理、野党側の筆頭幹事を拝命しました。憲法審査会がまず取り扱うべき課題は、さきの通常国会で成立した改正国民投票法の附則が定める国民投票運動における放送局のCM規制、インターネット上の広告規制などの対処です。これらについて国民投票法の法改正がなされない限り、改憲発議は法的に許されないという附則の提案者答弁が確定しています。また、これと同趣旨の与党発議者の答弁もいただいています。
 さらに、そもそも国会法百二条の六の冒頭で定める憲法審査会の本来任務とは、憲法及び密接に関連する基本法制への調査、すなわち、立憲主義、法の支配の回復のための憲法違反や違憲立法の調査審議です。この点、我が参議院の憲法審査会においては、幹事会協議事項として、安保法制を始めとする第二次安倍政権以降の違憲行為の検証が積み上げられています。
 その上で、我々立憲民主党は、これら憲法尊重擁護義務に基づく任務を考慮しても、またそれと並行しても、なお国民にとって真に必要な憲法論議ならば、それを行う用意はあります。例えば、参議院の合区の廃止、衆議院議員が任期満了した際の大震災などにおける国会機能の確保については、憲法改正によらずとも、国会法及び公選法の改正によって解決する方策もあると考えています。
 以上を踏まえて、改めて総理の憲法改正に関する見解をお聞かせください。
 以上申し上げましたように、私たち立憲民主党は、批判のための批判などは一切行わず、むしろ政策提言にとどまることなく、国民の皆さんの命と尊厳を救うための政策を実現するために、法案提出のみならず、日々政府を動かす努力を全力で頑張っています。そして、現在の政府・与党ではどうしても実現することができない社会保障や経済政策などの構造転換を図る国家戦略を構想し、それを政権交代によって実現したいと懸命に努めております。
 一方で、私のかつての霞が関の同僚や後輩は、国民の命が懸かった野党議員の質問に対する答弁拒否の答弁書を心の中で泣きながら書いています。
 私も、かつて官僚として大臣答弁を何百本と書きましたけれども、私の時代には、今の政府が行っているような答弁拒否の答弁書を作る、そのようなことはただの一度もありませんでした。質問主意書の答弁案を内閣法制局に審査にお持ちすれば、内閣法制局から、答弁漏れである、しっかり答弁しなさい、そのような御指導もいただいておりました。
 安保法制以降、日本政府の中の法の支配が今、完全に崩壊をしています。子供たちにまともな民主主義を取り戻さなければいけません。まともな民主主義の下でなければ、正しい、命と尊厳を信念と執念を持って救う正しい政策は実現されません。そうでなければ、私たち国権の最高機関、立法府の責任を果たすことはできません。
 どうか、良識の府のこの議場に集う先輩、そして同僚の皆様に、どうかこれからの時代、この八年間の安倍政権、一年間の菅政権、そして今始まっている岸田内閣、今は残念ながら法の支配と立憲主義の否定は続いています。これを再生して、その同じ土俵の下で堂々と政策議論をして、国民の皆さんのための政策を実現していく、その立法府を取り戻す、そのための取組を皆様にお願いをしたいと思います。
 私たち立憲民主党は、子供たちにまともな民主主義を取り戻し、命と暮らしを守る政策を実現する新しい政治をつくる。その決意を申し上げまして、私の代表質問を終わらせていただきます。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕

発言情報

speech_id: 120715254X00220211209_002

発言者: 小西洋之

speaker_id: 27444

日付: 2021-12-09

院: 参議院

会議名: 本会議