有村治子の発言 (本会議)
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○有村治子君 自由民主党の有村治子です。
私は、自由民主党・国民の声を代表し、岸田内閣総理大臣の所信等に対し、質問をいたします。
中国武漢での新型の感染症が報告されてから、ちょうど二年がたとうとしています。差し迫る公衆衛生の問題として、世界各国が相次ぐ変異株を警戒する中、政治、経済の文脈においても、日本や世界が感染症発生源である中国とどう向き合うのか、重い命題を突き付けられています。
コロナ禍におけるこの二年、私は、特に経済安全保障、尖閣諸島を始めとする国境離島や沖縄、台湾を含めた海洋政策、科学技術政策についてアンテナを張ってまいりました。経済安全保障、科学技術政策、海洋安全保障の三分野は、いずれも米国と中国の緊張が高まる分野であり、日本の安全と繁栄を堅持するために避けては通れない分野だと考えています。
同時に、統治の在り方として、自由、民主主義、法の支配、人権やプライバシーの尊重という価値観と、専制主義、覇権拡張主義、監視統制を強める効率重視の価値観が相克し、日本の立ち位置や真価が試される重要分野でもあります。
深刻な危機に直面するときにこそ、各国の国柄や特徴、その本質が凝縮して浮き彫りになることがあります。我が国に関して言えば、平時、日本は世界で最も治安が良く、自由で豊かな国ではあるものの、一たび誰も予想だにしていなかったレベルの危機が生じると結構もろい、少なからずの脆弱性を抱えていることが露呈しました。
平時の社会機能が安定し充実していることは日本の強みではありますが、ともすると平時の感覚や慣性から抜け出しにくく、機動力のある有事の対応が打ちにくい難しさがあります。
世界中が欲しがり、各国が囲い込みに動き、法外なお金を積み増し、頭を下げてでも入手したい、できれば自国で内製化しておきたい製品を戦略物資と定義するならば、昨年はこのマスクが戦略物資となりました。
一番安く、効率的に生産できる国に量産をさせ、できるだけ安価でタイムリーに輸入すればよいという経済合理性を重視してきた日本において、従来数円で入手できていた汎用品でさえ、他国に囲い込まれ、生産や流通をコントロールされてしまう現実を前に、医療安全保障という概念が切実な政治課題となりました。国民の命と健康を守るための急所を他国に依存するわけにはいかないという警鐘です。
そこで、国産ワクチン開発について伺います。
歴史に鑑みれば、破傷風菌、ペスト菌などの研究で国際的にも大きな功績を残された北里柴三郎氏など、かつて日本は感染症研究において世界に貢献できる実力を有していたはずです。事実、今でも薬を自国で開発できる能力を持つ世界有数の創薬国の一角を占めます。にもかかわらず、なぜ日本で国産ワクチン、治療薬がまだ開発できないのか、国民の多くが持たれる疑問です。
幸い日本には経済力がまだあり、米国や欧州諸国から国民に必要な量のワクチンを何とか購入することができてはいるものの、国民一人当たりのワクチンを一体幾らで買わされているのか、その価格を公表してはならないと契約で厳しく規定されています。
例えば、ヨーロッパで作られたワクチンを域外に持ち出すことに審査を課したEUの囲い込みもあり、ワクチンがいつ、どのくらい日本に入ってくるのか、そのめどが立たないことで大規模接種、職域接種等に協力をしてくださった国民皆様の善意が落胆に変わり、いっときは内閣支持率を下げるほど綱渡りの時期もありました。
安全性、効果への信頼性にたけたワクチンの開発、量産にいち早く成功したフロントランナーは莫大な利益を手にし、誰にいつ、どのくらいのワクチンを幾らで供与するのか、その裁量権を持つ国や企業が世界に対して強大な交渉力、発言力、外交力を持ちます。ゆえ、先進国はこぞって、強い政治的意思と意図を持って、ワクチン開発の量産に巨額の公費を投入してきています。
世界各地に軍隊を駐留させる米国は、感染症対策を一貫して重視しており、米中を始めとする各国は、生物化学兵器、テロへの対応力を含めて、まさに国の安全保障の一環として自国でのワクチンの開発を継続的に進めています。同時に、主要国は、国民の富をつくる成長分野として自国の創薬力を上げる産業政策をてこ入れしています。
その一方、日本においては、そもそも公衆衛生のレベルが高く、他国を襲ったSARS、MERSのようなパンデミックが幸いにも国内で発生せず、また炭疽菌によるテロも起こっていません。皮肉にも、このような負の経験がなかったことが、結果として感染症に国家として備えるという力、警戒心を弱くしていたという反省があるかもしれません。
日本のワクチン開発が、アメリカ、イギリス、中国、インドなどに後れを取った背景には一体どんな要因があったのか。感染症対策を純粋に公衆衛生の問題としてしか認識していなかった日本と、これを安全保障を基盤とする産業政策と捉え、日々怠りなく精励してきた国々との根本的な認識の違いが、危機に際しての機動力に差を付けたのではないでしょうか。経済合理性と危機管理のバランスをどのように調整し、国民の理解を得るのか、政治と行政の真価が問われているようです。
ワクチンの開発は、安定した製品を最初に開発したトップランナーが格段に大きな利益を得る先行者利益が激しい特徴があります。トップランナーとなった企業や国は、国内外で大規模治験の協力を得ることができ、同時に、ワクチンの副反応や性別、年代、人種や民族による効果の違いや効力持続期間など、膨大なデータを集めることができます。
このデータ自体が宝の山であり、当該製品が世界で使われれば使われるほどデータの信頼性も上がり、製品の価値が更に上がる。トップランナーが、技術力、交渉力、資金力のみならず、データにおいても覇権を握ってしまう構図をかいま見るにつけ、このワクチン開発や創薬が生き馬の目を抜くような熾烈な国際競争と国際協調の場であることを思い知らされます。
投入する予算の規模、研究主体の競争優位、緊急時の政治、行政の意思決定スピード、使命感や公益性を懸けた産学官の連携など、まさに国家としての総合力が問われている分野であり、日本はこのチャレンジを受けて立つ体制を構築できるかどうかの分岐点に立っているのではないでしょうか。
自由民主党は、さきの衆議院選挙に向けた公約の大きな柱として、経済安全保障の強化を掲げて選挙に臨み、自民党の各部会でその具体案を論じてきました。今回、ワクチン開発及び安定的な生産能力の確保、構築に向け、五千億円規模の予算を計上した国の意思を明確に支持いたします。
その上で、経済安全保障担当大臣に伺います。
ワクチン開発において日本がなぜ後れを取ってしまったのか、政府はこの手痛い経験をどう分析されておられるのでしょうか。
また、先行者利益が大きいワクチンの開発において現在後塵を拝している日本が、それでもなお将来に向けて国産化にこだわっていく動機はどこにあるのか、納税者の理解が進むように御説明をください。
加えて、この五千億円に上る予算によって、今後何がどう変わり、将来的にいかなる果実が国民にもたらされるのか。経済安全保障、医療安全保障の観点から、以上三点、小林大臣に伺います。
自衛隊の任務とワクチン接種について伺います。
今年七月、静岡県熱海市で大規模な土石流災害が発生した際には、延べ九千七百人の自衛官が現地に派遣され、救援活動等に従事されました。被災された方々、犠牲になられた御霊を悼み、救助に当たっていただいた皆様に心を込めて感謝の念を強めます。
このとき、熱海に派遣された自衛官のワクチン接種率は僅か一割でした。猛暑の中、腰までつかるほどの泥やぬかるみと闘い、ただひたすら行方不明者の捜索や御遺体の収容等を行った自衛官が、接種を受けられないまま感染リスクが高い三密での救助活動を続けられたと思うと、何とも忍びない思いです。
度重なる雨で地盤が緩み、二次災害の危険もある中で人命救助に当たる自衛官すら優先接種の対象となっていなかったことが、果たして適切だったのでしょうか。
自衛隊の第一義的な任務は、我が国の防衛です。寝食を共にして警戒監視を続ける艦船や潜水艦は閉鎖空間が多く、より徹底したコロナ対策が必要なはずです。
例えば、急遽の代替要員が確保しにくい中で国境監視を続ける海上保安官、長期にわたり洋上で離島防衛の任務に就く自衛隊艦船の乗組員、災害救助の前線に立つ自衛官等の緊急度、必要度を精査し、優先接種の仕組みを整えるべきだと考えます。自衛隊の最高指揮官であり、危機管理の先頭に立たれる総理のお考えを伺います。
続いて、自衛隊の任務について伺います。
日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す昨今、主たる任務以外の業務で自衛隊に負荷が掛かり過ぎていないでしょうか。例えば、口蹄疫や豚熱における牛や豚の埋却や、鳥インフルエンザにおける何十万羽もの鳥の殺処分、冬季国体スキー会場等への雪の設営。自衛隊にあれもこれもと出動を依頼することが半ば当たり前のようになってきていることを案じます。
自衛隊派遣には規律ある原理原則があるはずです。自衛隊ならではの国防任務の重要性と大規模災害等での貢献に鑑みれば、自衛隊の主たる任務から遠く離れて相当な負荷を現場に強いる業務に自衛隊を駆り出すことは慎重に勘案されるべきだと考えます。どのような基準で自衛隊派遣を考えればいいのか、防衛大臣の御見解を私たち国民にお聞かせください。
日本の稼ぐ力、国際競争力の凋落が指摘されている今、岸田総理は、成長戦略のトップに科学技術・イノベーション分野を明示されました。
平時において今ほど科学技術力が国家の盛衰を規定する時代はかつてなかったのではないかと感じてしまうほど、先進国はこぞって科学技術分野に大胆な投資をしています。
技術覇権と自国に有利な技術やシステムの国際標準化を狙う米国、中国、欧州はもちろんのこと、各国は大学院博士号を取得した優秀な人材を競い合って獲得しています。
人口百万人当たりの博士号取得者数は、イギリスが三百七十五人、ドイツが三百三十六人、韓国が二百九十六、次いで米国が二百八十一、そのはるか後塵を拝する日本は、米国の半分以下であり、トップを走るイギリスの三分の一以下となる百二十人です。この二十年間で主要国が皆、国の繁栄を懸けて博士号取得者を増加させている一方、日本だけが博士号取得者数を減少させています。
なぜこのような厳しい状況に陥っているのか。そもそも、日本においては博士課程に在籍する人を正当な対価を支払うべき専門家、社会の価値を創出する金の卵だと認識しているのか、それとも、授業料を払ってくれる学生、安く使える労働力とみなしているのか。すなわち、お金を払う対象なのか、お金をもらう対象なのか、多くの人にヒアリングを重ねても、いまだ判然としません。
私自身、最近ふと気が付き、痛感をしているのですが、日本には、博士号取得者をどのくらい養成し、その専門性を国の活力ある未来のためにどのように活用するのかという定見、ビジョンともいうべき国家戦略が見当たりません。だからこそ、ポスドク問題のような研究者の深刻な就業問題が生じており、高度人材の海外流出も顕在化しています。
国家公務員制度においても、博士号を取得した人材を積極的に登用し、その優れた専門性を行政組織の刷新に主体的に生かすインセンティブはほとんど機能していないように見受けられます。
日本の科学技術力の下落に危機感を持つ自民党は、昨年から政府各府省に熱意を持って働きかけ、世界に伍する大学を支援する十兆円ファンドという新しい枠組みが創設されました。その一環で、この度の経済対策においても、博士課程に学ぶ学生が研究に専念できる環境を実現するための予算が計上されており、この十兆円ファンドは、日本の科学技術力の再起に向け何としても実効性を上げ成功させたい、希望の礎だと認識しています。
日本が引き続き先進国の一角を占め、科学技術立国を名のろうと決意するのであれば、特に理工系の博士号取得者を大学研究職に限定せず、能力に見合う処遇で産業界や公官庁でも活躍できる、みんなに見える確かなキャリアパスを産学官が必死になって築くべきです。
いやいや、博士号取得者なんて頭が固くて使いづらい、まだ修士号取得者の方が潰しが利いて使いやすいとの従来どおりの社会認識が続くようであれば、日本は科学技術の先頭集団から脱落し、中進国に甘んじることになるのも時間の問題だと認識します。
経済安全保障の主要課題は、科学技術の戦略的優位を磨くこと、技術力を稼ぐ力に進化させ、実際に富を生んでいく仕組みを回すこと、日本や同盟国の先端機微技術が他者、他国から窃取されることを防ぎ、知的財産や国際競争力、軍民両用に使われ得る技術を守り抜くことです。これらを担う頭脳に、各国は、学術的な訓練を積んで高い課題解決能力を持つ博士人材を充てています。
小林大臣、なぜ日本だけ博士号取得者が減り続けているのでしょうか。日本の大学が大学研究職のみならず社会のニーズに応え、実業界でも通用し、高く評価される博士人材を輩出できるよう抜本的に進化を遂げるためには一体何が必要だとお考えでしょうか。
また、博士号を取り巻く極めて厳しい現状を直視し、日本が再び科学技術立国として世界に冠たる先端技術や産業競争力を回復するために、小林大臣の下で博士号に対する国家ビジョンを明確に打ち立てていただきたいと提案いたしますが、いかがでしょうか。科学技術担当大臣に伺います。
今年六月十一日、この参議院本会議場において、世界保健機関(WHO)の台湾への対応に関する決議が採択されました。国権の最高機関である国会において、参議院を構成する全会派、すなわち自由民主党・国民の声、立憲民主・社民、公明党、日本維新の会、国民民主党・新緑風会、日本共産党、沖縄の風、れいわ新選組、碧水会、みんなの党、そして各派に属しない議員も含めた総意として、全会一致で決議を可決しています。
私自身も、筆頭発議者として決議案を提出し、与野党の心ある同僚議員とともに各会派の合意形成に向けて主体的に動きましたが、感染症の収束を願い、参議院が一致して国際防疫という世界的価値に向けての台湾参画の意義を訴え、意思を明確にできたことは本当に良かったと思っています。
この決議は、日本政府に対し、台湾がWHOの年次総会にオブザーバーとして参加する機会が保障されるよう、関係各国に強く働きかけることを求めています。
立法府の参議院が全会一致で日本政府に求めた重い要望を総理はどのように受け止められ、外務大臣は関係各国にいかに働きかけてくださるのか、御見解と方策を伺います。
近年、この参議院決議と同じような趣旨で、台湾WHO参加を支持する決議や、中国政府による人権侵害に関する決議等が各地の地方議会において採択されています。その後、当該地方議員や議会関係者が、中国大使館の参事官や中国領事館の副総領事、政治部主任等を名のる人物から直接抗議や名指しで威圧されていることが報じられており、私自身も複数の議会関係者から証言を得ています。
日本は、思想信条の自由、表現の自由を尊ぶ民主主義国であり、国会であれ地方議会であれ、議会の正統な手続にのっとった意思表明は、他国の干渉や圧力を一切受けることなく、あくまで自由意思に基づいて行われなければなりません。そうでなければ、他国政府による内政干渉を恒常的に許すことになり、これは健全な議会運営を毀損し、民主主義を脅かします。地方議会で不安を覚えながら奮闘している議会人に対する威嚇の実態を政府として把握し、中国当局によって行われている威嚇の実態を国民の前に公表すべきだと思います。
地方議会の自由意思と安全を守り抜く日本政府の毅然とした態度こそ、我が国の民主主義や独立主権を堅持することにつながると確信をいたします。総理の御賢察を伺います。
日本は、六千八百五十二の島々から成る海洋国家です。島が存在していることによって我が国の排他的経済水域が形成され、人々が安心して島に住むことで日本の領土、領海が保全され、国境や漁業権が守られていることを考えれば、島の数を正確に把握し所管することは国益に関わる大事な行政です。
では、沖縄に島は幾つあるのでしょうか。沖縄県のホームページには百六十の島々が点在すると記述されている一方、海上保安庁調査に基づく政府見解では、沖縄の島の数を三百六十三と発表しています。現在、島の数え方にダブルスコア以上の乖離が生じています。
海洋国家日本の領土、領海を守り、また、国際法で担保されている我が国の排他的経済水域における権益を維持するためにも、私はこれまで、政府発表と地元自治体で公表する島の数に大きな乖離があることは健全ではなく、見解を一致するべきだと幾度となく訴えてまいりましたが、正式な回答がなかなかいただけません。
そこで、沖縄県は一体幾つの島から構成されるのか、政府の確立した最終統一見解を総理に伺います。
次に、私がライフワークとしている保育、幼児教育、子育て支援について伺います。
この度、総理は、新しい資本主義の実現に向けた分配戦略の一環として、看護、介護、保育、幼児教育などの現場で働く方々の収入の引上げを打ち出され、保育士等を対象に収入を三%、月額九千円引き上げることを表明されました。
幼子の命と健康を日々守っておられる保育の現場は、感染症対策の三密を意識しながらも、泣く子をおぶって、だっこして、離乳食を口に入れて、嘔吐物の衛生管理も徹底しながら、人の濃密な関わり合いによって運営をされています。多くの国民が新型コロナウイルスにおびえていた昨年最初の緊急事態宣言下、全国の学校一斉休校のときでさえ園を開き続け、エッセンシャルワーカーの子女も含めて子供の心身を守った現場の貢献には本当に頭が下がるものがあります。
総理が強いこだわりを持って打ち出された今回の国主導の処遇改善は、実際に先生方お一人お一人の手元に行き渡るような制度設計にしていただきたく、切にお願いを申し上げます。
加えて、経済的な処遇改善だけではなく、幼児教育、保育に携わる先生方に対する社会的敬意が向けられるよう、引き続き社会を担う専門職に敬意を持った前向きな発信をしていただきたいと存じます。併せて総理の御見解を伺います。
さて、日本は、来年五月十五日、沖縄が本土に復帰してからちょうど五十年という節目を迎えます。
さきの大戦末期、戦闘を続ける力も果てた沖縄戦において、大田實海軍司令官は、東京の海軍次官に宛てて最後の打電をし、自決されました。「沖縄県民斯く戦えり、県民に対し、後世、特別の御高配を賜らんことを」と記された電文には、兵士のみならず、非戦闘員である老若男女が、着のみ着のまま必死に戦われた様子が克明に記されており、沖縄戦の熾烈さを今に伝えています。
吉田茂首相が署名し、昭和二十七年四月二十八日に発効したサンフランシスコ講和条約によって、それまで米軍に代表される戦勝国によって占領統治を受けてきた日本は、晴れて独立国家としての地位を回復し、国際社会に復帰しました。日本の独立主権を回復した歴史的な日です。
同時に、講和条約が発効したこの四月二十八日は、沖縄が奄美や小笠原とともに引き続き米国統治下に置かれ続けることが決定的になった日でもあり、沖縄においては複雑なお気持ちがあることにも真摯に心を添わせます。沖縄は、この日から更に二十年間、戦後から数えると実に二十七年もの長きにわたって米国の施政下に置かれました。
昭和三十九年の東京オリンピックでは、米国統治下の沖縄から聖火リレーが始められ、翌四十年、内閣総理大臣として戦後初めて沖縄を訪れた佐藤栄作総理は、沖縄の祖国復帰が実現しない限り我が国にとって戦後は終わりません、この思いは日本国民全ての気持ちであり、本土の同胞を代表して、これを皆さんにお伝えしたくて私は沖縄訪問を決意いたしましたと那覇飛行場で演説をされています。
沖縄においても、祖国復帰期成会や祖国復帰協議会等が結成されて復帰への機運が高まり、国民的悲願であった沖縄の本土復帰は、ついに昭和四十七年、一九七二年五月十五日に実現をしました。
この沖縄復帰によってこそ、日本は四十七都道府県全てにおいて主権を回復したことになり、これは、真の意味で日本が国家としての主権回復をやっと成し遂げられた歴史だと言えるかもしれません。
戦中戦後に沖縄がたどった歴史に思いを致し、沖縄と日本全体がお互いに深甚な努力を続けて実現したこの歴史を深く記憶にとどめ、来年の本土復帰五十年の節目が真に国民的理解のある沖縄繁栄の新たな出発点となるよう願っております。
今月に入り、沖縄県議会においても、又吉清義議員や島袋大議員が沖縄復帰五十年の在り方について質問に立たれています。日本政府においては、沖縄県の意向に真摯に耳を傾け、沖縄としっかりと手を携え、日本の意思として沖縄本土復帰五十年の記念式典を最高位の真心を持って開催していただきたいと考えます。
また、沖縄が琉球時代から培ってきた高い文化や、戦中戦後にたどった歴史への国民的理解を深めるため、政府におかれては、例えば記念切手の発行など、この数年で各省庁が実行できる記念事業を御検討いただきたいと提案をいたします。総理の御見解を伺います。
以上、様々な分野の質問を重ねましたが、全ての質問に共通するのは、かけがえのない守るべき価値をしっかりと守り抜く日本の態勢が構築できているかどうか、そのための私たちの努力に不足なかりしかという素朴で根幹的な自問です。
心休まるときもなく、日々コロナの難しい国家のかじ取りに向き合っておられる総理と岸田内閣の御活躍を念じ、日本の未来に向けて共に責任を負う与党自民党の役割を自らに言い聞かせ、自由民主党、有村治子の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕