小林正夫の発言 (本会議)
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○小林正夫君 国民民主党・新緑風会の小林正夫です。会派を代表して、岸田総理の所信に対して質問いたします。
初めに、総理が目指す社会について伺います。
バブル崩壊から三十年余りがたち、その間、我が国はIT景気や戦後最長の景気回復を経験してきました。しかし、国民にはその実感があるでしょうか。国民は生活に満足し、豊かになったと感じているでしょうか。
総理は、新しい資本主義の実現を目指すと言っています。成長も分配も実現するためにあらゆる政策を総動員する決意を示しています。一国のリーダーは国民に夢を語り、そのための道筋を示す必要があります。それは、国民が信頼して、必ず実現できるという確信を持ってもらう必要があることは言うまでもありません。
臨時国会での議論に当たり、改めて総理に伺います。
総理は、これまでの三十年間、どうして我が国の社会経済が低迷を続け、国民が暮らしが良くなった、安心して暮らせるようになったと実感できなかったと考えるのか、伺います。
新しい資本主義の言葉が概念的でよく分かりません。実現した暁には、我が国はどのような国になると期待できるのか、分かりやすく答弁を願います。
安倍政権の下では、森友、加計学園問題、桜を見る会が問題となりました。いずれも安倍元総理の身内に対して便宜を図るという構造であったのではないでしょうか。本来はそうしたことに対して厳正に対処するはずの官僚が、総理に対するそんたくによって正常に機能しなくなってしまった。長期政権による弊害の象徴とも言える問題であったと思います。
菅政権の下では、総務省幹部の接待問題や日本学術会議の任命問題がありました。菅前総理は安倍内閣の官房長官であり、本質的には安倍内閣と変わらず、強権的な政権運営の結果生じた問題であったと受け止めています。こうして、政治の信頼を損なうような重大な問題が繰り返されてきました。
総理は、十月四日の新内閣発足に伴う記者会見で、国民の信頼を取り戻すと述べています。失われた信頼を取り戻すためには、これまでの内閣で明らかになった問題点とも向き合わなければなりません。しかし、当初は意欲を見せていた森友問題の再調査については行わず、日本学術会議の任命についても、菅内閣の下で任命されなかった六名の会員について、改めて任命しないと明言しています。
このような姿勢で果たして国民の信頼を取り戻すことはできるのか、総理は失われた政治への信頼をどのように取り戻すのか、総理の政治姿勢について伺います。
長期にわたる緊急事態宣言が解除されました。諸外国ではロックダウンが解除され、経済活動が再開されたものの、再び感染拡大が起きています。感染拡大の抑制と経済の両立は極めて難しい問題だと改めて感じているところです。
我が国経済も、感染者数の急減やワクチン接種の進展によって経済活動の本格的な再開が期待され、新型コロナウイルス感染症の影響から持ち直しつつあるように見えます。一方、世界的な半導体不足や資源価格の高騰、悪い円安、さらには中国企業が抱える債務の問題といったリスクが指摘されており、このまま日本経済が回復していくのかは不透明な状況です。総理は、今後の我が国経済の行く末をどのように捉えているのか、見解を伺います。
今回の経済対策では、十八歳以下などを対象とした十万円相当の給付、二万円相当のマイナポイントの付与といった国民への分配や、事業規模に応じた給付金等による企業支援を含んでいます。
十万円給付について、政府は、児童を養育している者の年収が九百六十万円以上の世帯を除き、ゼロ歳から高校三年生までの子供たちに一人当たり十万円相当の給付を行うとしています。
共働き夫婦で共に年収が九百五十万円ある家庭と、働く人が一人で年収が九百七十万円ある家庭とでは、明らかに共働き家庭の方が豊かな暮らしができます。それにもかかわらず、給付金をもらうことができるのが共働き家庭の方というのは、いかにも不公平ではないでしょうか。子供がいるかいないかにかかわらず、コロナ禍に伴う政府からの自粛要請等で損失を被った国民は多数おり、そうした国民への支援も忘れてはなりません。
また、給付を現金五万円とクーポン五万円に分けることで、事務経費が九百億円以上掛かると言われています。この事務経費分で、給付対象でない世帯にも給付することが可能となります。また、例えば困窮する大学生の支援策拡充に充てることもできます。
国民民主党は、コロナ禍を乗り切るために、不公平かつ甚大な無駄な事務経費を要する給付ではなく、全国民への一律十万円給付とすべきと考えています。より大胆な積極財政、すなわち消費税の減税や納税免除、総合支援資金の再貸付け延長と、税、保険料の減免等を行うべきと考えます。
更なる積極財政の可能性及び十万円給付方法の見直しについて、総理の見解を伺います。
日本企業の九九%超を占める中小企業の多くは、資金、時間、人材の面での余裕が十分になく、価格転嫁力の低迷や後継者不足など、課題は山積しています。この現状を打開するためには、適正取引に向けた取組の推進など、付加価値が適正に配分され、中小企業が恒常的に利益を上げることができる環境をつくることが求められています。
投資に対する減税、新規事業にチャレンジする際の補助金など、既に導入されている制度について減税額や補助金の増額、対象となる企業の拡大が必要と考えます。総理の見解を求めます。
総理は、分配戦略の柱として単年度主義の弊害の是正を挙げています。これは、長期的な視点が必要な政策に対しては単年度主義の例外である基金で対応するなどの試みであり、今回の経済対策でも先端技術の育成に充てる基金の創設や大学ファンドの資金拡充などを行おうとしています。
しかし、基金は機動的な財政支出ができる一方、無駄な支出や執行されずに積み上がってしまうという弊害があります。二〇一四年から二〇一九年の基金運営状況を見ると、基金事業は約二百件に達し、効果を検証できる基金の三割が投入額の半分以上を使っていなかったと言われています。単に基金の創設や資金拡充だけでは十分に経済対策として効果があるのか分かりません。基金の効率的な運用に向けてどのように取り組むつもりか、総理の見解を伺います。
令和二年度には新型コロナウイルス感染症対策等のために三度にわたる巨額の補正予算編成を行い、財政支出は例を見ないほど急拡大いたしました。一方、少子高齢化により、社会保障費も拡大する傾向にあります。二〇二五年には団塊の世代が後期高齢者になるなど、更なる拡大も見込まれています。
将来世代に負担を先送りしつつ、政府が何らの対策も講じないのであれば、現在社会保障を受け取っている世代だけが利益を享受する構造となりかねません。特に、人口減少が予測される中で、現在社会保障制度を支える若者たちが高齢者になったとき、年金、医療、介護の制度が維持できるのか多くの国民が心配し、不安を持っています。必要な財源の確保、また、制度の見直しなどにどのように取り組み、社会保障制度に希望が持てるようにしていくのか、総理の見解を求めます。
南アフリカなどで確認され、各国で感染者数が急増している新型コロナウイルスの新たな変異株、オミクロン株の国内感染拡大の心配が広がっています。十二月六日に開催した我が党のコロナ対策本部では、検疫所の宿泊施設が必ずしも十分でないことが明らかになっています。検査体制の確立、検疫所の宿泊施設の完全化、隔離対策、水際対策をどう進めるのか、総理の答弁を求めます。
十一月十二日に公表された政府の新型コロナ対策の全体像では、医療体制の補強について言及がありました。第五波の際には都道府県が確保した病床が、実際には稼働しない幽霊病床が問題になり、対策は急務となっています。十一月末までには整備すると宣言されていましたが、実際にこの点の対策は進んだのか、総理の認識を伺います。
ワクチンの三回目接種について、二回目までとは異なるメーカーのワクチンを接種する交互接種への不安、また、二回目接種から八か月後の接種としていたものを、必要に応じて二回目との間隔を見直すことが示され、自治体は戸惑っています。国民の不安や自治体の戸惑いにどう応えていくのか、総理の見解を伺います。
次に、雇用調整助成金について伺います。
雇用調整助成金については、来年三月まで延長する措置を実施するとしています。この一年半の間に支給額は約五兆円に迫るほど急増し、積立金の不足分は臨時的に他の事業の資金から融通している状況です。財源の確保については喫緊の課題となっており、より積極的な財政措置として、雇用安定資金に対して一般会計からの繰入れなども考えられます。どのように財源を確保していくのか、総理の見解を伺います。
日本を取り巻く安全保障環境の緊張感は高まっています。衆議院選挙の最中には北朝鮮の弾道ミサイルが発射され、また、中国、ロシアの艦艇が日本海側から太平洋側にかけて広範囲で活動していることが確認されたことも記憶に新しいところです。
さらに、サイバー、宇宙、電磁波の分野における防衛、安全保障も重要となっています。岸防衛大臣は十一月、日本の人工衛星の働きを電磁波で妨害する行為の監視を担う第二宇宙作戦隊を二〇二二年度中に山口県に新設する方針を表明しました。他国もこの分野に力を入れており、後れを取れば国防上の致命傷になりかねません。これらを踏まえれば、防衛、安全保障について、これまで以上の対応を求められると考えます。今後の防衛、安全保障の方針について、総理の考えを伺います。
来年二月に開催される北京オリンピック・パラリンピックについて、米国や英国などは外交的ボイコットをすることを正式に表明しました。また、その他の国でも外交的ボイコットを検討していると報じられています。総理は、諸外国が外交的ボイコットを検討する要因をどう捉えているのか、そして、我が国として外交的ボイコットをする可能性はあるのか、あるとすれば判断時期はいつ頃を考えているのか、総理の見解を求めます。
現在、世界的な原油高騰により、ガソリン、軽油、灯油及び重油の価格が高騰しております。これらの価格高騰は企業だけでなく、年末を迎える中、物流、原材料のコストの上昇により、生活必需品の値上げとつながり、特に自動車が生活の必需品となっている地域に暮らす人々の生活に大きく影響を及ぼしています。
政府は、緊急避難的な激変緩和措置として元売事業者、輸入事業者に価格抑制の原資を支給する対策を講じるとしていますが、消費者にどのぐらいメリットがあるか分かりません。
国民民主党は、ガソリン価格が三か月連続でリッター当たり百六十円を超えた場合に、上乗せされている特例税率を停止し、ガソリン価格をリッター当たり二十五・一円及び軽油価格を十七・一円引き下げるトリガー条項凍結解除の法案を提出しています。本法案では、二重課税となっている税の在り方の見直しを検討すべきであることを含んでおります。
日本経済の回復と車社会の生活を守るため、ガソリンや軽油、加えて灯油や重油の引下げが消費者にはっきり分かる対策が必要と考えます。総理の見解をお聞きします。
昨年から本年の冬にかけて、西日本を中心とした電力不足が発生しました。電力の地域融通を行い、自家発電を持つ事業者の協力等を得て、何とか大規模停電は避けることができたと承知しています。今年の冬も同様の状況に陥る可能性が危惧されており、エネ庁や電力会社等が尽力し、全国で安定供給に必要な予備率を、三%を辛うじて確保できる見通しと聞いていますが、燃料の調達や電源の計画外停止、再エネの出力低下等の事態が発生した場合には、電力不足が発生することは否定できません。
政府として、どのように対応し、電力の安定供給を守っていくつもりか、総理の見解を伺います。
第六次エネルギー基本計画では再生可能エネルギーの主力電源化を目指しています。太陽光及び風力発電の普及には、いかに適地を確保していくのかが課題となっています。近年、大雨による災害が多発している中で、山林や森林を切り開いて太陽光や風力発電を設置することに危惧している自治体も多くなってきており、既に、全国で太陽光発電を規制する条例が本年十二月七日時点で百七十一条例、風力で二条例が定められています。
温暖化対策において、二酸化炭素を吸収する山林や森林は大きな役割を果たしています。山林や森林を伐採して再エネ設備を建設することに総理は矛盾を感じませんか。見解をお示しください。あわせて、どのように再生可能エネルギーの適地を確保していくのか、総理の所見を伺います。
総理は、税制優遇等によって企業による賃上げを促すほか、介護、看護、保育等の就業者の収入増の実現等を目指しています。私は、国力の源は労働にありと考えています。労働者の賃金上昇は確実に実施する必要があります。優遇税制に関しては、日本企業の約六割が赤字経営と言われており、そもそも法人税を納めていない企業が多いため、法人税の減税による賃金、賃上げのインセンティブがあるのは一部の企業にとどまります。
総理は、経済界に三%を超える賃上げを期待すると述べています。三%賃上げは本当に実現できますか。税制優遇だけでは賃上げの環境は整いません。より多くの企業が賃上げをできる施策が必要です。総理の見解を求めます。
雇用情勢は、有効求人倍率や完全失業率を見ると比較的安定しているように見えますが、しかし、それは持続化給付金等の新型コロナ関連の給付金や補助金による景気の下支えの恩恵であり、永続的に続くものではありません。今後、政策的な支援が終了したときには雇用情勢が大幅に悪化する可能性があります。コロナ後においても雇用情勢を安定させていくためにどのような施策を講ずるのか、総理の見解を伺います。
国民民主党は、改革中道政党として、正直な政治、偏らない政治、現実的な政治を実践をしています。これからもこの姿勢で国政に挑んでいくことを申し上げ、代表質問といたします。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕