田村智子の発言 (本会議)
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○田村智子君 私は、日本共産党を代表し、岸田総理大臣に質問いたします。
まず、新型コロナ対策です。
感染第六波、インフルエンザとの同時流行、オミクロン株の市中感染、こうした事態を想定して、外来診療、入院医療共に体制の強化が求められています。
ところが、政府は、コロナ病床の確保を要請しながら、高度急性期と急性期の病床二十万床削減計画をいまだに進めている、これはコロナ対策と相矛盾する、中止すべきではないか、昨日の衆議院における我が党の質問に総理の答弁がありませんでした。改めてお聞きします。明確に御答弁ください。
昨年、医療機関は、コロナ補助金があっても圧倒的に赤字経営となりました。最悪の事態を想定した体制をつくるには、医療機関全体への財政支援が不可欠です。
ところが、病床確保の補助金以外、まともな国の補助金がありません。驚いたのは、発熱外来の補助金まで昨年度で終了し、診療報酬の加算も九月で終了してしまったことです。外来診療の体制確保を含め、第六波に備える財政支援を直ちに行うべきではありませんか。
来年度に向けて、診療報酬引下げが議論されていることも重大です。安倍政権の下で七年間にわたって診療報酬は引き下げられ、医療機関の経営基盤は弱まり、緊急事態への体制確保に大きな困難をもたらしました。その反省に立ち、医療の基盤強化の支援策を今こそ進めるべきです。総理の答弁を求めます。
総理は、通常に近い経済社会活動を取り戻すまで、断固たる決意で、新型コロナでお困りの方の生活を支え、事業の継続と雇用を守り抜きますと宣言されました。ならば、総選挙で総理自身が公約した、コロナでお困りの皆様への給付金支給をやろうではありませんか。今示されている給付金では、困っていても対象外となる人がたくさんいることを総理はお認めになりますか。
また、住民税非課税など低所得世帯への給付金は、生活保護世帯にも支給されますか。その場合、収入認定から除外されるのでしょうか。
事務費だけで九百六十七億円という子育て世帯へのクーポン支給は、ごうごうたる非難の嵐です。抜本的な見直しをすべきではありませんか。
以上、国民への給付金について明確な答弁を求めます。
中小企業への支援についてお聞きします。
菅政権は、財政審議会の議論に明らかなように、中小企業の新陳代謝、淘汰の立場で、緊急事態宣言のさなかに持続化給付金の申請打切りまでしました。岸田総理は、この淘汰という立場を撤回されますか。
今年一月以降、最悪の感染拡大が続く下で、菅政権は、野党の提案に聞く耳を持たず、持続化給付金、家賃支援給付金の再支給を拒否し続けました。協力金や月次支援金で支援したと言いますが、コロナ関連の経営破綻は、九月以降、三か月連続で過去最多を更新しており、支援の不十分さは明らかです。この反省に立って、事業復活支援金は今年一月以降の売上げ減を対象とするなど、抜本的な拡充が必要と考えますが、いかがですか。
今、多くの事業者が、これまでに受けた融資の返済、社会保険料や税金の延納分を含めた支払に直面しています。コロナ融資の返済減免、社会保険料や税金の特別減免などを直ちに講ずるべきではありませんか。
また、消費税五%への減税は、個人消費を喚起し、中小企業の納税負担を軽くします。さらには、複数税率が解消され、中小事業者やフリーランスにとって重い負担となるインボイス制度も必要なくなります。これこそ、コロナ危機の下での暮らしと事業継続への支援策ではありませんか。答弁を求めます。
新しい資本主義についてお聞きします。
規制緩和、構造改革などの新自由主義的政策は、富める者と富まざる者、持てる者と持たざる者の分断を生んできました、格差が広がれば経済の好循環は実現せず、社会、政治も不安定化する、小泉改革以降の新自由主義的な政策を転換する、これらは総裁選で、岸田総理の言葉です。
総理、小泉改革以降の新自由主義的な政策とはどういう政策でしょうか。
小泉政権の構造改革、特に派遣労働の対象拡大など労働法制の規制緩和は、非正規雇用を増やし、フルタイムで働いても年収二百万円に満たないワーキングプアを生み出し、格差と貧困を拡大し、経済の停滞をもたらしました。新しい資本主義とは、この規制緩和路線を転換するということですか。はっきりとお答えください。
新しい資本主義の下での分配、賃上げ政策についてお聞きします。
給与を引き上げた企業への法人税減税が柱となっていますが、この賃上げ減税は既に二〇一三年度から実施され、減税額は二兆円を超えています。では、どれだけの賃上げになったのか。二〇一二年と二〇二〇年の平均賃金を比較すると、年収で名目僅か四・五万円の賃上げ、実質賃金はマイナス二十二・四万円です。賃上げ減税は効果があったのでしょうか。
しかも、減税額の四四・二%は大企業向けであり、トヨタ自動車一社だけで三百五十九億円もの減税と推計されます。そもそも巨額の内部留保を積み増している大企業に賃上げ減税が必要でしょうか。やるべきは、内部留保を活用して賃上げをと大企業に強く要請することではありませんか。答弁を求めます。
一九九〇年には世界でトップクラスだった日本の平均賃金は、その後、名目でもほとんど上がらず、実質賃金で下がっていった。欧米諸国はもとより、韓国にも抜かれ、異常なまでに賃金が上がらない国が日本です。
非正規雇用の割合が国際比較で高い、大企業と中小企業の格差が大きい、ケア労働など女性が多い専門職の低賃金など、構造的な問題への抜本的な対策が必要だと考えますが、総理の認識を伺います。
賃上げを政策的に進めるために、一つには労働法制の改正を求めます。
労働者を直接雇うことを原則とする、派遣労働や短期の雇用契約は一時的、臨時的業務に限定するなど、法規制によって構造的に正規雇用の割合を増やしていくことが今こそ必要ではありませんか。
二つに、最低賃金時給千五百円という目標を明確にして、中小企業を直接支援し、短期間に思い切った引上げ政策を持つことです。
最低賃金は、十年掛けて全国平均で僅か百九十三円しか上がっていません。今年四月、バイデン米国大統領は、連邦政府と契約する業者について、最低賃金を時給十・九五ドルから十五ドルに一気に引き上げる決断をしました。日本でも全国一律時給千五百円へ思い切った引上げを行うべきではありませんか。
中小企業への直接の支援が最大の鍵です。我が党は、中小企業の社会保険料事業主負担の軽減を提案しています。本気の賃上げのために真剣に検討いただきたい。総理の認識を伺います。
また、医療、介護、保育などケア労働の賃金は、国家資格にふさわしく、専門性と経験を評価した抜本的な引上げを政府の責任で行うよう要求いたします。
気候危機打開への戦略についてお聞きします。
COP26では、石炭火力の廃止が焦点となりました。イギリス、ドイツ、フランス、EU、ポーランド、韓国、ベトナム、インドネシアなど四十六の国と地域が、石炭火力の新設中止、CO2排出削減措置をとらない石炭火力の段階的廃止を明記した石炭火力の廃止宣言に賛同しました。日本が賛同しなかったのはなぜか、まずお答えください。
総理は、火力発電のゼロエミッション化として、アンモニアや水素への燃料転換を強調しましたが、これこそがCOP26で日本が化石賞を受賞した理由です。
アンモニアは、一トンの製造に対し一・六トンのCO2を排出すると経産省の資料で示されています。そのため、石炭八割、アンモニア二割で火力発電を稼働した場合、CO2削減効果は僅か四%というのが気候ネットワークの試算です。しかも、アンモニア製造は高コストです。
わざわざCO2を大量に排出し、高いコストを掛けて、火力発電のためにアンモニアを製造する合理性はありません。結局、これは石炭火力発電の延命の策ではありませんか。政府のエネルギー戦略では、二〇三〇年どころか二〇五〇年以降も石炭火力発電を稼働させるつもりなのでしょうか。総理の明確な答弁を求めます。
破局的な気候変動を防ぐには、一刻も早く石炭火力発電をやめなければなりません。二〇五〇年までに再生可能エネルギー一〇〇%を目標とし、二〇三〇年までに本気の再エネ普及を行うことを強く求めます。
十一月二十五日は女性に対する暴力撤廃の国際デー、日本でも女性に対する暴力をなくす運動が取り組まれました。
「あなたの望まない性的な行為は、性暴力です。」、「傷つけた方が悪い。性暴力に言い訳は通らない。」、内閣府が作成したポスターです。言い訳の事例も、「二人きりで食事したよね」、「お互いお酒飲んでたし」、「そんな服装してるしさあ」など書かれており、内閣府がここまでの啓発活動をしたことを評価いたします。
あなたの望まない性的な行為は性暴力、この啓発は系統的に大規模に行うことが大切だと考えますが、いかがでしょうか。
勇気を持って性暴力被害を告発する幾多の運動の下で、今、刑法の性犯罪規定の議論が法制審議会で行われています。同意要件の新設など被害の実態に見合った改正を求めるものです。
同時に、性暴力、性犯罪をなくすために、また、互いの性を尊重する人間関係を築くために、科学的で包括的な性教育が必要ではないでしょうか。
ユネスコは、各国の研究成果を踏まえ、WHOなどと協力して、性行為のリスクだけでなく、相互の尊重と平等に基づく愛情や人間関係というポジティブな側面を含む包括的セクシュアリティ教育を推進するために、国際セクシュアリティ教育ガイダンスを発表しています。この中で、性交、避妊に関する科学的情報など重要な話題を無視し、省略することは、スティグマや無知を引き起こし、助けを求める障壁をつくり出すと指摘しています。
日本では、性交も避妊も学校で教えることがタブー視されたままです。文部科学省は、性暴力の被害者にも加害者にも傍観者にもならないためとして、命の安全教育を今年度から実施しています。被害者は悪くないこと、自分の体を大事にすること、被害への対応など、実践的で大切な内容だと思いますが、これは包括的な性教育とは異なります。
子供たちは、公教育で性や生殖についての科学的な知識や性に関わる人権意識を形成する機会もないままに、インターネット等で氾濫する暴力的でゆがんだ性の情報に触れている、これが日本の現状ではないでしょうか。性暴力はもちろん、予期せぬ妊娠を防ぐ上でも、ユネスコのガイダンスにも学びながら、公教育における性教育の実践をしていくことが大切だと考えますが、総理の見解をお聞きします。
七月、原爆投下直後の黒い雨被害者救済について、広島高裁判決は、原告全員に原爆手帳の交付を認め、特定の疾病の発症がなくても放射能による健康被害が否定できなければ被爆者とする画期的な判断を示しました。政府は上告を断念し、菅総理は、同じような事情にあった人を早急に救済するという談話を出しました。
ところが、今行われている被爆者手帳交付の新たな審査指針の検討で、国は特定の病気になったことを考慮するとの基本的考え方を示し、広島からは判決からの後退を批判する声が起こっています。
広島出身の総理として、高裁判決の立場を堅持し、幅広く救済すべきではありませんか。
森友、加計学園、桜を見る会などの政治の私物化、河井元大臣による広島での選挙買収、いずれも真相解明に蓋をし、辺野古新基地建設では、国が行政不服審査請求制度を濫用し、遺骨の眠る土砂まで使って埋立てを強行しようという、聞く耳持たない強権政治と我が党は断固として対決します。
日本学術会議の任命拒否問題についてお聞きします。
学術会議の専権行為である会員の推薦に官房副長官が介入した、これが事の始まりだったと内閣府の資料が示しています。憲法が保障する学問の自由への侵害そのものです。学術会議は、今年の総会で改めて任命を求めています。官邸の違法な介入を認め、六人を直ちに任命すべきではありませんか。
十一月三十日、米軍の戦闘機F16が、エンジントラブルで緊急事態に陥り、燃料タンク二つを投げ捨て、青森空港に緊急着陸しました。燃料タンクの一つは民家から僅か二十メートルに落下、一歩間違えば大惨事となっていました。
防衛省は翌日、F16の飛行中止を米軍に要求、しかしその翌日、政府の要請を無視し、事故原因の究明もなく飛行を再開されました。総理は米軍に抗議しましたか。いつまで米軍の勝手放題を放置するのですか。
F16はこれまでも事故を繰り返しています。一九八五年に五十機が配備されて以降、燃料タンクの投棄二十回、模擬爆弾投棄は十二回、さらには十三機が墜落事故を起こしています。住民は日常的に大惨事の危険性にさらされているのです。国民の命と安全を守るために、F16の撤去を在日米軍に要請すべきではありませんか。
米軍機による事故は、部品や装備品、コンテナの落下、墜落、不時着等、多発しています。しかし、日本は独自の事故調査を一切行うことができません。
全国知事会は、二〇一八年に日米地位協定抜本見直しを求める提言を全会一致で採決し、航空法や環境法令を在日米軍に適用し、事件、事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立入りの保障などを求めています。
総理、これは当然の要求です。国民の安全のために地位協定の抜本的な見直しへ動くときではないのか、答弁を求めます。
自民党は、防衛費GDP比二%を念頭に増額を目指すと総選挙の公約に掲げ、補正予算は過去最大、七千七百億円の軍事費を計上、本年度の軍事費は六兆円を超えます。さらに岸田総理は、敵基地攻撃能力保有の検討まで表明しました。二〇一五年の安保法制強行以降、自衛隊の装備も訓練も、戦争する国づくりの道を急速に歩んでいます。
尖閣諸島や南沙諸島に対する中国の軍事的脅威、軍事的威嚇、北朝鮮の核開発やミサイル発射は絶対に許されない、これは政府、与野党共に一致しています。
しかし、軍事に軍事で対決し、先制攻撃にもつながる敵基地攻撃能力まで持とうとする、これは軍事的緊張と軍拡競争を強め、また、増税と社会保障予算の更なる削減を伴い、国民の命、暮らし、安全を脅かす道ではありませんか。
憲法を生かした平和外交への具体的で真剣な努力こそ求められていることを述べ、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇、拍手〕