岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 田村智子議員にお答えいたします。
 医療提供体制の確保についてお尋ねがありました。
 新型コロナ対応が続く中においても、地域の医療ニーズに合わせ、質の高い効率的な医療提供体制の確保を目指して地域医療構想を進める必要がありますが、あくまでも病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の実情を十分に踏まえつつ、検討を進めてまいりたいと思います。
 また、先般お示しした新型コロナ対応の全体像を確実に実行するため、今回の経済対策においては、新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等により、病床の確保、患者の受入れといったそれぞれの段階に応じた支援を準備しております。
 令和四年度診療報酬改定については、予算編成過程でしっかりと検討をしてまいりたいと思います。
 コロナでお困りの皆様への給付金支給についてお尋ねがありました。
 新型コロナの影響が長期化する中、様々な困難に直面した方々が速やかに生活、暮らしの支援を受けられることが重要であり、そのための施策の一つとして、生活保護世帯を含む住民税非課税世帯に対して十万円を給付することとしています。その上で、本給付金は、生活保護制度における収入認定からも除外する方向で検討をしております。
 このほか、今回の経済対策においては様々な施策を講ずることとしております。新型コロナの影響を受けた方々に様々な施策を通じて広く重層的に支援を行っていきたいと考えます。
 そして、子育て世帯へのクーポンを基本とした給付については、新型コロナの影響が様々な人々に及ぶ中、子育てに係る商品やサービスを直接お届けすることで、より直接的に、そして効果的に子供たちを支援することが可能である取組であると考えております。
 また、中小企業への支援についてお尋ねがありました。
 これまで、新型コロナの影響により、厳しい状況に直面する中小企業等の事業継続を支援する観点から、新たな給付金や資金繰り支援等の施策を推進してまいりました。
 新型コロナの影響で売上げが減少した事業者に対して、十一月から来年三月までの五か月分を一括して支給する事業復活支援金により、支援をしてまいります。上限額は昨年の持続化給付金を超える額としていることに加え、新たに売上高の減少が三〇%以上の事業者も対象としております。
 なお、今年一月から十月までは、一時支援金や月次支援金などによる支援を行ってきたところであります。
 事業者の資金繰りについては、既存の融資の返済猶予などについて柔軟に対応するよう、官民の金融機関に対して配慮を要請しております。加えて、税、社会保険料の納付が困難な人々に対しては猶予の仕組みを設けているところであります。
 消費税率の引下げについてお尋ねがありました。
 消費税については、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置付けられており、当面、消費税について触れることは考えておりません。
 なお、インボイス制度は、複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、周知広報あるいは事業者への支援、こうした円滑な制度移行に向けての取組を進め、万全の対応を行っていきたいと思います。
 新しい資本主義についてお尋ねがありました。
 一九八〇年代以降、世界の主流となった、市場や競争に任せれば全てうまくいくという自由主義的な考えは、世界経済の成長の原動力となった反面、格差や貧困の拡大など多くの弊害も生み出しました。
 コロナ禍の先に、こうした弊害を是正しながら更に力強く成長するため、成長も分配も実現する新しい資本主義を実現していきたいと考えております。
 このため、官と民が共に役割を果たし、成長戦略と分配戦略、実行してまいります。とりわけ、人への分配は、コストではなく、未来への投資であるとの考えに立って、賃上げの推進、同一労働同一賃金や下請対策の徹底、仕事と子育ての両立支援等を図るとともに、非正規雇用の方を含め、再就職や正社員化に向けた学び直しや職業訓練の支援を強力に進めてまいります。
 賃上げ税制についてお尋ねがありました。
 賃上げは、税制のみならず企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものであり、自公政権の中で二%程度の賃上げを達成してきており、税制も寄与してきたものであると考えております。
 私自身、経済界の代表と向き合い、業績がコロナ前の水準に回復した企業については三%を超える賃上げを期待する旨、直接働きかけを行いました。また、民間企業の賃上げを支援するために様々な施策を講じ、環境整備に全力で取り組んでまいります。
 雇用や賃金に関する構造的な問題への対策についてお尋ねがありました。
 派遣労働者や有期雇用労働者については、同一労働同一賃金の導入など、制度が適切に運用され、これらの方々の待遇改善や雇用安定が図られるよう、指導監督等を徹底してまいります。
 最低賃金については、既に骨太の方針において、感染症拡大前に我が国で引き上げてきた実績を踏まえて、地域間格差にも配慮しながら、より早期に全国加重平均千円とすることを目指す、このように骨太の方針で明らかにしておりますが、この方針に基づいて引上げに取り組んでいきたいと思います。
 そして、社会保険料については、若者、子育て世帯を中心に保険料負担の増加を抑制し、所得の増加につなげていくことが重要な課題です。このため、社会保障制度を支える人を増やし、能力に応じてみんなが支え合う持続的な社会保障制度を構築し、現役世代の保険料の負担増の抑制を目指してまいります。
 また、公的価格の見直しを行い、介護、保育の現場で働く方や地域で新型コロナ医療対応などを行う医療機関で勤務する看護職の方々の給与、これを引き上げてまいります。
 そして、石炭火力発電の廃止宣言についてお尋ねがありました。
 日本は、日本の取組を進めております。石炭火力については、二〇三〇年に向けて非効率な石炭火力のフェードアウトを着実に進めてまいります。
 さらに、二〇五〇年に向けては、水素、アンモニアやCCUS等を活用して、それらのコストを引き下げつつ、脱炭素型の火力に置き換える取組を推進するなど、我が国としてもしっかり取り組んでまいります。
 また、再生可能エネルギーについては最大限の導入を進めており、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた取組、強力に推進をしてまいります。
 そして、性暴力をなくすための教育についてお尋ねがありました。
 性犯罪、性暴力は重大な人権侵害であり、決して許すことはできないものです。政府では、毎年、女性に対する暴力をなくす運動という啓発活動を行っておりますが、引き続き強力に進めてまいります。
 御指摘の科学的で包括的な性教育としてユネスコのガイダンスがあるということ、これは承知をしておりますが、我が国の学校では、性に関しては、学習指導要領に基づき、保健体育科の授業を始め児童生徒の発達段階を踏まえつつ、教育活動全体を通じて指導しております。
 今後とも、児童生徒が性に関して正しく理解し、適切な行動を取れるよう、指導の充実にも努めてまいりたいと存じます。
 黒い雨訴訟を踏まえた対応についてお尋ねがありました。
 いわゆる黒い雨訴訟の原告と同じような事情にあった方の救済については、本年七月の総理談話と一審、二審の事実認定の結果を踏まえて対応していくこととしております。
 広島県、広島市などの意見を丁寧に聞きながら検討を進めたいと考えており、厚生労働省において、広島県や広島市、長崎県や長崎市を交えた協議、既に二回行われたと承知をしております。
 遅くとも令和四年度当初には可能な限り多くの方の救済を開始できるよう、スピード感を持って取り組んでまいります。
 そして、日本学術会議会員の任命についてお尋ねがありました。
 昨年十月の日本学術会議の会員の任命については、日本学術会議法に沿って任命権者である当時の内閣総理大臣が判断を行ったものであることから、一連の手続は終了したものと承知をしております。
 日本学術会議の在り方については、梶田会長とコミュニケーションを取りながら未来志向で検討を進めており、引き続き小林大臣の下で取り組んでもらいたいと考えております。
 そして、F16戦闘機の事故及び日米地位協定の改正についてお尋ねがありました。
 御指摘の事故については極めて遺憾なものであり、安全対策の説明もないまま飛行が再開されたこと、これは極めて遺憾であると考えております。その旨、防衛大臣から米国国防長官に伝えてあります。
 一方で、F16戦闘機は我が国の防衛及び地域の安定に資するものであり、撤去を求める考えはありません。当然、しかし、当然のことながら、安全管理の徹底はこれからもしっかりと求めてまいります。
 日米地位協定については、事案に応じた最も適切な取組を通じて一つ一つの問題に対応してきております。今後とも、目に見える取組を積み上げることによって、日米地位協定のあるべき姿、不断に追求していきたいと考えます。
 そして、防衛力、敵基地攻撃能力についてお尋ねがありました。
 平和安全法制は日米同盟をかつてないほど強固にし、抑止力を向上させました。戦争する国づくりとの指摘は当たらないと考えます。
 何よりも大切なことは、国民の命や暮らしを守るために必要なものは何なのか、これを、こうした現実的な議論をしっかりと突き詰めていくことです。防衛費についても、金額、結論がありきでなく、必要なものを計上してまいります。
 また、いわゆる敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討してまいります。
 この検討は、憲法の範囲内で、専守防衛の考え方を維持しつつ行うものであり、専守、先制攻撃であるとか、軍事的緊張と軍拡競争を強めるとの御指摘、これは当たらないと考えます。
 我が国の平和と安全の維持は国民の命と暮らしの不可欠な前提であり、安全保障と社会保障は相対立するものではないと考えております。
 以上です。(拍手)
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発言情報

speech_id: 120715254X00320211210_014

発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2021-12-10

院: 参議院

会議名: 本会議