北側一雄の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○北側委員 公明党の北側一雄です。
国会は、国権の最高機関、唯一の立法機関でございます。国会の危機と言える緊急事態にこそ、国会はその役割と責任を果たしていかねばなりません。
しかし、こうした危機時に多くの議員が国会の議場に参集することが困難となる場合を想定しておく必要があります。例えば、感染症が爆発的に蔓延し、極めて深刻な状況となった場合、また、巨大地震の発生で甚大な被害が発生したときでも、国会は、必要な予算と法律を速やかに成立させ、政府に対し、適切、迅速な対策を求めていかねばなりません。
以下、緊急事態における国会機能の維持という観点から、オンライン国会の是非について意見を述べます。
憲法五十六条一項には、「両議院は、各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、議事を開き議決することができない。」とあり、五十七条一項では、「両議院の会議は、公開とする。」とあります。したがって、多くの議員が国会の本会議場に参集することが著しく困難な状況となった場合には、本会議を開催することができないのでしょうか。五十六条一項の出席とは、議場での出席に限られるのでしょうか。憲法学者にも両論があるようですが、私は、一定の要件、条件の下で例外的にオンライン国会を開催することは憲法上も許容されると考えます。
五十六条一項は、本会議が成立しているかどうかという定足数の要件として総議員の三分の一以上の出席を求めていますが、その趣旨は、国会の意思決定の民主的正統性を持つには、議員が少なくとも三分の一以上出席していないといけないと考えたからだと思われます。議場という公開された物理的空間にリアルに集合し、自由闊達な議論を経て賛否の投票をするのが基本との考え方は十分に理解できます。
しかしながら、議員の多くが議場への参集が著しく困難な客観的状況と認められる場合には、例外的に一定の条件の下で、オンラインを活用し議事を開き議決することは憲法上も可能と考えるべきです。国会の意思決定の正統性が阻害されているわけでもなく、五十八条二項に定められた議院の自律権の合理的な範囲内と考えられるからです。
ただし、オンライン国会を実施するには、幾つかの条件、課題があると思われます。
まずは、議員の多くが議場への参集が著しく困難な客観的状況であるかどうかの認定です。これは、議長が議院運営委員会に諮って決定することになると思われますが、できる限り客観性を担保するため、両院の議院規則でオンライン国会実施の要件と手続を具体的に定めておく必要があります。また、五十七条一項の公開原則に反することがないよう、会議の公開性、可視性が確保される方策が検討されなければなりません。さらに、システムのセキュリティーや投票の真正性が確保されなければならないということは言うまでもありません。
以上、緊急事態における国会機能の維持という観点から述べましたが、まずは、オンライン国会がそもそも憲法上許容されるのかどうか、本日も多くの委員の皆様から発言がございましたが、当憲法審査会で積極的に論議し、できるだけ速やかに会派間の、政党間の合意形成を図るべきと考えます。憲法上可能ということであるならば、オンライン国会の実施に向け、政党間又は議院運営委員会等でその詳細が検討されるべきと考えます。
最後に、今まで述べました緊急事態における国会機能の維持という観点とは少し異なりまして、議員個人の表決権を確保するため、オンラインで議事、議決に参加することができないかどうかという別の課題があります。全国民を代表する選挙された議員にとって、表決権の行使は基本的な権能であり責務でもあるからです。出産等の理由でやむを得ず議場等での議事、議決に参加できない場合に議員の表決権行使を確保するため、例外的にオンラインでの参加を認めることも今後検討されてしかるべきと考えます。
以上、私の意見表明といたします。