北神圭朗の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
まず冒頭に、憲法審査会が定例日に開かれたことは当然のことでありながら、会長、両筆頭幹事、関係者の皆さんの御努力に敬意を表したいと思います。
これまでのように、談論風発も誠に結構ですけれども、いつまでも意見交換ではなく、項目を絞って、憲法改正の成案に向けて具体的な議論に入るべきだというふうに思います。その際、有志の会も新参者ですので、俎上にのせるべき項目を幾つか御提案申し上げたいというふうに思います。
まずは、憲法第九条です。
具体的に、九条の第一項は、国際紛争を解決するための武力行使又は武力による威嚇を禁止するということで、一九二八年の不戦条約に起源を発し、国連憲章第二条とほぼ同じものであります。良識ある国家の間で確立された原則で、変える必要はないし、変えるべきではないというふうに思います。
他方、第二項については、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。」というのは、古今東西、極めて珍しい条項です。主権国家として、戦力、すなわち軍隊を持たないのは、なかなか現実的に想定できません。事実、こうした第二項の下でも、我が国は、現在では、政府の才気あふれる解釈技術によって、自衛のための必要最小限度の軍事力を持つのは当然だということになっています。
しかしながら、これで本当にいいのかということです。憲法第九十六条に規定される国民投票を経ずに、時の政権の解釈変更によって、警察予備隊がいつの間にか自衛隊になり、集団的自衛権が、行使せずから限定的に行使できると変更されています。
立憲主義というのは、政治権力が単に憲法に基づいて統治されるということだけではなく、政治権力を憲法が実質的に制限するということだというふうに私は理解しています。今の状態で、果たして政治権力が実質的に制限されているのでしょうか。立憲主義に基づいた議論を深めていくべきだというふうに思います。
二つ目、憲法に新たに加えるものとして検討すべきことは、デジタル基本権です。
これは公明党さんや国民民主党さんも提案されておられますが、我々も、大方その問題意識を共有します。
具体的には、一つは、サイバー空間における誹謗中傷などの行き過ぎた言論に対し、人権保障を確保すべきではないか。
二つ目には、スマホなどにおける交際アプリとかウーバーのような配達アプリ、遺伝子検査のアプリなどを通じて、個人の極めて内密な情報が企業に吸い上げられております。これに対し、プライバシー権などを実質的に保障する必要があるのではないか。
三つ目には、この問題は企業だけにとどまりません。英国の情報機関などによりますと、中国政府などは、こうしたアプリ関連の企業を通じて、一般人だけでなく、議員や自衛隊を含む政府の高官や情報員などの個人情報を恐らくは意図的に吸い上げて収集をしております。これを放置することは、我が国の主権を少しずつ侵食されることだというふうに思います。
こうしたことから、表現の自由やビッグデータなどの技術革新に一定の配慮をしつつ、個人データの自己決定権を憲法上どのように位置づけるかということは、すぐれて今日的な課題だというふうに思います。
三つ目は、緊急事態関連です。
感染症の専門家によりますと、気候変動の下、人の国際的な移動が加速しており、各国に都市が急速に増えていることなどにより、感染流行に見舞われる頻度はより多くなるだろうと指摘されています。また、テロ、内乱、大規模災害などに備えることは、国家の危機管理として当たり前の話です。
こうした緊急事態が発生した際に、これまでも度々御指摘があったとおり、国会議員が多数国会に出席できず、本会議を開くための定足数に及ばないことも十分考えられます。これは憲法第五十六条、五十七条に関わりますけれども、その場合、どのように国会の立法及び行政監視機能を守るか。これを憲法上保障することは、立法府として真剣に考えるべきではないでしょうか。
その意味では、新藤筆頭幹事の、来週二月十七日の定例日はオンライン審議をテーマに討議しようという御提案はまさに時宜を得たものであり、有志の会としても賛成したいというふうに思います。
四つ目、ほかにも、統治機構の在り方など、この際、議論を深めるべきだと考えます。
様々な論点はございますけれども、例えば、地方自治について、地方自治の本旨を明確化するために、住民自治、団体自治について具体的な規定を設ける、こういうことも、少なくとも議論はすべきだというふうに思います。
以上、こうしたことからも、立憲主義の視点からも、技術変化に対応して基本的人権を守るためにも、危機管理のためにも、地方自治のためにも、憲法改正の具体的な論点について、丁寧かつ早急に議論をまとめていく必要があるのではないかと思います。
なお、国民投票法に係る広告規制等についても、当然結論を早急に得るべきだと思います。ネット広告が不当に国民の投票行動に影響する問題などは、まさしくデジタル基本権の範疇に入りますし、これは憲法本体の議論と同時並行的に行うのが有益だというふうに思います。
以上、私の意見表明といたします。
―――――――――――――