石破茂の発言 (憲法審査会)

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○石破委員 私は、二〇〇〇年、この審査会の前身である憲法調査会ができたときから、政府にいるとき以外はずっと籍を置いてきました。ここにおられる衛藤征士郎先生、船田元先生共々、一番長くここに籍を置いてきたと思っております。別に、長きがゆえに尊からずでありますけれども。
 私は、成功体験という言葉を軽々しく使いたくないんだけれども、やはり、国民が実際に憲法は改正できるんだという体験を持つことはすごく大事なことだと思っております。
 我が党の憲法改正草案、平成二十四年、ここには起草委員を務めた人もいっぱいまだいますが、その中で、多くの党に賛成していただけるだろうなと思うものの一つに、臨時国会は衆参いずれかの総議員の四分の一の要求があったときは開かなきゃならぬというふうに現行憲法に書いてある。だけれども、何日以内ということが書いていないので、近いうちにとか、そのうちにとか、そういう言葉を使って、召集したら即解散なんというようなことが今までなかったとは言わない。
 我々は、至らぬところがあって、三年三か月、野にあった。その間、徹底的に憲法の議論をした。起草委員長は中谷元さんだった。私は、九条部分の起草を担当させていただいた。だけれども、私どもは憲法九条だけ議論をしていたわけではない。
 民主主義というのは、できるだけ多くの人が参加をしなければ機能しない。そうしないと、特定のイデオロギーとかそういうものに左右されかねない。もう一つは、少数意見を尊重しないと民主主義というのは成り立たない。そして、健全な言論空間というのがなければ民主主義は機能しない。それは三つとも今どうなんだろうねということが問われているのではないかという危惧を、私自身は持っているのだけれども。
 自民党の憲法改正草案は、衆参いずれかの総議員の四分の一以上の要求があれば、二十日以内に召集、もちろん召集は陛下の権能であらせられるのだが、しなければならないというふうに書いてある。これに反対する党があるんだろうか。四分の一が少な過ぎるということもあるのかもしれないけれども、少数の意見を尊重するという考え方がそこにはあったはずだと私は思っている。
 できるものをきちんとやる、そして民主主義がきちんと機能するようにする、一つでも多くの党に賛成してもらえる、そういうようなものから優先すべきだという考え方は私はあってしかるべきものだと思っていて、二十数年この会に籍を置いているけれども、もちろん幾つかの前進を見たが、国民が本当に憲法改正に強い実感を持っているかといえば、私はそれは否だと言わざるを得ないと思っております。
 会長そして幹事の大変な御努力によって今日これは開かれているんだけれども、これを本当に討議と言うんだろうか。意見表明の場ではあるけれども、これを討議とは言わないと思っている。
 私は、赤嶺議員とも議論をしたいと思っている。地位協定の改定が必要だ、安全保障条約の改定が必要だ、私は個人的にはそう思っています。だからこそ憲法の改正が必要だというふうに思っているのだけれども、結論部分において違う。それはどういうふうにロジックが違っているのかという議論はきちんとしたいと思っている。
 日本国は本当に独立主権国家であるのか。独立主権国家というのは何だ。領土であり、国民であり、統治機構であり、この三つは絶対に外国に指一本触れさせないということが主権独立国家のはずなのだが、我が国は合衆国軍隊に対して基地の提供義務を負っているはずだ。それは、重光・ダレス会談で明らかになったように、日本国のどこにでも、どれだけでも、いつまででも合衆国軍隊が駐留する権利を確保するということが日米安全保障条約であって、それを提供する義務は日本国に負わされているのであって、それは本当に主権独立国家というのかという議論をきちんとしなければいけないと思っている。
 私は、米軍の駐留は必要だと思っている。日米安全保障条約も必要だと思っている。しかし、そこにおいて、それは義務として負うのではなくて、日本国民の選択の結果でなければいけないと考えている。
 ウクライナ情勢もそうです。敵基地攻撃能力、策源地攻撃能力、それは言葉は似ているけれども、全然本質と違う議論であって、このことも憲法の議論なくて成り立たない。ウクライナの問題も、NATOの問題も、それは、集団安全保障、集団的自衛権、これは相互補完するものだという考え方を私は持っているのだけれども、この議論を徹底していかなければ、日本の独立と平和も保てないと思っている。
 そういう議論を、今、我が党の古屋本部長が申し述べたように、頻繁に行うこと、分科会を開催すること、そして、できれば国民と直接向き合うことが必要なのであって、この場のみならず、日本国中、北海道から沖縄まであちらこちらで開催をして、国民と直接向き合うということが極めて重要だと思っている。憲法というのは、本当に国民と向き合うものでなければならない。だとすれば、この場限りの議論で完結していいと私は全く思わない。
 会長そして幹事の皆様方に、分科会を頻繁に開催すること、本当の意味での討議が行われること、そして国民と正面から向き合うこと、そのことを心からお願いして、発言を終わります。
 以上です。

発言情報

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発言者: 石破茂

speaker_id: 20757

日付: 2022-02-10

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会