北神圭朗の発言 (憲法審査会)

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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
 本日、総括的な意見を求められている憲法第五十六条第一項の議員の出席について、有志の会としての考え方を申し述べます。
 本審査会での各会派、各議員の御意見を拝聴しました。また、参考人お二方の、共に深い思考に裏づけられながらも、それぞれ異なる見解をも併せて吟味しました。その上で、私どもの基本的な結論は変わりません。前々回、比較的詳細な具体案を申し上げましたので、若干繰り返しになりますが、総括的な意見として申し上げます。
 まず、憲法第五十六条第一項の「出席」について、やはり、原則は議員が物理的に出席することであるということが今回の一連の調査で再確認できました。憲法、国会法、衆議院規則もこの前提に立っています。また、憲法が定めている議事の公開の原則からも、このように解釈することが妥当と理解できます。
 しかしながら、一方で、オンライン技術の進歩により、物理的出席に極めて近い映像、音声や意思表示機能を確保することが可能となっています。その操作の工夫により、傍聴者、国民への公開性をも担保することができます。
 こうした情勢変化の中で、危機管理上あるいは緊急避難的に物理的な出席が困難あるいは望ましくない場合に、あくまで例外的にオンラインで審議することを認めるべきだというふうに考えます。
 参考人の高橋和之先生が指摘されたように、この条文は、少数者保護、権力の濫用の防止の性格を有することは重く受け止めるべきだというふうに思います。しかし一方で、緊急事態にあっても、国権の最高機関を第五十六条第一項に基づいて合法的に動かし、国で唯一有する立法機能を発揮し、行政を監視する機能をも維持することの必要性を踏まえた結論であります。
 また、立法事実につきましては、科学的な知見に裏づけられた範囲内で、合理的な将来予測をも含むべきだと思います。新型コロナ級あるいはそれ以上の全国的感染、首都圏の直下型地震、中国の台湾侵攻などを危機管理上想定することは、決して合理的ではないとは言えないというふうに考えます。
 他方、オンライン審議により、議員本人の確認や、その自由意思が奪われるおそれがあるということも、同じ危機管理の論理でもって、手続や制度設計で十分に担保すべきでしょう。
 こうしたことから、総括としては、憲法第五十六条第一項における「出席」という文言については、一定の厳格な要件の下でオンライン上の出席をも読めるように解釈することを求めます。
 あわせて、衆議院規則第百四十八条などにある、「表決の際議場にいない議員は、表決に加わることができない。」という文言を改正する必要があります。同時に、原則が物理的出席であり、オンライン審議は例外であることを要件と手続で確保する必要があります。
 これらに関する我々の詳細な具体案は、既に表明しましたので、ここでは繰り返しません。
 今回は、主に緊急事態の流れの中でオンライン審議について審議をしてきましたが、今後は、緊急事態全体について、他の論点が積み残しとなっています。例えば、一つは、何をもって緊急事態となすのか。もう一つは、議員任期の延期の課題であります。さらに、三つ目には、国家緊急権についてどう考えるのかという大事な問題も残っています。
 これは、国家の平和、独立、公衆衛生を脅かす緊急事態に際して、必要に迫られて、憲法秩序を一時停止し、行政機関あるいは立法機関に大幅な権限を与える非常措置のことですが、憲法を保障する観点から、通常、近代憲法を頂く各国に認められるものであります。
 日本国憲法には、こうした規定がありません。これは、日本国憲法独自の理念に基づいて、そもそも緊急権は存在しないと解釈するのか、あるいは、かつての英国、今の米国のように、不文の原理として、憲法に明記せずに行政の事実上の運用や個別法で対処するのか、あるいは、権力濫用を防止するために憲法に明文化する必要性があるのか、まさに様々な意見があるからこそ、本審査会で議論を重ねて、緊急事態全体に関する考え方を整理すべきではないでしょうか。
 以上です。
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発言情報

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発言者: 北神圭朗

speaker_id: 4662

日付: 2022-03-03

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会