新藤義孝の発言 (憲法審査会)
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○新藤委員 自由民主党の新藤義孝であります。
三月八日、憲法審査会は、緊急事態における憲法五十六条第一項の「出席」の概念について、その意見の大勢を議長に報告をいたしました。
憲法の条文に関し具体的な議論を深め、報告も議決できたことは画期的であり、委員及び幹事会メンバーの御尽力に改めて敬意を表したいと思います。
緊急事態における国会機能の維持の一環として行われた出席概念、この議論は、更に緊急事態全般に関する議論が必要であることを浮き彫りにした、私はそのように考えております。
本日は、日本国憲法に規定がない緊急事態条項について、憲法上、どのように位置づけるべきか、考えられる論点について、私の意見を述べたいと思います。
憲法上、緊急事態条項を規定する場合、まず問題となりますのは、対象とする事態の範囲です。
自民党が提示した条文イメージ、たたき台素案では、この範囲を大地震その他の異常かつ大規模な災害と規定しています。首都直下型地震や南海トラフ巨大地震など、これまでの被害を大幅に超える事態が現実の危機として想定される中、提案したものであります。
しかし、これに加えて、緊急事態として想定されるのはほかにもあります。まずは、目の前で起きている新型コロナなど感染症の蔓延事態、世界で多発しているテロ事態、そして、今、私たちの隣の隣の国で起きている、ロシアによるウクライナ侵略のような国家有事、安全保障事態などについて、これらの議論が必要ではないかと私は考えております。
また、どのような事態が発生するのか想定し切れないからこそ緊急事態だと考えるならば、その想定外にも対応できるよう、その他法律で定める事態についても規定しておく方法も考えられます。
次に、緊急事態について憲法に規定する内容が問題になります。
私たち自民党のたたき台素案では、緊急事態条項として、議員任期の延長、そして緊急政令、この二つを提案しております。
特に、待ったなしの課題として議論すべきは、議員任期の延長の規定であります。
東日本大震災など大規模な災害が発生した際には、地方議員の任期の延長については特例法を制定することができました。しかし、憲法に任期が明記されている国会議員については、憲法改正を行わない限り、任期延長はできません。
昨年十月の総選挙は解散によるものでしたが、その投票日は、十月二十一日の任期満了を超えて設定されました。仮に、解散後あるいは選挙中に新型コロナ感染症の全国的な蔓延が深刻な事態となり、選挙の執行ができなくなる、そうした場合が起きたときには、衆議院議員が不在という事態が発生したかもしれないわけであります。
昨年の選挙は様々な工夫をしながら何とか執行することができましたが、どんな事態が起きても国会機能を維持しておくことは国の根幹となるものであり、緊急事態における議員任期延長については最優先で具体的な議論を行うべき、このように考えております。
あわせて、私たちがたたき台素案において提案しているのは、緊急政令を憲法の緊急事態条項の中に規定することであります。これは、国会が機能しなくなった際、内閣が暫定的に立法措置を行う制度です。国民の生命と財産を守り、必要な対策を執行できるよう、憲法に規定しておくことが必要ではないかと考えております。
さらに加えて、この緊急政令を執行するための予算を支出できる仕組み、これも整備しておく必要があります。現行制度でも予備費や予算の流用で対応できる場合もありますが、新たに補正予算が必要な場合もあります。緊急政令を発布するのは国会が機能不全に陥っているという事態である以上、緊急財政支出を可能とする規定、これについても議論が必要ではないでしょうか。
もう一点、これまでのコロナ感染症蔓延事態への対応を振り返りますと、緊急事態における国の権限強化と地方の実行体制の確保という、有事における国、地方の役割分担がより実効性を持てる規定について、これも議論が必要ではないかと考えております。
最後に、緊急事態を宣言したり認定する場合には、内閣や総理大臣など、誰が、国会の事前また事後承認など、どのように決定するかという手続の議論も必要になります。
憲法に緊急事態条項を規定することについては、私が申し上げたことも含めて、それ以外にも様々な論点があるのではないでしょうか。
今朝の幹事会におきまして、私は、来週、審査会を開催して、緊急事態に関する集中討議を行ってはいかがかと提案をさせていただいております。本日の討議を通じ、また更に様々な論点が出されると思いますが、こうしたことについて具体的な議論を集中的に行えるように、大いに期待をしているわけでございます。憲法審査会において緊急事態に関する議論を具体的に深めることができるよう、委員各位の御賛同をどうぞよろしくお願いいたします。
以上です。