奥野総一郎の発言 (憲法審査会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○奥野(総)委員 立憲民主党、奥野総一郎でございます。
まず、昨夜の地震で被災された皆さんに心よりお見舞いを申し上げます。改めて、いつ襲ってくるかもしれない災害の恐ろしさを認識をいたしました。また、隣国ロシアのウクライナへの侵略は、戦争がリアルに起こり得るものであることを我々に思い知らせました。
大災害や侵略戦争などを想定して、その際に国家の運営をいかにすべきかということを平時から想定することは必要だと私も思います。しかし、だから直ちに憲法改正が必要であるということは、いささか乱暴ではないでしょうか。特定の、自民党案、四項目の案を基に改憲をおっしゃる新藤筆頭に強く抗議を申し上げておきたいと思います。
災害時については、これまでの経験からも様々な立法措置がなされており、例えば、災害対策基本法の百九条、これは緊急事態の際の緊急措置等も規定されています。こうした条文があるので、これまでも災害については十分対応できています。
また、大災害などで国政選挙ができなくなった場合にどのようにするのかという議論については、果たして全国的に選挙が行えないような場合があるのかどうかという問題もありますが、日本国憲法は緊急集会の活用を想定していると考えられます。解散により衆議院が存在しない場合には、憲法第五十四条は参議院の緊急集会を定めています。制定当時の経緯を見ると、この緊急集会というのは、いわゆる緊急事態が念頭に置かれているものであります。第二次大戦中の一九四二年、そして大戦後も、すぐに衆議院選挙が行われているわけであります。
本日は集中討議の場ではないので詳しくは申し上げませんが、まずは参議院の緊急集会を活用しながら、選挙が行えるようになるのを待つというのが日本国憲法の考え方ではないでしょうか。必ずしも憲法改正は必要でないと思います。
基本は、いついかなるときも国会を動かすことでありまして、きちんと民主的な統制を行うことです。そういう意味で、緊急政令も不要ですね。改憲ありきではなくて、こうした丁寧な議論を行って、いわゆる緊急事態について本当に現行憲法に足らざるところがあるのか、あるいは緊急集会の解釈で足りるのかというようなことを考える冷静な議論が私は必要だと思います。
そして、国民投票法ですけれども、与党の皆さん、最近どこが与党かよく分からなくなっていますが、もし憲法改正を真剣に考えておられるなら、民意が正確に反映されるように、国民投票法制度をしっかり考えるべきじゃないでしょうか。
憲法九十六条においては、憲法改正は、国会の提案に対して国民投票による国民の承認を経なければならないと定められていますが、その趣旨は、国民主権の原理に基づいて、主権者たる国民の意思による承認を求めたものであります。その手続としての国民投票において、投票環境が整備され、公平及び公正が確保されることは、憲法上の要請でもあります。きちんと民意が反映される仕組みとしなければならないのです。
現行の国民投票法は、テレビやラジオのCM規制について、その扇情的な影響力に鑑みて、公平公正な投票を確保するため、放送メディアに量的な面を含めた自主規制を不可欠な要素としてでき上がっているんです。しかし、民放連は、その前提について、二〇一九年五月、憲法審査会において、広告量に特化した自主規制は置かない旨を発言して、制定時の自主規制という前提が崩れてしまいました。
また、制定以降、インターネット広告の飛躍的な増加、グローバル化やSNSの普及などの事情変化も生じています。ロシア軍のウクライナに対する侵略戦争では、世論に影響を与えるよう、SNSの情報戦が戦われているのであります。十年以上前に制定された現行制度では現状にそぐわず、外国政府などの干渉により投票結果が左右されるおそれもあります。
これらのことから、我々は、現行の国民投票制度は公平及び公正が確保されるという憲法上の要請を満たさなくなっていると判断しました。
そこで、昨年、我々は、国民投票法改正案において附則を設けて、投票の公平公正を確保するために、放送広告やインターネット有料広告の制限、資金規制、インターネット等の適正利用の確保を図るための方策その他必要な事項について検討を加えて、必要な法制上の措置その他の措置を講ずる旨の検討条項を設ける修正案を提案し、多くの会派の御賛同を得て成立したところであります。
つまり、憲法審査会は、これらについて検討を加えて、三年以内に法制上の措置を講ずる義務を負っているのであります。附則四条は、投票の公平及び公正は確保されていないと判断し、国会に措置を求めているものであり、これらの法制上の措置等が講じられないうちは憲法改正の発議はできないと解されます。
こうした状況を解消するためにも、まずは国民投票について、附則四条が求める検討をこの審査会で行い、少なくとも、この国会中に論点整理までは進めておくべきです。こちらを優先すべきだと考えます。
そして、我々は、この附則四条を受けて、三年前、当時の国民民主党として提案した法案を基礎に、表現の自由と国民投票の公平公正とのバランスが図られるように、新たな法律案を取りまとめています。この国会に提出する予定でもあり、憲法審査会でこれをたたき台にした議論を求めてまいります。
まず、CM規制ですけれども、テレビCM規制については、いま一度、民放連の意思を確認しておく必要があると思います。時間がたっていますから、いま一度、民放連の意思を確認していく必要があると思います。この参考人招致もお願いしたいと思います。
また、立法者意思として、船田先生や枝野前代表などから話を聞くことも必要だと思います。
それから、インターネット等の利用規制については、フェイクニュース規制など、表現の自由との関係で検討が難しい面もありますが、過去のアメリカ大統領選挙やブレグジットの検証、また、今回のロシアのSNSを駆使した情報戦なども検証する必要があると思っています。
それから、資金規制ですが、これは極めて重要であります。資金の多寡によって国民投票の結果がゆがめられることがあってはなりません。とりわけ心配なのが、外国政府の関与であります。特定の外国政府から資金の供与を受けた団体が国民投票運動を行って結果を左右してしまう、こういうことが想定されるわけであります。
我が案は、国民投票運動等に関する支出金額が一千万円を超える団体については収支報告を義務づける、そして五億円の支出限度額を設けています。これが多いか少ないかはありますが、検討していただければと思います。
また、運動資金が特定の者、外国人に依存することを防ぐため、一人当たりの寄附の上限額の設定、外国人寄附の受領禁止などの寄附規制を定めている案を作っています。憲法改正国民投票への外国政府等の関与を防ぐ措置として、絶対にこれは必要だと思います。
このほか、国民投票無効訴訟における無効事由の拡大、多様な意見に接する機会についての配慮、投票日当日の国民投票運動の禁止、そして、船田先生もたしか同様のことをおっしゃったと思いますが、いわゆる選挙、国政選挙の運動期間と国民投票運動期間の重複を回避するための措置についても検討が必要であります。また、最低投票率制度を設けるべきとの声もありますので、こうした議論も必要でありましょう。
重ねて申し上げますが、国民投票の公平公正を確保できるまでは、憲法改正の発議はできません。この法案を審査会に提出させていただきますので、我々の法案をたたき台として議論を進めてまいります。
それから、もう一点、ゼレンスキー大統領が日本の国会で演説をしたいとの求めがあったと報道されています。イギリス、カナダ、昨夜はアメリカで演説が行われましたけれども、我が国も是非実現をすべきであります。議院自律権の問題として、院として決断すればできるのであります。前回までオンライン審議の議論を行いましたが、こうした土壌で与野党共に受け入れやすくなっていると思います。
論憲の立場から、必要な議論はしっかり行ってまいります。重ねて国民投票法のしっかりとした審議をお願い申し上げて、私の意見といたします。
以上です。