北神圭朗の発言 (憲法審査会)

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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
 私は、もう一足先に緊急事態についての全体の論点について前回申し述べましたので、本日、とりわけ議員の任期延長に関する意見を申し述べたいと思います。
 これまで発言にあったとおり、議員の任期満了や解散後に大災害などの緊急事態が発生する、あるいは既に発生していたことにより選挙ができなくなった場合、衆参あるいは両院において議員が一部不在になってしまうことです。
 確かに、公職選挙法の第五十七条一項に、天災その他避けることのできない事故により、投票所において、投票を行うことができないとき、又は更に投票を行う必要があるときは、更に期日を定めて投票を行わせなければならない旨、規定しています。
 事実、この条文により、一定の緊急事態には対応可能です。一九六五年の参議院選挙において熊本県の一部、一九七四年の参議院選挙では三重県の一部では、こうしたいわゆる繰延べ投票が実施されました。基本的には、この制度を優先的に活用すべきだというふうに思います。
 しかし一方で、例えば、被災などした地域の混乱状態が相当長引く可能性の高い場合、その地域を代表する議員が不在となります。彼らこそが被災などした地元の実情に通じていることからすれば、長期間こうした地域代表が国会の審議に加われない状態は避けるべきだと考えます。
 また、選挙ができない地域が複数に及ぶこともあり得ます。その場合、繰延べ投票の時期が地域によってまちまちになってしまう可能性も十分考えられます。本来、一斉に国政選挙を実施することを予定している憲法の前提から逸脱してしまうおそれがあります。
 三つ目の問題としては、各政党に対する国民の支持を示す比例区の議員が確定しないことに対しても、繰延べ投票では対応できません。
 こうしたことから、長期にわたる広範な緊急事態の際、公職選挙法第五十七条一項だけでは、国民全体の代表機関である国会を十分に機能させるには著しく問題があり、新たに制度的担保が求められると考えます。
 もちろん、憲法第五十四条第二項に、内閣は、衆議院の解散中に、国に緊急の必要があるときは、参議院に対して緊急集会を求めることができるという規定があります。ここで言う緊急の必要という条文上の文言は、今議題の緊急事態を含むと解釈できます。しかし他方で、同じ条文にある衆議院の解散中という文言に即して見れば、衆議院議員の任期満了については適用されないと解釈するのが素直な読み方ではないでしょうか。
 また、長期にわたる広範な緊急事態の場合、衆参両院がそろった国会として対応することが、憲法第四十二条に規定される本来の国会の構成からして望ましいのではないでしょうか。
 以上を踏まえれば、緊急事態が発生した際には、公職選挙法の繰延べ投票、緊急集会という既存の憲法上、法律上の制度を優先的に考えながらも、やはり憲法改正により国会議員の任期延長の制度を創設すべきだと考えます。
 これは当然、緊急事態において国会の立法機能並びに行政監視機能を維持するための例外的なものになりますので、具体的に何をもって緊急事態とするのかという要件並びに手続についても厳格に規定すべきだと思います。
 これにつきましては、要件の方では、全国的な感染症の流行、大規模な自然災害、戦争、テロなどにより国政選挙の実施が不可能な場合、国会の立法並びに行政監視機能が長期にわたり維持できないおそれがあり、かつ、繰延べ投票や緊急集会で対処することが困難なときに限定する必要があるのではないかと思います。
 手続の方については、緊急事態の発生が任期満了前あるいは衆院の解散前の場合は、国会議員の三分の二の多数決で任期延長を決定するのが適当でしょうが、任期満了後あるいは衆院の解散後に何か起きた場合どうするかは、少し検討を要すると思います。
 というのも、これらの場合、議員の任期は一旦終了しますので、任期延長と同じ効果を確保するためには、前職の議員の地位を特例的に回復しなければならなくなります。ここは思慮深く検討すべき事項であり、今後、我が会派としても、皆さんとともに議論を深める必要があると考えます。
 また、当然、これら任期延長は例外措置となりますので、例えば一年以内、あるいは緊急事態が終了したと認められる期間と、期限を切るべきです。
 なお、権力の濫用を防止する観点から、裁判所が手続に関与することも検討する必要があるのではないかと問題提起をしたいと思います。
 いずれにせよ、今回の議員任期の延長の制度、これを憲法上創設することは、緊急時においてできるだけ国会の機能を維持し、安易に超法規的な措置に頼らず、立憲主義と行政に対する民主的統制をぎりぎり守るためにも不可欠であると考えます。
 以上です。
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発言情報

speech_id: 120804183X00520220317_014

発言者: 北神圭朗

speaker_id: 4662

日付: 2022-03-17

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会