新藤義孝の発言 (憲法審査会)

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○新藤委員 自由民主党の新藤義孝でございます。
 先週は、日本国憲法に規定がない緊急事態条項について考えられる論点を総括的に整理をいたしました。本日は、この問題について集中討議を行い、論点を深めたいと考えております。
 まず、整理すべきは、対象となる事態の範囲でございます。
 自民党の私どもの条文イメージ、たたき台素案では、大地震その他の異常かつ大規模な災害のみを提示させていただいております。
 しかし、先週の討議、これまでの討議を見まして、緊急事態を憲法に規定するべき、この御意見を表明した、私も含めて各委員が示していただいた対象範囲は、まずは大規模自然災害事態、そして感染症の大規模蔓延事態、さらにはテロ・内乱事態、また、現在まさに渦中にあって、昨日は立派な演説をいただいたわけでありますけれども、ウクライナへの侵略行為といった国家有事の際の安全保障事態、この四つの類型があるのではないか。これは、緊急事態の対象範囲としておおむね各皆さんが合意ができるのではないかな、このように整理をしたいと思います。
 その上で、これにも当てはまらないあらゆる事態への対応、こうしたものを考慮するならば、その他これらに匹敵する事態という包括的な規定を設けるか、若しくは、その他法律で定める緊急の事態というように法律委任の類型を用意しておくか、この点を今後是非議論させていただきたい、このように考えております。
 次に整理すべきは、緊急事態における国会機能の維持についてでございます。
 緊急事態が発生した際には、国民の生命、安全、財産を保護するために、政府に一定の権限を集中させ、そして迅速かつ適切な行動を取れるようにしておく必要があります。緊急事態であっても、国権の最高機関である国会の立法機能と行政監視機能、これを維持しておくことは法治国家として何より重要だと考えております。
 国会機能の維持という観点では、国会議員の任期延長、これが必須のことだ、このように考えます。さきに、憲法五十六条一項の出席概念につきましては、オンライン出席に関する議論の取りまとめを議長に報告いたしました。しかし、オンライン出席が定足数にカウントされるようになっても、そもそも、国会議員の任期満了前後に緊急事態が発生し、選挙の執行が困難となれば、国会議員は不在となり、国会は機能不全となってしまいます。
 公選法上の繰延べ投票による対応は、限定的な地域を対象とした選挙執行の困難事態に対処するための平時の制度であり、全国的に選挙の執行が困難となるような有事の事態においては、繰延べ投票で対応することには限界があり、また、妥当であるとも考えられません。
 なお、参議院の緊急集会制度によって対応すればよいとの御意見もありますが、この制度は、文言上、衆議院解散時にしか開くことができず、また、解散から特別国会召集までの二か月程度の期間の臨時的対応を想定しているにすぎないのではないか、このように考えます。
 緊急事態における議員任期延長の規定を憲法に設けることは必須であること、これは審査会として是非合意をしたい、このように考えております。その旨、私は提案をいたします。
 その上で、任期延長が必須な事態であることを誰が判断するか、ここについての論点を整理する必要がございます。
 私どものたたき台素案では、国会議員の三分の二の特別多数で議決する、こういう考え方もお示しをしております。しかし、大規模自然災害に加えて感染症大規模蔓延、テロや安全保障に関わる事態が発生した際、我が国の法制の概念を平時から有事にステージを切り替えて、必要かつ適切な対応を迅速かつ合理的に実施できる体制を構築しておく必要があるのではないか。とするならば、緊急事態の執行に当たる法制は、総括的、体系的なものとして構成すべきと私は考えます。
 その判断権者は、行政を運営する総理大臣又は内閣とするのが適切であり、もちろん、その判断の国会承認を速やかに行えるよう、事前事後承認の仕組みを設けておけばよい、このように思うわけであります。この点も是非、各党から御意見を頂戴したいと思います。
 また、国会議員の任期を延長することは、主権者国民の選挙機会が一部奪われることになるわけでございますから、延長期間の考え方や上限を定めておくことについての議論が必要でございます。
 ちなみに、緊急事態が布告されているウクライナの憲法では、戒厳、非常事態で構成される緊急事態の布告がなされると、当該布告が廃止された後の選挙によって構成される議会が招集されるまでの間、現在の議員任期が延長される、このような規定になっているわけでございます。
 本日の討議では、緊急事態条項の規定のうち、対象となる事態の範囲、そして議員任期の延長について、私なりの論点整理をさせていただきました。
 先週、公明党、北側先生からも御指摘をいただきましたが、ロシアの侵略を受けているウクライナ、このロシアの軍事作戦が開始される前日と当日に、緊急事態を布告するための国会、本会議が開催され、承認されています。
 国内で激しい攻撃がされている中、三月三日と十五日には議員が国会に集まって本会議を開催しています。三月三日には十四本の法律と一本の決議、十五日には二十一本の法律が採決されています。三月二十日には、国会に戒厳令下の刑事手続の改善に関する刑事訴訟法改正案を始めとする多くの法案が提出され、審議が始まっているわけであります。
 ウクライナの国会は、緊急事態の発生に対応し、あらかじめ準備された有事態勢に切り替えた上で動いているんです。仮に我が国に緊急事態が発生した場合、私たちは、有事という概念の下で、国民を守り、国家機能を維持するために必要な法制度、運営体制を準備しているのか、このことを私は強く危惧する次第でございます。
 憲法審が緊急事態の集中討議を実施していることについては極めて意義深いことでありますが、更に議論を深めるために、次の機会に、議員任期の延長に絡んだ、解散後に緊急事態が発生し、選挙が執行できなくなった場合の前議員となった者の身分の取扱い、さらに、緊急政令など権限集中の問題や人権制限の問題について論点を整理したい、このようにも思います。
 また、論点を整理し、審査会としてのおおむねの共通認識を形成するためにも、来週は、諸外国の緊急事態における憲法上の規定、また、関連するフェイクニュースなどを始めSNS対策などについて法制局より論点説明を受け、それに対する質疑を行いたい。その旨、本日の幹事会で提案をさせていただきました。
 今後、筆頭間協議で詰めてまいりますが、委員各位の賛同を是非よろしくお願い申し上げたいと思います。
 私の発言は以上であります。

発言情報

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発言者: 新藤義孝

speaker_id: 16290

日付: 2022-03-24

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会