中川正春の発言 (憲法審査会)
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○中川(正)委員 立憲民主党の中川正春です。
当初、自由討議ということを前提に話をするんだというふうに理解していたものですから、私たちの国民投票法を先行すべきだということも含めた議論というのを、今日、申し訳ないけれどもやらせていただきたいというふうに思います。
前回の国民投票法というのは、選挙法の改正に伴う関連事項の整理を中心に国民投票法の改正がありました。その改正時点で課題となって、その後の議論に委ねた形になっているのが、コマーシャル規制とインターネットに関連する課題であります。
当初の大方の意見は、言論の自由とバランスを考えれば、業界が自主規制で公平性をできる限り担保できるとするような、それが望ましいということでありました。当時は、憲法審査会に出席した民放連の代表からも、自主規制でやりたいという意思表示があったというふうに記憶をしております。
その後、自主規制の内容の開示も私たちも待ったんですが、三年たっても結論が出てこず、改めて憲法審査会の場で民放連の意向を確かめた。彼らの議論に結論が出ていないということを、そのとき確認をしました。
この状況の中で、取りあえず、情報の公平性という課題や、その後の海外投票をいかに担保するかなどの問題は一時棚上げして、三年以内にこうした課題のめどをつけるということを条件に、当面の選挙法関連の修正項目のみを採決に付していったという経緯があったと認識をしております。
したがって、国民投票の公平性と公正を担保する議論というのは最優先でまとめていくということ、また、そのためには、テレビコマーシャルの規制問題だけでなくて、インターネットなどの情報をいかに制御するか、非常に専門的に深掘りが必要な課題であるということであります。今からしっかりと時間を取って議論をしていく必要があると考えております。そういう意味で、これを最優先に議論をしていくべきだというふうに思うのです。
私たちは、当該法案のたたき台を用意しております。旧の国民民主党で提出された法案に、私たち立憲民主党が課題として持っていたものを融合させた内容になっております。これだけではなくて、更に議論すべき要素も包摂していると思い、できれば幹事会で開陳して、議論のたたき台としていただければありがたいというふうに思っております。
また、一旦法案として提出した上で議論の対象にする方がいいという会長の見解であれば、そのように提出の手続をさせていただく用意があります。
いずれにしても、まず国民投票法に関する議論を優先する、これをまとめるということが肝要だと思っております。
次に、憲法本体についての議論、これも、私たちはやってはいけないとは言っておりません。大いにやっていくべきだというふうに思っております。
緊急事態条項がこの審査会で集中的に議論する課題として浮上していますが、私は少し違った思いを持っております。
一つは、立法事実の捉え方の違いなんだというふうに思うんです。緊急事態条項を憲法改正を前提に議論するときに、総理大臣に権力を集中するということを目的に進めるということは必要ないし、間違っているというふうに思っています。緊急事態には通常を超えた指揮権が必要なことは、これは自明の理であります。だからこそ、憲法や法律では、それを無限に保障するのではなくて、逆に、その中でいかに基本的な人権を保障し、民主的なプロセスをはめ込んで、権力の暴走や濫用を防止するかということが主眼になっていくべきであります。
もし、議論が、総理大臣の権限を縛るということでなくて、権限の強化と広がりを保障する方向でなされようとしているとすれば、それは権力の分立を基本理念とする立憲主義とは相入れないものだと思っておりまして、くみすることはできません。これが立法事実として皆に共有されなければならないというふうに思っております。
日本の現状を見るときに、こうした整理は、憲法本体の条文としてではなくて、憲法の精神に基づいて、それぞれの分野の関係法令で整理されていると認識されています。災害時には災害対策基本法、コロナのようなパンデミックには感染症予防法や新型インフルエンザ等対策特別措置法、安全保障では武力攻撃事態等及び存立危機事態対処法だとか自衛隊法や国民保護法など、様々にそうした法体系が既に存在をしています。
憲法の趣旨を踏まえてそれぞれの関連法制を整備する中で、緊急事態法制は既に整備されており、これを更にブラッシュアップをしていくという方向、これを共有して議論をしていくべきだというふうに思います。
一方で、緊急時の国会対応ということについては、確かに問題が残るのだと思っております。
先般から話題になっている緊急時の衆議院の任期延長、まさに、総理大臣の指揮権に国会が関与して、その裁量の限界を規定するために国会の機能を維持する、そういう議論だと理解できます。参議院の緊急集会で事足りるのか、それとも憲法改正の議論が必要なのか、論点を整理して議論を深める必要はあると思っております。
参議院の緊急集会では駄目なのかというようなことも、緊急事態に特化するのではなくて、実は、国会の機能全般、統治機能という、この中で総合的に検証することが私は望ましいのではないかというふうに思うんです。
議論の対象としてのまとめ方として、国会機能の一つ、それと併せて、議員の任期延長であるとかあるいは首相の解散権であるとか、あるいは一票の格差というようなものも含めて、国会の機能をどういうふうに見直していくか、議論をしていくかいうこと、この範疇の中でやはり議論はすべきだというふうに思っております。
何度も申し上げているとおりに、まずは論憲であります。改正するにしてもしないにしても、落ち着いた議論が必要だというふうに思っています。議論の対象条項に関する立法事実、立憲事実がどこにあるのかを突き止めて、本当に問題があるのかどうかをはっきりさせた上で、問題があればそこに議論を集中させることが、この審査会の議論を実のあるものにしていくということになっていきます。
立法事実を検証することなく、憲法は改正するものだということを前提に議論を進めることは、国民の思いを統合した憲法議論につながらずに、議論によって心を分断するということ、そんな懸念が出てまいります。
以上、その部分を特に強調して指摘をしながら、私の発言を終わります。
ありがとうございました。