奥野総一郎の発言 (憲法審査会)
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○奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。
まず、SNSの話から入りますが、ウクライナではSNSの情報戦が戦われています。我々はスマートフォンを通して戦場の映像を見ることはできますが、その映像が本当に真実なのかという保証はありません。こうした現実を踏まえれば、選挙や憲法改正国民投票において、外国政府などの干渉で結果が左右されるおそれは否定はできません。
本日の説明でも、資料の中にありましたけれども、投票結果がゆがめられたり、政治的分断が深まるおそれがあるなど、フェイクニュースの民主主義に与える影響が指摘をされています。
諸外国でも対応を検討しており、ドイツは紹介ありましたけれども、フランスでも、選挙に関する偽情報について規定した情報操作との戦いに関する法律が制定されていますし、EUでは、プラットフォーマーに署名を求めて、行動規範に基づく自主的取組が推進をされ、不十分な場合には規制的な措置を講ずる可能性もEU当局が示唆をしているということであります。
憲法が保障する表現の自由の観点から、国家による規制は望ましくないことを踏まえた上で、なお我が国においても、EUとかを参考にしながらSNS対策を検討すべきであります。この問題については、有識者を招いてのより深い議論、参考人招致を求めます。
あわせて、国民投票への外国政府の干渉を防ぐために、これは表現の自由との関係でなかなか難しいところがありますから、運動資金が特定の者や外国に依存することを防ぐように、我々の法案に盛り込んであるよう、一人当たりの寄附の上限額の設定や外国人寄附の受領禁止などの寄附規制を行うべきであります。
公平公正な憲法改正国民投票を確保するためには必要な措置であり、運動資金の在り方についても集中討議を求めていきたいと思います。
このSNSの問題については、玉木代表が造詣が深くて、従来から指摘をされていましたので、こうした議論については御賛同いただけると思いますが、いかがでしょうか。後ほど伺いたいと思います。
重ねて申し上げますけれども、国民投票の公平公正を確保できるまでは、憲法改正の発議はできません。我々の国民投票法改正案を国会に提出させていただきますので、たたき台として議論を求めていきたいと思います。
次に、緊急事態ですが、先ほど新藤筆頭は規律密度を高める話をされていますが、規律密度が低いからこそ柔軟に対応できる、すぐに現実にアップデートすることができると思うんですね。毎年毎年憲法改正をやっていくというのはなかなか現実的ではないと思いますので、規律密度を高めるという考えには私は反対であります。本当に必要なところだけ考えていけばいいと思います。
緊急事態条項については、憲法五十四条の緊急集会の制定経緯からも分かるように、日本国の法制では既に盛り込まれている、緊急事態というのは織り込まれているということであります。武力攻撃、内乱・テロ、自然災害、感染症、それぞれの基本法制があって、緊急事態等の認定も行える仕組みになっています。そのことは本日の資料でも明らかでありまして、ということは、では、どこが不十分なのかということをやはり考えていかなきゃいけないんですね。
ですから、もう少し詳しく、専門家の意見、現代の緊急事態法制について話を聞いていかなきゃいけないと思うんですよ。深まったと言っていますが、全然まだ入口でして、どこが問題かもきちんと見えていないということではないでしょうか。余り粗雑な議論をこの憲法審査会で私はやっちゃいけないと思います。
また、もう一つ言えば、アメリカもフランスも、今説明ありましたけれども、基本は法律で対処しようとしているんですね、緊急事態について。ドイツも、連邦と政府の関係については規定していますが、基本は法律で対処しようとしていますから、やはり、法律であらかじめ対処するというのが基本的な考え方だと思います。
少なくとも、これまでの議論で言えるのは、緊急政令は要らない。まず、我が国については、国会で予算、立法措置を迅速に行うことによって、緊急政令は不要であります。ドイツやアメリカを始め多くの国でもこうした緊急政令の規定は設けておらず、全世界の憲法の実に九三%では、こうした強権的な規定、政府への権力集中の規定は設けられていません。むしろ設けないことがスタンダードであります。
それから、人権制限については、憲法の公共の福祉に基づく規定が既に、先ほど申し上げた個別法、災害とか等について基本法に盛り込まれています。それから、諸外国を見ても、広範に制約を認めている国はありません。公共の福祉については、それなりに判例も我が国では積み重なっており、限界も明らかになってきています。新たに憲法に人権を制約する規定を設けるべきではないと思います。
法制局に一点伺いますが、海外の事例で、人権制限、先ほどの表、こちらの資料の方の表には書かれているんですが、近年制定された憲法ほど人権制約が規定されていない、六三%の憲法は人権制約を規定されているといいますが、近年のものほどその率が下がってきていますね、その理由はなぜでしょうか。その理由を伺いたいと思います。そして、規定されている場合について、基本的人権の制約などもあるのでしょうか、その辺を伺いたいと思います。
それから、緊急集会についてですが、衆議院解散以外の場合に招集できるかどうかですけれども、学説では、任期満了の場合でも使えるとする説が有力であります。
内閣法制局は両論併記になっていますが、この資料にあるように、私の過去の予算委員会の答弁で、法制局長官が、「両論がありましたが、結論を得るに至っておりません。」「国会で御議論をいただくのが適当である」と述べています。任期満了時に緊急集会を招集できないとは法制局も言っていないんですね。
先日、これも玉木さんですが、指摘したように、五十四条の解釈について有識者の見解をやはり聞いておく必要があると思いますので、緊急集会について、憲法解釈の有識者、参考人の招致を求めたいと思います。
それから、議員任期の延長については、海外の事例を見ても、アメリカを始め多くの国では規定していません。二二%、解散の制約と合わせて二二%ですから、ほとんどの国は議員任期の延長も書いていないんですね。つまり、緊急時においても選挙が行われることを前提として多くの国は考えていると考えられます。
我が国においても、一九四二年、昭和十七年、戦時中でも選挙は行われましたし、戦後すぐ、一九四六年四月にも衆議院選挙が行われています。選挙ができないまま衆議院が任期満了を迎える事態を想定するとすれば、日本全土が戦乱に巻き込まれた場合や致死性の高い感染症が全国に蔓延する場合などの究極の事態でしょうが、その際に、選挙ができるようになるまで参議院の緊急集会を活用する、選挙は繰延べ投票で延期をすることが考えられます。
最後に、数年の程度長期にわたり選挙ができない場合に、それでもなお議員任期を延長するという考え方はあり得ます。議員自らの手で身分の復活というのはあり得ませんが、議員任期については、頭の体操としてはあると思いますが、ただし、誰が延長を決めるのか。国会が自分で決めて、不必要に長期に延長されるおそれがあります。
私は、議員任期の延長を考えるのであれば、憲法裁判所のような機関に判断させ、お手盛りは避けるべきだと思います。この点についても議論が必要ですので、論点にはしっかり入れておいていただきたいと思います。
最後に、海外の事例については、議員任期延長については、規定しないか、緊急事態等の期間と連動している例が多数と考えられますが、法制局、それでよいでしょうか。規定しないか、少数規定したとしても、緊急事態の期間と連動している例が多いんですが、いかがでしょうか。そのことは、緊急事態があくまで異常な状況であり、長期にわたらないという考え方が背景と考えるとよいでしょうか。
基本は、いついかなるときも国会を動かすことであって、きちんと民主的な統制が行われることであります。改憲ありきではなく、丁寧な慎重な議論、有識者を交えて一層の慎重な議論が必要であると申し上げて、私の意見表明といたします。