中川正春の発言 (憲法審査会)

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○中川(正)委員 今日は、ロシアのウクライナ侵攻から話を進めていきたいというふうに思います。
 ウクライナ情勢がどのような展開となっていくのか、予断を許さないということであります。人道的見地から、また、幾多の悲惨な戦争や国内紛争を繰り返してきた人類の歴史の教訓から見ても、ロシアのプーチン大統領という為政者の暴挙、そしてこれを許しているロシアの政治状況、これを世界は断じて見過ごすことはできません。
 日本国内でも、我が身に置き換えて、安全保障上の幾つかの課題が議論をされております。いわく、台湾有事を想定する必要があるのではないか、あるいは北朝鮮のミサイルと核の脅威にどう備えていくか等々であります。こうした議論に呼応するような形で、自衛隊の他国軍隊との共同演習が進展をし、敵基地攻撃能力の是非や核共有について、その言葉の定義を顧みずに軽々に議論される現状に私は危惧を覚えております。
 アメリカが一時代前のパクス・アメリカーナからその力が縮小し始めているという指摘がある中で、日本の安全保障戦略を見直していく議論は、私は必要だとは思います。しかし、軍備拡張論だけで近視眼的に結論を導く議論は、周辺国との関係から見ても、日本の立場を危ういものにするという指摘もあります。最小限度の必要な軍事力に加え、経済力、外交力のトータルな国力をベースに武力紛争を避ける国家の意思をつくっていくこと、これが大切なことは論をまちません。
 しかるに、それだけでは実は駄目なのです。国家リスクを最小化するためにも、もう一方の議論、これは、日本で為政者による権力の暴走が行われようとするとき、この我が日本でです、私たちはそれに立ち向かうことができるのか。仮に、武力によって他国の主権を侵すような為政者が選出されたとしても、憲法によってそれを阻止できる仕組みを国民の決意と総意でつくっておくということが必要だということであります。
 これが、今この局面で日本の国民世論に喚起されなければならないもう一方の課題だというふうに思うのです。この憲法審査会では、改めてこの観点からの議論を求めていきたいというふうに思います。
 この憲法審査会における最近の議論では、特に緊急事態条項に関わる発言が多くありました。緊急事態の四つの類型の中でも、戦争やテロ、騒乱を想定した対応として、誰もが描きやすい緊急有事への対応のイメージは権力の集中であります。他国の脅威に遭遇したときに、権力の集中をもってそれにあらがう枠組みをつくり、強いリーダーが国を引っ張るということであります。
 もし緊急事態条項の議論をこのようなことだけを前提に進めようということであれば、私たちは賛成することができません。今、日本にとって大事なことは、ここで立ち止まって、世界各地の紛争の現実をもう一度違った角度から確かめる必要があると考えるからであります。
 問題は、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻を招くこととなった要因、ロシアの為政者の権力の暴走なのであります。加えて、ウクライナへの軍事侵攻を正当防衛だと主張しているロシアのプーチン大統領も、現職の国会議員もまた、ロシア国民による民主的な選挙で選ばれておりまして、ソ連崩壊後のロシアは、新しいロシア憲法の下で形の上では民主的な運営がなされていたはずであったということは、今後、この緊急事態条項の議論を深めていく上で我々の重要な論点になるべきであります。
 日本も過去に、緊急時であることを理由に、憲法や法律が為政者の行動を正当化するために使われてしまったことがありました。だからこそ、平時において、歴史を教訓とした憲法論議が大事なことだというふうに思うのです。為政者の解釈によって無制限に権力が拡大された過去に学べば、緊急事態条項は、逆にその権力を縛り、暴走を防ぐために定める条項であることを再確認すべきであります。
 権力行使の限界と運用プロセスをあらかじめ定めて権力の暴走を防ぐ、この原則を、この審査会が緊急事態を議論するときの共通した基本理念として確認をしておく必要があると思います。その共通認識の上で緊急事態への対応を考えていけば、日本憲法下では、今、その大半が実は憲法でなく法律で既に規定され運用されているということも、これまでの議論で確認をされたことだと認識をしております。これも申し添えておきたいというふうに思います。
 最後にもう一言。国民投票法のコマーシャル規制やインターネット規制などの課題を早く解決しようではありませんか。附則として積み残され、やると約束したことは、棚上げをしてはいけません。ここで信頼が崩れると、審査会の運営そのものが混乱することになってまいります。大きな心で新藤筆頭には対応していただくことを期待申し上げたいというふうに思います。
 以上です。ありがとうございました。

発言情報

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発言者: 中川正春

speaker_id: 15692

日付: 2022-04-07

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会