吉田宣弘の発言 (憲法審査会)

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○吉田(宣)委員 発言の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 公明党の吉田宣弘です。
 では、発言に入ります。
 これまで憲法審査会で行われた議論では、憲法五十六条一項の「出席」という文言の概念について議論が深まり、定足数を満たせないような緊急事態におけるオンライン国会が憲法改正によらず実施可能であるとの整理が行われました。そして、先週までの憲法審査会では、緊急事態における国会議員の任期延長等について多くの意見が示されたと承知しております。
 オンライン国会も国会議員の任期延長等も緊急事態における国会機能の維持という点で共通ですが、後者については、例えば衆議院議員の場合、憲法四十五条に任期が規定されていて、任期延長について規定がないため、衆議院議員の任期延長を実現するためには、憲法を改正するしかすべがありません。憲法が任期延長について規定を置かなかった趣旨も含めて、この課題における議論が整理されなければならないと存じます。
 さて、憲法を論じるためには、歴史的変遷を確認することも重要であると思います。憲法は国家統治の根本法でありますが、この統治形態の変遷を大ざっぱにですが歴史的にたどれば、専制君主制、立憲君主制、立憲民主制と変遷してきたと存じます。
 専制君主制は、国家君主に主権があり、人による支配の典型です。立憲君主制は、主権は国家君主にありますが、憲法の支配に従う統治形態で、法の支配が取り入れられていますが、民主主義ではありません。そして、近代革命を経て主権が国民に移ると、憲法が民主化し、立憲民主制が始まりました。日本も現行憲法でこの立憲民主制を採用していると承知しています。
 この立憲民主制は、国家権力は無制約に人権を制約してはいけないという立憲主義はもとより、民主主義による結論でも人権を無制約に制約することを許さない制度です。ここにこそ、立憲民主制、すなわち立憲民主主義の究極の目的が存在すると私は理解しています。
 人権保障、とりわけ少数者の人権擁護の点に立憲民主制を採用した現行憲法の究極の価値があるのであれば、憲法審査会で議論される各論点又は議論の順序を考える際にも、この点を意識して行うことができないだろうかと考える次第です。
 以上述べてきたように、民主制の過程を経た結論でも少数者の人権を無制約に制約できませんが、仮にそのような事態が起きたとしても、民主制の機能が維持されていれば、民主制の過程で修正は可能でありますし、もとより、事前に少数意見へ配慮するという謙抑性も期待できます。
 そして、国会機能の維持とは、まさに民主的統制の維持であり、憲法保障の観点からも重要になってきます。そして、これまで憲法審査会でテーマとなってきた国会機能の維持の観点から議論を継続することは合理的ではないでしょうか。
 これに対し、内閣等への権限の集中と人権の制限は、民主的統制や立憲主義と距離を置く課題のように一面的には見えます。もっとも、国家緊急権に内在するパラドックスを考えれば、一面的に捉えるだけでは全く不十分であることは承知しています。しかし、パラドキシカルな課題に対する考察と議論は困難を極めることが予想されます。
 後々、困難な課題についても議論に踏み込んでいかなければなりませんが、あくまで私の感覚的な意見ですが、議論が比較的整理しやすいと推察される国会議員の任期延長等の課題について議論を進めるべきであると考えます。
 さて、国会議員の任期延長等を考える場合、問題になるのは、なぜ現行憲法は国会議員の任期延長等について規定を置いていないのか。このテーマは、参議院の緊急集会との関連で整理されなければならないと存じます。憲法規定から緊急集会の射程が整理されなければなりません。
 次に、国会議員の任期延長等については、まず要件、これは、緊急事態発生時期、緊急事態の内容、そしてその程度を整理しながら議論が行われる必要があると存じます。
 次に、手続、この点は、国会議員は国民の選挙により選ばれる存在であることからして、国民の参政権と価値的に近い手続を取られなければならないと考えます。
 そして、その効果、これは、発議者である国会の構成員である議員のお手盛りとならないような合理的な任期で制限されなければならないと存じます。
 以上、雑駁でございますが、私からの意見表明とさせていただきます。

発言情報

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発言者: 吉田宣弘

speaker_id: 23085

日付: 2022-04-07

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会