足立康史の発言 (憲法審査会)

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○足立委員 会長、ありがとうございます。
 日本維新の会の足立康史です。
 まず冒頭、衆院の憲法審査会がこうして毎週定例日に欠かさず開催されるようになってきたことを歓迎するとともに、御尽力くださっている全ての関係者に感謝を申し上げます。
 もちろん、憲法審査会の伝統、その前身である憲法調査会の時代からの伝統は政局に左右されないということでありますから、改めて評価することでもないわけですが、長らく続いた立憲民主党のサボタージュの結果、審査会の開催自体がニュースになるという、転倒した事態が続いてきました。
 奥野総一郎幹事には、後ほど、私の発言時間のうち十秒だけ差し上げますので、本日の緊急事態条項に関する総括的な討議が行われた後も二度とサボらないと明言いただければ幸いです。
 来月五月三日、日本国憲法が施行されてから七十五年の佳節を迎えます。憲法が国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という基本的価値を定着させた点を正当に評価しつつ、未来に向けた課題解決型の憲法論議を深め、一つ一つの憲法改正原案を国民の皆様に、憲法制定権力を有する国民の皆様に積極的に提案をしていく、それが衆参国会議員の責任であると私たちは考えています。
 そうした観点から、日本維新の会は、二〇一二年の結党以来、特定のイデオロギーを表現するためではなく、日本が抱える具体的な課題を解決するために憲法改正を行うべきと訴えてきました。いわゆる脱イデオロギーの憲法改正であります。憲法改正が必要となる社会的事実、いわゆる憲法事実が明らかな項目について、憲法改正の発議に向けた審査を優先すべきと考えてきたわけです。
 そうした観点から、二〇一六年三月、教育無償化、統治機構改革、そして、後ほども言及します憲法裁判所の三項目から成る憲法改正原案を取りまとめ、公表してきたところですが、一昨年の年頭から続く新型コロナウイルス感染症の蔓延とパンデミックに加え、東アジアにおける中国の軍事、経済面での急拡大を背景とした覇権主義的な動向、北朝鮮による核開発の進展、ロシアのウクライナ侵略とそれに伴う国際経済秩序の混乱は、私たちに新しい憲法事実を突きつけています。今国会において、私たち憲法審査会が緊急事態条項の必要性に改めて焦点を当てているゆえんでもあります。
 改めて、過去三回にわたる、今日を入れて四回の緊急事態条項に関する集中的な討議を振り返ってみて、私なりに重要なポイントを総括的に整理すると、第一に、法律でできることは法律でやればいいということであります。
 先週の橘局長の説明にもありましたが、我が国は、度重なる自然災害のたびに、これに対応できるよう災害対策基本法を中心とした個別の法律を制定し、政府への権限集中や人権制限といった措置を定め、いわゆる緊急事態法制を構築してきました。災害対策法制のほか、武力攻撃に対処するための有事法制、内乱・テロなどの治安緊急事態法制、感染症対応法制などであります。
 現下の新型コロナウイルス感染症の蔓延を受けた新型インフル等特措法については、日本維新の会として、法律レベルでも、営業規制等に伴う補償の在り方についての規定が不十分であり、加えてそのエンフォースメントにも課題があると予算委員会等で指摘をしてきましたが、法律レベルでできることは法律レベルでしっかりと取り組む、法律でできることは全部やっておく、そうした姿勢を徹底して貫いていく中で、憲法改正への国民の支持も更に高まっていくものと確信をしています。
 第二に、その上で、法律ではこれは難しい、そうした憲法改正の必要性、憲法事実が明らかな問題については、ちゅうちょなく憲法改正の議論を前に進め、憲法を国民の手に取り戻す必要があると考えています。
 冒頭申し上げたように、緊急事態条項について、中でも議員任期の延長については、まさに憲法改正をもって対応しなければいかんともし難いテーマであるため、こうして集中討議の焦点となっているのであります。
 第三は、他方で、その際にも権力の濫用があってはならないとの観点から、民主的統制をどう図るか、これが最重要の論点として浮上してまいります。
 私たち日本維新の会は、緊急事態条項が対象とする事態の範囲については、先ほど御紹介した、関連する法律が整備されてきている、一、武力攻撃、二、内乱・テロ、三、自然災害、四、感染症という四つのカテゴリーを原則とすることに賛成であります。
 そして、緊急事態宣言が有するべき効果の中でも、国会機能の維持、つまり議員任期の延長については、現行の繰延べ投票や参議院の緊急集会では不十分であり、速やかに憲法改正をもって対応しなければならないという認識についても、大勢の本憲法審査会の委員各位と共有しており、これら二点については、是非、本日の総括的討議の成果として確認いただき、次のステップに進んでいければと願っております。
 ただし、最後に申し上げた民主的統制については、もう少し議論が必要であります。
 先週の憲法審査会で、奥野総一郎幹事は、議員任期の延長に関する憲法改正を条件付で容認する発言をされた際、議員任期の延長を考えるのであれば、憲法裁判所のような機関に判断させ、お手盛りは避けるべきだと指摘をされました。全く正しい指摘であります。
 日本は議院内閣制を取っているため、内閣総理大臣あるいは内閣を緊急事態宣言を行う主体と位置づけ、加えて国会の関与を明記したとしても、それで十分な手続と言えるのか、まさにお手盛り感が否めないからであります。同じような認識から、国民民主党の玉木代表も、裁判所による統制も必要と指摘されたのだと存じます。
 しかしながら、問題はそう簡単ではありません。今の最高裁に緊急事態宣言の合憲性を判断できる能力が備わっているのか、そうした権能を付与するにふさわしい人材がそろっているのか、そうした権能を付与するにふさわしい裁判官の構成となっているのか、そこに維新以外の野党委員の指摘と現実との深刻な乖離があると指摘をせざるを得ません。
 だからこそ、私たち日本維新の会は、六年前から憲法裁判所の必要性を説き、憲法改正原案を条文レベルで御提案し、この場での審査を求めてきたわけであります。
 玉木委員は、先週、そうした必要な議論をすっ飛ばして、最高裁が事実上の憲法裁判所として機能するようにしてはどうかとナイーブに提案をされていましたが、そういう問題ではありません。憲法裁判所と言わずに最高裁と言い換えたからといって、緊急事態宣言の合憲性を司法府に判断できるのかという深刻な問題は、一足飛びには解決しません。玉木委員の発言については、一事が万事、トリガー条項も同じでありますが、言葉はきれいですが、本当に必要な議論、必要な真摯な態度が欠落しているのであります。
 先週、橘局長が御紹介くださったマッケルウェイン先生の研究からも、日本国憲法は他国の現代憲法と比較して著しく分量が少ない、人権規定に比べて統治機構に関する規定が非常に少ないとの御指摘がありました。
 制定から八十年近くも憲法を国民の手から奪い、放置してきた結果、いざ、こうして緊急事態条項に係る民主的統制の在り方、議院内閣制下の民主的統制の在り方について議論し始めた途端に、はたと民主的統制に必要な憲法裁判所がなかったことの重大さに気づくのであります。
 自民党の緊急事態条項に関するイメージ素案が、司法府によるチェックを求めず、各議院の出席議員の三分の二以上の多数をもって民主的統制を補完しようとしているのは、まさにこうした司法府の実情を踏まえた現実的なアプローチではありますが、本当にそれで十分なのか、こうした点について、次回の審査会では委員各位のお考えを伺いたいと存じます。
 以上でございます。

発言情報

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発言者: 足立康史

speaker_id: 733

日付: 2022-04-07

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会