玉木雄一郎の発言 (憲法審査会)

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○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
 昨日提出された国民投票法改正案の内容については、公選法を踏まえた技術的な改正であって、国民民主党としても賛成をします。
 ただ、提出後、自民党の参議院の幹部から、残りの会期で改正案を仕上げることは参議院ではあり得ないと異論を唱えておられます。提出するのはいいんですけれども、よく党内ですり合わせていただきたいし、せっかく円満に進んできた憲法改正に向けた当審査会の運営にマイナスにならないように、重々注意をしていただきたいと思います。
 さて、国民投票法改正については憲法本体の議論と並行して行うべきだとの立場でありますけれども、一方で、令和三年改正法の検討条項にあるもう一つの課題、すなわち、国民投票運動等のための広告放送及びインターネット等を利用する方法による有料広告の制限、資金に係る規制、インターネット等の適正な利用の確保を図る方策についても併せて議論を行い、早期に結論を得るべきだと考えます。
 特に、私たちは、旧国民民主党時代に改正法案を提出しており、そのうち特に重要な三点について早期に改正が必要だと考えています。
 改正案を策定する際に考慮に入れたのが二〇一六年のアメリカ大統領選挙であって、改めて紹介したいと思います。
 もう何度もこの審査会でも紹介しておりますけれども、二〇一六年のアメリカ大統領選挙では、二つの疑惑が問題となりました。一つは、これも何度も紹介しましたケンブリッジ・アナリティカ事件であります。ビッグデータを活用したマイクロターゲティングによる投票を操作した疑惑です。もう一つは、ロシアが大統領選挙に介入したという疑惑であって、フェイスブック上で、ロシアが背後にいると見られる偽りのアカウントが政治広告を掲載し、世論を誘導しようとした疑惑であります。
 これらの疑惑は民主主義の根幹を揺るがす事態であって、私たちは、国の最高法規である憲法の国民投票においても、同様のマイクロターゲティング広告を活用した投票の操作や外国勢力からの介入に対抗する適切な対応を取らなければいけないと考えました。その結果、インターネット広告規制や国民投票運動に対する外国からの寄附規制を盛り込んでおります。
 現在の国民投票法には、インターネット広告に対する規制が何ら存在していません。制定当時の議事録を読むと、例えば、誹謗中傷があっても、インターネットを使って逆の情報発信というのも自由にできる、だから問題ないといった趣旨の発言もあって、随分のどかな議論が当時は行われています。しかし、現在は、フェイクニュースの問題や心理学を利用したマイクロターゲティング広告の発達など、プリミティブなインターネット空間では想像し得なかった課題が出てきています。
 しかし、我が国においては、インターネット事業者の業界団体の自主規制もありません。また、外国人からの寄附についても何ら法律では規定されておらず、また、先日の民放連のヒアリングを聞いても、基本、各社が考えることになりますと述べておられ、各社の判断に委ねられているのが現状です。外国人広告主を排除する明確なルールは、法律上もガイドラインもありません。
 ケンブリッジ・アナリティカによる投票操作やロシアの大統領選挙への介入疑惑を踏まえれば、当時と比べてもより高度化したデジタル社会において、外国勢力がSNS等を活用して、我が国における選挙や憲法の国民投票の結果に影響を与えることは可能になっていると考えます。これは民主主義に対する脅威であり、民主主義はハックされ得る前提で対策を講じるべき時代になっていると考えます。健全な民主主義を守るためには、何らかの法規制が必要だと考えます。
 なお、EU離脱を決めた英国の国民投票においては、EU離脱を支持する組織からフェイクニュースが発信、拡散されたことが投票結果に影響を与えたと指摘されています。特に、離脱派から、EUへの拠出金が週三億五千万ポンドに達するとのフェイクニュースが拡散され、離脱派の勝利につながったとされています。
 そこで、当時、国民民主党は、以下のようなインターネット規制を盛り込んだ改正案を提出しました。
 まず、テレビのスポットCMと同様に、政党による有料インターネット広告は禁止し、国民投票広報協議会が行うもののみとすること。
 一千万円を超える支出を行い、インターネット広告による国民投票運動を行う団体に届出義務と収支報告の義務を課して、透明化を図ることとしたこと。また、支出の上限を五億円とする資金規制を導入したこと。実は、これはイギリスにおける国民投票における認定運動者に対する規制を参考に、人口が二倍であること、運動期間が約三倍であることを踏まえて、約六倍として設定をしております。
 インターネットを利用して文書図画を頒布する者は、電子メールアドレス等を文書図画に表示しなければならないこと。
 また、インターネットを利用して国民投票運動を行う者は、いわゆるフェイクニュースなどを流すことのないよう、適正な利用に努めなくてはならないこと。
 国民投票広報協議会はインターネットの適正利用のためのガイドラインを作成することとし、国民投票広報協議会の役割の強化も盛り込んでおります。
 また、外国人寄附規制に関しては、特定国民投票運動団体は、外国人、外国法人又はその主たる構成員が外国人若しくは外国法人である団体その他の組織から寄附を受けてはならないと規定しております。
 もう一つ論点として提起したいのが、選挙運動期間と国民投票運動の期間が重なることを回避するための措置の導入であります。
 これは、私は行きませんでしたけれども、海外視察をされたときに、特にイタリアで聞いたというふうに伺っておりますけれども、冷静な環境の中で国民投票を行うためには大型国政選挙とは分けてやった方がいいという、海外のそういった指摘も踏まえての規制の導入でありますけれども、いずれにしても、国民投票が政権に対する信任投票とかぶりがちだという指摘もあり、選挙運動期間と国民投票運動の一定の期間が重なることを回避する措置も導入をしております。
 いずれにしても、インターネット規制については、国民投票法だけの問題ではなく、より広範な議論が必要ではありますけれども、その際、表現の自由に最大限の配慮を行うことは当然のことであります。特に、表現の自由は、日本国憲法が保障する人権カタログの中でも優越的地位を占めており、その制限にはより慎重でなくてはならないと考えます。
 一方で、インターネットを取り巻く環境が大きく変化する中で、インターネット、とりわけSNS上の表現を放置した場合、民主主義が機能不全に陥る可能性があるとすれば、その自由を確保する義務を国家が負っているとも考えられます。
 表現の自由とは、国家の介入を排除するという個々の表現主体の権利だけではなく、表現空間に多様な情報が流通することを国家が確保する義務も含まれていると考えます。国家からの自由とともに、巨大なプラットフォーマーと膨大なデータを前に、国家による自由の確保も必要になってきているのではないかということを改めて問題提起をしておきたいと思います。
 最後に、現場を踏まえた適切な規制を議論するためにも、ケンブリッジ・アナリティカ事件に関与したブリタニー・カイザー氏を、オンラインでもいいので、当審査会に参考人として招致することを改めて求めたいと思います。森会長の取り計らいをよろしくお願いします。
 以上です。

発言情報

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発言者: 玉木雄一郎

speaker_id: 29596

日付: 2022-04-28

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会