奥野総一郎の発言 (憲法審査会)

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○奥野(総)委員 立憲民主党の奥野総一郎でございます。
 いきなり、冒頭、九条の話が出てまいりました。
 御指摘のように、安全保障についてもう一度ここで立ち止まって考えることは私も必要だと思いますし、防衛力も必要に応じて整備していくことは必要だと思いますが、しかし、それが直ちに憲法改正に結びつくのかというところに、非常に違和感を覚えます。
 多くの国民の方に自衛隊を憲法に明記することについて聞くと、賛成という方が多いんですが、しかし、これは法律の意味が変わってくるんですね。自民党案のように、九条一項、二項を残した上で九条の二を更に設けることで、再び、自衛隊は何をする組織なのか、もうちょっと言うと、フルスペックの集団的自衛権も行使できるのかどうか、こういう議論が再燃をします。憲法十三条との関係で、フルスペックの集団的自衛権というのは認められない、問題があるというふうに私は思います。
 また、自衛隊を違憲だと言う人がいるとおっしゃいますが、そういうことを言う人はほとんどいません。国民の間にもう自衛隊は定着しているわけですから、そのことのために憲法を改正するというのもまた、私は違うと思うんです。
 世論調査をしても、憲法改正の優先順位は高くないんですね。今はやはり景気とか物価とか生活が多いんですよ。憲法改正に賛成ですかというと、漠然と賛成と、そういう方は多いんですが、それは最優先の課題かと聞くと、順位がぐっと下がってくるわけです。
 ですから、こんな国論を二分するような、国民を分断するような、まさにアメリカのトランプとバイデンのように二分するような話を、本当に今ここで大騒ぎしてやるんですかと思います。
 そして、否決されたら、これはどうなんですか。安倍さんは、自衛隊を、合憲ということをきちんと示すためにと言っていますが、これは否決されたら大問題になりますよね。それこそ違憲論が逆に出てきてしまいますから、これはやはり慎重に議論すべきだと思います。
 また、こうした議論の中で、専守防衛の見直しなどという話が新聞紙上に出てくるんですが、専守防衛の見直しというのは、ちょっと言葉の、あり得ないと思うんですね。専守防衛を見直すということは先制攻撃を容認するということにつながりますから、これはまさに国際法違反ですよね。先制攻撃をするということは先にこっちが手を出すということですから、国連違反、国際法違反になりますし、もちろん九条違反になりますから、こうした専守防衛の見直しというのは、安易に言葉が出てくること自体、これはまた問題だと思います。
 専守防衛については、世論調査を見ても、多数の国民、七割近く、七割以上の国民が守るべきと言っていますから、そうした議論は、また、この九条に絡めて出てくるというのも、到底容認はできません。きちんとした議論をするのはいいと思うんです。だから、こういった専守防衛を見直すべきだというような間違った議論を正すための議論をしっかりやっていきたいし、九条があるから日本が守れないわけじゃありません。九条を使って日本をしっかり守ることができるというふうに、しっかり我々も反論していきたいと思います。
 それから、ちょっと話をまた戻しますが、先週は、与党の方から、国民投票法のCM規制を含まない改正案が出されました。
 我々は再三申し上げていますが、投票環境整備、投票環境向上のための措置の一部だけじゃなくて、CM規制等、公平公正を確保するための措置をきちんと含むべきだ、手当てすべきだと申し上げていますし、この附則四条の趣旨からして、これを同時に手当てしなければ憲法改正発議はできないということも申し上げておきます。
 国民投票法については、議論すべき点が多く残っています。
 まず、ネット規制については、憲法が保障する表現の自由の観点から、国家による規制は望ましくないということを踏まえた上で、なお、我が国においても、EUなどを参考にしながら対策を検討すべきでありまして、この問題について、ブリタニー・カイザーさんを含めいろいろな方に来ていただいて、きちんと議論をするというのが大事だと思います。
 それから、ネット規制の実効性はなかなか難しいという議論がありますが、であるならば、資金規制をしっかりすべきではないでしょうか。資金の多寡で国民投票の結果が左右されたり、憲法改正に対する外国政府の干渉をみすみす認めるというのはあり得ません。
 我が方の改正案では、運動資金が特定の者や外国人に依存することを防ぐように、一人当たりの寄附の上限額の設定、外国人寄附の受領禁止などの規制を規定しています。運動資金規制についても集中討議を求めていきたいと思います。
 このほかにも、船田先生もおっしゃっていますが、国民投票と国政選挙を同時に行うかどうか、これは別々に行うべきだとおっしゃっていますが、これらについてもやはりしっかり議論をすべきだと思います。これは我々の法案の中にも入っています。ですから、引き続き、国民投票法、公平公正についての議論をしっかりやっていくことを会長に求めています。
 そして、これまでの議論で、いわゆる緊急事態についても一定のコンセンサスができてきている、というのは、まず、議会機能を維持して、平時と同様に法案や予算措置を講じていくことを優先すべきだということについては、一定のコンセンサスができてきているように思います。
 さらに、議論が必要だと思うのは、その維持をどうやってするかということですが、緊急集会ですね。現行法の憲法上、どの場合まで緊急集会で対応できるのか。任期満了の際に選挙ができないときにも使えるのか、あるいは、選挙が長期にできない場合、要するに、衆議院が存在しない事態が長期にわたる場合でも対応できるのか。これらの点について、やはり有識者から意見を聞き、議論を深める必要もあります。
 また、議員任期の延長についても、それを考える場合には、誰が判断をすべきか、お手盛りにならないようにという論点もあります。
 それから、五十三条の問題ですね。
 五十三条について、政府は、内閣は必要な合理的な期間を超えない期間内に臨時会の召集を行うことを決定しなければならないとして、これは憲法の義務だというふうな公式見解を取っています。この合理的な期間がどのくらいかということなんですが、憲法制定時では、要するに、通年国会を取らなかった埋め合わせとしてこの制度があると言っていますから、求められればすぐ応じなければいけないはずなんです。
 昨年七月十六日に、我々が、新型コロナウイルス感染症及び各地で頻発する豪雨被害に対応するため、臨時国会の召集を五十三条に基づき要求しました、この際は八十日。それから、二〇一七年の際には九十八日もかかっています。これは明確な憲法五十三条違反ではないでしょうか。
 自民党憲法改正草案、これはなかなか全て賛同するわけにはいかないんですが、一つだけ私がいいと思うのは、要求があった日から二十日以内に召集されなければならない、こう改正案を書いておられます。
 緊急事態を議論するなら、緊急時に臨時国会が召集されるように、併せてこの五十三条の議論も必要ですし、あと、解散権の制約についても、緊急時には衆議院は解散されないと自民党案にも書いてありますが、それのみならず、やはり恣意的な解散は常に問題ですから、恣意的な選挙を行うことを制限すべきだとして、我が方の谷田川委員が発言していますが、英国のような任期固定法を制定するのか、それが問題なら、衆議院の解散を制限する憲法改正を優先的に行うべきだと谷田川氏は主張していますけれども、こうした議論も必要でありましょう。
 そして最後に、新しい人権についても議論が要ります。
 例えば、自己情報コントロール権を確立することが必要じゃないでしょうか。ネットワーク利用者の情報の多くが、利用者個人の氏名じゃなくて、クッキーや広告IDなど、利用者のブラウザー、端末を識別する端末等識別子にひもづけられてやり取りをされています。このような情報は、日本の個人情報保護法では個人情報として保護されていません。このため、通信サービスを使うたびに、どこの誰とも分からない業者に自分の情報が無断で送信されています。利用者には防ぐすべがありません。現在審議されている電気通信事業法でもこの無断送信を禁止しようとしていますが、途中で、法案作成過程で骨抜きにされてしまいました。
 EUの憲法である基本権憲章では個人データの保護が基本的人権の一つとして規定され、これに基づき、厳格なデータ保護法として知られるGDPR、一般データ保護規則が制定されています。我が国でも、個人情報保護法制を自己情報コントロール権の実現を目的とする体系的な法制度として再構築を図るべきなのですが、極めて今、先ほど電気通信事業法の例も言いましたけれども、動きが鈍いんですね。玉木代表も、情報の自己決定権としてのデータ基本権の保障を憲法に明記と発言されています。EUのように、憲法に自己情報コントロール権や自己情報決定権を明記するかどうか、こういう議論も必要ではないでしょうか。
 いろいろ申し上げましたが、様々な論点が憲法にあります。今日的な課題が国民投票も含めてありますので、これらについてしっかりと議論をすべきであると思います。
 九条改憲ありきには断固として反対します。
 以上です。

発言情報

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発言者: 奥野総一郎

speaker_id: 32692

日付: 2022-05-12

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会