玉木雄一郎の発言 (憲法審査会)

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○玉木委員 国民民主党の玉木雄一郎です。
 まず、今後の本審査会の進め方について一言申し上げたいと思います。
 これまで、緊急事態条項、国民投票法についての議論を行ってきましたけれども、一つ一つのテーマについて一定の意見集約を行ってから次のテーマに進むことを求めたいと思います。
 憲法審査会においてオンライン国会についての解釈の取りまとめができたことは画期的だと思いますけれども、コロナ禍で明らかになったほかの憲法上の課題についても優先的に議論し、速やかに一定の結論を得るべきだと考えます。
 特に緊急事態条項、とりわけ議員任期の特例延長の必要性については、本審査会でおおむね合意が得られていると考えますので、具体的な改正案について議論すべきと考えます。そのため、必要な有識者からの意見聴取、特に、憲法五十四条二項の緊急集会が、解散時だけではなく任期満了時にも認められるのか否かについての意見聴取は早急に行うべきであります。
 また、国民投票法についても、ネット広告規制について、インターネット事業者等からのヒアリング、そして、私がこれまで何度も提案している、ケンブリッジ・アナリティカ事件の当事者であるブリタニー・カイザー氏からの意見聴取も速やかに行っていただきたいと思います。
 とにかく、議論したテーマについて具体的な意見集約を行わずに次のテーマに行ってしまうと、また言いっ放しの憲法審査会に逆戻りしてしまうので、是非、議論のテーマを拡散させることなく、一つ一つ結論を出していく運営をお願いしたいと思います。そのためには、分科会方式や小委員会方式についても検討いただきたいと思います。
 なお、緊急事態条項については、これまで、審査会でも我が党の考え方も示してきましたけれども、我が党としては、条文案をほぼ取りまとめておりますので、是非、その全体イメージについて、資料を配付の上、改めて説明させていただきたいと思います。本日は、資料配付は幹事会で残念ながら認められませんでしたけれども、改めて会長の取り計らいをお願いしたいと思います。
 さて、新藤幹事から国防規定についてのお話がありましたので、国民民主党としての、九条を論ずるに当たっての基本的な考え方を述べておきたいと思います。
 これは、二〇二〇年十二月に取りまとめた国民民主党の憲法改正に向けた論点整理の中にまとめております。
 まず、現行憲法九条は、二項で戦力の不保持と交戦権の否認を認める一方、現実の防衛政策として、国際的には戦力と言える自衛隊を保持しています。この条文と現実との乖離を埋めるため、政府は、現実を追認する形で、戦力は保持できないが、自衛のための必要最小限度の実力、自衛隊は保持できる、また、交戦権は否認されるけれども、自衛のための必要最小限度の実力行使、自衛行動権は容認されるという、一般国民にも国際社会にも容易には理解し難い解釈を積み重ねてきました。その結果、憲法九条は、現実を規律、統制する規範力を事実上失っていると思います。
 さらに、二〇一五年、これまで一貫して堅持してきた集団的自衛権の行使は違憲という立場を解釈で一転させ、戦力不保持、交戦権否認をうたう憲法九条の下で、集団的自衛権の一部容認まで踏み込んだ安保法制を成立させたことで、憲法九条の規範力、統制力はいよいよ限界を突破し、九条二項の空文化に拍車をかけたと言えます。逆に言えば、現行憲法改正の必要性がこれによって著しく低下したとも言えます。
 そこで、国民民主党としては、日本国憲法の三大原理の一つである平和主義の理念を堅持しつつ、厳しさを増す安全保障環境の中で、現実的な対応を取る必要性を正面から認め、憲法九条に国家の最高法規としての規範力、統制力を復活させることが必要だと考えます。その上で、現在の解釈ではできないことは一体何か、改正によって追加的に得られる、あるいは得ようとする意義、必要性は何かを冷静に見極める必要があると思います。
 いずれにせよ、複雑怪奇な解釈がなされている憲法九条の規範性を復活させるためには、これにつきまとってきたイデオロギー対立から自覚的に一旦身を離した上で、次の三つの論点に分けて整理して冷静な議論を行うべきだと考えます。
 まず、論点の一つは、安全保障政策として、自衛権の行使の範囲について、憲法上どこまで認めるとするのかという論点です。二つ目に、その自衛権を担う実力組織としての自衛隊の保持及び統制に関するルールをどのように規定するかという論点。三つ目が、重要ですけれども、今申し上げた論点一、論点二の検討から導き出された自衛権行使の範囲と自衛隊の保持、統制に関するルール、この二つと、現行の九条二項の戦力の不保持、交戦権の否認との関係をどのように整理するのかという論点であります。
 国民民主党としては、自衛隊を明記するかどうかの形式的な議論の前に、その自衛隊にいかなる自衛権の行使を憲法上認めるのか、そして、その自衛権の行使を担う実力組織は戦力あるいは軍隊なのかという本質的な議論が必要だと考えます。なぜなら、この本質的な議論をしないと、仮に自衛隊という組織名が憲法に明記され、自衛隊の存在についての違憲性が解消されても、その自衛隊が行使する自衛権の行使という行為についての違憲性の疑義が残り続けるからであります。
 次回以降、必要に応じて、さきに述べた三つの論点に沿って、憲法九条に規範力、統制力を復活させるための国民民主党の条文イメージ案については述べたいと思いますが、議論の参考にするために、新藤幹事からありました、自民党の改憲四項目のうちの九条の二の条文イメージ、たたき台素案について、二つ質問をさせていただきたいと思います。
 自民党の条文イメージ、たたき台素案の九条の二第一項に規定された自衛隊は、依然として戦力や軍隊ではないのか、あるいは戦力や軍隊なのか、この点についてまず教えていただきたいと思います。
 そして、二つ目に、九条二項を残しながら、同項は、必要な自衛の措置を妨げずという書きぶりとなっていますが、その場合、これまで九条二項から導き出されてきた必要最小限という解釈は引き継がれるのか、それとも必要最小限の制約は外れるのか、この点について、石破先生は別の考えかもしれませんが、お聞かせをいただきたい。
 非常に重要です。なぜなら、聞いてください、自民党は、いわゆる敵基地攻撃能力の保持の必要性を提言されました。我が党も自衛のための反撃能力は必要だという立場ですから、一定の評価をしております。ただ、相手領域内の軍事施設等を狙って長射程のミサイルを撃った場合、これまでは想定されなかった誤爆の問題が起きてきます。その誤爆した自衛官は個人として処分されるのか、それとも上官が責任を負うのか、あるいは究極の上官たる国家が責任を負うのか、この考え方も併せて教えていただきたいと思います。
 ちなみに、業務上過失致死の国外犯規定は日本の刑法にはありません。加えて、そもそも、こうした軍事作戦にまつわる過失等を平時の法体系である刑法で問うこと自体が果たしていいのかという問題があります。その意味では、もはや自衛隊が戦力あるいは軍隊なのかという議論を曖昧にし続けることはできなくなっているということを指摘しておきたいと思います。
 その際には、何と呼ぶかは別にしまして、防衛裁判所あるいは軍事法廷のような特別の裁判体系も必要になることを指摘し、私の発言といたします。

発言情報

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発言者: 玉木雄一郎

speaker_id: 29596

日付: 2022-05-12

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会