北神圭朗の発言 (憲法審査会)

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○北神委員 有志の会の北神圭朗です。
 これまでの審査会は、それなりに順調に議論を進めてきたというふうに思います。しかし一方で、オンライン国会以外の課題については、まだ具体的な意見の取りまとめに至っていません。異なる意見がある中で、もちろん丁寧な議論は不可欠でありますが、決めるべきことは決めていかなければ、我々の責務を果たしたとは言えないというふうに思います。
 まず、これまでの積み残しがあります。これらのうち、可能なものから具体的な案に落とし込むべきだと思います。
 一つは、緊急事態条項について、参考人の意見聴取や事務局の説明も含め、相当議論を深めてまいりました。例えば、緊急事態の成立要件については、一部を除き、おおむね一致を見ていると思います。また、議員の任期延長についても、手続面などでまだ若干の開きはあるものの、議論を絞り込んでいけば合意を得られるのではないでしょうか。
 緊急事態条項は、一部の批判があるように、独断専行の行政権を認めることではありません。むしろ逆であります。専門的な知見あるいは過去の経験に基づいて、万が一の状況を想定した上で、国民の声がじかに届く国会の機能を維持することです。どさくさ紛れに憲法の隙を突いて行政が好き勝手なことをしないための民主的統制を確保することです。せっかくここまで議論を深めてまいりましたので、具体案を取りまとめる時期に来ていると考えます。
 もっと議論が必要なのは、国民投票法における広告規制等であります。インターネット広告の規制の在り方について、やはり、サイト事業者や海外事例などに詳しい専門家の意見を聞くべきだと思います。
 また、国民投票広報協議会について、その骨格は既に示されているものの、具体的にどのような役割を果たすべきかについて検討の余地があると思います。私としては、インターネット上、玉石混交の情報が氾濫する中で、この協議会から発信される意見等が積極的かつ大きな役割を担うべきではないかと考えています。
 ただ、サイバー攻撃などの問題を含めると、国民投票法のインターネット上の課題は、より広く、一般の国政、地方選挙の在り方やネット上の人権との整合性を図りながら検討する必要があるように思います。少なくとも、どのような手順でこうした論点を議論していくのか、一度この審査会で整理がなされるべきではないでしょうか。
 三つ目は、これに関連して、国民投票法を離れて、憲法そのものの課題としてのデジタル基本権があります。具体的には、サイバー空間における誹謗中傷などの行き過ぎた言論に対する人権保障の論点があります。また、スマホなどにおける遺伝子検査のアプリなどを通じて、個人情報が企業や外国政府に吸い上げられることに対するプライバシー権などの保障の論点もあります。これらについては、国民投票法との関連もあり、早急に議論を始めていくべきではないでしょうか。
 最後に、同じくまだ手をつけていない論点が憲法第九条であります。緊急事態条項が危機管理上差し迫った課題であるならば、国防も同じです。
 今回のウクライナ戦争で、我が国の安全保障環境は大きく変わりました。激しくなっただけではなくて、次元が変わったというふうに思います。二月四日のプーチン大統領と習近平との首脳会談で、中ロは史上最高の関係と宣言しています。我々の目の前で、我が国を含む西側諸国と中ロとの間で新次元の冷戦が顕在化する中で、我が国は、これまでのように中国だけでなく、新たにロシアからの攻勢にも備えるという二正面の防衛を余儀なく迫られています。
 また、ウクライナ戦争の教訓として明らかになった一つは、日欧米の第三者、外からの制裁やウクライナへの軍事物資支援という、第三者、外からの間接的な支援だけでは、プーチンの侵略を抑止できなかったことです。もう一つ明らかになったことは、核兵器を使うぞというプーチン大統領の威嚇により、欧米の軍事介入が逆に抑止されてしまったことです。
 我が国に置き換えて考えなければいけません。というのも、習近平も、ウクライナを毎日双眼鏡で眺めながら、台湾の武力統一の戦略を練り直していると思います。事が実行された際、台湾の近くにある尖閣諸島や米軍基地が中国の砲火から逃れられると、誰が自信を持って言えるのでしょうか。台湾有事は日本有事だというふうに覚悟をすべきだと思います。
 こうした中で、果たしてこれまでの防衛政策で国民を守れるのか。玉木委員がおっしゃったような法律上の整理も必要ですけれども、この新しい安全保障の環境に対応するための防衛政策、そして、その枠が憲法九条によって決まっておりますので、そういった関連でも議論すべきだというふうに思います。我が国が専守防衛にとどまり、米国が攻撃能力を担うという方針で、中国を本当に抑止し、平和を確保できるのか。
 先ほど奥野委員から、専守防衛を見直すことはあり得ないとおっしゃいましたが、別に、専守防衛を見直すことは何も先制攻撃だけの話ではなくて、国際法上、国連の規約でも、日本の専守防衛で規定されている個別的自衛権というのは、国際法上認められている個別的自衛権よりも大分範囲が狭いという理解でありますので、例えば、日本とアメリカが盾と矛の関係にあるというのも、アメリカが攻撃能力を担って、日本が本土を基本的に守る、こういうのも、そういう考えから出てきています。普通の世界の個別的自衛権だったら、攻撃的能力を担わないとか、攻撃性の高い武器を持たないとか、こういった議論は出ないはずでありますので、必ずしも専守防衛を見直すことはただ先制攻撃をしますということにはつながらない、論理的にはつながらないというふうに思います。
 加えて、中国は、核弾頭の数を、現在三百強から、あと八年後、二〇三〇年までには一千個に増やす予定というか、もう着々と計画を進めております。今回のロシアと同じように、台湾有事の際、中国が核の威嚇をした場合、米国が今回と同じように身動きが取れなくなるかもしれないと推測するのは、果たして私の被害妄想にすぎないのでしょうか。
 これらの問いに真面目に答えることは、論理必然的に憲法九条の議論に及ぶことを指摘して、私の意見表明といたします。
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発言情報

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発言者: 北神圭朗

speaker_id: 4662

日付: 2022-05-12

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会