石破茂の発言 (憲法審査会)

⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。 詳細は利用規約をご確認ください。

○石破委員 自由民主党の石破茂であります。
 先般、国連のグテーレス事務総長がプーチン・ロシア大統領と会談をした。あれを読んでみると、プーチン大統領が何を言っているかというと、我々は国連憲章にのっとって行動しているというふうに言っておるのですね、特別軍事作戦という言葉は使っていない。だけれども、ずっと特別軍事作戦ということを言ってきた。そして、先般の戦勝記念日の演説でも、この言葉は用心深く使わなかったのだろうと私は思っているのです。
 今日の議論がありましたように、戦争は違法であります。しかし、例外はあって、武力の行使ができるのは個別的自衛権、集団的自衛権、安保理の決定に基づく国連の行動ということになっております。プーチン氏が国連憲章にのっとってということだと考えれば、これは集団的自衛権の行使と考えるほかはなかろう。実際、そういうことにもロシアは言及をいたしております。つまり、ドネツク、ルガンスクという独立させた国家から救援の要請がありました、それに応えて集団的自衛権を行使しておるのであります、形式論理としてはそういう話になるのでしょう。
 しかし、アメリカがベトナム戦争に介入したときに、あのときのベトナムの政権はかいらい政権だった。アメリカが打ち立てた、かいらい政権以外の何物でもなかった。かいらい政権からの要請に基づいて、集団的自衛権の行使でございますと言ったら、これは何でもできてしまうわけですね。そういうことがあるべきだと私は思っていないのであります。
 このウクライナ戦争というのは確かに法律論だけで議論すべきものではないが、法の支配というものを我々が希求する以上は、これを法律的にどう位置づけるべきなのか。ロシアの論理がいかに国際法の論理と整合しないものかということは、我々日本の議会として認識を一にすべきものだというふうに考えております。
 玉木委員から、自民党の憲法改正のイメージについての御発言、御質問がありました。まさしくそういう議論をすべきだというふうに思っております。
 私は、よく石破案、石破案と言われて、二項削除論、とんでもないやつみたいに言われることがあります。それも不徳の致すところかもしれませんが、陸海空軍その他の戦力ではございません、なぜならば必要最小限でございます、交戦権は使えません、なぜなら必要最小限でありますという、何かそんな便利な物差しがどこかにあるんだろうかということであります。
 北朝鮮に対して必要最小限度のものは、間違ってもロシアに対して必要最小限度だと私は思わない、中国に対してそうだと思わない。そういうような最小限という量的な概念を入れること自体、私はおかしなことだと思っております。それは確信を持っております。
 自民党が提示をしております九条の二という中には、最小限という言葉が落ちている。「必要な自衛の措置をとることを妨げず、」この書き方がいいかどうかは別として、そこからは最小限という言葉が落ちているんですね。玉木委員のおっしゃるように、そこは今までの説明とどう整合するのだというお話をきちんとしませんと、このお話は全く前には進みません。一部で言われているように、いやいや、自衛隊の存在を憲法に書くだけで何にも変わりませんよというようなことを我々は考えているわけではない。そのことはきちんとしなければいけないと思っています。
 かてて加えて、私どもが政権を奪還したときに、憲法九条も含めて、改正草案というのを作りました。奥野委員がおっしゃるように、臨時国会の召集、これも、いつになるか分かりませんみたいな話では駄目なので、やはりきちんと期限を決めなければいけない。これは自民党の改正草案に入っておるところでございます。九条だけに拘泥をしたわけではございません。
 そこにおいて、二項というものは削除をすべきだというのが自民党の考えでありました。それは何も好戦的とかそういうお話ではなくて、文民統制をきちんとしましょう、最強の実力集団であるがゆえに、司法、立法、行政による統制をきちんと書きましょうということ。そして、入ってくるのは我が国の独立を脅かそうとする外の集団ですから、彼らが日本の国内法を守るはずはないのであって、そこにおいて適用されるのはあくまで国際法であるべきだということです。
 そしてまた、世の中では、人を殺せば殺人罪、物を壊せば器物損壊、戦場のルールはそうではない。そこにおいて、検察官も弁護士も裁判官もみんな軍の経験がない、実力阻止の経験がないということになると、本当に安心して自衛官は行動ができるのか、そこにおいて自衛官の人権はどのように確保されるかということを私どもは真剣に考えていかなければ、自衛官こそ国の宝と口で何回言っても、それは担保されるものだと私は思っておりません。そういう議論こそがなされるべきだというふうに私は思うところでございます。
 最後に一言付言をすれば、世の中には面白い議論がいっぱいあって、昭和二十一年の制憲議会において、吉田茂総理と共産党の野坂参三議員の議論というものは、これは多くの国会の議論の中で相当に注目に値するべきものだと私は思っております。
 野坂参三議員、日本共産党が、せめて個別的自衛権の行使ぐらいは認めるべきだというふうにおっしゃった。吉田総理は、そのような考え方を認めること自体が有害であるというふうに答弁をしている。有害であると言ったのは、共産党じゃないですからね、吉田総理ですからね。個別的自衛権を認めるべきだと言ったのは、共産党の野坂議員ですからね。世の中、変われば変わるものだというふうに思うものであります。世の中は変わるし、時代は変わる。
 今、共産党さんはそのことについてどういう評価をなさっているのか、私は寡聞にして存じませんが、やはり、そういう議論の中で、我が国が国民に対して果たすべきことということが明らかになるのであって、この会において更に議論が進むことを心から期待をする次第であります。
 以上であります。

発言情報

speech_id: 120804183X01220220512_020

発言者: 石破茂

speaker_id: 20757

日付: 2022-05-12

院: 衆議院

会議名: 憲法審査会