稲田朋美の発言 (憲法審査会)
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○稲田委員 自由民主党の稲田朋美です。
本日は、憲法議論の中核ともいうべき九条について発言します。
憲法前文の恒久の平和を念願するという基本的考え方は日本国民に広く共有されていますが、その方法としての「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」という部分は、国連の常任理事国ロシアがウクライナに対し武力行使に及ぶという国際社会の現実に照らし、もはや非現実的と言わざるを得ません。
日本が何もしなくても、北朝鮮は日本を射程に入れたミサイルを二百発以上有し、実際にミサイルを日本海に発射し、日本列島を越えて太平洋に着弾しています。日本が何もしなくても、中国は短距離、中距離ミサイルを配備し、その数は千九百発以上と言われています。日本が何もしなくても、中国は海警法を施行し、我が国固有の領土である尖閣諸島周辺で活動を強化しています。日本が何もしなくても、中国、ロシア、北朝鮮からのサイバー攻撃が増えています。日本が何もしなくても、中東で日本人がテロ集団の人質になることがあります。
国際社会の平和を念じつつ、日本の利益を侵害しようとする外国や、ならず者集団の行為に対しては、まずは自らの手で自らを守る姿勢を明らかにすることが必要です。その上で、共通の利益と価値観を有する国々との間で協力を進め、団結し、国際社会の平和と繁栄を実現する必要があります。
日本が何も悪いことをしなくても、脅威は降りかかってくるのです。消極的平和主義、すなわち、相手の善意に委ねれば平和は保てるという考え方では、もはや我が国の平和を確保することはできません。
まず、立憲主義の観点から、憲法に自衛隊と自衛権を明記することが必要です。
自衛隊について合憲と主張する憲法学者は少なく、国会に議席を持つ政党の中に、自衛隊を違憲と主張する政党もあります。憲法制定前後は、自衛権を否定したと受け取られかねない国会答弁もありました。その後、政府の解釈が確立し、必要最小限度の実力は戦力には当たらないと整理されました。
しかし、必要最小限度は、新藤幹事御指摘のとおり、周りの状況によって変わります。かつて北朝鮮は日本に届くミサイルを一発も持っていませんでしたが、今や数百発持ち、いつでもどこでも何発でも、潜水艦からでも撃てる体制を有し、その態様も、極超音速、変則軌道など、ミサイル防衛が極めて難しいものが存在しています。こうしたミサイル防衛を取り巻く環境の変化に対処するため、日本も反撃能力を持つ必要があります。
国と国民を守る実力組織である自衛隊について、違憲論を解消するために憲法に自衛権と自衛隊を記載することは、立憲主義の要請でもありますし、主権国家として防衛の憲法上の位置づけを明確にすることが、すなわち国家意思を示すことにもなります。
九条二項を削除するかどうか。これは、憲法上、集団的自衛権をフルサイズで認めるのか、それとも、平和安全法制で認めた、極めて限定的な集団的自衛権に限るのかに関わります。
防衛大臣時代に実感したことは、自衛隊は、世界レベルのいわゆる普通の軍隊にならなくても、世界から尊敬され、頼りにされているということです。むしろ、謙抑的な存在であることで、世界から信頼され、高い評価を受けています。
五十度を超える灼熱の南スーダンで、黙々と道路を補修し、施設を整備し、休日になれば現地の皆さんと触れ合いの行事を行い、撤収のときには重機の使い方を教えた上で置いていく、そんな自衛隊の姿は誇りでありました。現地の皆さんからも、世界からも称賛されていました。そんな現在の等身大の自衛隊を、誰からも憲法違反と言われることなく、活躍できる環境をつくることが必要だと思うのです。
平和主義を堅持し、専守防衛の下での、謙抑的で、我が国の身の丈に合った自衛隊、そして、変わり行く安全保障環境の中で、日本を守るのに必要な自衛権をしっかりと憲法に明記すること、そのための憲法改正が必要であると考えます。
以上です。