秋山正臣の発言 (厚生労働委員会)

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○秋山参考人 全国労働組合総連合、略称全労連で、事務局次長の秋山と申します。
 本日は、発言の機会をいただき、ありがとうございます。
 労働者の立場から雇用保険法と職業安定法についての意見を述べさせていただきますが、少しだけ私自身の話をさせてください。
 私は、元労働事務官で、公共職業安定所などの現場で職業紹介や雇用保険の仕事をしていました。また、労働行政で働いた経験とともに、労働組合の役員としても活動してまいりました。今の私は、このような経験があってこそだと思っております。応援してくれる労働組合の仲間や、労働行政で苦楽を共にしてきた多くの方に、この場をかりて感謝を申し上げたいと思います。
 さて、初めに雇用保険の問題について申し上げたいと思います。
 まずは、国庫負担を原則に戻し、失業給付基本手当日額の支給額を引き上げ、離職理由による給付制限や給付日数の格差の見直しについてです。
 雇用安定事業については、コロナ禍において雇用調整助成金による失業の予防が高く、まだまだ先行きが厳しいことから、特例措置についての更なる延長を求めます。
 それでは、それぞれの点について理由などを申し上げます。
 一つ目は、国庫負担を原則に戻すことについてです。
 雇用保険制度の本来的な役割を考えるなら、労使負担だけでなく国庫負担を行うことが基本です。その負担割合を定める今回の改正法案については、半永久的に原則を適用させないことになる、国庫負担の原則を引き下げたままとなるような改正であるということで、反対であります。
 ただし、今回のような感染症の感染拡大などがあれば、速やかに対処できるように一般財源を機動的に投入できるようにすることは必要です。しかし、今回の法改正では、これまで以上に保険制度としての機能を弱めることにつながる。繰り返しになりますが、国庫負担の原則を引き下げたままとするような法改正は反対です。
 お配りしております資料にも記載しておりますので、お読みいただけると幸いです。
 次に、失業給付の基本手当の問題です。
 現行の給付水準が低過ぎると考えます。とりわけ上限額が低過ぎます。
 雇用調整助成金では、特例措置として一万五千円まで限度額を引き上げていました。雇用保険失業給付の基本手当を支給している間も、社会保険料や地方税などの負担は避けられません。扶養家族、子供や介護の必要な家族を抱えていたなら大きな負担が強いられます。したがって、上限額を一万二千円以上に引き上げていただきたいというふうに思います。
 なお、資料として上限額がどれぐらい下げられているのかを示しておりますので、こちらの方についても是非御覧いただければと思います。
 雇用保険に関して次に申し上げたいことは、カバー率の低さです。
 資料の二ページに都留文科大名誉教授の後藤道夫教授に作成していただいたグラフがありますが、カバー率は二割程度であります。労働保険が全面適用となってからかなりの年月が経過しましたが、カバー率が低くなってきています。
 その要因は幾つか考えられますが、実態は労働者であるにもかかわらずフリーランスの扱いにされている人が多いことや、シフト制勤務で働く労働者が被保険者にされていないケースが多いことなどがあります。
 国際的な比較についても出してみました。資料二ページ図表三を御覧ください。
 この点で、行政には積極的に実態を踏まえた適用拡大を図っていただきたいと思います。契約上だけで労働者ではない個人事業主といった判断を行いがちです。そうではなく、必ず実態を見て判断するようにしていただくとともに、労働者のカバー率を引き上げていただきたいと思います。
 雇用保険法に関して、最後に、自己都合退職による給付制限はなくしていただきたいと思います。また、離職理由によって給付日数に格差を設けることも業務を煩雑化させています。したがって、これらの見直しを求めます。見直しで業務簡素化が実現します。
 離職理由による給付日数の格差や給付制限は、窓口でも一番悩ましい問題です。早期に失業給付を行わなければならないため素早い決着が求められますが、事業所の確認などに時間がかかります。一方で、失業者に対する給付ですから遅れることは許されません。職員が遅くまで残業することにもつながっています。
 このような働き方をなくしていくためにも、また、資料四ページのアンケートにもあるとおり、離職理由による給付の格差について見直しをしていただきたいと思います。
 二つ目の課題として、職業安定法の改正法案について申し上げます。
 歴史的に見ると、日本では、職業紹介業務が中間搾取や強制労働と密接につながっていました。そのため、国が職業紹介を独占するとして法が作られたと思いますが、有料職業紹介について一部だけ認められてきました。その後、労働者派遣事業などが発達するとともに、インターネットの発展によって求人募集の形態が大きく変化をしてきました。
 こうした変化が、仕事を探す求職者と人を探す求人者双方にとってメリットだけがあるなら何も問題はありません。しかし現実は、便利さに潜む危険性、わながあります。こうしたことは事前に予測することが難しいことが多く、新しい技術の発展による落とし穴にはなかなか気がつきません。
 職業安定所では、求人内容が労働基準法などに違反していないかをチェックし、指導助言を行います。求人、求職の申込みは全て受け付けることが原則ですが、悪質な労働法令違反を行った企業の求人は受付を拒否することができます。
 仕事を探している求職者の立場は弱いものです。求人内容が信頼できるかどうかは、応募の判断に大きく影響します。ブラック企業に応募する人はいないと思います。
 しかし、応募してもなかなか採用されず、長期にわたり失業すると、生活が困難となっていきます。また、資格を取得することによって就職の可能性を広げようと自ら努力する人も多くいます。
 こうした求職者の弱みにつけ込み、手軽さを売りにして、貧困ビジネスともいうべき悪質な業者がはびこっています。これに対する規制を強化することが必要です。
 就職するために必要だとして、高額な講座の受講をさせる事例や、就職した事業所で強制労働まがいの仕事をさせられている事例もあります。資料四ページから五ページにあるとおり、アンケートに切実な声も寄せられています。
 求職者が受ける被害と比較すると、改正法の罰則規定はまだまだ弱いと思います。また、なかなか告発に至る事例がなく、職業安定行政の職員に司法警察職員としての権限を与えるなど、行政の体制強化を図ることも必要だと思います。
 一人一人の求職者が、応募しようとする企業に関する信頼性の高い情報を得ることは困難です。その意味でも、国が運営する職業安定所は高い信頼性を持っていると思います。多様な求人募集の情報に接することは求職者にとってもメリットが大きいと思いますが、信頼性を高めなければなりません。
 中小零細企業では、高額な仲介手数料を支払っても労働者が定着せず、繰り返し手数料を支払って労働者の確保をしなければならないケースもあります。
 全てを民間に任せるのではなく、国の機関としての公共職業安定所、ハローワークがその中心にしっかりと座り、求職者と求人者を支えていくことが必要です。
 最後に、委員の皆様方にお願いであります。
 冒頭に申し上げましたが、私は職業安定行政に携わってきた経験を持っています。現場を離れたとはいえ、行政には愛着を持っております。
 そこで、行政現場に関するお願いであります。それは、非常勤として働いている職場の仲間の雇用安定です。雇用不安からメンタル疾患となった者もいます。正規労働者として安定した働き方ができるよう支援している行政が、不安定な非常勤職員を中心に運営していることは、倒錯していると言うほかありません。
 非常勤職員の雇用安定とともに行政体制を拡充することは、中小企業経営者の皆さんに対するきめ細かなサービス提供が可能となり、仕事を探している人々に寄り添った対応が今以上に可能となります。今のままでは、中小零細企業の経費負担も大きくなる一方であり、安定した雇用にもつながらないと思います。
 行政サービスを拡充することは利用者である国民の皆さんに大きなメリットがあることを御理解いただき、委員の皆様におかれましては、労働行政で働く非常勤職員の雇用安定と行政体制の拡充に向け、お力添えをいただきますようお願いを申し上げ、私の公述を終わらせていただきます。
 御清聴いただき、ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 秋山正臣

speaker_id: 29545

日付: 2022-03-15

院: 衆議院

会議名: 厚生労働委員会