岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 馬場伸幸議員からの御質問にお答えいたします。
 新型コロナ対策についてお尋ねがありました。
 新型コロナへの対応については、これまでも、科学的な知見やエビデンスを重視し、その時点その時点の分科会の意見を踏まえた基本的対処方針に基づき、対策を講じてきたところです。未知のことも多く、全てを見通した上で判断を行えるわけではありませんが、専門家の意見を伺いながら、過度に恐れることなく、最新の知見に基づく対応を冷静に進めてまいります。
 息の長い感染症対応体制の強化策として、次の感染症危機に備えて、これまでの検証をしっかりと行い、本年六月をめどに、危機に迅速的確に対応するための司令塔機能の強化や、感染症法の在り方、保健医療体制の確保など、中長期的な観点から必要な対応を取りまとめてまいります。
 新型コロナの感染症法上の位置づけと子供へのワクチン接種についてお尋ねがありました。
 オミクロン株の感染が急拡大している中、今、このタイミングで感染症法上の位置づけを変更することは現実的ではないと考えていますが、変異を繰り返す新型コロナの特質をしっかり考えた上で、今後の感染状況等も踏まえ、厚生労働省の審議会等において、専門家の意見を伺いながら、議論してまいりたいと思います。
 ワクチン接種については、集団予防の観点から実施されるものであり、原則として接種の努力義務を課すこととしていますが、十二歳未満の子供の接種への努力義務の適用の是非については、専門家による有効性、安全性の確認など、必要な手続を進めていく中で検討してまいりたいと思います。
 また、接種を強制することや接種の有無により不当な差別的扱いが行われることがないように、ワクチン接種の趣旨についてしっかり周知をしてまいります。
 新しい資本主義についてお尋ねがありました。
 岸田政権の掲げる新しい資本主義のグランドデザインの基本は、格差や気候変動といった資本主義経済の弊害がグローバルに顕著になってきた中、これらの問題の解決を市場、競争に全て委ねるのではなく、官と民が協働して、市場の失敗、外部不経済を是正する仕組みを成長戦略と分配戦略の両面から資本主義の中に埋め込むことで、成長を実現するとともに、社会課題を解決し、そして結果として持続可能な経済を実現していこうとするものであります。
 新たな資本主義のモデルを模索する動きは、我が国のみならず、世界各国で始まっています。米国におけるビルド・バック・ベター、欧州の次世代EUといった政策は、こうした問題意識に基づく新たな資本主義モデルの模索の動きの一つであり、私の新しい資本主義もこれらの動きと軌を一にするものであると考えています。
 具体的には、デジタル化、気候変動問題への対応、経済安全保障などの課題をこれからの成長分野にしていくという発想で、予算や規制改革、新たなルール整備などによってマーケットをつくるとともに、民間投資を促すことです。
 第二に、デジタル田園都市国家構想を強力に推進し、地域の課題解決を図るとともに、地方から全国へと、ボトムアップの成長を実現していくということです。
 第三に、所得の向上につなげる賃上げを進めるべく、賃上げ税制の拡充や公的価格の引上げを図るほか、中小企業や下請企業が適正な価格転嫁を行える取引環境の整備を進めるとともに、これからの付加価値を創造する源泉となる人的資本への投資を抜本的に強化いたします。
 まずは、こうした新しい資本主義を起動させるため、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策を策定したところです。
 今後の実行計画のスパンについては、これらの成長、分配戦略の施策の内容を具体化し、毎年度に実行する内容を記述した工程表を具体的に作成することを通じて決定してまいります。
 新しい資本主義における可処分所得の増加を目指す取組についてお尋ねがありました。
 御党が掲げる日本大改革プランは、経済成長と格差解消を目指す所得向上策と理解しています。
 私が掲げる新しい資本主義も、まずは成長だと申し上げています。経済成長を実現しなければ、分配の原資はありません。その際、市場や競争に全てを任せるのではなく、官と民が協働して、成長と分配の好循環を生み出していきます。市場の失敗、外部不経済を是正する仕組みを成長戦略と分配戦略の両面から資本主義の中に埋め込み、そうした課題を解決しながら、成長と分配の好循環を生み出していきたいと考えます。
 例えば、デジタル化であれば、社会課題に直面する地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあるという発想で、インフラ整備、サービスの実装、ルール等の整備を一体的に進め、自動配送、遠隔医療、オンライン教育、スマート農業など、デジタル技術を生かした新たなビジネス投資を促していきます。気候変動への対応については、エネルギーの供給側に加えて、製造業や運輸部門での設備投資、住宅の省エネ化など、需要側の各分野でのエネルギー転換に向けた投資を後押しするための方策を具体化し、気候変動関連のあらゆる分野を成長産業にしていきます。
 成長の果実を広く国民一人一人に分配することで、賃上げを含めた各種施策や人的資本投資強化のための政策パッケージと組み合わせ、消費の拡大による経済活性化と人的投資による生産性向上によって更なる成長につなげていきたいと考えます。
 経済成長や格差是正に向け、御党ともしっかりと国会において議論をさせていただきたいと思っております。
 そして、賃上げと成長戦略についてお尋ねがありました。
 成長と分配の好循環による持続可能な経済を実現する要となるのが、賃上げや人への投資を始めとする分配戦略です。
 賃上げについては、賃上げ税制や補助金の拡充だけではなく、公的価格の引上げに加え、中小企業が適正な価格転嫁を行うための環境整備や最低賃金の見直しなど、あらゆる施策を総動員して取り組んでまいります。
 また、賃上げだけでなく、人への投資の抜本強化にも取り組むこととしており、三年間で四千億円規模の施策パッケージにより、民間ニーズを反映しつつ、成長分野への労働移動の円滑化、そして人材育成、これらを強力に推進してまいります。
 同時に、予算、規制改革、新たなルール整備など、政策を総動員して民間の投資を促し、成長を実現してまいります。
 マイナンバー法とマイナンバーの利活用についてお尋ねがありました。
 マイナンバーの利用や情報連携については、国民に利便性を感じてもらうことを第一に、徹底的に国民視点に立って行政手続等を精査し、業務や制度の見直しを総合的、包括的に行うこととし、令和五年に、マイナンバー法を含む必要な法案提出を実施することとしたものです。
 御指摘のデジタル社会の実現に向けた重点計画に基づき、引き続き、デジタル社会の基盤となるマイナンバーの利活用を推進してまいります。マイナンバーの利活用を推進していくことが社会保障と税の分野で公正な給付と負担の確保に資することは、従来と何ら変わってはおりません。
 また、預貯金口座への付番を円滑に進めるため、昨年五月に成立した預貯金口座個人番号利用申出法では、新規口座開設時に金融機関がマイナンバーの告知を求めることを義務づけるとともに、本人の同意を前提に、一度に複数の金融機関の預貯金口座への付番が行える仕組み等を設けることとしており、着実な実施を図ってまいります。
 グリーン成長戦略とクリーンエネルギー戦略についてお尋ねがありました。
 二〇二〇年に策定されたグリーン成長戦略は、再エネや原子力など、供給側の成長戦略を中心に取りまとめました。クリーンエネルギー戦略では、グリーン成長戦略やエネルギー基本計画で示した高い目標の実現に向けて、エネルギーの供給側のみならず、需要側も含め、どのような分野で、いつまでに、どういう仕掛けで、どのぐらいの投資を引き出すのか、時間軸を示しつつ、経済社会変革の全体像及び道筋を示していきます。
 クリーンエネルギー戦略の策定に向けて、一昨日、私から経済産業大臣を始めとする関係大臣に対して、送配電インフラ、蓄電池、再エネを始め水素やアンモニアなどの非炭素電源、安定、低廉かつクリーンなエネルギー供給の在り方、需要側の産業構造転換や労働力の円滑な移動、地域における脱炭素化、ライフスタイルの転換など、多くの論点に方向性を見出すよう指示をしたところであり、今後、集中的な検討を深めます。
 カーボンプライシングについては、このクリーンエネルギー戦略の中で早期に方向性を見出してまいります。
 経済安全保障法制の整備、そして政府の情報収集等の体制強化等についてお尋ねがありました。
 経済安全保障は、待ったなしの課題であり、新しい資本主義の重要な柱です。
 経済安全保障を推進するための新たな法律については、現在、有識者会議を立ち上げ、経済界やアカデミアなどの様々な分野の有識者に議論をいただいており、自由な経済活動と両立する形で、予見可能性に配慮した制度設計とするよう、検討を進めているところです。
 また、経済安全保障分野での情報収集機能等の強化は誠に重要であり、関係省庁がお互いに有する情報を共有し合う等によって、より一層この情報収集機能を充実強化するべく取り組んでいきたいと考えます。
 御指摘のセキュリティークリアランスや人権侵害への対応を始めとする様々な課題については、今後、国際情勢等の変化も見据えつつ、省庁横断で必要な取組を進めてまいります。
 なお、いわゆるスパイ防止法の必要性については、様々な議論があると承知をしております。国の重要な情報等の保護を図ることは極めて重要なことであり、必要な取組の充実強化に引き続き努めてまいりたいと考えています。
 日本維新の会の子供省の構想についてお尋ねがありました。
 この構想については、現時点でその具体的内容を承知してはおりませんが、教育については、文部科学省において初等中等教育、高等教育及び社会教育の振興を一貫して担っており、教育行政の一体性を維持して、子供の成長を学びの側面から支えていくため、引き続き、文部科学省が、地方の教育委員会等と連携して、その充実を図ることが適切だと考えます。
 その上で、就学前の全ての子供の育ちの保障を担うこども家庭庁と文部科学省が緊密に連携を図り、幼稚園、保育所、認定こども園における教育、保育内容の基準の整合性を制度的に担保することなどにより、施設類型を問わず、質の高い教育、保育を受けられるようにしてまいります。
 施政方針演説における台湾への言及、台湾との防衛協力の在り方及び台湾有事の際の邦人退避等についてお尋ねがありました。
 今回の施政方針演説においては、台湾海峡をめぐる情勢も念頭に、中国との間で諸懸案を含めて対話をしっかり重ねていく、こうした旨を述べたところであります。
 御指摘の日米2プラス2の共同発表での言及は、まさに、自由、民主主義、人権、法の支配、国際法、多国間主義及び自由で公正な経済秩序の尊重へのコミットメントを共有する全ての主体と協力することについて、日米間で改めて確認したものです。
 また、政府は、従来から、中台の軍事動向について強い関心を持って情報収集に努め、また、様々な相手と情報共有を行ってきておりますが、その具体的な手段、内容、また相手について、事柄の性質上、お答えは控えなければならないと思います。
 その上で、台湾との関係は非政府間の実務関係として維持していくとの日本政府の立場を踏まえ、日台間の協力と交流の更なる深化を図ってまいりたいと思います。
 同時に、在留邦人を含む国民の安全を確保することは政府の最も重要な責務であり、いかなる事態にも対応できるよう、平素から、体制の整備を含め、万全を期してまいります。
 中国による極超音速兵器の発射実験とアメリカの核の抑止力についてお尋ねがありました。
 御指摘の中国による極超音速兵器の試験及びその影響についての報道は承知しておりますが、本件については、我が国の情報収集能力を明らかにするおそれがあることから、お答えは控えなければならないと思います。
 その上で申し上げれば、中国は、ミサイル防衛の突破が可能な打撃力を獲得するため、極超音速滑空兵器の開発を急速に推進していると見られます。
 そして、核抑止は米国の安全保障戦略の根幹に関わる重要なものであり、米国も核抑止を確実なものとし続ける方針であると認識をしております。その上で、先日実施された日米2プラス2においても、日米間で米国の拡大抑止の重要性について改めて確認をしています。
 中国における人権状況と国会決議についてお尋ねがありました。
 私の内閣では、人権を始めとした普遍的価値を守り抜くことを重視しており、初めて任命した専任の補佐官とともに、しっかりと取り組む覚悟です。我が国としては、こうした普遍的な価値が中国においても保障されることが重要であると考えています。
 こうした我が国の立場は、これまでも様々なレベルで中国側に直接働きかけています。私自身も、昨年十月の習近平主席との首脳電話会談で、香港、新疆ウイグルの人権状況について直接提起をいたしました。
 その上で、国会での決議の採択は、これは国会でしかるべく御議論いただくべきものであると考えております。
 拉致問題解決についてお尋ねがありました。
 拉致問題は最重要課題です。改めて、飯塚繁雄さんが御逝去されたことに心より哀悼の意を表するとともに、御家族にお悔やみを申し上げます。拉致問題の解決には一刻の猶予もない、こうしたことを痛感しております。
 全ての拉致被害者の一日も早い帰国を実現する上で各国との連携は重要であり、明日行う日米首脳テレビ会談においても、バイデン大統領との間で、拉致問題の解決に向けて、両国間の緊密な連携を確認する考えです。私自身、金正恩委員長と直接向き合うべく、あらゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組んでまいります。
 そして、映画「めぐみへの誓い」については、私自身、まだ視聴してはおりませんが、民間主導でこのような活動が進んでいることは大変心強いことだと考えます。
 お尋ねの在ミュンヘン総領事館の対応については、先方との関係で丁寧に対応するよう改めて指示をいたしました。いずれにせよ、政府としては、拉致問題解決に向けた国際世論の喚起のため、北朝鮮人権侵害問題啓発週間の国際シンポジウム等の取組を行ってきており、拉致問題に関する国際世論の理解と支援を得るためにいかなる方途が効果的かという観点から、今後も、不断の検討を行いつつ、積極的に取り組んでまいります。
 憲法改正についてお尋ねがありました。
 私自身、総裁選挙等を通じて、任期中に憲法改正を実現したいということを申し上げてまいりました。今、内閣総理大臣の立場から、憲法改正の議論の進め方、あるいは内容について直接申し上げることは控えなければならないと思いますが、さきの臨時国会において、憲法審査会が開かれ、憲法改正に向けた議論が行われたことを歓迎し、本国会においても更に積極的な議論が行われることを心から期待いたします。
 国の礎である憲法の在り方を決めるのは国民の皆様でありますので、憲法改正に関する国民的議論を喚起していくため、我々国会議員が、国会の内外で議論を積み重ね、発信していくことが重要であり、私自身も誠実に向き合っていく決意です。
 文書通信交通滞在費や国会の特別委員会の在り方等についてお尋ねがありました。
 文書通信交通滞在費については、議員活動の在り方に関わる重要な課題であり、各党各派における真摯な議論を通じて合意を得て、まずは全議員共通のルールを作ることが大事であると考えています。
 また、国会の特別委員会や委員長が支給を受ける議会雑費の在り方についても、これは議会の活動に関わる重要な課題であり、各党会派において幅広い観点から議論をしていただくことが大事であると考えております。
 そして、政党による特定メディアへの資金提供についてお尋ねがありました。
 御指摘の事案は政党の個別の活動に関することであり、私の立場からお答えは差し控えたいと思いますが、特定メディアへの資金提供については、それぞれの政党において、国民の信頼にもとることがないよう、その是非を含め、適切に判断すべきものと考えております。(拍手)
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発言情報

speech_id: 120805254X00320220120_004

発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2022-01-20

院: 衆議院

会議名: 本会議