岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 玉木雄一郎議員からの御質問にお答えいたします。
 子育て世帯への給付についてお尋ねがありました。
 子育て世帯への給付については、迅速に支給するため、児童手当の仕組みを活用しており、所得制限を設けた場合でも、給付を行う必要の高い子育て世帯に対して幅広く支援を行うことができるものと考えて、こうした施策を進めています。本給付金の対象とならない方に関しては、自治体に対し、地域の実情に応じて、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金による給付金の支給を検討することをお願いしております。
 そして、クーポン給付を含めた子育て世帯への給付について、自治体が事業を実施している途上にあるわけですが、今現時点において、予算の執行残高について予断を持ってお答えすることは難しいと考えております。
 そして、児童手当の支給期間の延長と各種制度における所得制限等についてお尋ねがありました。
 児童手当については、従来から、多子世帯や子供の年齢に応じた拡充、重点化が必要であるとの指摘があり、昨年の改正法の検討規定に沿って幅広く検討してまいりたいと思います。
 また、子育てや教育に関する各制度において所得制限を設けるかどうかは、個々の制度の目的や支援方法などに応じてそれぞれ判断されるものと承知をしております。
 なお、年少扶養控除の廃止以降、幼児教育、保育の無償化あるいは待機児童対策など、子育て世帯への支援の拡充を図ってきたところであり、年少扶養控除を復活することは現時点では考えてはおりません。
 そして、トリガー条項の凍結解除についてお尋ねがありました。
 トリガー条項については、発動された場合、ガソリン、軽油の買い控えや、その反動による流通の混乱、また国、地方の財政への多大な影響等の問題があることから、凍結解除は適当でないと考えております。
 政府としては、国民の皆さんが春先まで見通せるように、農業や漁業等に対する業種別の対策をきめ細かく実行してまいります。加えて、ガソリン、灯油の急激な値上がりに対する備えとして、激変緩和事業を行う体制を構築いたしました。また、灯油購入費の助成など、地方公共団体が行う原油価格高騰対策に要する経費に対し、特別交付税措置を講ずることとしております。こうした対策を行うことによって、国民の皆様に、スピーディーに、かつ混乱なく効果が行き渡るものであると考えております。
 新型コロナ対策についてお尋ねがありました。
 全国で感染が拡大していますが、こうした状況も想定し、拡充した医療体制を機能させるとともに、予防、発見から早期治療の流れを強化し、各都道府県との密接な連携の下、高い警戒感を持って対応に当たってまいります。
 オミクロン株について、専門家から、社会経済活動の広範な制約ではなく、マスクをつけずに大声で会話をするリスクの高い場面での人数制限などが諸外国の例を見ても有効であるとの指摘がありました。
 大人数、長時間の会食や酒を伴う飲食など感染リスクが高まる行動をできる限り避けるといった観点から、飲食店の時短要請等、オミクロン株の特性を踏まえた、めり張りの利いた対策を講じることとしております。
 感染症法の在り方については、息の長い感染症対応体制の強化策として、本年六月をめどに、危機に迅速的確に対応するための司令塔機能の強化、あるいは保健医療体制の確保、そして中長期的な観点から必要な対応を取りまとめていきたいと存じます。現下の危機に対応しつつ、これまでの対応を客観的に検証し、広く関係者との協力の上で検討するためには、一定の期間が必要であると考えております。
 ワクチンの三回目接種、経口治療薬及び濃厚接触者についてお尋ねがありました。
 ワクチンの三回目接種については、必要なワクチンの確保に努めつつ、高齢者への接種を加速化するとともに、高齢者以外の一般の方五千五百万人についても一か月前倒しし、余力がある自治体については、順次、できるだけ早く、更に前倒しを行ってまいります。
 その際、六か月以上の間隔でできるという薬事承認が行われていることを踏まえて、接種間隔は最短でも二回目接種から六か月となります。
 メルク社の経口薬については、合計で百六十万人分を確保し、昨年末に二十万人分が国内で利用可能となっており、年度内に更に四十万人分が、そして来年度には百万人分が届く予定になっています。外来で処方する場合には、登録された薬局に医療機関から処方箋を送付し、薬局から自宅に配送することで、患者の薬局への来訪を不要といたします。
 一月十九日の時点で、既に全国二万七千の医療機関、薬局が登録し、医療現場に四万人分をお届けしているだけでなく、薬剤の配送を行う地域の卸業者にも十一万人分の薬剤が到着しています。これにより、医療機関、薬局から発注があれば、原則、翌日に配送する仕組みとしております。さらに、ファイザー社の経口薬についても、月内に二百万人分の購入に最終合意し、来月中できるだけ早く実用化を目指してまいります。
 医療従事者である濃厚接触者については、誰もが必要な医療を受けられるようにするための緊急的な対応として、毎日の検査等を要件に、待機期間中の医療への従事を認めています。さらに、科学的知見を踏まえ、オミクロン株の濃厚接触者の待機期間を原則十日とするなど、必要な対策を講じてきました。引き続き、社会活動維持のため、科学的知見の集約を急ぎ、実効性のある対応を検討してまいりたいと考えます。
 住民税非課税世帯に対する給付金や総合支援資金についてお尋ねがありました。
 住民税非課税世帯等に対する給付金については、九割超の市区町村が、二月末までに給付対象者に確認書の送付を開始し、三月末までに給付金の振り込みを開始する予定と聞いております。迅速な支給のため、引き続き、自治体と連携しながら、必要なサポートを行ってまいります。
 また、総合支援資金の更なる貸付けについては、債務が過大となることが自立を阻害するおそれもあることを踏まえて検討を行いました。そして、その結果、昨年末に策定した経済対策において、総合支援資金の再貸付けに代えて、総合支援資金の初回貸付けを借り終えた一定の困窮世帯にも生活困窮者自立支援金を支給するとともに、生活困窮者自立支援金の再給付による最大六十万円の給付を行うこととした次第であります。
 そして、エンターテインメント産業への支援強化についてお尋ねがありました。
 我が国のエンターテインメント産業は、世界の人々に我が国の魅力を伝えるソフトパワーの源泉であると認識をいたします。御指摘のとおり、足下では、新型コロナウイルスの感染拡大に伴うイベントの中止や人数制限により、業界全体として非常に厳しい状況に置かれていると認識をしております。
 そのため、政府としては、徹底した感染防止対策を前提としたイベントの開催支援、イベントを中止した場合のキャンセル料に対する補助などを実施してきており、引き続き、支援措置を講じてまいります。
 さらに、外国語への翻訳や展示会への出展支援などを通じて、エンターテインメントを含む我が国の優れたコンテンツの海外展開も積極的に後押しすることにより、我が国のエンターテインメント産業をしっかり支えてまいりたいと考えます。
 そして、公共交通機関への対応についてお尋ねがありました。
 適切な感染対策がなされていない場合には、公共交通機関の利用も含め、集団感染が起こり得ると承知をしています。こうした観点から、各業界の業種別ガイドラインを遵守していただくことが重要であると考えます。その上で、テレワークの推進や時差出勤等をお願いするとともに、公共交通機関でのマスク着用や車内換気の励行などを奨励しています。
 また、公共交通の機能を維持するため、これまで、公共交通機関の感染症防止対策や運行維持に対する支援、資金繰り支援、さらには雇用調整助成金の支給などを行ってまいりました。さらに、昨年末に取りまとめた経済対策において、事業復活支援金の創設等により支援を強化しております。
 オンライン国会を可能とするための衆議院規則の改正についてお尋ねがありました。
 両議院の議事の在り方については、議員の御指摘の点も含めて、これは各党各派においてしっかり議論していただければと思います。私の立場から議事の在り方について申し上げることは控えねばならないと考えます。
 そして、令和版所得倍増及び経済情勢についてお尋ねがありました。
 総裁選で掲げた令和版所得倍増は、まずはしっかりと成長を実現した上で、その成長の果実を広く国民お一人お一人に分配することで豊かさを実感することができる、新しい資本主義を実現していくという方針を示したものです。
 その際、我々が重点を置くのは、成長と分配の好循環の流れを大きく加速していくための鍵である、日本の未来を担う若者世代、子育て家庭です。ここにターゲットを置き、賃上げも含めた大きな意味での人への投資を集中させ、非正規雇用者の正規化や男女の賃金格差の是正を含め、世帯所得の大幅な引上げを目指した政策を推進していきたいと考えています。
 なお、原材料価格等の高騰による物価上昇が家計や企業に与える影響については、引き続き注視をしてまいります。物価が上昇するからこそ、賃上げに向けてしっかりと取り組んでいかなければならないと考えておりますし、そのためにこそ、中小企業の価格転嫁円滑化のための施策パッケージを進めることが重要であると考えております。
 そして、政府、日銀の共同声明と金融政策の目標についてお尋ねがありました。
 平成二十五年の政府、日銀の共同声明については、昨年、鈴木大臣、山際大臣、そして黒田総裁の三者の間で再確認が行われ、デフレ脱却と持続的な経済成長の実現に向け、今後とも緊密に取り組んでいくこととしております。
 二%の物価安定目標は日銀が自ら決定したものですが、こうした金融政策の目標や金融緩和の出口の考え方を含め、金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられるべきだと考えております。日銀におかれては、共同声明の考え方に沿って、引き続き、二%の物価安定目標の実現に向けて努力されることを期待しております。
 そして、財政政策の在り方と消費税減税についてお尋ねがありました。
 私の経済財政運営の基本は、経済あっての財政です。経済を立て直し、そして財政健全化に向けて取り組んでいきたいと考えます。
 その経済の立て直しのために成長と分配の好循環が必要であり、その分配戦略の第一の柱が御指摘の賃上げであると位置づけています。まずは国が先導して公的価格の引上げを行うとともに、賃上げ税制の拡充、価格転嫁の円滑化などを通じた民間の賃上げに向けた環境整備を行うことにより、広く国民お一人お一人の所得の引上げに取り組んでまいります。
 なお、消費税についてですが、社会保障に係る費用をあらゆる世代で広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられております。そうした消費税については、当面、触れることは考えていないということであります。
 そして、介護従事者全体の賃上げ等についてお尋ねがありました。
 今般の処遇改善については、介護職員の給与が他の職種に比べて低い状況にあり、その人材確保に向けて処遇改善に取り組む必要があることから、これまでの取組と同様、介護職員を対象としています。
 その上で、今回の措置は、各事業者において他の職種にも一定の処遇改善を行うことができるよう、柔軟な運用を認めることとしております。
 御指摘の都市部を含む介護人材の確保のため、今般の介護職員の処遇改善を始め、介護職員用の宿舎整備への補助のほか、職場環境の改善による離職防止、そして介護の魅力発信、こうした取組も推進していきたいと考えております。
 そして、人への投資などについてお尋ねがありました。
 私が施政方針演説で人への投資を倍増すると述べたのは、日本企業の人的投資、具体的には、オフJTの研修費用が低くとどまり、かつ、近年更に低下傾向にあるため、これを早期に少なくとも倍増させ、更にその上を目指していくというものであります。
 今般、三年間で四千億円の施策パッケージを創設し、民間ニーズを反映しつつ、成長分野への労働移動の円滑化や人材育成を強力に推進していくこととしており、このパッケージの実施を通じて、官と民が協働し、人への投資を抜本的に強化していきます。
 御指摘の文教及び科学振興費については、いわゆる十六か月予算の考え方に基づき、令和三年度補正予算二・七兆円と令和四年度当初予算五・四兆円を一体として、GIGAスクール構想、小学校の三十五人学級、高学年における教科担任制、十兆円の大学ファンドの年度内実現など、成長と分配の好循環に貢献する政策を推進してまいります。
 一方で、教育国債について御質問がありましたが、これにつきましては、従来申し上げておりますように、安定財源の確保や財政の信認確保の観点から、慎重に検討する必要があると考えているところであります。
 そして、デジタル田園都市国家構想についてお尋ねがありました。
 デジタル田園都市国家構想は、高齢化や過疎化などの社会課題に直面する地方にこそ新たなデジタル技術を活用するニーズがあることに鑑み、デジタル技術の活用について、地域の個性を生かしながら、地方を活性化し、持続可能な経済社会を実現する、こうしたものであります。
 そのために、時代を先取るデジタル基盤の整備や、地方における先導的なデジタルサービスの実装に取り組むことにより、地域が抱える人口減少、高齢化、産業空洞化などの課題をデジタルの力を活用することによって解決し、地方から全国へと、ボトムアップの成長を実現してまいりたいと考えています。
 そして、安全保障に関する総合的な取組についてお尋ねがありました。
 大平内閣における総合安全保障について御指摘がありましたが、私の内閣においても、安全保障政策について、外交、防衛を超えて、経済、エネルギー、食料を含めた総合的な観点からの取組を進めていきたいと考えております。
 御指摘の法案については、提出された後、その具体的な内容を是非見させていただきたいと思っております。
 また、エネルギーの安定供給に関し、原子力については、将来の選択肢の一つとして、御指摘の小型モジュール炉や高速炉を始め、日米間の協力が様々な形で進んでいることも含め、更なる安全性の向上につながる技術の開発などの取組を着実に進めてまいりたいと思います。
 そして、人権侵害非難決議、人権関連法整備などについてお尋ねがありました。
 私の内閣では、人権を始めとした普遍的価値を守り抜くことを重視しており、初めて任命した専任の補佐官とともに、しっかりと取り組む覚悟です。我が国としては、こうした普遍的価値が中国においても保障されることが重要であると考えています。
 こうした我が国の立場は、これまでも様々なレベルで中国側に直接働きかけております。私自身も、昨年十月の習近平国家主席との首脳電話会談で、香港、新疆ウイグルの人権状況について直接提起をいたしました。
 その上で、国会での決議の扱いでありますが、国会での決議の採択は、国会でしかるべく議論をいただくものであると考えているところであります。
 また、御指摘の二つの法整備については、幅広い理解が重要との観点から、超党派の議論をよく見守るとともに、これまでの日本の人権外交や企業を取り巻く状況等を踏まえ、引き続き検討してまいりたいと思います。
 さらに、中国によるTPP11への加入申請については、中国の貿易慣行に関して様々な意見があると理解をしており、TPP11の高いレベルを完全に満たす用意ができているのか、これをまず見極める必要があると考えます。我が国としては、戦略的な観点や国民の理解も踏まえて対応していく考えです。
 そして、敵基地攻撃能力についてお尋ねがありました。
 極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、そして進化しています。
 こうした中で、ミサイル防衛体制を始め、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題意識の下に、憲法及び国際法の範囲内でしっかり議論を行いたいと思いますし、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的にこれから検討を進めてまいりたいと考えております。
 そして、憲法改正についてお尋ねがありました。
 内閣総理大臣の立場からは、憲法改正についての議論の進め方あるいは内容について直接申し上げることは控えなければならないと思いますが、緊急事態において国会の権能をいかに維持するのか、これは重要な論点であると考えます。
 現行憲法について、今の時代にふさわしいものであり続けているかどうか、御指摘の点も含め、与野党の枠を超えた積極的な議論が行われることを心から期待しております。
 そして、最後に、内密出産についてお尋ねがありました。
 内密出産については、一般論として、子供の出自を知る権利をどう考えるか、未成年が内密出産を希望する場合の支援の在り方などの課題があると考えています。
 政府としては、引き続き、妊娠に悩む女性が安心して相談できる窓口の整備や、子供を育てられない場合に利用できる特別養子縁組等の制度の周知等、予期せぬ妊娠をした妊産婦等への支援の充実に努めております。
 なお、内密出産の違法性について御質問がありました。内密出産の違法性については、児童福祉法や医師法など厚生労働省の所管法令には直ちに違反と考えられる点はないと考えております。しかし、その他、刑法上の犯罪に当たるかどうかについては、捜査機関により収集された証拠に基づき個別に判断されるべき事柄であると考えております。(拍手)
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発言情報

speech_id: 120805254X00320220120_011

発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2022-01-20

院: 衆議院

会議名: 本会議