志位和夫の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○志位和夫君 私は、日本共産党を代表して、岸田総理に質問します。(拍手)
新型コロナのオミクロン株から国民の命を守ることは最優先の課題です。総理は、スピード感を持って対応してきたと言いますが、実際は、対応が後手後手になっています。私は、緊急に正すべき四つの問題点を提起するものです。
第一は、ワクチン三回目接種の遅れであります。
総理は、昨年十二月六日、二回目接種後八か月を待たずに、できる限り前倒しをすると表明しました。しかし、現時点で三回目接種を終えたのは全国民の僅かに一・三%。前倒しどころか、八か月にも追いついていません。OECD加盟の三十六か国で、日本の三回目接種は断トツ最下位です。
総理、なぜこんなに遅れてしまっているのですか。政府が、昨年十一月十二日に、何の根拠もなく八か月以上を原則とする方針を決め、それを今年一月七日まで続けてきた結果ではありませんか。追加接種が遅れた原因を明らかにし、最大限の迅速接種のために政府の責任を果たすことを強く求めるものであります。
第二は、PCR検査体制の遅れであります。
急速な感染拡大による医療と介護の崩壊を防ぐ上でも、高齢者施設や医療機関などを頻回の定期検査によって守ることが急務となっています。ところが、政府の対応は、一斉、定期検査の事務連絡を出しただけで、実施の判断は自治体任せとなっています。
総理、自治体任せの姿勢を根本から改めるとともに、国が主導して、いつでも誰でも無料で受けられるPCR検査体制を確立し、検査キットなど資材の調達、陽性者の保護に責任を持つべきではありませんか。答弁を求めます。
第三は、医療と保健所体制の問題です。
昨年夏の第五波のときのような、自宅放置で亡くなる方を二度と出してはなりません。
総理、地域の医療体制強化が急務であるにもかかわらず、発熱外来への補助金や診療報酬の加算を昨年中で打ち切ってしまったのはどういう理由からですか。補助金の復活、診療報酬の引上げなど、医療機関への支援を抜本的に強化すべきではありませんか。
来年度予算案には、保健所の恒常的な人員増に向けた新たな施策が盛り込まれていません。東京都の墨田区保健所は、昨年夏の第五波に際し、定数の十倍以上に当たる百十人の感染症対策の体制をつくり、重症、死亡事例を数か月にわたってゼロに抑えています。
総理、こうした取組を全ての地域でできるよう保健所体制の抜本的強化を図ることは、本来、国の責任ではありませんか。答弁を求めます。
第四は、沖縄を始めとする米軍基地が水際対策の大穴になっていることです。
昨年十二月、沖縄県玉城デニー知事が、総理宛ての要請書で、米軍の入国停止、基地からの外出禁止を米側に求めるよう要求していたにもかかわらず、対応を怠ってきた責任は極めて重大であります。厳しい反省に立ち、知事の要請に応えるべきではありませんか。
この問題の根本には、米軍に治外法権的な特権を保障している日米地位協定があります。ドイツでもオーストラリアでも韓国でも、受入れ国側が検疫を行う権限が保障されています。ところが、日本だけは、検疫は米軍任せで、日本政府は何らの関与もできません。
総理、これで独立国と言えますか。日米地位協定の抜本改正に踏み切るべきではありませんか。答弁を求めます。
総理は、施政方針で、新しい資本主義の実現を唱え、新自由主義的な考え方が生んだ様々な弊害を乗り越えると述べました。
そこで、聞きます。
そもそも、総理は、新自由主義の自由とは誰にとっての自由だと認識していますか。私は、それは国民にとっての自由ではなく、大企業のもうけの自由だと考えます。そのために邪魔になるものは全て取り払う、国民には自己責任を押しつけ弱肉強食を強いる、ここに新自由主義の本質があると考えますが、総理はどのように認識していますか。まず、お答えいただきたい。
更に聞きます。
総理は、新自由主義的な考え方が様々な弊害を生んだと述べましたが、新自由主義的な考え方がこの日本にもたらした弊害をどのように認識しているのですか。
一九八〇年代に始まり九〇年代に本格化した新自由主義は、日本社会を人々に自己責任を押しつける冷たい社会にしてしまっただけではありません。強い経済をつくるといううたい文句とは反対に、日本経済をもろく弱い経済にしてしまったのではないでしょうか。
まず、賃金が上がらない国になってしまいました。一人当たりの実質賃金は、ピークだった一九九七年から二〇二〇年までに、何と六十四万円も減りました。OECD加盟で比較可能な二十二か国のうち、この三十年間の日本の賃金の伸びは世界最低になっています。
また、成長できない国になってしまいました。OECDによると、この七年間、二〇一三年から二〇年で見て、名目GDPの伸びは、アメリカは二五%、ユーロ圏は一四%に対して、日本は僅か六%です。日本は世界で最も成長できない国になってしまっているのであります。
さらに、競争力の弱い国になってしまいました。スイスのシンクタンク、IMDが発表している各国の競争力ランキングで、日本は、九〇年代初めの世界一位から、直近では三十一位まで落ち込んでいます。
総理に伺います。新自由主義が日本経済をもろく弱い経済にしてしまったという事実をお認めになりますか。端的にお答えください。
更に聞きます。
日本経済をここまでもろく弱い経済にしてしまった責任はどこにあるのか。私は、大企業の利益を最大にするために、財界の要求に応えて、人件費を限りなく削減していくことを応援してきた歴代自民党政権に重大な責任があると考えますが、総理にその自覚はありますか。
人件費削減を目的に、九〇年代後半から労働法制の規制緩和が行われ、派遣労働を始め非正規雇用が自由化され、派遣、パートなどの割合は二〇%から四〇%に上昇し、使い捨て労働が蔓延しました。
企業の社会保険料負担、人件費の抑制、削減を求める財界の要求に応えて、自公政権が二十年間にわたって推進してきた社会保障費の自然増削減路線は、医療、介護、年金など、あらゆる分野で国民に激痛を押しつけています。
人件費だけでなく税負担の軽減を求める財界の要求に応えて、大企業と富裕層への減税と一体に、消費税の連続大増税が行われました。
総理、労働法制の規制緩和、社会保障削減、消費税連続増税、この三本柱で、実質賃金が減り、負担が増え、将来不安が社会を覆い、GDPの五割から六割を占める家計消費を冷え込ませた結果、日本は成長できない国になってしまったのではありませんか。
総理は、文芸春秋で、「労働力をコストと捉え、人件費の抑制によってわずかな収益を確保するという経営は、新しい資本主義における企業の理想像ではありません。」と指摘しておられます。しかし、まさに、人件費の抑制によって僅かな収益を確保するという経営を応援してきたのが歴代自民党政権ではありませんか。総理にその自覚と反省はありますか。そして、こうした財界応援政治と決別し、転換する意思はありますか。しかとお答えいただきたい。
日本共産党は、新自由主義を転換し、優しく強い経済への大改革を行うために、次の五つの提案を行います。
第一は、政治の責任で、賃金が上がる国にすることです。
人間らしい雇用のルールを作り、非正規雇用の正規化、サービス残業の根絶、中小企業支援と一体に最低賃金の千五百円への引上げ、この三つを行うだけで平均賃金を九七年のピークに戻すことができるという民間シンクタンクの試算があります。これらの政策を実行する意思はありますか。
第二は、社会保障を削減から拡充に転換することです。
消費税を財源にした二十万床の急性期病床の削減計画はきっぱり撤回すべきであります。七十五歳以上の医療費二倍化を中止し、国庫負担を引き上げるべきです。値上げラッシュの下での年金削減は中止し、減らない年金にする改革を行うべきではありませんか。
第三は、富裕層と大企業に応分の負担を求め、消費税を五%に減税することであります。
世界六十二か国で実施、計画されている消費税減税こそ、コロナから暮らしを守り、経済を立て直す決定打であります。小規模事業者やフリーランスに大打撃をもたらすインボイス制度は中止すべきではありませんか。
第四は、気候危機打開の本気の取組です。
日本自動車工業会は、このまま火力発電への偏重が是正されない場合、製造時に二酸化炭素排出の多い日本生産の車の輸出ができなくなり、約百万人の雇用が失われ、経済損失は二十六兆円に及ぶと訴えています。総理は、この警告をどう受け止めますか。石炭火力ゼロ、原発ゼロ、大規模な省エネ、再生エネ普及こそ、経済を強くする道ともなるのではありませんか。
第五は、ジェンダー平等の視点を貫くことです。
十二年連続でジェンダー平等世界一のアイスランドの首相は、男女の賃金格差をなくすため、企業に同一賃金の証明を義務づけ、違反があれば罰金を科す取組を行う中で、経済を強くするという副産物が生まれたと述べています。総理、日本も学ぶべきではありませんか。年収で二百四十万円もの男女の賃金格差解消に向けて、企業に実態を公表することを義務づけるべきではありませんか。
以上、我が党の提案に対する総理の見解を求めるものです。
米中対立が様々な分野で強まる下、日本の進路が問われています。
中国による東シナ海や南シナ海での覇権主義の行動に対しては、国連憲章と国際法に基づいた冷静な外交的批判が何よりも大切です。
軍事に対して軍事で構えるならば、軍拡競争の悪循環に陥り、衝突や戦争という破局的な事態を招きかねません。この点で、総理が米国に追随して敵基地攻撃能力保有に踏み出していることは、極めて重大です。
敵基地攻撃に関わって、安倍元首相は、昨年十一月の講演で、敵基地だけに限定せず、抑止力として、相手をせん滅するような打撃力を持たなければ日米同盟は成り立たないという趣旨の発言をしています。いざというときには相手国をせん滅する全面戦争を行う、それができる軍事力を持てというのであります。このような議論は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、戦争放棄をうたった日本国憲法とは絶対に相入れない議論であります。
総理は、安倍元首相が主張する打撃力という議論をきっぱり拒否できますか。総理が検討するという敵基地攻撃能力とは、結局、ここに行き着くのではないですか。明確な答弁を求めます。
日本共産党は、日本を戦争をする国につくり変える動きに断固反対を貫くことを表明するものであります。
それでは、どうやって東アジアを平和と協力の地域にしていくか。国連憲章と国際法に基づいて、あらゆる紛争を平和的な話合いで解決し、平和的に共存していく道を追求する外交努力に徹することが今求められているのではないでしょうか。
こうした道を一貫して追求してきたのが、ASEAN、東南アジア諸国連合であります。ASEANは、紛争を平和的な話合いで解決することを義務づけた東南アジア友好協力条約を締結し、徹底した粘り強い対話を積み重ねることで、この地域を分断と敵対から平和と協力の地域へと大きく変えてきました。
日本にとって重要なのは、ASEAN十か国プラス日米中を含む八か国で構成される東アジア・サミットが、毎年首脳会議を開催し、この地域の平和の枠組みとして発展していることです。二〇一九年のASEAN首脳会議では、ASEANインド太平洋構想が採択され、東アジア地域の全体を対抗でなく対話と協力の地域にし、行く行くは東アジア規模の友好協力条約を目指すことが提唱されています。
総理、今、日本政府がやるべきは、ASEAN諸国と手を携えて、東アジア・サミットという既につくられている平和の枠組みを活用、発展させて、東アジアを平和と協力の地域にしていくための、憲法九条を生かした平和外交ではないでしょうか。答弁を求めます。
最後に、本土復帰五十年を迎える沖縄の基地問題について質問します。
日米両政府が一九九六年に普天間基地の全面返還に合意してから二十五年以上が経過しました。総理は、いまだに返還が実現しない根本的な原因がどこにあると認識していますか。
元々、九六年の日米合意は、その前の年の米兵による少女暴行事件に対する島ぐるみの怒りが沸騰する下で、それに押されて交わしたものでした。しかし、この日米合意には重大な問題点がありました。普天間返還の代わりに新基地を県内に造ることが条件とされていたのであります。
総理、少女の人権を奪っておいて、普天間を返してほしければ新しい基地を造ってよこせ、こんな理不尽な要求を沖縄県民が受け入れるはずはないではありませんか。
国際法に違反して強奪した土地の上に造った普天間基地は、無条件返還を求めて米国と交渉すべきであります。軟弱地盤の存在など破綻が明瞭になった辺野古新基地建設はきっぱり中止することを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕