岸田文雄の発言 (本会議)

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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 志位和夫議員の御質問にお答えいたします。
 ワクチンの三回目接種についてお尋ねがありました。
 二回目の接種完了から三回目の接種までの接種間隔については、ワクチンの予防効果に加え、自治体の準備期間やワクチンの供給力など、厚生労働省の審議会での委員の意見を総合的に勘案した上で、原則八か月以上としていたところです。
 また、ワクチン接種の開始が我が国より早かった諸外国では三回目接種のタイミングも早く、我が国では今後本格化していくこととなります。
 そうした中で、必要なワクチンの更なる確保に努めつつ、一月、二月に山場を迎える高齢者など三千百万人を対象とする前倒しの加速化を図るとともに、高齢者以外の一般の方五千五百万人についても一か月前倒しをし、余力がある自治体においては、順次、できるだけ多く、更に前倒しを行ってまいります。
 新型コロナの検査体制についてお尋ねがありました。
 オミクロン株の感染が拡大する中で、感染不安がある方が無料で検査を受けられる体制を全国で確保しています。より多くの方が検査を容易に受けられるよう、政府としては、都道府県や関係団体と連携しながら、検査拠点の増加に取り組んでおります。
 この無料検査を含め、必要な検査が着実に実施できるよう、抗原定性検査キットについて、メーカーに対して生産能力を最大まで引き上げるよう要請するなど、必要な資材の安定供給に努めてまいります。
 医療機関への支援と保健所体制の強化についてお尋ねがありました。
 医療機関に対する支援については、医療体制の整備状況や強化すべき取組等に応じて随時見直しを行ってきたところであり、財政支援として、これまで総額約六・八兆円の予算を確保するとともに、昨年秋以降は、自宅、宿泊療養者への往診等の診療報酬上の特例措置を講じています。また、令和四年度診療報酬改定において、全体としてプラス〇・四三%の改定率とするなど、医療提供体制の確保に万全を期していきます。
 そして、保健所体制については、全国の自治体において、昨年夏の感染拡大を踏まえて、保健所の人員体制強化を図るための計画を策定していただくとともに、国において、保健師の増員に係る地方財政措置等を講ずることにより、引き続き、保健所の体制強化に努めてまいります。
 在日米軍における新型コロナ感染事案と日米地位協定の見直しについてお尋ねがありました。
 在日米軍施設・区域内及びその周辺自治体で感染拡大が起こっていることを踏まえ、私の指示で、米側に対して強く申入れを行いました。その結果、米側は、必要不可欠な場合以外の外出を認めない、夜間の外出を禁止するなど、在日米軍の感染拡大防止措置を発表しました。
 日米地位協定と米国が他国と締結している地位協定との比較については、実際の運用や安全保障環境等の背景等も含めた全体像の中で検討する必要があり、単純に比較することは適当ではないと考えます。
 その上で申し上げれば、米軍関係者に対する入国時の検疫に関しては、例えば英国や韓国においても、我が国と同様、米軍基地から入国する場合については米側が検疫を行うこととなっていると承知をしており、我が国が他国と比べて米軍に特別な扱いをしているという指摘は当たらないと考えます。
 日米地位協定の見直しは考えておりませんが、在日米軍駐留に関わる保健衛生上の課題に関し、日米地位協定に基づく日米合同委員会において、感染拡大の防止及び沖縄県を含む地元の方々の不安解消に向けて、日米間で連携をより一層強化していきます。
 そして、新自由主義についてお尋ねがありました。
 新自由主義は、資本主義の進化の過程で生まれた、市場や競争に任せれば全てうまくいくという考え方であり、一九八〇年代以降、世界の主流となった考え方と承知をしています。
 そして、新自由主義による弊害についてお尋ねがありました。
 新自由主義は、世界経済の成長の原動力となった反面、格差や貧困の拡大、中長期的投資の不足、気候変動問題など多くの弊害も生んだと承知をしています。
 我が国では、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレにより、停滞の時代を経験いたしました。企業は投資や賃金を抑制し、消費者も将来への不安などから消費を減らさざるを得ず、その結果、需要が低迷し、デフレが加速をし、競争力も低下するという悪循環であったと承知をしています。
 そうした状況を乗り越えた上で、岸田政権においては、市場や競争任せにせず、市場の失敗がもたらす外部不経済を是正する仕組みを成長戦略と分配戦略両面から資本主義の中に埋め込みます。その中で、デジタル化や気候変動問題への対応などの社会課題を投資分野として、官と民が協働し、成長を実現するとともに、社会課題を解決していくことで、持続可能な経済社会を実現してまいります。
 新しい資本主義へ転換する意思についてお尋ねがありました。
 自民党は、責任政党として、国民の支持をいただき、長年、政権を担い、国民生活の発展に尽くしてきました。志位議員のおっしゃる財界応援政治との指摘、これは全く当たらないと考えています。
 私は、歴代自民党政権の成果の上に、成長と分配の好循環による新しい資本主義を実現し、国民一人一人が豊かで生き生きと暮らせる、持続可能な経済社会を実現してまいります。
 労働政策についてお尋ねがありました。
 非正規雇用の方の正規化については、キャリアアップ助成金等による支援に加え、今般、人への投資を抜本的に強化するため、三年間で四千億円規模の施策パッケージを創設し、非正規雇用の方を含め、再就職や正社員化に向けた学び直しや職業訓練の支援を強力に進めてまいります。
 残業代の支払い等については、労働基準監督署において監督指導を実施しており、違反事案には厳正に是正措置を講じてまいります。さらに、悪質な事業者に対しては、捜査の上、書類送検を行うなど厳しく対応してまいります。
 また、賃上げ税制の拡充や下請政策の強化等により、中小企業、小規模事業者が賃上げしやすい環境を整備しつつ、できる限り早期に全国加重平均千円以上となるよう、最低賃金の見直しにも取り組んでまいります。
 社会保障についてお尋ねがありました。
 医療については、質の高い効率的な提供体制を確保するため、地域医療構想を進める必要があり、病床の削減や統廃合ありきではなく、地域の事情を十分に踏まえつつ、地方自治体等と連携して検討を進めてまいります。
 後期高齢者の窓口負担の見直しは、現役世代の負担上昇をできるだけ抑える観点から行うものであり、必要な経過措置を含め、本年十月一日から施行することとしております。
 公的年金制度については、将来世代の負担が過重となることを避けつつ、長期的な給付と負担のバランスを確保する仕組みとしており、この仕組みの下で年金を支給してまいります。
 人生百年時代を見据え、子供から子育て世代、お年寄りまで、誰もが安心できる持続的な全世代型社会保障の構築に向けて取組を進めてまいります。
 消費税率の引下げについてお尋ねがありました。
 税制については、これまでも、所得再分配機能の強化を含め様々な改正を行っており、今後も、成長と分配の好循環の実現に向け、総合的に検討してまいります。
 消費税については、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられており、当面、消費税について触れることは考えておりません。
 なお、インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を確保するために必要なものであり、その円滑な移行を図る観点から、軽減税率の実施から十分な経過措置を設けるとともに、令和三年度補正予算においても、会計ソフト等のITツールに加え、パソコン等のハードウェアの導入も含めて補助するなど、事業者への必要な支援を行っていきます。
 引き続き、インボイス制度の円滑な移行に向けて、周知、広報も含めて必要な取組を丁寧に進めてまいります。
 自動車産業とエネルギー政策についてお尋ねがありました。
 御指摘のとおり、諸外国が製造プロセスの脱炭素化の状況によって国境調整措置を講ずる可能性が否定できない状況にあり、自動車産業を始めとする産業界の危機感を共有しております。例えば、海外の大手電機メーカーが、二〇三〇年までに製造プロセスにおいて一〇〇%脱炭素電源で製造された製品だけを仕入れるとサプライヤーに要求し、我が国の企業が、再生可能エネルギーを始めとする脱炭素電源が調達できる環境でなければ事業を発展させることができない、こうしたおそれもあります。
 我が国自動車産業は、雇用の約一割、輸出の約二割を占める基幹産業であり、日本の経済の牽引役です。このため、利用する電力がどれだけグリーンであるかによって国際競争力を失うということは、日本経済にとって大きな損失であり、何としても避けなければならないと考えています。
 したがって、我が国としても、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けて、再エネ最優先の考え方の下、供給側及び産業界など需要側の各分野でのエネルギー転換に向けた投資を後押しいたします。エネルギー構造の大転換に果敢に取り組むことによって、我が国の基幹産業が国際競争力を失うことのないようにしてまいります。
 男女平等及び賃金格差についてお尋ねがありました。
 男女平等は、日本政府の重要かつ確固たる方針であるとともに、国際社会で共有されている規範です。
 特に、人生や家族の在り方が多様化する中、女性の経済的自立に取り組む必要があります。その中で、御指摘の男女の賃金格差については、その是正に向けて、有価証券報告書の開示項目にするなど、企業の開示ルールの在り方を具体的に検討していきます。
 敵基地攻撃能力についてお尋ねがありました。
 極超音速滑空兵器や変則軌道で飛翔するミサイルなど、ミサイルに関する技術は急速なスピードで変化、進化しています。
 こうした中で、ミサイル防衛体制を始め、国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのかという問題認識の下、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討してまいります。
 その検討は、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めていくものであり、御指摘の、いざというときは相手国をせん滅する全面戦争を行う、それができる軍事力を持てとの考えで検討するものではありません。
 なお、安倍元総理の発言については、政府としてコメントすることは差し控えます。
 東アジアでの平和外交についてお尋ねがありました。
 御指摘の東アジア首脳会議、EASについては、首脳間で地域共通の課題について率直な対話を行うことができる重要な会議であると考えており、今後ともしっかりと活用してまいります。
 米国、豪州、インド、ASEAN、欧州などの同盟国、同志国とも連携し、日米豪印の取組等も活用しながら、自由で開かれたインド太平洋の実現に向けた取組を戦略的に推進していくことで、地域の平和と繁栄に貢献していきたいと思っております。
 そして、普天間飛行場の返還及び辺野古移設についてお尋ねがありました。
 戦後七十五年以上たった今もなお、沖縄の皆様には大きな基地負担を背負っていただいています。到底是認できるものではありません。この事実を重く受け止め、国を挙げて、基地負担の軽減に一つ一つ結果を出していかなければなりません。
 普天間飛行場は、一九七二年の沖縄の本土復帰以降、米国が我が国から適法に提供を受け、使用しているものですが、沖縄の米軍施設・区域の形成過程について様々な議論があるということは承知をしております。
 世界で最も危険と言われる普天間飛行場が固定化され、危険なまま置き去りにされることは絶対に避けなければなりません。これは、地元の皆様との共通認識であると思っています。
 米国とは、閣僚間を含め様々なレベルにおいて、日米同盟の抑止力の維持と普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせたとき、辺野古移設が唯一の解決策であるという方針について、累次にわたり確認をしてきています。
 この方針に基づき着実に工事を進めていくことが、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現し、その危険性を除去することにつながると考えております。
 なお、御指摘の地盤改良工事については、有識者の助言を得つつ検討を行った結果、十分に安定した護岸等の施工が可能であることが確認されていると承知をしております。(拍手)

発言情報

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発言者: 岸田文雄

speaker_id: 6324

日付: 2022-01-20

院: 衆議院

会議名: 本会議