伴野豊の発言 (本会議)
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○伴野豊君 立憲民主党・無所属の伴野豊です。
私は、会派を代表して、ただいま議題となりました所得税法等の一部を改正する法律案について質問させていただきます。(拍手)
質問に入る前に、現下の新型コロナウイルスの感染拡大により罹患された皆さん方に心からお見舞いを申し上げるとともに、エッセンシャルワーカーの方々に改めて感謝と敬意を表させていただきます。
それでは、質問に入らせていただきます。
現在、日本経済は、失われた三十年とも言われる長期低迷のさなかにあり、一昨年からは、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、ますます厳しい状況に追い込まれております。こうした状況を打開していく上で、税制が果たすべき役割はますます大きくなっていると考えております。
我々は、長らく、分配の重要性を訴え続けてまいりました。今回、岸田総理が、従来のトリクルダウンの方法ではなく、我々と同様の考え方を示され、賃上げ税制の強化などの政策を掲げられたことは、素直に歓迎いたします。しかしながら、その具体的な中身について言えば、不合理、不十分な点が数多く見受けられます。
以下、総理に質問させていただきます。
まず、岸田政権の主要政策である賃上げ税制の強化について伺います。
企業の賃上げを促進する税制自体は、第二次安倍政権以降、所得拡大促進税制や人材確保等促進税制といった形で導入、実施されてまいりました。
しかしながら、これらの税制は十分な効果を上げることができておりません。実際に、所得拡大促進税制が導入された二〇一三年以降の現金給与総額の上昇率を見てみますと、最大でも一%台前半にとどまっております。当然、実質賃金も上がっておらず、むしろ下がっていたと言ってもいいのが現状でございます。
今回の賃上げ税制も、税額控除率の大幅引上げ等、制度の拡充が行われたとはいえ、基本的な仕組みは一向に変わっておりません。これまで十分な効果を上げることができなかったこの仕組みで、なぜ賃上げを実現できると言えるのでしょうか。
今回の賃上げ税制の強化により、国税、地方税合わせて、平年度ベースで千七百三十三億円の減収が見込まれます。現下の厳しい財政状況の折に、これだけの規模の減収を前提にする以上、具体的な根拠に基づいて、説得力のある説明が必要かと存じますが、総理の御答弁を求めます。
また、今回の賃上げ税制もこれまでと同様に給与総額の増加を要件としておりますけれども、岸田総理は、この点についても、給与総額を対象とすることで、より多くの企業に賃上げを行っていただける、そうした制度設計とする必要があるとこの会議の場でもお答えになられました。しかし、安心して消費できるマインドを形成できなければ、仮に賃上げが実現したとしても、その分は貯蓄に回ってしまう可能性が高く、経済成長に結びつかず、分配されども成長なしの状況に陥りかねません。
そうであるならば、やはり、賞与など一時的に増減し得るものではなく、基本給の増加を要件とすべきだと考えますが、改めて総理の御見解を伺いたいと思います。
今回の賃上げ税制では、新たに、マルチステークホルダーへの配慮、具体的には、従業員への還元や取引先への配慮を行うことを宣言していることが適用要件に加えられております。このこと自体は歓迎したいと思いますが、これはあくまで宣言しているだけのことであり、実際にそうした配慮を行っているかどうかは問われず、監査も行われません。
この要件に実効性は本当にあるのか。また、仮に取引先企業などからの告発などがあった場合、さらに宣言内容を遵守していないことが明らかになった場合、賃上げ税制の適用は一体どうなるのでしょうか。総理の御答弁を求めます。
続けて、金融所得課税についてお伺いいたします。
当初、岸田総理は、所得が一億円を超えると所得税の負担率が逆に下がっていく、いわゆる一億円の壁の問題を指摘され、金融所得課税の強化について前向きな御発言があったことから、議論が進展するのではないかと我々も大いに歓迎をしておりましたし、期待もしておりました。
しかしながら、与党の税制改正大綱では、「課税のあり方について検討する必要がある。」とされただけで、具体的には全く言及がありませんでした。大変残念です。私たちは、金融所得課税について、将来的な総合課税化を見据え、当面は分離課税のまま超過累進税率を導入すること、同時に、資産形成を支援するためにNISAを拡充すること等、具体的な提案をしてまいりました。政府・与党内で議論が進展しなかったことは、極めて残念に思っております。
今後、いつまでに、どのような方向性を持って議論するお考え、おつもりなのか、総理の明快な答弁を求めたいと思います。
インボイス制度についてお伺いいたします。
インボイス制度の導入が、来年、二〇二三年十月に迫っておりますが、取引過程から排除されたり廃業を迫られたりする免税事業者が生じかねないといった懸念や、とりわけ中小企業にとっては、インボイスの発行、保存等におけるコストが大きな負担になるといった問題が随分指摘されております。我々は、その度々、導入の延期や見直しを求めてまいりました。
岸田総理は、免税事業者を含めた事業者の準備のため、軽減税率の実施から十年間の十分な経過措置を設けていると御答弁されましたが、二〇一九年の軽減税率実施から二〇二三年のインボイス制度導入まで、この間、僅か四年しかありません。
加えて、この間、新型コロナウイルス感染症の発生と拡大の影響を受けて、多くの事業者が青息吐息、厳しい状況に置かれており、経過措置の期間を設定したときとは状況を全く異にしております。
したがって、少なくとも、コロナ禍が収束し、経済状況が回復するまでの間についてはインボイス制度の導入を延期すべきではないかと考えますが、改めて総理の御所見をお伺いいたします。
続いて、揮発油税についてお伺いをいたします。
昨今、レギュラーガソリン小売価格の全国平均が、約十三年ぶりに一リットル当たり百七十円を超える状況になっております。ただでさえコロナ禍で家計が傷んでいる中で、この値上がりは大きな衝撃的打撃です。
こうした事態を受けて、政府は、燃料油価格激変緩和措置を発動し、石油元売会社に対して補助金を支給することを決定いたしましたが、その額は僅か単価三・四円の支給であり、あくまで卸売価格の更なる高騰を抑制するための措置でしかないことから、家計負担の軽減という観点からは不十分な仕組みと言わざるを得ません。
直接的に、かつ十分に家計の負担を軽減するならば、やはり揮発油税のトリガー条項を発動すべきと考えます。実際に小売価格の値下がりにつながるか分からない、僅か、僅か、僅か三・四円の補助金支給か、発動されれば確実に小売価格が約二十五円下がるトリガー条項の発動か、どちらが優れている政策かは自明の理でございます。
岸田総理は、トリガー条項が発動された場合の買い控えやその反動による流通の混乱を理由に発動に否定的ですが、このまま値上がりが続いた場合、家計に与える影響は甚大なものとなりかねず、最大単価五円の元売補助金で十分な効果が得られるとは到底思えません。致命的なことになるかもしれません。
我々は、税収の減少にも配慮し、トリガー条項の凍結を一時的に解除し発動すべきと考え、昨年十二月の臨時国会でそのための法案も提出しております。先日、萩生田経済産業大臣も、我々の主張に御共鳴いただいたのか、御理解いただいたのか、これまでの発言を改められて、トリガー条項について、有効的に使えるのならば、使うことは常に考えていくと御発言されました。
あとは総理の御決断を待つのみとなっておると思いますが、現下の原油価格高騰を受けても、トリガー条項を発動するお考えはないのでしょうか。改めて総理の御見解をお伺いいたします。
それでもなお、現行のトリガー条項の制度設計のままでは問題があり、あくまでも発動は認められないということであれば、制度設計の見直しも含めて、柔軟な対応が必要だと考えます。
岸田総理は、予算委員会で、我が党の議員からトリガー条項の制度設計の見直しについて提案を受けた際に、これは、是非、経済産業省においても考えてもらいたいと御答弁されました。この答弁に基づいて経済産業省に何らかの検討を指示されたのか、あるいはこれから指示されるおつもりがあるのか、御予定があるのか、事実関係について、総理の明快な答弁を求めたいと思います。
最後に、財源確保策についてお伺いいたします。
この間、新型コロナウイルス感染症の拡大とその影響を受けて、日本だけではなく、世界各国で大規模な財政出動が行われてまいりました。それを受けて、欧米諸国では、財源確保のために、大企業や富裕層に対する増税等を検討あるいは実施する動きが見られております。
しかし、今回の税制改正では、財源確保策について、明快な内容が全く示されませんでした。公債残高は令和三年度末で初めて一千兆円を超える見通しであり、財政状況がますます厳しくなることは明らかでございます。財源確保に向けた税制改正の議論が政府・与党内で低調だったことは、極めて問題と考えております。
我々は、コロナ禍での国民生活を支える政策とともに、所得税の最高税率引上げ、金融所得の総合課税化、法人税への超過累進税率導入など、負担増をお願いする財源確保策も明確に主張してまいりました。
岸田内閣では財政が軽んじられているような印象さえ見受けられます。今後の財源確保策として、具体的にどのような内容をお考えになっているのか、そしてそれをどのように実現しようとされているのか、是非、この場で総理自身の口からお答えいただきたいと思います。
我々は、分配政策の本家として、この厳しい状況を乗り越えていくために、政府・与党に対し、そして何よりも国民の皆さん方に対し、あるべき税制の在り方について提案を続けてまいります。政府・与党の真摯な対応を心からお願い申し上げ、私の質問とさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
〔内閣総理大臣岸田文雄君登壇〕