岸田文雄の発言 (本会議)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○内閣総理大臣(岸田文雄君) 田村貴昭議員の御質問にお答えいたします。
格差や貧困を含む新自由主義の弊害についてお尋ねがありました。
一九八〇年代以降、新自由主義的な考え方が世界的に主流となり、世界経済の成長の原動力となりましたが、一方で、市場に依存し過ぎたことで公平な分配が行われず、中間層の所得が減少し、格差や貧困が拡大するなどの弊害も明らかになりました。
我が国では、一九九〇年代のバブル崩壊以降、低い経済成長と長引くデフレにより、企業は賃金を抑制し、消費者も将来不安などから消費を抑制した結果、需要が低迷し、デフレが加速をし、企業に賃上げを行う余力が生まれにくい悪循環であったと承知をしています。その後、アベノミクスにより二%程度の賃上げを実現したものの、コロナ禍の影響もあり、近年、賃上げ率が再び低下傾向となっています。
その結果、我が国の人的投資の対GDP比や設備投資の伸び、また可処分所得の伸びは、主要先進国に対して劣後してきました。
新型コロナ危機を乗り越えた上で、岸田政権では、新しい資本主義の下、市場や競争に全てを任せるのではなく、官と民が協働して、成長と分配の好循環を生み出してまいりたいと考えています。
その中で、デジタル化への対応などの社会課題を投資分野として、成長を実現するとともに、賃上げ等の分配を次の成長につなげることで、格差や貧困を含めた社会課題を解決しながら、持続可能な経済社会を実現してまいります。
コロナ禍での貧困についてお尋ねがありました。
新型コロナの影響でお困りの方々の暮らしを支えるため、住民税非課税世帯に対する十万円の給付、生活困窮者自立支援金の再支給による最大六十万円の給付、再就職や正社員化に向けた学び直しや職業訓練の支援など、重層的な支援を講じています。
また、御指摘の調査は、一人親世帯などがコロナ禍で一層多くの困難に直面していることを改めて示していると考えます。こうした状況も踏まえ、低所得の子育て世帯への臨時給付金の支給や地域子供の未来応援交付金など、地方自治体のNPO等を活用した居場所づくりを支援するなどの施策を実施してきました。
加えて、支援を必要とする方に支援がしっかりと行き届くよう、生活保護を始めとした公的支援制度の周知、相談に丁寧に取り組んでまいります。
所得再分配機能についてお尋ねがありました。
税制については、再分配機能の回復を図る観点から、所得税の最高税率の引上げなど、これまで、時々の経済社会の変化を踏まえながら累次の改正を行ってきたところであり、今後も、成長と分配の好循環の実現に向け、総合的に検討をしてまいります。
金融所得課税についてお尋ねがありました。
金融所得に対する課税の在り方については、令和四年度の与党税制改正大綱において、高所得者層において所得税負担率が低下する状況を是正し、税負担の公平性を確保する観点から検討する必要がある、一般投資家が投資しやすい環境を損ねないよう十分に配慮しつつ、諸外国の制度や市場への影響も踏まえ、総合的に検討を行うこととしているところであり、今後、見直しの時期や方向性も含めて、与党の税制調査会等の場で議論が行われていくものと考えております。
賃上げ税制についてお尋ねがありました。
御質問にある御党の賃上げ税制を活用した企業の割合の試算については、承知をしておらず、コメントは控えますが、賃上げは、税制のみならず、企業収益や雇用情勢等に影響を受けるものであり、税制の効果だけを定量的に測ることは難しいものの、アベノミクスの取組の中で二%程度の賃上げを達成しており、賃上げ税制も、令和二年度で約十万件活用いただくなど、賃上げに寄与してきたものと考えております。
また、事業再構築補助金など各種企業向け補助金における、賃上げを行う企業への優先的な取扱い、年間四兆円を超える、公共事業やビルメンテナンスなどの委託事業、ITなどの公共調達における、賃上げに積極的な企業の優遇、こうしたことにより、赤字であっても生産性向上に取り組み、賃上げにつなげていく企業を支援してまいりたいと思います。
支え合いで成り立つ我が国の社会保障において、社会保険料の事業主負担分を単に軽減するだけでは、持続的な賃上げ、そして持続的な社会保障にはつながりません。むしろ、社会保障制度を支える人を増やし、能力に応じてみんなが支え合う持続的な社会保障制度を構築することにより、現役世代の保険料の負担増の抑制を目指してまいりたいと考えます。
中小企業や国民生活への支援と消費税率の引下げについてお尋ねがありました。
新型コロナ対策として、新型コロナの影響を受ける中小企業やお困りの方々に重層的な支援を行うとともに、足下の物価上昇に対しては、原油価格高騰対策や価格転嫁円滑化のための施策パッケージ等を着実に実行し、経済と生活を下支えしてまいります。
消費税については、社会保障に係る費用をあらゆる世代が広く公平に分かち合うという観点から、社会保障の財源として位置づけられており、当面、消費税について触れることは考えておりません。
インボイス制度についてお尋ねがありました。
インボイス制度は複数税率の下で適正な課税を行うために必要なものであり、円滑な移行を図る観点から、十年の十分な経過措置を設けているところです。
その上で、事業者の準備状況や同制度への移行による事業者取引への影響について調査をし公表するとともに、事業者への支援など、環境整備に向けて必要な対応を進めているところであり、できる限り円滑な移行に向けて、周知、広報も含めて必要な取組を進め、事業者の方々の不安に応えてまいりたいと考えます。(拍手)