岸田文雄の発言 (本会議)
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○内閣総理大臣(岸田文雄君) 重徳和彦議員の御質問にお答えいたします。
米国の台湾政策についてお尋ねがありました。
今般の日米首脳会談では、バイデン大統領との間で、台湾に関する両国の基本的な立場に変更はないことを確認し、国際社会の安全と繁栄に不可欠な要素である台湾海峡の平和と安定の重要性を強調するとともに、両岸問題の平和的解決を促しました。
台湾海峡の平和と安定は、日本の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要です。我が国としては、今後とも、米国を始めとする同盟国、同志国と緊密に連携しながら、両岸関係の推移を注視してまいります。
防衛費の増額、その財源及び国内防衛産業の育成についてお尋ねがありました。
我が国の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、まず行うべきことは、国民の命や暮らしを守るために何が必要なのか、具体的かつ現実的に議論し、積み上げていくことです。
その結果、防衛力の抜本的強化に当たって必要となるものの裏づけとなる予算をしっかり確保していく考えであり、こうした観点から、先般の日米首脳会談では、防衛費の相当な増額を確保する、こうした決意を述べたところです。
こうした考え方の下、防衛費の内容や規模等について、新たな安全保障戦略等の策定や今後の予算編成過程を通じて検討してまいります。その際に、防衛費を安定的に確保する観点から、財源の在り方についても併せて検討してまいります。
また、国内防衛産業は、我が国の防衛力の一部であり、産業基盤強化が急務です。
近年、国内調達を増やしている一方で、FMS調達が高水準で推移しているほか、複数の国内防衛企業が撤退している厳しい現状も踏まえ、防衛産業強化のための抜本的な対策を検討してまいります。
IPEFへの参加についてお尋ねがありました。
今般、東京でバイデン大統領がIPEFの立ち上げを宣言されたことは、この地域への米国の強いコミットメントを明確に示すものであり、我が国として高く評価しています。TPPに入っていない米国、インドとともに地域の経済秩序を形作っていくという意義があり、自由で開かれたインド太平洋の実現にも資するものです。
IPEFは、サプライチェーンの強靱化など四つの分野の今日的課題について協力していくものであることに特徴があります。
IPEFが地域の経済秩序にとって有意義な枠組みとなるため、できるものから早期に具体的な成果を出していくことが重要であります。
一方、TPPは、ハイスタンダードでバランスの取れた二十一世紀型の新たな共通ルールを世界に広げていくとの意義を有しており、日本としては、引き続き、米国にTPP復帰を求めてまいります。
自民党から提言を受けた反撃能力の保有についてお尋ねがありました。
国民の命や暮らしを守るために十分な備えができているのか、あらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討しているところです。
現在検討中であるため、お尋ねについてお答えできる段階ではありませんが、この検討は、これまでるる申し上げているとおり、あらゆる選択肢を排除いたしません。そして、憲法及び国際法の範囲内で、日米の基本的な役割分担を維持しつつ進めてまいります。
領海警備の見直しについてお尋ねがありました。
武力攻撃に至らない侵害に適切に対応するためには、警察機関と自衛隊との連携が極めて重要であり、現行の法制の下、海上警備行動等の発令手続の迅速化を図ったほか、海上保安庁等関係機関の対応能力の向上、情報共有・連携の強化、各種訓練の充実など、必要な取組を推進しています。
今後の取組については、お尋ねの法案を含め、法整備が必要という声があります。その中で、各機関の連携を充実させ、円滑にさせるために必要なものがないか、訓練等を通じて、なお一層の検討を進めてまいります。
政府としては、今後とも、あらゆる事態を想定し、我が国の領土、領海、領空、そして国民の生命と財産を断固として守り抜くという強い覚悟を持って、冷静かつ毅然と対応をしてまいります。
細田議長の発言等についてお尋ねがありました。
いわゆる十増十減については、政府としては、審議会の勧告を受け、区割り改定法案を粛々と国会に提出するというのが現行法に基づく対応であると認識をしています。
その上で、議長の発言のあった議員定数を含めた選挙制度の在り方については、議会政治の根幹に関わる重要な問題であることから、各党各会派間で御議論をいただくべき課題であると考えております。
また、御指摘の一部報道については事実関係を承知していませんが、一般論として、議長の資格があるかどうかについて、行政府の長として、意見を述べる立場にはないと考えております。
知床遊覧船事故に関する国土交通大臣の責任についてお尋ねがありました。
まず、今回の事故で亡くなられた方々に対し、改めて心より哀悼の意を表するとともに、御家族の方々にお悔やみを申し上げます。
今回の事故を起こした事業者については、昨年の事故後、国土交通省において特別監査を実施し、さらに、抜き打ちで改善内容の確認を行ったとの報告を受けていますが、事業者の安全意識の欠如を十分に把握できなかったことについて、真摯に受け止め、監査の方法も含め改善を図っていく必要があると考えています。
今回の事故を受け、私からは、法的規制の在り方を含め、安全対策の在り方について検証、検討を行う検討会を立ち上げ、徹底的に安全対策を講じていくことを指示し、現在、国土交通省において、有識者から成る検討委員会で検証、検討を進めていると承知しています。
このような痛ましい事故を二度と起こさないよう、国土交通大臣において、責任を持って小型旅客船の総合的な安全対策に取り組んでまいります。
また、カズワンの引揚げについて、昨日、作業中に船体が落下し、現在、事業者が原因を調査しているとの報告を受けており、国土交通省において、事業者が安全かつ確実に作業を実施するよう、適切に指導をしていくこととしております。
新型コロナの出口戦略及びかかりつけ医についてお尋ねがありました。
新型コロナ対応については、平時への移行期間として最大限の警戒感を維持しつつ、専門家の意見も踏まえながら、徐々に通常の社会経済活動を取り戻してまいります。
かかりつけ医については、今後、その機能を明確化しつつ、患者と医療者双方にとってその機能が有効に発揮されるための具体的な方策を検討していくこととしており、コロナ禍での課題への対応という観点も含め、速やかに、かつ丁寧に制度整備を進めてまいります。
円安と金融政策についてお尋ねがありました。
黒田総裁の個々の発言、特に為替の水準等についてコメントすることは差し控えますが、為替の安定は重要であり、急速な変動は望ましくないと考えます。
その上で、一般論として、円安により、輸出や海外展開をしている企業の収益は改善する一方、輸入価格の上昇を通じて企業や消費者に負担増となると承知をしており、円安は日本経済に対して様々な影響を与えると考えます。
金融政策については、日銀において、平成二十五年の政府、日銀の共同声明の考え方に沿って、引き続き、物価安定目標の持続的、安定的な実現に向けて努力されることを期待しております。
また、政府と日銀の関係については、一般論として、政府は日銀に対して出資をしているものの議決権はなく、日銀には日本銀行法において金融政策や業務運営の自主性が認められていることから、政府がその経営を支配している法人とは言えず、会社法で言うところの子会社には当たらないと考えております。
金融所得課税の見直し等の税制改革についてお尋ねがありました。
金融所得課税の見直しについては、様々な分配政策を進める選択肢の一つとして挙げたものであり、令和四年度税制改正においては、賃上げに向けた税制の抜本的強化を優先的に取り組んだところです。その上で、今後の金融所得に対する課税の在り方については、令和四年度の与党税制改正大綱において、様々な観点を踏まえ、総合的に検討していくこととされています。
また、日本の家計金融資産の半分以上が預貯金であることに鑑みると、我が国には、この預貯金を投資へとシフトすることにより家計の金融資産を大きく拡大することのできるポテンシャルがあり、これを中間層に広げることが重要であると考えています。そうした観点から、NISAの抜本的拡充のほか、新たな仕組みについて、今後、六月までに新しい資本主義のビジョン等を取りまとめ、それらを踏まえ、どのような施策を講じていくのか、幅広い観点から検討を進めてまいります。
なお、税制については、これまでも所得再分配機能の強化を行ってきており、今後も、成長と分配の好循環の実現に向け、総合的に検討してまいります。
最低賃金と百三万円の壁問題などについてお尋ねがありました。
最低賃金については、まずは、現実的な目標として、できる限り早期に全国加重平均千円以上となることを目指すこととしており、千円に到達した後も継続的に引上げに取り組んでまいります。
いわゆる百三万円の壁については、税制上、解消したところですが、企業の諸手当などへの援用などの慣行が残っており、引き続き、働き方に中立的な制度を幅広く検討し、必要な見直しを進めてまいります。
また、労働時間や収入によって社会保険の適用が変わる問題などについて、働き方に中立的な制度となるよう検討を進め、男女が希望どおり働ける社会づくりを進めてまいります。
年金額の改定についてお尋ねがありました。
令和四年度の年金額改定率はマイナス〇・四%となっておりますが、これについては、年金額の改定ルールに基づき、前年の物価等がマイナスとなったことを反映している数字です。公的年金制度については、将来世代の負担が過重にならないようにしつつ、長期的な給付と負担のバランスを確保し、将来にわたって持続可能な仕組みとしており、この仕組みに基づいて、年金を着実に支給してまいります。
国土交通省の統計問題についてお尋ねがありました。
建設工事受注動態統計調査における不適切な処理により統計の数値に影響が生じていたことは、極めて遺憾であると考えます。
国土交通大臣は、今般の事案を受けて、給与等を自主返納して公的統計への不信を招いた責任を取るとともに、統計の遡及改定、再発防止策の検討を進めているところです。
なお、統計の専門家から構成される遡及改定検討会議の報告においては、GDPの推計に用いられる建設総合統計への影響は軽微と考えられるとの評価があったと承知をしております。GDPへの影響も限られたものになると考えられますが、建設総合統計の遡及改定が必要であり、引き続き、検証を行ってまいりたいと思います。
今回の事態を重く受け止め、統計の信頼回復に向け、人材育成、デジタル化、精度向上等に政府一体となって取り組んでまいります。
子供関連予算についてお尋ねがありました。
今後の子供政策に関する予算については、こども家庭庁の下で、子供の視点に立って、必要な子供政策が何かをしっかりと議論した上で、体系的に取りまとめ、社会全体での費用負担の在り方の検討と併せて、子供政策の充実にしっかりと取り組むことが重要であると考えております。
このように、まず必要な政策の在り方、そして社会全体での負担の在り方、これをしっかり検討した上で、将来的に予算の倍増を目指しているところです。
燃油高騰対策についてお尋ねがありました。
ロシアによるウクライナ侵略などの予見し難い影響に機動的に対応するため、本年一月以降、状況を見極めながら、予備費によるきめ細かな原油価格高騰対策を講じてきました。六月以降も切れ目なく事業を実施していくため、今般、補正予算を計上しています。
政府による措置がなければ二百円を超える大幅な価格上昇が想定された中、ガソリン価格を全国平均で当面百六十八円程度に据え置くなど、価格抑制の効果が確認されています。十月以降の対策については、今後、原油価格の高騰がどの程度長期化するのかなどを見極めながら、対応を検討してまいります。
トリガー条項については、三党検討チームにおいて引き続き検討するものとされたと承知をしております。
予備費の計上については、平成二十八年度第一次補正予算において、熊本地震復旧等予備費を新設し、事業費よりも多く予備費を計上した例や、平成三十年度第一次補正予算において、大規模災害のため多額の予備費を使用していた状況を踏まえ、一般予備費を積み増した例があると承知をしています。今般の補正予算は、不透明な情勢に伴う予期せぬ財政需要にも迅速に対応し、国民の安心を確保するための政策であると考えております。
今般の総合緊急対策に盛り込まれた各施策を迅速に実行するとともに、昨年十一月に策定した事業規模七十九兆円の経済対策に基づく令和三年度補正予算の繰越し事業や、過去最大の令和四年度当初予算の事業を迅速かつ着実に執行した上で、新型コロナからの経済社会活動の回復を確かなものとしてまいります。
そして、補正予算において予備費を計上する趣旨についてお尋ねがありました。
足下のウクライナ情勢に伴う原油価格や物価の高騰等については、総合緊急対策によって緊急かつ機動的に対応してまいりますが、今後の災害や新型コロナの再拡大、ウクライナ情勢の長期化に伴う原油価格、物価の更なる高騰など、状況は予断を許しません。
こうした不透明な状況に伴う予期せぬ財政需要に迅速に対応し、国民の安心を確保するため、今般の補正予算においては、一般予備費と新型コロナウイルス感染症及び原油価格・物価高騰対策予備費、合わせて五・五兆円の十分な水準を確保することといたしました。
政府としては、これら予備費を適切に活用することで、国民生活を守り抜くための万全の備えを固めてまいります。
国会開会中の予備費使用についてお尋ねがありました。
まず、お尋ねの、四月に一・五兆円の予備費が使用された例や三千九百四十五億円の一般予備費が使用された例はないものと承知しております。
御指摘の閣議決定との関係については、国会開会中における予備費の使用について、予備費の使用によらなければ時間的に対処し難いと認められる緊急な経費等であれば可能とされています。今般の予備費は、ウクライナ情勢に伴う原油価格高騰に緊急に対応するため、これに沿って使用決定をしたものであります。
予備費を活用した今般の総合緊急対策や新型コロナワクチン、抗原定性検査キットについてお尋ねがありました。
今般の総合緊急対策においては、子育て世帯生活支援特別給付金など、コロナ禍において物価高騰に直面し、真に困窮されている方々に対するきめ細かな支援を、予備費を活用して迅速にお届けすることとしております。
コロナ予備費の使用については、御指摘の観光推進の事業も含め、個別具体の事業内容について、予算総則に定められた趣旨に該当しているか判断した上で、適切に使用決定をしております。
新型コロナワクチンについては、これまで、約二・四兆円の予算措置により、計八億八千二百万回分を確保してきています。企業との関係もあり、お示しできる内容に限りがありますが、国民の皆様に必要なワクチンを確実にお届けし、経済社会活動を回復していくために必要な取組であると考えております。なお、ワクチンの医療現場における廃棄数については、現場の負担となることから、現時点では、調査を行うことは考えておりません。
また、抗原定性検査キットについては、余った場合には国が買い取ることを前提に、メーカーに対し最大限の供給を求めたものです。既に一・三億回分の買取り費用を予算措置しており、今後、在庫量に応じて適切に買い取ることとなります。(拍手)
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