村上陽子の発言 (予算委員会)

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○村上参考人 連合副事務局長の村上と申します。
 本日は、意見表明の機会をいただき、ありがとうございます。
 働く者の立場から、雇用保険の問題を中心に、幾つかの点について意見を述べます。
 まず、雇用保険財政についてです。
 御案内のとおり、雇用保険制度は、労使折半の保険料と国庫負担を財源として政府が運営しています。このうち、雇用調整助成金などが含まれる雇用保険二事業については、使用者負担の保険料のみで運営されています。この働く私たちにとって重要なセーフティーネットである雇用保険制度の財政について要望を述べます。
 一点目は、労働者の雇用のセーフティーネットを安定的に運営するための財源の確実な確保です。
 御承知のとおり、新型コロナウイルス感染症の度重なる拡大は、様々な業種に大きな影響を与えています。特に交通、運輸、観光、サービス、飲食を始めとした業種を中心に、経済活動が縮減し、多くの労働者が休業を余儀なくされました。
 当初は、リーマン・ショック時を上回る失業者の発生も想定されていましたが、雇用保険制度が大きな役割を果たし、雇用調整助成金の特例措置や、在籍型出向を通じた雇用維持を支援する産業雇用安定助成金などにより、失業者数が抑えられてきました。
 しかし、雇用保険財政に目を向けると、提出資料三ページ目のとおり、失業等給付の令和四年度予算案においては、支出が収入を上回っており、さらに雇用保険二事業への貸出しも行われるため、令和三年度末に約一兆三千百億円あった積立金はほぼゼロに近い残高となる見通しです。また、雇用保険二事業の令和四年度予算は、現下の新型コロナウイルス感染症の再拡大を踏まえれば、今後も雇用調整助成金や産業雇用安定助成金が担うべき役割は依然として大きく、年度途中で枯渇することは必至です。
 コロナ禍の影響を受ける労働者が安心して就労できるよう、まずは雇用調整助成金や産業雇用安定助成金などに当面必要な予算措置を講じることが必要不可欠です。また、今後の感染症の拡大による雇用への影響に対応すべく、失業等給付の積立金や雇用保険二事業の雇用安定資金を十分確保しておく必要があります。
 政府においては、補正予算の編成や予備費の充当を通じた一般会計から労働保険特別会計への更なる繰入れなど、状況に応じた機動的な財政措置をお願いいたします。
 加えて、育児休業給付についても、早ければ令和六年度に積立金が不足する見通しとなっており、子ども・子育ての支援制度として位置づけ、雇用保険会計によらず、政府の責任により一般会計で実施することなど、制度の在り方について早期に検討を開始していただくようお願いいたします。
 次に、失業等給付の国庫負担の見直しについてです。
 この見直しは、厳しい雇用保険の財政状況下で、雇用情勢等に応じて異なる国庫負担割合を適用するとともに、別途国庫から機動的に繰入可能な仕組みを導入するというものです。これらを含む雇用保険法等改正法案が今通常国会に提出されています。
 失業等給付の国庫負担割合は、提出資料四ページのとおり、本来は四分の一、二五%とされているところ、暫定的な引下げ措置によって、四十分の一、二・五%が適用されています。過去の衆参の厚生労働委員会の附帯決議においては、国庫負担には政府の雇用政策に対する責任を明確にする意義があるという政府の認識の下、早期に安定財源を確保し、四分の一に戻すこと、時限的な引下げ措置は令和三年度までに厳に限ることとされてきました。
 そうした経緯も踏まえ、労働政策審議会においては、労使から四分の一に戻すべきであるという意見が挙げられていましたが、政府の案は、雇用情勢及び雇用保険の財政状況が悪化している場合にのみ四分の一とし、それ以外の場合には四十分の一とするというものでした。
 また、国庫繰入制度については、国庫繰入れの機動性と実効性が担保されているとは言えず、適切な時期に適切な内容の財政措置がなされるか、懸念があります。
 政府による政策のかじ取りが労働者の雇用に大きく影響する今のような状況だからこそ、本来の国庫負担割合である四分の一とすべきではないでしょうか。
 コロナ禍からの回復の兆しが出てきていた中で、新たな変異株の出現などによる感染再拡大が雇用に及ぼす影響は不透明です。現場からは、雇用調整助成金の特例措置が本当に重要だという切実な声も寄せられています。
 雇用のセーフティーネットである雇用保険が将来にわたる安定的な運営を求められていることを踏まえれば、国庫負担割合を従来の四分の一に戻すことも含めた財政基盤の確立を求めたいと思います。
 次に、保育所、学校等において感染が拡大していることを踏まえた対応についてです。
 保育所の休園や学校の休校等に際して、保護者が仕事を休むことのできる機運の醸成と、小学校休業等対応助成金・支援金など、労働者を支える制度の周知と支援の強化が必要です。
 また、国民が安心して暮らし、社会経済活動を行えるようにするためには、ワクチン接種の体制確保、とりわけ、いわゆるエッセンシャルワーカーに対する優先的な接種体制の速やかな構築を求めます。
 同時に、それぞれの事業所内で感染検査ができるよう、検査体制の整備に向けた事業所への支援強化や、検査キットの安定確保について、医療現場への安定供給と併せて求めます。
 加えて、変異株の特性や、それに応じた感染予防策、ワクチンの副反応情報など、国民への正確な情報提供を行うとともに、ワクチン接種の有無による差別、偏見が起きないよう、改めて啓発の徹底を求めます。
 最後に、提出資料五ページ目のとおり、コロナ禍の最前線で働く医療、介護、福祉等の労働者は、全産業平均に比べて賃金水準が低い状況にあります。今回、政府がこの分野の賃金改善を行うこととしたことは評価いたします。人材確保が困難なこれらの分野での安定的なサービスの提供のためには、働きに見合った抜本的かつ継続的な賃金の改善が重要です。
 補正予算により先行実施される補助金による処遇改善措置では、対象とならない医療機関や事業所、職種があります。全ての従事者を対象に、継続的な処遇改善が行われる施策を講じていくことが必要です。
 また、労働組合のない職場も多い分野でありますので、国と地方自治体との連携で、事業所等への積極的な働きかけとサポートを行っていただき、実効性ある施策にすることが重要と考えております。
 以上、御清聴ありがとうございました。(拍手)

発言情報

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発言者: 村上陽子

speaker_id: 14697

日付: 2022-02-04

院: 衆議院

会議名: 予算委員会