山口壯の発言 (環境委員会)
⚠️ コピーしたテキストを転載する際は、転載元URL(kokkai-data.com)および原典URL(kokkai.ndl.go.jp)を必ず残してください。発言内容の改変・出典削除は禁止です。
詳細は利用規約をご確認ください。
○国務大臣(山口壯君) 環境大臣及び原子力防災を担当する内閣府特命担当大臣として、第二百八回国会における参議院環境委員会の御審議に先立ち、所信を申し述べます。
新型コロナウイルスの世界的なパンデミックを契機に、持続可能な経済社会の構築に向けた変革の必要性が世界中で一層認識されました。持続可能な社会の構築のためには、脱炭素、循環経済、分散・自然共生という多角的な切り口で経済社会全体を変革しなければなりません。環境省は、二〇三〇年までが人類の正念場、勝負のときとの決意で、この変革に取り組みます。
我が国でも、猛暑、豪雨が毎年のように生じています。こうした中、二〇二〇年には、衆参両院において、党派を超えた賛成を得て、気候非常事態宣言決議が可決されました。日本全体で総力を挙げて気候危機に挑戦しなければなりません。そのために、環境省は率先して、できるかできないかではなく、やらなければ日本が危ないとの覚悟で取り組みます。
同時に、この分野は、世界が注目する成長分野でもあります。我が国が率先して脱炭素社会に向かうことで、三千八百兆円とも言われる世界のESG資金を呼び込み、脱炭素に向けて経済社会を変革することで、新たな成長のエンジンとなり得ます。気候危機というピンチを克服し、チャンスに変えていくことができると思います。
我が国が掲げている二〇三〇年度目標四六%削減と五〇%の高みに向けた挑戦、さらに二〇五〇年炭素中立社会への移行に向けて、経済社会を変革するイノベーションが不可欠です。現在、中央環境審議会において、この変革に向けたグランドデザインの検討を進めていただいています。環境省は、特に、地域、暮らし、国際の観点から、この変革に取り組みます。
まず、地域です。
二〇三〇年度までに全国で百か所以上の脱炭素先行地域を実現し、脱炭素ドミノを起こしていきます。この春に第一弾の先行地域を選定すべく、募集を行いました。加えて、地域のニーズの把握と理解醸成のため、感染症対策に万全を期しながら、私を先頭に、政務三役全員により、全国行脚を行っております。地域の脱炭素化を支援するために、新たな交付金を予算案に盛り込ませていただきました。また、環境に配慮し地域の理解をいただく形で再生可能エネルギー導入を加速すべく、昨年の改正地球温暖化対策推進法も着実に施行し、地域に貢献する再生可能エネルギーの導入を進めてまいります。加えて、脱炭素分野に更に民間資金を呼び込むために、財投出資の根拠を定めた地球温暖化対策推進法の改正案を国会に提出させていただきました。同時に、気候変動の影響に備える適応策についても、熱中症対策を始め着実に実施します。
次に、暮らしです。
国民一人一人の暮らしの転換に向けて、令和三年度補正予算のグリーンライフポイント事業を活用し、消費者が環境に配慮した製品やサービスを選びやすくできるようにします。さらに、身の回りの衣食住や移動の脱炭素化を進めます。例えば、サステナブルファッションの推進、食品ロス対策、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEHの普及促進に取り組みます。
国際については、気候変動枠組条約第二十六回締約国会議、COP26で国際的な市場メカニズムのルールが完成し、一・五度目標の達成に向け、あらゆる国や地域で脱炭素に向けた動きが本格化します。岸田総理が提唱されたアジア・ゼロエミッション共同体に向けて、できるだけ早く、できるだけ大きな削減を実現することができるよう、二国間クレジット制度、JCMも活用しつつ、脱炭素イノベーションを我が国から途上国に展開してまいります。こうした取組を着実に前に進めながら、COP27に向けた国際的な議論に積極的に参加してまいります。
脱炭素に関連して、カーボンプライシングについても申し上げます。岸田総理からは、施政方針演説の中で言及されたほか、私と萩生田経済産業大臣に対して、カーボンプライシングの方向性を見出すよう指示がありました。全国行脚の中でも、脱炭素に取り組む一環としてカーボンプライシングに言及するとともに、意見交換もしております。また、各産業界からも直接、意見をお伺いしております。引き続き、幅広い関係者と真摯に対話を重ねながら、方向性を見出すべく検討を進めてまいります。
循環経済については、大量生産・大量消費型の経済社会活動から、持続可能な形で資源を利用する経済に変えていく必要があります。製造や廃棄に伴う温室効果ガスの削減が見込まれることから、脱炭素にも貢献します。これも新たな成長のチャンスです。
まず、今年四月からのプラスチック資源循環法の施行により、製品の設計から廃棄に至るまでのライフサイクル全般で、あらゆる主体によるプラスチックに係る資源循環の取組を促進します。さらに、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンを提唱した国として、国連環境総会の下での海洋プラスチックに関する国際約束づくりに向けた交渉についても主導してまいります。
さらに、持続可能でレジリエントな廃棄物処理体制構築に向け、災害廃棄物対策の体制を整備するとともに、一般廃棄物処理施設と浄化槽の整備を着実に進めてまいります。
分散・自然共生については、今年開催予定の生物多様性条約第十五回締約国会議における次期枠組みの合意に向けて、積極的に交渉に貢献するとともに、国内対策を着実に実施します。特に、昨年のG7サミットで合意した二〇三〇年までの陸と海の三〇%以上の保全に向けた対策に早急に着手します。具体的には、国立公園等の区域拡張とその質や魅力の向上に加え、これらの保護地域以外で生物多様性の保全に資する地域において民間取組等を促すための仕組み、データの整備に取り組みます。また、新しい生活様式にも合致した、ワーケーションができる国立公園づくりを実施します。さらに、生態系を活用した防災・減災、鳥獣保護管理、外来生物対策、企業の自然関連財務情報の開示等を推進します。政府全体で、自然資本を守り活用するための次期生物多様性国家戦略を策定していきます。
外来生物については、ヒアリのような緊急の対処が必要な生物や、広く一般に飼育されている生物への対策を強化すべく、外来生物法の改正案を本国会に提出させていただきました。
加えて、改正自然公園法等に基づく自然を活用した地域の活性化を進めるとともに、改正瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく豊かな海づくりを推進します。
東日本大震災からの復興も重要課題です。福島の復興再生のため、今年度末までに、帰還困難区域を除く福島県内除去土壌等の中間貯蔵施設へのおおむね搬入完了を目指すほか、特定復興再生拠点区域での除染や家屋解体等の環境再生事業を着実に実施するとともに、除去土壌等の県外最終処分に向けた再生利用の理解醸成等の取組を引き続き推進します。また、東京電力福島第一原子力発電所におけるALPS処理水の海洋放出に係る海域環境モニタリングに関する取組を行います。これらに加え、福島県との連携協力協定に基づき、県とともに、脱炭素社会の実現にも資する復興まちづくり、福島県内の国立公園等の自然資源の活用によるふくしまグリーン復興構想等の未来志向の環境施策を進めてまいります。また、放射線健康管理、リスクコミュニケーション等を通じた不安、風評払拭等に全力で取り組んでまいります。
このほか、環境省の不変の原点でもある水俣病を始めとする公害健康被害対策、石綿飛散防止対策、子供の健康と環境に関するいわゆるエコチル調査、PCB廃棄物処理、漂流・漂着ごみ対策、動物愛護管理等も着実に推進します。
最後に、原子力防災等について申し上げます。
万が一の原子力発電所の事故に対応するための備えに終わりや完璧はありません。福島第一原子力発電所事故の教訓をしっかりと胸に刻み、今後も安全神話にとらわれることなく、内閣府特命担当大臣として、関係自治体等と一体となり、各地域での防災訓練等を通じて、地域防災計画、避難計画の継続的な充実強化等を図り、原子力災害対応の実効性向上に取り組んでまいります。
加えて、原子力の安全確保に係る人材基盤の強化、放射線モニタリング体制の充実等を通じ、原子力規制委員会が独立性の高い三条委員会として、科学的、技術的見地から公正中立な立場で規制を進められるよう支援していきます。
以上御説明申し上げたとおり、環境大臣及び原子力防災担当大臣としての大きな責任に身が引き締まる思いです。
徳永委員長を始め、理事、委員各位におかれましては、今後とも、環境行政及び原子力防災の一層の推進のため、御支援、御協力を賜りますようお願い申し上げます。